73 / 111
大乱と統一
HEROは遅れてやって来る。
しおりを挟む
その頃、アヒム大公がフォルクハルト達の前に引っ立てられて来た。
「父よ。嫌、暴君アヒム。これまでの悪逆無道について、何か弁明は無いか?」
アルフォンスは、アヒム大公の眼をジッと、冷たい視線を向けて言い放った。
「………………………。」
アヒム大公は沈黙する。
その態度は傲岸不遜だ。
そんな態度でも、フォルクハルトは話し掛ける。
「父上、何故ですか!?何故、悪政を行ったのですか!?私には理解出来ない!あの優しく正義感溢れた、昔の父上とは真逆だ!一体どうして!?」
「……………………………。」
アヒム大公は答え無い。
まるで、心、ここに在らず。だ。
そんな静寂な中、不気味な声が街中に響き渡る。
「ふん。作戦は失敗しましたか。しかし、これで少しは混乱させる事に成功しましたな。」
ブンっと何かをアヒム大公に投げつけ、ソレが背中に突き刺さる。
「人形は人形らしく、最期まで使ってあげましょう。」
すると次の瞬間、アヒム大公は苦しみ悶え始めた。
「冥土の土産に教えてあげましょう。あなた方の母上を病に見せ掛け殺したのは私です。そして、その妻の死に悲嘆し、その心の隙を突き、魂を打壊し、脱け殻に死皇帝陛下を騙し、世界を統べると言う出来ない野望を植え付け悪政をさせて、この国を衰退せたのも、この私だ。この人形は良く踊ってくれましたよ。ですから、今のは私からの餞別と言う名のボーナスです。では、生き残れたなら、再会を楽しみにしてますよ。」
そう言うと、黒フードの男は消え去った。
「おのれぇ!」
フォルクハルトは激昂した。だが、もうその相手は去ってしまった。
やり場の無い怒りだけが、全身を駆け巡っていた。
それは、アルフォンスも同じであった。
そんな中、アヒム大公の苦しみの声は次第に増し、野太い大声と共に、身体が巨大化していった。
「ち、父上っ?」
体長が約5メートルの巨人になったアヒムは、腕や脚を振り回し、蹴り回して、兵士達を薙ぎ倒す。
「ウガーーっ!」
そんな中、黒フードを追って来たサラ達も合流。
巨人の出現に驚きつつも、弓矢や爆裂玉で応戦。
傷は付く。
だが、それを上回る再生能力が致命傷にさせない。
味方が、どんどん殺られて行く。
アヒムの拳がフォルクハルトを捉え、吹き飛ぶか、磨り潰されるか、と誰もが思った刹那。
…………ブロロロ………
ウォーーン!!
何かが飛び出し、それがアヒムの顔面に激しいクリティカルヒットを叩き出した。
ドガーーーン!
ドン!キキーーッ!!
ソレを顔面にぶつけた後、見事にソレと着地する。
「天が呼び、悪を討つ!降臨!鬼装闘神メタルバトラー!!」
ブォン!
バイザーに赤い光が宿る。
ゲールランナーを降り、ソレは消える。
メタルバトラーは、フォルクハルト達に告げる。
「ここは俺に任せて、住人達の避難を頼む。」
「し、しかし、父上が……」
「大公の事は気の毒とは思う。だが父を思うならば、国を、国民を護れ!」
メタルバトラーの、その言葉に何かを感じたのか、フォルクハルトは頷き、
「わかった。頼む。……皆の者、怪我人を担ぎ、移動と、住人の避難を!」
と、指示を出した。
アヒムは、メタルバトラーを無視し、攻撃を兵士達に浴びせようとした時、
「グラビティーキーック!」
と、メタルバトラーは、アヒムの背中に飛び蹴りを繰り出した。
すると、巨体は激しくぶっ飛ぶ。
「お前の相手は、この俺だ。大公。」
ファイティングポーズを取り対峙する。
そのメタルバトラーに向きと狙いを変え、今にも襲い懸かる様子のアヒム。
互いに一寸も動かず、相手の出方や隙を伺う。
その時間は永劫に続く様に思われた。
しかし沈黙を破り、先制したのはメタルバトラーだった。
「トウッ!」
ジャンプをして、パンチを放つ!
