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第弐話 【飯綱荘の住人】
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次の日、朝早く目覚めてしまったので、眠い目を擦りながら、とりあえずお風呂場に。
ボーッとしながら服を脱いで下着になっていると……。
浴室の扉が開き、男性が出て来た……。
「…………え?」
「ん……?」
「き、キャアーー!!」
私は急いでドアを閉め、自分の服を持って管理人室へ走って戻った。
あー! びっくりした、びっくりした……。
ボーッとしていて、入ってるのに気がつかなかったよ……。
大丈夫だよね? 見られて無いよね?
姿を思い出すとちょっとドキドキしてしまう。
黒髪で、ちょっと切れ目、そしていい身体をしてた……。
いやいやいや、早く忘れよう。
管理人室からちょっとお風呂場を覗くと、入ってた人は上がったようだ。
私はそそくさと、シャワーを浴びて、パンを食べ、学校の準備をして向かった。
そして私の自己紹介も終わると、窓際の席に座っている人に目をやる。
見た事あるその人は黒髪で少しの切れ目、イケメンなので、クラスの女子からキャー! っと声が上がる。
もしかしてあの人……。
自己紹介も終わると、今日はもう帰宅。
帰宅途中に晩御飯のおかず買って帰らないとな。
でもあんまりこの辺詳しく無いんだよね。
携帯でお店をチェックし、画面を見ながら歩く。
「あぶねぇ!!」
咄嗟に肩を抱きしめられ、引き寄せられる。
どうやら私は道を確認する為に携帯に集中していて、歩道からずれて車道に出てしまったようだ。
そこにオートバイが向かって来ていた事に気が付かなかった。
「ボーッとしてんじゃねえ!」
「ご、ごめんなさい」
肩を抱きしめて助けてくれたのは同じクラスのあの窓際の男子だった。
「あ、あの、助けてくれてありがとうございます」
「気をつけろよ。 怪我は無いか?」
私はコクコクと頷くと、体を起こされた。
「……何処かに行く予定だったのか?」
私の携帯の地図が表示されているのを見たようだ。
「そうか、…………、この場所なら俺も行くから案内してやるよ」
「え!? で、でも……」
「お前、同じクラスの間宮だろ?」
私の名前覚えてくれてたの!?
「は、はい。 確か、【白】君だったよね?」
「ああ」
淡白な答えだけど、白君はスーパーまで案内をしてくれた。
買い物は別々に済ませ、外に出ると、白君がジュースを飲みながら待っていてくれた。
「やっと来たか……、……荷物持ってやるよ」
私の両手が塞がる程の荷物を見た白君は手を差し出して来る。
「大丈夫だよ」
私は断るが、差し出した手を引っ込めない。
「あ、ありがとう……」
荷物を一つ差し出すと、持って歩き出す。
あ、そう言えば挨拶まだだった。
「あの、私……」
挨拶しようとすると白君は先に話してくる。
「新しい管理人だろ? 聞いてる。 宜しく」
「こ、こちらこそ宜しく……」
このまま何も話題が無く、【飯綱荘】に着いてしまった。
「た、ただいまー」
玄関のドアを開けると、銀君が半裸の十字さんに追いかけ回されていた。
「それをよこせーー!!」
「嫌だよーー!!」
バタバタと廊下を走り回っている。
「あ! トモちゃん! 助けてーー!! 十字が僕のプリンをよこせって追いかけてくるんだよーー!!」
銀君は私の後ろに隠れる。
「違うだろ! 銀が俺のプリンを食べたからだろーがー!!」
私の周りをぐるぐる回ると、また走って行ってしまった。
「まったく……」
白君はため息混じりで食堂に向かった。
私も食堂に買い物の食材を置きに向かう。
「ありがとうございます」
「ああ」
それだけ言って白君は部屋に戻って行った。
この大荷物の食材は今日の晩御飯を私が皆んなの分を作ろうと思ったからなんだ。
引っ越し蕎麦みたいなものだ。
今日のメニューはオムライス。
私が得意としている料理の一つだ。
料理をしていると、ちょくちょく銀君が覗きに来て、たまに十字さんが来る。
そして銀君とかち合うと十字さんはちょっかいを出していく。
仲良いなあ。
料理も完成。
そこそこ良く出来た。 皆んなを呼びに行こう。
銀君はちょいちょい料理していた台所に来ていたので、既に座ってスタンバっている。
十字さんは白くんを呼びに行ってくれ、「僕も呼びに行くよ」 と、銀君は灰さんを呼びに行ってくれた。
赤井さんはまだ仕事で帰って来ていないので、ラップをかけておく。
とりあえず揃った所で、改めて管理人として挨拶をする。
「改めまして、この飯綱荘の管理人をさせて頂きます【間宮 智子】と申します。 不束者ですが、宜しくお願いします」
銀君と十字さんから拍手が鳴り、白君は横を向き、灰さんは眠そうにしている。 てか、半分寝ているよね?
