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第47話 旧友との再会
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ダガレ村の人々を探しにゴブリンがいた洞窟までやって来た。
どうだ? 何か魔力とか感じるか?
洞窟の入口までやってくると特に変わった様子は無い。
『あたしにはわからん』
『わたくしも感じません』
エルザとシルクは気配を感じないようだ。
『私もわかりませんね』
土の精霊のシャルでも感じないならここはハズレか?
『翔さん、私には感じます』
ラジュナは何か感じ取ったようだ。
何かわかるのか?
『人の気配は分かりません。 ですが、入口に何か結界のような力を感じます』
結界か……。 俺の魂を封じているラジュナだからこそわかったのかも知れない。
もしかしたら結界のせいで皆んなが気配を感じ取れないのかも知れないな。
「私が見てこようか?」
「いや、今回は危険だ。 ルマは少し離れててくれ」
「じゃあ首飾りに入ってるわ」
「それは駄目だ。 もし、中にルーギィがいたら首飾りに入っていても危ない」
「わかったわ。 ここで待ってる」
妖精のルマなら森の中の方が安全だろう。
よし、行くぞ。
俺は静かに洞窟に向かう。
『翔さん、ここから結界です。 気をつけて』
俺はそーっと結界に触れてみるが、特に問題は無い。
これなら大丈夫だ。
洞窟を進む。 確かこの先は広い部屋に出たはずだ。
俺も精霊の皆んなも神経を張り詰めたように、進む。
広い部屋に出たが、何も無い。
何も無いな。
『翔! 上だ!!』
部屋の奥、上にいたのはルーギィ!!
「ルーギィ! 村の人達を何処にやった!!」
「あら怖い。 そんなに怒鳴らなくても聞こえてるわよ」
「答えろ!!」
「そうねぇ、その子達に勝てたら教えてあげるわ。 ニグレイス!」
「まったく、貴様のお遊びに付き合う身にもなれ」
ニグレイスがルーギィの隣に現れた。
ニグレイスだと!!
八首斬影が2人……。
「おや、またお会いしましたね。 コンデルミでは使えないゴミのせいで私の計画が台無しとなりましたよ。 今回はそうならないようにさせて頂きますよ」
洞窟の奥からヘバリーの様なゾンビがゾロゾロと現れ出した。
「そうそう、申し遅れましたね。 私は八首斬影が1人、霊のニグレイスと申します」
ニグレイスは丁寧にお辞儀をするとルーギィはつまらなさそうにしている。
「はいはい、自己紹介も済んだしぃ……、ちゃっちゃとやって私を楽しませてちょうだぁい」
ニグレイスはふぅとため息を吐き、手をかざすと、洞窟の今来た道からもゾンビがゾロゾロと出てくる。
囲まれたか!!
『翔さん、洞窟での戦いなら私を召喚して下さい』
シャルならこの地形も上手く利用して戦ってくれそうだが、こんなにゾンビがいるが大丈夫か?
『勿論です』
よし、頼むぞ。
「緑の優しき土の恵みよ 盟約に……と、違うんだったな」
『はい、これが私の召喚呪文です』
「よしっ!」
「緑の恩恵を受けし聖なる大地よ 盟約に基づきその真なる姿を見せよ!」
緑の魔法陣が現れると、植物のツルが魔法陣を覆っていく。
そして一輪の大きなつぼみが開くと中からシャルが召喚された。
「いきます!」
シャルが足先を踏み鳴らすと、地面から巨大な植物が生え、ゾンビの進行を防ぐと共に、植物から生えた棘でゾンビを串刺しにして行く。
両手を地面につけると、地割れが発生し、ゾンビを奈落へ落として行く。
手を叩くとゾンビの足元に沼地が出現し、沼へ飲み込んで行く。
これで、半分以上のゾンビを倒す事に成功した。
圧倒的なシャルを見てもルーギィもニグレイスもただ見ているだけで何も言わない。
「次です!」
植物のとげが1人のゾンビを襲う。
だだあのゾンビは見た事が……。
「シャル! ストップだ!!」
「え!?」
俺の声に反応し、ゾンビの顔の手前ギリギリで棘は止まった。
「あ、あの人は……、村長……さん……?」
周りの動いているゾンビを見ると、見た事のある顔がチラホラとある。
「宿屋のおかみさん! 武器屋のおじさん!!」
そう、このゾンビはダガレ村の村人達。
「ルーギィ! ニグレイス! 貴様ら村の人達を!!」
俺の叫ぶ声にルーギィは面倒臭そうな顔で答える。
「あら、私じゃ無いわよ。 私はニグレイスの作戦にちょっと乗っかって面白くしようとしただけだから」
「そう、これをやったのは全て私です。 得意なんですよ、屍人を操るのは……」
ニグレイスはニヤッと笑みを浮かべると、話し始める。
「本当ならコンデルミであのゴミが王座に着いたら、国の人間共を死霊にしてやろうと思っていましたが、いやいや、とんだ邪魔が入りましてねぇ、計画を変更したってわけですよ」
「貴様! よくも罪のない村人を!!」
「罪の無い? 罪ならありますよ」
「なに!?」
「人間であると言う事です。 ひょっひょっひょっ」
「な、なんだと……」
めちゃくちゃな理由に怒りが湧いてくる。
「あと、この村だけでは少なかったのでね、近くの村から集めました。 いやー、骨の折れる仕事でしたよ」
まさか……、パラキ村の人達も……?