「ブラストナックル!」
防御をせずに、モロにヒットして、更にぶっ飛ぶ。
だが、アヒムはダメージを受けていない様子で土煙の中、ユラリと不気味に立ち上がった。
バイザーの表示にノーダメージと表れる。
「不死か?いや、絶対に何かある筈だ。」
ホルスターから、マグナムブラスターを抜き、標準をアヒムの頭部に合わせ射つ!
頭部は見事に無くなるも、すぐに復活し、新しい頭が生えて来る。
しかし生えた頭は、どこか異形だった。
生えてる位置も微妙にズレがある。
つまり完全な復元では無い、と言う事か?
そう分析していると、今度は此方がモロにパンチを貰った。
「チッ!しまった!!……ぐはぁっ!!」
メタルバトラーは、まるで投げられた人形の様に、建物の壁を次々と突き抜けながら、吹っ飛ばされた。
「……くぅうぅ……キッツ。」
パラパラっと建物が崩れる中、ヨロヨロと立ち上がる。
アーマーの耐久メーターが3分の1が減少した。
「……ヤバいな。ジリ貧だな。このままでは。」
さて、どうする?
博打の必殺技を当てるか?
だが分が悪い。
ここで敗北すれば、世界が終わってしまう可能性が高い。
どうする?
どうする?
迷いが頭の中で、堂々巡りを繰り返す。
しかし、それは無駄ではなかった。
「そうか、そうだったのか!」
メタルバトラーは、試しも兼ねて、一つの戦い方を実践してみようと決断をした。
「父よ。嫌、暴君アヒム。これまでの悪逆無道について、何か弁明は無いか?」
アルフォンスは、アヒム大公の眼をジッと、冷たい視線を向けて言い放った。
「………………………。」
アヒム大公は沈黙する。
その態度は傲岸不遜だ。
そんな態度でも、フォルクハルトは話し掛ける。
「父上、何故ですか!?何故、悪政を行ったのですか!?私には理解出来ない!あの優しく正義感溢れた、昔の父上とは真逆だ!一体どうして!?」
「……………………………。」
アヒム大公は答え無い。
まるで、心、ここに在らず。だ。
そんな静寂な中、不気味な声が街中に響き渡る。
「ふん。作戦は失敗しましたか。しかし、これで少しは混乱させる事に成功しましたな。」
ブンっと何かをアヒム大公に投げつけ、ソレが背中に突き刺さる。
「人形は人形らしく、最期まで使ってあげましょう。」
すると次の瞬間、アヒム大公は苦しみ悶え始めた。
「冥土の土産に教えてあげましょう。あなた方の母上を病に見せ掛け殺したのは私です。そして、その妻の死に悲嘆し、その心の隙を突き、魂を打壊し、脱け殻に死皇帝陛下を騙し、世界を統べると言う出来ない野望を植え付け悪政をさせて、この国を衰退せたのも、この私だ。この人形は良く踊ってくれましたよ。ですから、今のは私からの餞別と言う名のボーナスです。では、生き残れたなら、再会を楽しみにしてますよ。」
そう言うと、黒フードの男は消え去った。
「おのれぇ!」
フォルクハルトは激昂した。だが、もうその相手は去ってしまった。
やり場の無い怒りだけが、全身を駆け巡っていた。
それは、アルフォンスも同じであった。
そんな中、アヒム大公の苦しみの声は次第に増し、野太い大声と共に、身体が巨大化していった。
「ち、父上っ?」
体長が約5メートルの巨人になったアヒムは、腕や脚を振り回し、蹴り回して、兵士達を薙ぎ倒す。
「ウガーーっ!」
そんな中、黒フードを追って来たサラ達も合流。
巨人の出現に驚きつつも、弓矢や爆裂玉で応戦。
傷は付く。
だが、それを上回る再生能力が致命傷にさせない。
味方が、どんどん殺られて行く。
アヒムの拳がフォルクハルトを捉え、吹き飛ぶか、磨り潰されるか、と誰もが思った刹那。
…………ブロロロ………
ウォーーン!!