挨拶を終えると食事が始まる。
「ねえねえ、トモちゃん、ケチャップで何か書いてよ」
「こら銀、間宮さんだろ」
「えー! 良いじゃん!」
「私はかまわ無いですよ」
「間宮さん、こいつを甘やかしちゃ駄目ですよ」
銀君はぶーぶーと文句を言っている。
「まあ、まあ、何か書こうか?」
私は冷蔵庫からケチャップを取り出そうと立ち上がると……。
「僕が取ってあげるよ」
銀くんは指を冷蔵庫に向けると、冷蔵庫の扉が勝手に開き、ケチャップがふよふよと飛んでくる。
「え!? え!?」
なに? マジック?
「「銀!!」」
十字さんと白君は銀君に強く声をかけた。
「あ……」
しまったと言う顔をして、ケチャップを渡してくる銀君。
「えと、今のは……?」
「なんでもないよ……、あはは……」
銀君は吹けない口笛をフューフューと吹いている。
そして、銀君の姿は、頭に獣の耳が生えており、もっふもふの尻尾が一本生えてゆさゆさと揺れている。
十字さんと白君はあちゃーっとした顔をしている。
「だって、だって……、ついお婆ちゃんの時の癖が出ちゃったんだもん!」
「はあーー……、バレちゃったら仕方ないな」
十字さんも獣耳が生え、もふもふした尻尾が生えてくる。
白君も灰さんも同じ様な姿に変わっていく。
「え? え?」
私は驚きでどう言う反応をして良いかわからないでいた。
すると、十字さんが牙の生えた口を開く。
「仕方ない……、正体をあかすか。 俺達は妖狐って言う妖怪さ。 昔暴れていた所を君のお婆さんにボコボコにされて九つに分けられてな……、 そしてこの飯綱荘に封印されてるってわけだ」
「え?」
なにそれ? 話しに着いていけない。
「そう言う事だ。 あの忌々しい婆さんのせいでな」
白君も紅瞳で私を睨みながら話す。
こ、怖い……。 昼間はあんなに親切だったのに……。
「ん~……、それなら……、この嬢ちゃんを食らっちまえば良いんじゃねぇか?」
灰さんも私を見てヨダレをじゅるりと垂らす。
「ひっ!」
私は怖くなって声がでた。
泣きそう……。
「皆さん、そこまでですよ」
食堂に入ってきたのは赤井さん。
「赤井さーん!!」
私は泣きついて赤井さんに抱きついたけど……。
抱きついた赤井さんも同じく獣耳が生えて、尻尾が生えていた。
「あ、あ……」
私は気絶した……。
「う~ん……」
私は自分の部屋の布団で目が覚めた。
あれ? 夢だった?
恐る恐る部屋を出て、食堂に向かうと、銀君、白君、十字さん、灰さんが正座させられ、赤井さんに怒られていた。
「まったく、あなた達は……」
銀君は耳と尻尾が垂れて、白君はそっぽを向き、灰さんは寝てる!
「あ! トモちゃん!」
私が覗いている事に気がついた銀君は手を振ってくる。
「あっ!」
しまった! 見つかった!
そして、食卓に皆んな座り、赤井さんに事情の説明をされた。
「私達がこの飯綱荘に封印された事までは聞いたようですね。 そこからの事を話しましょう」
話された内容はこうだ。
封印されてから祖母に使役される事になったと言う。
なんで祖母はそんな事が出来たのかを聞くと、祖母は強い霊能力を持っていたらしい。
そして悪戯をしていた妖狐を九つに分けて封印したと言う。
九つに分けられた力は人へと姿を変え、祖父の許可をへて一緒に暮らし始めたそうだ。
九つに分けられた時に一人づつ個性が生まれ、今に至るらしい。
私を驚かしたのは、口外しないためと、管理人に相応しいかどうかを確認するためだったそうだ。
「それで、私は……?」
「不合格だな」
白君にキッパリ言われてしまった。
「まあまあ、白、我々の姿を見てもここに座っているんですから……」
「相応しい管理人ってなんですか?」
やっぱり正体を知っても驚いたりしない人なんだろうか?
「そうですね、我々が現存する為に必要な力を持っているか……、ですね」
赤井さんに理由を説明されるが、意味がわからない。
「私にその力が無かったらどうなりますか?」
「そうですね、我々は消えてしまうでしょうね」
「そんな.…」
「あ、でも、直ぐでは無いですよ。 しばらくは大丈夫ですから」
「そ、そうですか」
ほっと少し安心したよ。
「九つに分けられたって言ってましたけど、他の四人はどうしているんですか?」
「ん~、そうですね。 まだ顕現していませんね」
「顕現して無い?」
「はい、これは管理人の力によりますね」
「管理人の力?」
「管理人の力とは、この飯綱荘その物に働きます。 だから我々もここから出て行く事は出来ないのです」
「そうだったんだ……あれ? でも皆さん普通に飯綱荘から出てますよね?」
「それは飯綱荘の管理人である間宮さんのお婆さんが許可をしてくれたからですよ」
「なるほど……」
よくわからん……。
「ま、そう言う事です。 さ、今日はこのへんにしましょう。 しばらくは様子を見ますので、よろしくお願いしますね」
「わかりました」
私にそんな力があるんだろうか? わからないまま、この飯綱荘で妖怪の妖狐達と暮らす事になった。
ボーッとしながら服を脱いで下着になっていると……。
浴室の扉が開き、男性が出て来た……。
「…………え?」
「ん……?」
「き、キャアーー!!」
私は急いでドアを閉め、自分の服を持って管理人室へ走って戻った。
あー! びっくりした、びっくりした……。
ボーッとしていて、入ってるのに気がつかなかったよ……。
大丈夫だよね? 見られて無いよね?
姿を思い出すとちょっとドキドキしてしまう。
黒髪で、ちょっと切れ目、そしていい身体をしてた……。
いやいやいや、早く忘れよう。
管理人室からちょっとお風呂場を覗くと、入ってた人は上がったようだ。
私はそそくさと、シャワーを浴びて、パンを食べ、学校の準備をして向かった。
そして私の自己紹介も終わると、窓際の席に座っている人に目をやる。
見た事あるその人は黒髪で少しの切れ目、イケメンなので、クラスの女子からキャー! っと声が上がる。
もしかしてあの人……。
自己紹介も終わると、今日はもう帰宅。
帰宅途中に晩御飯のおかず買って帰らないとな。
でもあんまりこの辺詳しく無いんだよね。
携帯でお店をチェックし、画面を見ながら歩く。
「あぶねぇ!!」
咄嗟に肩を抱きしめられ、引き寄せられる。
どうやら私は道を確認する為に携帯に集中していて、歩道からずれて車道に出てしまったようだ。
そこにオートバイが向かって来ていた事に気が付かなかった。
「ボーッとしてんじゃねえ!」
「ご、ごめんなさい」
肩を抱きしめて助けてくれたのは同じクラスのあの窓際の男子だった。
「あ、あの、助けてくれてありがとうございます」
「気をつけろよ。 怪我は無いか?」
私はコクコクと頷くと、体を起こされた。
「……何処かに行く予定だったのか?」
私の携帯の地図が表示されているのを見たようだ。
「そうか、…………、この場所なら俺も行くから案内してやるよ」
「え!? で、でも……」
「お前、同じクラスの間宮だろ?」
私の名前覚えてくれてたの!?