「ニグレイス……、貴様は絶対許さん!!」
「ふむ、ではどのように戦うか実験といきましょう」
ニグレイスが指を鳴らすと、ゾンビの体から顔にも見える白いモヤが飛び出し、1箇所に集まって行く。
シャルが倒したゾンビからも白いモヤが集まる。
「このくらいで良いでしょう」
集まった白いモヤは段々と大きくなり、骨の体が形成されて行く。
現れたのは巨大な骸骨だ。
シャルは骸骨に向けて、岩を飛ばしたり、植物で攻撃したりしているが、全てすり抜けて効果が無いようだ。
『翔! あたしを召喚しろ!』
『いいえ、翔様、ここはわたくしにお任せ下さいませ』
シルク、あの骸骨をなんとか出来るのか?
『やってみない事には分かりませんが、他の方よりは有効だと思いますわ』
わかった。 シルク、頼む。
シルクの新しい召喚呪文を教わり、シャルを魔法陣へ戻す。
「蒼く全てを凍てつかせし聖なる氷流よ 盟約に基づきその真なる姿を見せよ!」
青い魔法陣が現れると、魔法陣から水が噴き出し、一瞬で凍りついた。
氷が砕けると中からシルクが現れる。
「さあ、いきますわよ」
シルクは小さい魔法陣を2つ出すと、魔法陣から水柱が上がる。
その水柱はシルクが腕を動かし、舞うように体を捻ったりする事で動きが変わり、骸骨を包んで行く。
完全に包まれた骸骨はその水の中でゆっくりと消えていった。
「ふむ、まだこの人数では足らんか」
ニグレイスは骸骨が消えた結果を見て考え込んでいる。
そこに骸骨を包んでいた水柱がニグレイスを包むと、一瞬で凍った。
「これで動けないはずですわ。 翔様、トドメを!」
俺が剣を握った瞬間、ニグレイスを包んでいた氷は砕け、ニグレイスが平然とした顔で現れた。
「考え事をしていると周りが見えなくなるクセが抜けんな。 ま、こんな氷結など児戯に等しいがな」
シルクの氷もニグレイスには全く聞いてないのか!?
「コマが減ってしまったな。 ルーギィ、私は他に行くがどうする?」
「え~、もう終わり? あんまり面白く無かったわね。 なら私から最後に……」
ルーギィは降りて来て俺達の前に立つ。
「これな~んだ?」
ルーギィがずっと持っていた袋からゴソゴソと出したのは……。
「ルマ!!」
ルマは気絶しているのか、体をだらんとさせている。
「あったり~! 楽しめたらこのまま返してあげようと思ったんだけど、あんまり面白く無かったから、殺しちゃおうかしら」
「よせ!!」
「ふふ、いいわぁ、その、か・お。 それが見たかったのよぉ……、もっとぉ、その顔、み・せ・て❤︎」
「く……」
これじゃあ下手に動けない。
ルーギィは俺やシルクが動くよりも早くルマを殺せるだろう。
ぶちっ!!
「!!!!!!ーーーーー!!!!」
ルマの声にならない叫びが広間に響き渡る。
「ルマーーーー!!」
俺がルーギィに斬りかかろうとすると、シルクに止められる。
「翔様、我慢してくださいませ! あの怪我なら治せますわ。 下手に動いて殺されたらわたくしでもどうしようも無くなります」
くそっ! くそっ!!