何かが飛び出し、それがアヒムの顔面に激しいクリティカルヒットを叩き出した。
ドガーーーン!
ドン!キキーーッ!!
ソレを顔面にぶつけた後、見事にソレと着地する。
「天が呼び、悪を討つ!降臨!鬼装闘神メタルバトラー!!」
ブォン!
バイザーに赤い光が宿る。
ゲールランナーを降り、ソレは消える。
メタルバトラーは、フォルクハルト達に告げる。
「ここは俺に任せて、住人達の避難を頼む。」
「し、しかし、父上が……」
「大公の事は気の毒とは思う。だが父を思うならば、国を、国民を護れ!」
メタルバトラーの、その言葉に何かを感じたのか、フォルクハルトは頷き、
「わかった。頼む。……皆の者、怪我人を担ぎ、移動と、住人の避難を!」
と、指示を出した。
アヒムは、メタルバトラーを無視し、攻撃を兵士達に浴びせようとした時、
「グラビティーキーック!」
と、メタルバトラーは、アヒムの背中に飛び蹴りを繰り出した。
すると、巨体は激しくぶっ飛ぶ。
「お前の相手は、この俺だ。大公。」
ファイティングポーズを取り対峙する。
そのメタルバトラーに向きと狙いを変え、今にも襲い懸かる様子のアヒム。
互いに一寸も動かず、相手の出方や隙を伺う。
その時間は永劫に続く様に思われた。
しかし沈黙を破り、先制したのはメタルバトラーだった。
「トウッ!」
ジャンプをして、パンチを放つ!
「ブラストナックル!」
防御をせずに、モロにヒットして、更にぶっ飛ぶ。
だが、アヒムはダメージを受けていない様子で土煙の中、ユラリと不気味に立ち上がった。
バイザーの表示にノーダメージと表れる。
「不死か?いや、絶対に何かある筈だ。」
ホルスターから、マグナムブラスターを抜き、標準をアヒムの頭部に合わせ射つ!
頭部は見事に無くなるも、すぐに復活し、新しい頭が生えて来る。
しかし生えた頭は、どこか異形だった。
生えてる位置も微妙にズレがある。
つまり完全な復元では無い、と言う事か?
そう分析していると、今度は此方がモロにパンチを貰った。
「チッ!しまった!!……ぐはぁっ!!」
メタルバトラーは、まるで投げられた人形の様に、建物の壁を次々と突き抜けながら、吹っ飛ばされた。
「……くぅうぅ……キッツ。」
パラパラっと建物が崩れる中、ヨロヨロと立ち上がる。
アーマーの耐久メーターが3分の1が減少した。
「……ヤバいな。ジリ貧だな。このままでは。」
さて、どうする?
博打の必殺技を当てるか?
だが分が悪い。
ここで敗北すれば、世界が終わってしまう可能性が高い。
どうする?
どうする?
迷いが頭の中で、堂々巡りを繰り返す。
しかし、それは無駄ではなかった。
「そうか、そうだったのか!」
メタルバトラーは、試しも兼ねて、一つの戦い方を実践してみようと決断をした。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
おばさんは、ひっそり暮らしたい
波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
【完結】剣の世界に憧れて上京した村人だけど兵士にも冒険者にもなれませんでした。
もる
ファンタジー
剣を扱う職に就こうと田舎から出て来た14歳の少年ユカタは兵役に志願するも断られ、冒険者になろうとするも、15歳の成人になるまでとお預けを食らってしまう。路頭に迷うユカタは生きる為に知恵を絞る。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜
のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、
偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。
水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは――
古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。
村を立て直し、仲間と絆を築きながら、
やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。
辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、
静かに進む策略と復讐の物語。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる