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グラード王国王都ヴェーテル

リーチェ・シルフェン…16歳ッスwww

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装備を整え、王族や宰相、近衛騎士団、執事とメイドに挨拶を済ませ、2人は城を出ようとした。
その時、2人を後ろから呼ぶ声が聞こえた。

「おーい!」

「ん?あの娘は。」

声の主は、メイドのリーチェだった。
しかもメイド服では無く、防具がレザーアーマーに、武器がショートソードに短剣と言う出で立ち。
つまり冒険者装備であった。
サラは、そんなリーチェの姿を見て

「……リーチェ、何でそんな格好をしてるんです?」

と、いぶかしんだ。
リーチェは、悪びれもなく

「え~とですねぇ、太后さまとお妃さまとメイド長から、姫様の旅先のお世話と護衛を仰せつかりまして、更に陛下からも認可が降り、お供させて頂く事になりましたぁ~。こう見えても、と言うか、こうしか見えないんですが、元冒険者なんスよ、アタイ。」

と、「ニシシ………」と笑いながら、サイドテールの金髪を揺らし話す。

「まぁ、護衛の件は普段なら、こんな素敵な強いナイトさまが、姫様をお守りするから、良いんですケドぉ…」

リーチェは「むふふっ」と笑いながら

「流石に、夜に若い男女が一つの部屋は、ヤバいッスよねぇ?」

その言葉で、信とサラは顔をどちらからともなく見合せると、サラだけが何故か顔を赤くなった。
信の頭の上には、沢山の
『?????』
が浮かんでいた。
その様子を見て、リーチェは

「……ある意味、史上最強の朴念仁ッスよね。信さまは……」

と、ジト目を信に向けながら、リーチェは小さな声でボヤいた。

「ま……まぁ、そんなこんなで、ふつつか者ですが宜しくッス!ジョブは2年前に足は洗ったんスけど、シーフをやってたんで、お買い得ッスよ~?お客様ぁ?」

大きな猫の様な吊目をクリクリっと動かし、リーチェは自己紹介を完結した。

「こちらこそ、これから世話になるよ。宜しく頼む、リーチェ。」

信は、そう言いながら右手をリーチェに差し出す。

「はいなぁ、宜しくッス。信さま」

と言い握手をかわした。

「そ、そろそろ、冒険者ギルドへ行くわよっ!」

信から見たら「サラは何を怒ってるんだ?」
と言う口調であり、
リーチェから見たら「姫様、ヤキモチっスかぁ?…にひひ」
と言う位、サラの態度は解りやすかった。





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