「そう、その調子よ」
ルーギィの片手にはルマからもぎ取った片翼の羽から赤い血が滴っている。
「もう一枚取ったらもっと良い顔してくれるかしら?」
「よせ!!」
「そう? それじゃ~……、そうだ、貴方がこのおもちゃの代わりになりなさい」
「ふざけないでくださいまし!!」
シルクは反論するが、ルマを助けられる手立てが無い。
「……わかった、俺が代わりになる……」
『翔!!』
『翔さん』
「翔様!!」
「皆んなは黙っててくれ、今はルマを助けたいんだ」
「カケル!! そんなの駄目に決まってるでしよ!!」
「ルマ!?」
「私の事は良いから、この変態女を早く倒して!!」
「うるさいおもちゃね」
ポキポキ
「!!!!ーーーー!!」
「脆いおもちゃは好きじゃないのよ」
ルマはルーギィに両腕を掴まれている。
そしてルーギィが少しでも力を入れれば、ルマの細い腕は簡単に折れてしまう。 今のように。
だがルマは、歯を食いしばって叫び声を上げなかった。
「カケル……、こんなの大した事無いわ……、だからこの女を……」
ぶちぶちぶちっ!!
「!!!!………あ……ぁ……」
「おもちゃが生意気な口を聞くんじゃ無いよ!」
残っていた羽ももぎ取られ、その痛みにルマは気を失ってしまった。
「もうやめろ!! 今、そっちへ行く!!」
俺は皆んなの抑制を振り払い、ルーギィの前に立つ。
「来たぞ! ルマを離せ!!」
「いいわぁ、従順な子は好きよぉ~」
ルーギィは俺の顔に近づけると、唇を重ねて来た。
な、なんだ、体が動かない……。
ルーギィにキスをされる前から体が動かせなくなっている。
「じゃ、もうこのおもちゃはいらないわ。 壊れちゃったし」
ルーギィはルマを放り投げ、地面に叩きつけられる寸前、一陣の風がルマが叩きつけられるのを防いだ。
「キー!!」
凄いスピードでラビがルーギィの顔面に蹴りを繰り出した。
ルーギィはひょっと楽に躱す。
それと同時に俺めがけて火炎球が飛んでくる。
そしてルーギィには大きな氷の塊が向かう。
「チッ」
ルーギィが大きく避けた所で、俺の体を引っ張る人がいる。
「カケルさん、早くこっちに!!」
声は聞いた事がある。 だが、まだ体が上手く動かず、顔を見れない。
「まったく……、いつもいつも私達の邪魔ばかりする女ね」
「それが私の仕事ですから。 出来れば倒されて頂けると私の仕事も楽になるのですけど」
そんなルーギィとやりとりをしているのはG級冒険者の、ジュリムさんだ。
俺を引っ張ってくれているのは……、アミルさん?
「なんだか面倒臭いのがちまちま現れたわね。 あ~面倒臭い。 ニグレイス、後は頼んだわよ」
「まったく、お前の尻拭いは、ごめんなんだが、今回は良いだろう。 良い死霊になりそうな奴もいるからな。 ひょっひょっひょっ!」
「じゃあ、お願いね~」
それだけ言うとルーギィは消えた。
やっと体が動くようになった。
ルマは!?
辺りを見回すとシルクがルマに回復魔法をかけていた。
「翔様、ルマさんはもう大丈夫です。 私は戻りますから、エルザを召喚して下さい」
シルクが魔法陣へ戻る。
そして、エルザを召喚する。
「赤き紅より業火に燃えし聖なる炎 盟約に基づきその真なる姿を見せよ!」
赤い魔法陣が現れると、巨大な火柱が立ち上がり、エルザが火柱より出てくる。
前に召喚した時より、赤く輝いている髪が揺らめき、顔つきも鋭く感じる。
「カケル! ぼさっとしてる場合じゃ無いわよ!!」
リアスとラビは既に戦闘体制だ。
「この妖精さんは私が見ています」
アミルさんはルマを包んでいる水の泡ごと、場を離れる。
「少しは強くなったようね」
ジュリムさんはこちらをチラッと見て直ぐに呪文を唱え始める。
「…………」
エルザはニグレイスを睨んだまま何も言わない。
「兄ちゃん間に合って良かったよ」
マリスが皆んなをこの場所に連れてきてくれた。
ここにリアス、ラビ、アミルさん、ジュリムさん、エルザ、マリス、俺が八首斬影の1人、ニグレイスの前に立つ。
どうだ? 何か魔力とか感じるか?