「は、はい。 確か、【白】君だったよね?」
「ああ」
淡白な答えだけど、白君はスーパーまで案内をしてくれた。
買い物は別々に済ませ、外に出ると、白君がジュースを飲みながら待っていてくれた。
「やっと来たか……、……荷物持ってやるよ」
私の両手が塞がる程の荷物を見た白君は手を差し出して来る。
「大丈夫だよ」
私は断るが、差し出した手を引っ込めない。
「あ、ありがとう……」
荷物を一つ差し出すと、持って歩き出す。
あ、そう言えば挨拶まだだった。
「あの、私……」
挨拶しようとすると白君は先に話してくる。
「新しい管理人だろ? 聞いてる。 宜しく」
「こ、こちらこそ宜しく……」
このまま何も話題が無く、【飯綱荘】に着いてしまった。
「た、ただいまー」
玄関のドアを開けると、銀君が半裸の十字さんに追いかけ回されていた。
「それをよこせーー!!」
「嫌だよーー!!」
バタバタと廊下を走り回っている。
「あ! トモちゃん! 助けてーー!! 十字が僕のプリンをよこせって追いかけてくるんだよーー!!」
銀君は私の後ろに隠れる。
「違うだろ! 銀が俺のプリンを食べたからだろーがー!!」
私の周りをぐるぐる回ると、また走って行ってしまった。
「まったく……」
白君はため息混じりで食堂に向かった。
私も食堂に買い物の食材を置きに向かう。
「ありがとうございます」
「ああ」
それだけ言って白君は部屋に戻って行った。
この大荷物の食材は今日の晩御飯を私が皆んなの分を作ろうと思ったからなんだ。
引っ越し蕎麦みたいなものだ。
今日のメニューはオムライス。
私が得意としている料理の一つだ。
料理をしていると、ちょくちょく銀君が覗きに来て、たまに十字さんが来る。
そして銀君とかち合うと十字さんはちょっかいを出していく。
仲良いなあ。
料理も完成。
そこそこ良く出来た。 皆んなを呼びに行こう。
銀君はちょいちょい料理していた台所に来ていたので、既に座ってスタンバっている。
十字さんは白くんを呼びに行ってくれ、「僕も呼びに行くよ」 と、銀君は灰さんを呼びに行ってくれた。
赤井さんはまだ仕事で帰って来ていないので、ラップをかけておく。
とりあえず揃った所で、改めて管理人として挨拶をする。
「改めまして、この飯綱荘の管理人をさせて頂きます【間宮 智子】と申します。 不束者ですが、宜しくお願いします」
銀君と十字さんから拍手が鳴り、白君は横を向き、灰さんは眠そうにしている。 てか、半分寝ているよね?
挨拶を終えると食事が始まる。
「ねえねえ、トモちゃん、ケチャップで何か書いてよ」
「こら銀、間宮さんだろ」
「えー! 良いじゃん!」
「私はかまわ無いですよ」
「間宮さん、こいつを甘やかしちゃ駄目ですよ」
銀君はぶーぶーと文句を言っている。
「まあ、まあ、何か書こうか?」
私は冷蔵庫からケチャップを取り出そうと立ち上がると……。
「僕が取ってあげるよ」
銀くんは指を冷蔵庫に向けると、冷蔵庫の扉が勝手に開き、ケチャップがふよふよと飛んでくる。
「え!? え!?」
なに? マジック?
