黎明の錬金技工術師《アルケミスター》と終焉の魔導機操者《アーティファクター》

かなちょろ

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第六章 西の大陸と魔導学園

第百四十話 継続

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 真紅燭しんくしょくの塔の最上階まで辿り着き、重い体をなんとか持ち上げ機械の前にレアを下す。
 レアは人へと変身するが、直ぐにその場に倒れてしまう。

「レア!」
「ご、ご主人様……、この場所では私は動けませんにゃ……、あそこにあるパネルに触れて、く、下さいにゃ……」
「わ、わかった、待ってろ!」

 レアに差されたパネルに急いで触れると、体が軽くなる。

「ふぅ……、助かりましたにゃ」
「もう大丈夫か?」
「もちろんですにゃ。 それじゃ筒に入って下さいにゃ」
「ああ、頼むよ」

 入った筒の中は液体で満たされ、レアも隣の筒に入り同じく液体で満たされる。
 今までのように簡単にパワーアップ出来ると思っていたが、体中に電撃が流れ激痛が全身に走る。

 ぐうぅぅぅ!!

 腕や足を斬られてもこんな痛みは無かったのになんで……だ……。
 苦しみながらも隣のレアに目をやるとレアも同じように苦しんでいる。
 しばらくこの激痛が続き、やっと終わって液体が引いて行く。

「ふはぁー……、イタタ……、なんだったんだ….、……レア! レアは大丈夫か?」
「大丈夫です……にゃ……」

 レアも激痛に耐え体を押さえながら筒から出て来た。
 服を着ながらレアに状況を聞いてみる。

「今まであんな事は無かったんだけど、急になんであんな激痛が?」
「もしかしたら、私が前回塔でのパワーアップ出来ずにリュビナイトでパワーアップしたせいかも知れません……にゃ……」
「そうか、でもこれでパワーアップは済んだし戻るとしよう」
「はい」

 部屋から出て螺旋階段を下りて行くと、一番下でエイルとメメルが待っていた。

「ケンジ終わったの?」
「ああ、お待たせ」
「先生はパワーアップしたんですか?」
「もちろん、次で完全になるはずさ。 しかしこれは……」

 階段の下には映像の町が広がっていたはずだが、今はただの広い空間となっている。
 どうやら俺のパワーアップと同時に町や人々の映像は消えてしまったようだ。

「あの映像はなんだったのでしょうか?」
「そうよね、あんな悲惨な映像をなんで……」
「そうだよな、レアはなぜだと思う?」
「え!? あ、はい。 わかりません……にゃ」

 俺が話しを急に振ったからか、驚いてレアは答える。

「どうした? どこか調子悪いのか?」
「い、いえ、なんでも無いです……」
「それなら良いけど……、なんなら肩に乗って行くか?」
「問題ありません! さ、早く学園に戻りましょう! にゃ!」

 レアの様子がちょっとおかしい……。
 気になるがもう直ぐ夜も明けるはずだ。 早く戻らないとな。
 塔までの分かれ道はあったけど、結局どれも繋がっているなら一本道と変わらない。
 一番早く着きそうな道を通って戻り、メメルの案内で学園まで帰って来た。
 学園まで戻り解散し、エイルとメメルは部屋に戻り、俺とレアは宿まで戻る。
 そしてその日はエイルは全身筋肉痛で動けずお休みとなった。

 俺とレアは普通に学生への訓練をこなすと、学長からお呼びがかかる。

「失礼します」
「きましたね、待っていましたよ」
「今日はどう言ったご用でしょうか?」
「ええ、ケンジさんの用も済んだようですし、そろそろガルに戻られるのではと思いましてね」

 俺が塔でパワーアップした事、メメルの事のどちらも知っているって事か?

「何故それを?」
「私はこの学園の学長ですよ。 その位の事はわかりますよ」

 学長何者なんだ?

「ではもう講師はやらなくても良いと?」
「そうですね……、いきなりいなくなると生徒も困るでしょう。 それにもう直ぐ開催予定の学園祭がありますので、それまでお願い出来ませんか?」
「学園祭ですか?」
「そうです。 学園祭は様々な出し物がありますが、目玉は生徒達による競争なんですよ」

 持久走のような感じか?

「競争って走るだけですか?」
「ちょっと違いますね。 スタートからゴールまで走るのは変わりませんが、色々な障害をクリアーしてゴールする競争となります」
「へー、それは面白そうですね」
「ええ、だからその学園祭まで継続して講師をお願い出来ませんか?」
「そうですね、俺も中途半端は嫌ですから」
「ありがとうございます。 それではもう少しお願いします」

 こうして俺はもう少し生徒の面倒を見る事になる。
 ただ、塔に行ってからレアの様子がちょっとおかしい。
 なんか俺にもエイルにもよそよそしくなったな~と言う感じがする。
 俺の気のせいだと良いけど……。
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