洞窟の入口までやってくると特に変わった様子は無い。
『あたしにはわからん』
『わたくしも感じません』
エルザとシルクは気配を感じないようだ。
『私もわかりませんね』
土の精霊のシャルでも感じないならここはハズレか?
『翔さん、私には感じます』
ラジュナは何か感じ取ったようだ。
何かわかるのか?
『人の気配は分かりません。 ですが、入口に何か結界のような力を感じます』
結界か……。 俺の魂を封じているラジュナだからこそわかったのかも知れない。
もしかしたら結界のせいで皆んなが気配を感じ取れないのかも知れないな。
「私が見てこようか?」
「いや、今回は危険だ。 ルマは少し離れててくれ」
「じゃあ首飾りに入ってるわ」
「それは駄目だ。 もし、中にルーギィがいたら首飾りに入っていても危ない」
「わかったわ。 ここで待ってる」
妖精のルマなら森の中の方が安全だろう。
よし、行くぞ。
俺は静かに洞窟に向かう。
『翔さん、ここから結界です。 気をつけて』
俺はそーっと結界に触れてみるが、特に問題は無い。
これなら大丈夫だ。
洞窟を進む。 確かこの先は広い部屋に出たはずだ。
俺も精霊の皆んなも神経を張り詰めたように、進む。
広い部屋に出たが、何も無い。
何も無いな。
『翔! 上だ!!』
部屋の奥、上にいたのはルーギィ!!
「ルーギィ! 村の人達を何処にやった!!」
「あら怖い。 そんなに怒鳴らなくても聞こえてるわよ」
「答えろ!!」
「そうねぇ、その子達に勝てたら教えてあげるわ。 ニグレイス!」
「まったく、貴様のお遊びに付き合う身にもなれ」
ニグレイスがルーギィの隣に現れた。
ニグレイスだと!!
八首斬影が2人……。
「おや、またお会いしましたね。 コンデルミでは使えないゴミのせいで私の計画が台無しとなりましたよ。 今回はそうならないようにさせて頂きますよ」
洞窟の奥からヘバリーの様なゾンビがゾロゾロと現れ出した。
「そうそう、申し遅れましたね。 私は八首斬影が1人、霊のニグレイスと申します」
ニグレイスは丁寧にお辞儀をするとルーギィはつまらなさそうにしている。
「はいはい、自己紹介も済んだしぃ……、ちゃっちゃとやって私を楽しませてちょうだぁい」
ニグレイスはふぅとため息を吐き、手をかざすと、洞窟の今来た道からもゾンビがゾロゾロと出てくる。
囲まれたか!!
『翔さん、洞窟での戦いなら私を召喚して下さい』
シャルならこの地形も上手く利用して戦ってくれそうだが、こんなにゾンビがいるが大丈夫か?
『勿論です』
よし、頼むぞ。
「緑の優しき土の恵みよ 盟約に……と、違うんだったな」
『はい、これが私の召喚呪文です』
「よしっ!」
「緑の恩恵を受けし聖なる大地よ 盟約に基づきその真なる姿を見せよ!」
緑の魔法陣が現れると、植物のツルが魔法陣を覆っていく。
そして一輪の大きなつぼみが開くと中からシャルが召喚された。
「いきます!」
シャルが足先を踏み鳴らすと、地面から巨大な植物が生え、ゾンビの進行を防ぐと共に、植物から生えた棘でゾンビを串刺しにして行く。
両手を地面につけると、地割れが発生し、ゾンビを奈落へ落として行く。
手を叩くとゾンビの足元に沼地が出現し、沼へ飲み込んで行く。
これで、半分以上のゾンビを倒す事に成功した。
圧倒的なシャルを見てもルーギィもニグレイスもただ見ているだけで何も言わない。
「次です!」
植物のとげが1人のゾンビを襲う。
だだあのゾンビは見た事が……。
「シャル! ストップだ!!」
「え!?」
俺の声に反応し、ゾンビの顔の手前ギリギリで棘は止まった。
「あ、あの人は……、村長……さん……?」
周りの動いているゾンビを見ると、見た事のある顔がチラホラとある。
「宿屋のおかみさん! 武器屋のおじさん!!」
そう、このゾンビはダガレ村の村人達。
「ルーギィ! ニグレイス! 貴様ら村の人達を!!」
俺の叫ぶ声にルーギィは面倒臭そうな顔で答える。
「あら、私じゃ無いわよ。 私はニグレイスの作戦にちょっと乗っかって面白くしようとしただけだから」
「そう、これをやったのは全て私です。 得意なんですよ、屍人を操るのは……」
ニグレイスはニヤッと笑みを浮かべると、話し始める。
「本当ならコンデルミであのゴミが王座に着いたら、国の人間共を死霊にしてやろうと思っていましたが、いやいや、とんだ邪魔が入りましてねぇ、計画を変更したってわけですよ」
「貴様! よくも罪のない村人を!!」
「罪の無い? 罪ならありますよ」
「なに!?」
「人間であると言う事です。 ひょっひょっひょっ」
「な、なんだと……」
めちゃくちゃな理由に怒りが湧いてくる。
「あと、この村だけでは少なかったのでね、近くの村から集めました。 いやー、骨の折れる仕事でしたよ」
まさか……、パラキ村の人達も……?