「「銀!!」」
十字さんと白君は銀君に強く声をかけた。
「あ……」
しまったと言う顔をして、ケチャップを渡してくる銀君。
「えと、今のは……?」
「なんでもないよ……、あはは……」
銀君は吹けない口笛をフューフューと吹いている。
そして、銀君の姿は、頭に獣の耳が生えており、もっふもふの尻尾が一本生えてゆさゆさと揺れている。
十字さんと白君はあちゃーっとした顔をしている。
「だって、だって……、ついお婆ちゃんの時の癖が出ちゃったんだもん!」
「はあーー……、バレちゃったら仕方ないな」
十字さんも獣耳が生え、もふもふした尻尾が生えてくる。
白君も灰さんも同じ様な姿に変わっていく。
「え? え?」
私は驚きでどう言う反応をして良いかわからないでいた。
すると、十字さんが牙の生えた口を開く。
「仕方ない……、正体をあかすか。 俺達は妖狐って言う妖怪さ。 昔暴れていた所を君のお婆さんにボコボコにされて九つに分けられてな……、 そしてこの飯綱荘に封印されてるってわけだ」
「え?」
なにそれ? 話しに着いていけない。
「そう言う事だ。 あの忌々しい婆さんのせいでな」
白君も紅瞳で私を睨みながら話す。
こ、怖い……。 昼間はあんなに親切だったのに……。
「ん~……、それなら……、この嬢ちゃんを食らっちまえば良いんじゃねぇか?」
灰さんも私を見てヨダレをじゅるりと垂らす。
「ひっ!」
私は怖くなって声がでた。
泣きそう……。
「皆さん、そこまでですよ」
食堂に入ってきたのは赤井さん。
「赤井さーん!!」
私は泣きついて赤井さんに抱きついたけど……。
抱きついた赤井さんも同じく獣耳が生えて、尻尾が生えていた。
「あ、あ……」
私は気絶した……。
「う~ん……」
私は自分の部屋の布団で目が覚めた。
あれ? 夢だった?
恐る恐る部屋を出て、食堂に向かうと、銀君、白君、十字さん、灰さんが正座させられ、赤井さんに怒られていた。
「まったく、あなた達は……」
銀君は耳と尻尾が垂れて、白君はそっぽを向き、灰さんは寝てる!
「あ! トモちゃん!」
私が覗いている事に気がついた銀君は手を振ってくる。
「あっ!」
しまった! 見つかった!
そして、食卓に皆んな座り、赤井さんに事情の説明をされた。
「私達がこの飯綱荘に封印された事までは聞いたようですね。 そこからの事を話しましょう」
話された内容はこうだ。
封印されてから祖母に使役される事になったと言う。
なんで祖母はそんな事が出来たのかを聞くと、祖母は強い霊能力を持っていたらしい。
そして悪戯をしていた妖狐を九つに分けて封印したと言う。
九つに分けられた力は人へと姿を変え、祖父の許可をへて一緒に暮らし始めたそうだ。
九つに分けられた時に一人づつ個性が生まれ、今に至るらしい。
私を驚かしたのは、口外しないためと、管理人に相応しいかどうかを確認するためだったそうだ。
「それで、私は……?」
「不合格だな」
白君にキッパリ言われてしまった。
「まあまあ、白、我々の姿を見てもここに座っているんですから……」
「相応しい管理人ってなんですか?」
やっぱり正体を知っても驚いたりしない人なんだろうか?
「そうですね、我々が現存する為に必要な力を持っているか……、ですね」
赤井さんに理由を説明されるが、意味がわからない。
「私にその力が無かったらどうなりますか?」
「そうですね、我々は消えてしまうでしょうね」
「そんな.…」
「あ、でも、直ぐでは無いですよ。 しばらくは大丈夫ですから」
「そ、そうですか」
ほっと少し安心したよ。
「九つに分けられたって言ってましたけど、他の四人はどうしているんですか?」
「ん~、そうですね。 まだ顕現していませんね」
「顕現して無い?」
「はい、これは管理人の力によりますね」
「管理人の力?」
「管理人の力とは、この飯綱荘その物に働きます。 だから我々もここから出て行く事は出来ないのです」
「そうだったんだ……あれ? でも皆さん普通に飯綱荘から出てますよね?」
「それは飯綱荘の管理人である間宮さんのお婆さんが許可をしてくれたからですよ」
「なるほど……」
よくわからん……。
「ま、そう言う事です。 さ、今日はこのへんにしましょう。 しばらくは様子を見ますので、よろしくお願いしますね」
「わかりました」
私にそんな力があるんだろうか? わからないまま、この飯綱荘で妖怪の妖狐達と暮らす事になった。
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