変身HERO異世界へ征く！

暗雲たちこめる王国と公国

その頃のサラ達

その頃、サラ達は
戻らないリーチェにヤキモキしていた。

「一体、どこで油を売ってるんだ。」

ロベルタは堪らず愚痴を溢こぼした。

「提示連絡も無し。いっそ、こちらから通信してみましょうか？副長。」

そう具申したのは、ブランカと言う、赤い短髪で、浅黒い褐色の肌を持つ女性だった。

彼女は、王家とは縁ゆかりは無いが、マスガン推薦のSSランクの冒険者で、ジョブはアサシンと言う異色なモノであった。

先ほど通信と言ったのは、シンが神ちゃんの許可を、半なかば強引に、実装化を懇願し、可能となった為、役員はインカムを使用出来た。
条件は、シンが個人利用を許可しないと、通信が出来ないと言う事だ。

その為、現在この場に居る全員がインカムの使用が出来る状態である。

「……いや、それはマズイだろう？ブランカ。」

そう言って、否定したのは、
アーノルドンと言う、屈強な男だ。
亜麻色あまいろで、元の世界で言うGIカットを少し伸ばした髪型をしている。
出身は帝国であり、ジョブは戦士と見たまんまだが、元のジョブが聖職者であり、転職し、聖法が使えるSSランクの冒険者だ。
トレードマークである、黒い偏光グラスは術式道具であり、生体反応等、使用者に知らせてくれる。
メタルバトラーのバイザーに近い能力を持っている。

「もし、リーチェが何らかのトラブル。もとい、突発的なミッションが発生したなら、こちらからの通信は控えるのが、リーチェの安全につながるだろう。もし、安全圏で通信が可能であれば、向こうから送って来る筈だ。」

表情ひとつ変えずに、アーノルドンはブランカに言う。

「取り敢えず、全員現状待機でお願いするわ。通信がいつ入るかわからないから、交代で仮眠して。」

サラが告げると、一同は
「「了解」」
と言って、待機命令に従う事にした。

『早く、連絡よこしなさいよ、リーチェ』

内心、リーチェに軽く毒づいた。