「ニグレイス……、貴様は絶対許さん!!」
「ふむ、ではどのように戦うか実験といきましょう」
ニグレイスが指を鳴らすと、ゾンビの体から顔にも見える白いモヤが飛び出し、1箇所に集まって行く。
シャルが倒したゾンビからも白いモヤが集まる。
「このくらいで良いでしょう」
集まった白いモヤは段々と大きくなり、骨の体が形成されて行く。
現れたのは巨大な骸骨だ。
シャルは骸骨に向けて、岩を飛ばしたり、植物で攻撃したりしているが、全てすり抜けて効果が無いようだ。
『翔! あたしを召喚しろ!』
『いいえ、翔様、ここはわたくしにお任せ下さいませ』
シルク、あの骸骨をなんとか出来るのか?
『やってみない事には分かりませんが、他の方よりは有効だと思いますわ』
わかった。 シルク、頼む。
シルクの新しい召喚呪文を教わり、シャルを魔法陣へ戻す。
「蒼く全てを凍てつかせし聖なる氷流よ 盟約に基づきその真なる姿を見せよ!」
青い魔法陣が現れると、魔法陣から水が噴き出し、一瞬で凍りついた。
氷が砕けると中からシルクが現れる。
「さあ、いきますわよ」
シルクは小さい魔法陣を2つ出すと、魔法陣から水柱が上がる。
その水柱はシルクが腕を動かし、舞うように体を捻ったりする事で動きが変わり、骸骨を包んで行く。
完全に包まれた骸骨はその水の中でゆっくりと消えていった。
「ふむ、まだこの人数では足らんか」
ニグレイスは骸骨が消えた結果を見て考え込んでいる。
そこに骸骨を包んでいた水柱がニグレイスを包むと、一瞬で凍った。
「これで動けないはずですわ。 翔様、トドメを!」
俺が剣を握った瞬間、ニグレイスを包んでいた氷は砕け、ニグレイスが平然とした顔で現れた。
「考え事をしていると周りが見えなくなるクセが抜けんな。 ま、こんな氷結など児戯に等しいがな」
シルクの氷もニグレイスには全く聞いてないのか!?
「コマが減ってしまったな。 ルーギィ、私は他に行くがどうする?」
「え~、もう終わり? あんまり面白く無かったわね。 なら私から最後に……」
ルーギィは降りて来て俺達の前に立つ。
「これな~んだ?」
ルーギィがずっと持っていた袋からゴソゴソと出したのは……。
「ルマ!!」
ルマは気絶しているのか、体をだらんとさせている。
「あったり~! 楽しめたらこのまま返してあげようと思ったんだけど、あんまり面白く無かったから、殺しちゃおうかしら」
「よせ!!」
「ふふ、いいわぁ、その、か・お。 それが見たかったのよぉ……、もっとぉ、その顔、み・せ・て❤︎」
「く……」
これじゃあ下手に動けない。
ルーギィは俺やシルクが動くよりも早くルマを殺せるだろう。
ぶちっ!!
「!!!!!!ーーーーー!!!!」
ルマの声にならない叫びが広間に響き渡る。
「ルマーーーー!!」
俺がルーギィに斬りかかろうとすると、シルクに止められる。
「翔様、我慢してくださいませ! あの怪我なら治せますわ。 下手に動いて殺されたらわたくしでもどうしようも無くなります」
くそっ! くそっ!!
