変身HERO異世界へ征く!

加賀林檎

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暗雲たちこめる王国と公国

ゴンザレス

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「ほっ…………何を言い出すかと思えば、陛下、私が何をしたと言うのですかな?」

ゴンザレスは、あくまでシラを切るつもりである。

「ほぉう?己が何をしたかまで忘れるとは、随分と耄碌もうろくしたな?お前が前国王陛下を弑したのは、判明されておる。更に我が双子の兄、クォーロストをたぶらかし、何も知らぬ余と前陛下に虚言や讒言ざんげん吹聴ふいちょうし、兄を失脚させ、死に追い詰めた悪行は明白である。」

ざわざわと周囲が驚き、ざわめき始める。

「………証拠はあるのですかな?幾ら陛下とは言え、私の名誉にかかわりますぞ?」

すると、サイは一通の書状を取り出した。

「証拠? これの事か? ヤースキー、内容を読んでみろ。」

ヤースキーは、書状を受け取ると、内容を読んだ。

「ま、まさか?」

「まだまだ、書状ならあるぞ? ゴンザレスよ。諦めるがよい。」

「おかしなものですな?私は、その様な書状は知りませぬが?」

「ほほぅ?それは妙だな。書状には、お前宛となっておるぞ?」

「それは、私を嵌める為の讒言。私は証拠を集めてたに過ぎませぬ。」

「にしては、随分と古い物から、最近の物まであるよな?」

「最近?何故に暗殺者共が襲撃の事でございますか?」

ゴンザレスの、この言を聴いたサイは不思議そうな顔をした。

「おや?これは変な事を申すものだ。何故、暗殺者なのだ?余は単独の可能性すら、話しても無いし、書状にも、暗殺者を送る。つまり、単独か複数かも判らぬのに、何故に複数として断言出来るのだ?」

「………………………………。」

「……語るに落ちるとは、まさにこの事よな?当事者しか知り得ぬ情報故に。」

すると、ゴンザレスは不敵な笑みをした。

「……流石でござりまするなぁ?サイクォーダー。後ひと押しで、この国は混乱し、あの方のモノになるというのに。」

「……フ。あの方とは、デューク公王の事か。小細工せねば、この小国を落とせぬとはな。」

「まぁ、後ろ楯に帝国が控えていれば、露骨には出来ませぬ故に。……さぁて」

ゴンザレスは、ダガーを取り出し、ヘンリー王太子の首元に突き付けた。

「王太子の命が惜しくば、道を開けろ!小童こわっぱ共!!」

ゴンザレスの眼は血走り、退路を確保しようとした。

ネーネリアは必死にヘンリーに近付こうとするも、サラに引き留められる。

将軍達も抜剣するも、手出しが出来ない状況に陥ってしまった。

「……チェックメイトだ。ゴンザレス。お前に勝ち目は無い。」

シンは静かに言った。

「はぁ?コレが目に入らないのか?愚かもの!」

ヘンリーの喉に刃先が当たる。

「だから、チェックメイトなんだよ。三下。お前は、もう詰んでいる。」

シンは冷たい声で、再度言い放った。
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