「そう、その調子よ」
ルーギィの片手にはルマからもぎ取った片翼の羽から赤い血が滴っている。
「もう一枚取ったらもっと良い顔してくれるかしら?」
「よせ!!」
「そう? それじゃ~……、そうだ、貴方がこのおもちゃの代わりになりなさい」
「ふざけないでくださいまし!!」
シルクは反論するが、ルマを助けられる手立てが無い。
「……わかった、俺が代わりになる……」
『翔!!』
『翔さん』
「翔様!!」
「皆んなは黙っててくれ、今はルマを助けたいんだ」
「カケル!! そんなの駄目に決まってるでしよ!!」
「ルマ!?」
「私の事は良いから、この変態女を早く倒して!!」
「うるさいおもちゃね」
ポキポキ
「!!!!ーーーー!!」
「脆いおもちゃは好きじゃないのよ」
ルマはルーギィに両腕を掴まれている。
そしてルーギィが少しでも力を入れれば、ルマの細い腕は簡単に折れてしまう。 今のように。
だがルマは、歯を食いしばって叫び声を上げなかった。
「カケル……、こんなの大した事無いわ……、だからこの女を……」
ぶちぶちぶちっ!!
「!!!!………あ……ぁ……」
「おもちゃが生意気な口を聞くんじゃ無いよ!」
残っていた羽ももぎ取られ、その痛みにルマは気を失ってしまった。
「もうやめろ!! 今、そっちへ行く!!」
俺は皆んなの抑制を振り払い、ルーギィの前に立つ。
「来たぞ! ルマを離せ!!」
「いいわぁ、従順な子は好きよぉ~」
ルーギィは俺の顔に近づけると、唇を重ねて来た。
な、なんだ、体が動かない……。
ルーギィにキスをされる前から体が動かせなくなっている。
「じゃ、もうこのおもちゃはいらないわ。 壊れちゃったし」
ルーギィはルマを放り投げ、地面に叩きつけられる寸前、一陣の風がルマが叩きつけられるのを防いだ。
「キー!!」
凄いスピードでラビがルーギィの顔面に蹴りを繰り出した。
ルーギィはひょっと楽に躱す。
それと同時に俺めがけて火炎球が飛んでくる。
そしてルーギィには大きな氷の塊が向かう。
「チッ」
ルーギィが大きく避けた所で、俺の体を引っ張る人がいる。
「カケルさん、早くこっちに!!」
声は聞いた事がある。 だが、まだ体が上手く動かず、顔を見れない。
「まったく……、いつもいつも私達の邪魔ばかりする女ね」
「それが私の仕事ですから。 出来れば倒されて頂けると私の仕事も楽になるのですけど」
そんなルーギィとやりとりをしているのはG級冒険者の、ジュリムさんだ。
俺を引っ張ってくれているのは……、アミルさん?
「なんだか面倒臭いのがちまちま現れたわね。 あ~面倒臭い。 ニグレイス、後は頼んだわよ」
「まったく、お前の尻拭いは、ごめんなんだが、今回は良いだろう。 良い死霊になりそうな奴もいるからな。 ひょっひょっひょっ!」
「じゃあ、お願いね~」
それだけ言うとルーギィは消えた。
やっと体が動くようになった。
ルマは!?
辺りを見回すとシルクがルマに回復魔法をかけていた。
「翔様、ルマさんはもう大丈夫です。 私は戻りますから、エルザを召喚して下さい」
シルクが魔法陣へ戻る。
そして、エルザを召喚する。
「赤き紅より業火に燃えし聖なる炎 盟約に基づきその真なる姿を見せよ!」
赤い魔法陣が現れると、巨大な火柱が立ち上がり、エルザが火柱より出てくる。
前に召喚した時より、赤く輝いている髪が揺らめき、顔つきも鋭く感じる。
「カケル! ぼさっとしてる場合じゃ無いわよ!!」
リアスとラビは既に戦闘体制だ。
「この妖精さんは私が見ています」
アミルさんはルマを包んでいる水の泡ごと、場を離れる。
「少しは強くなったようね」
ジュリムさんはこちらをチラッと見て直ぐに呪文を唱え始める。
「…………」
エルザはニグレイスを睨んだまま何も言わない。
「兄ちゃん間に合って良かったよ」
マリスが皆んなをこの場所に連れてきてくれた。
ここにリアス、ラビ、アミルさん、ジュリムさん、エルザ、マリス、俺が八首斬影の1人、ニグレイスの前に立つ。
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ハーフのクロエ
ファンタジー
アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。
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