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大乱と統一
突入せよ!
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「了。では、退去します。以上。」
アンジュの通信終了後、サラはオスカー達に指示を出す。
「これから、工作班が脱出してきます。脱出終了後、起爆。研究所は完全に崩落はしないかも知れません。また、無事なレビウスが徘徊する可能性も大きいです。5人1組の分隊で探索し、全てを抹殺して下さい。それと、生き残った研究員は救出して下さい。レビウスに対する予防薬や治療薬の開発の知識になるかも知れません。亡国のレビウスゾンビは健在な訳ですから。」
「わかりました。では、その様に致します。」
暫くして、工作班が退去完了し、爆破の指示を出す。
地響きが、『ズズン』と重く低い音と共に足元に伝わる。
「第1から第4中隊まで突入開始。シルヴェスタン、アーノルドン、ロベルタ、ブランカ、頼むわよ?」
「ハッ!」
サラがそう言うと、4人は敬礼し、サラは答礼しつ送る。
次々と地下施設へと、武装した兵士達が突入して行く。
「爆破の設置範囲ならば、研究員は、悪くて軽症の筈ッス。あと、これは土産ッス。」
重要と思われる研究書類を何十冊か持ち出した工作班。
指示を予め出していたので、写画撮具で調べた書類やそれに関連しそうな書類を運び出したのだ。
「リーチェ、リック、アンジュ。助かったわ。有難う」
すると、この3人も敬礼した。
敬礼の様子を見ていた、オスカー達は内心、「カッコいいなアレ」と思ったらしい。
一方、突入したシルヴェスタンは、マチェーテとサバイバルダガーを携帯し、若干煙る施設内の、奥へ奥へと突き進んでいた。
「こちらブランカ。シルヴェスタン、そっちはどう?」
「……今の所、異常無しだ。気をつけろ。レビウスの生き残りが居るかも知れん。」
「了。」
シルヴェスタンが注意深く探っていると、奥から声が微かに聞こえて来た。
ハンドサインで、周囲の味方に「静かに。止まれ。向こうに何か居る。」と知らせる。
ハンドサイン自体は知らない兵士も、シルヴェスタンの動作でサッと警戒し身構える。
ゆっくりと静かに、声の元へと近付く、シルヴェスタンの部隊。
「……すけて……れ。……か」
言葉だ。だが、レビウスに噛まれている可能性もあるし、また、軽度の実験体の可能性も否定出来ない。
物陰から様子を観ながら、更に近付いて行く。
「……ぐっ、ごぼぉ。」
うつ伏せで倒れている者は、獣人。しかもレビウスゾンビに成りかけ。
シルヴェスタンは前髪を軽く掻き揚げ、マチェーテを腰から抜く。
静かに背後へと廻り込み、脳天へと、キツイ一撃を与え絶命させた。
「……許せよ。」
そう呟くと、部隊に残存が居ないか確認の指示を出す。
その時、
「ぐわぁあぁあぁーっ!」
兵士の悲鳴が谺する。
そちらを見ると、ゴブリンのレビウスゾンビが、兵士の首筋や、指先等、装甲が薄い箇所に3体群がり、噛み付いていた。
ぐちゃ……にちゃ……
嫌な咀嚼音が耳に障る。
他の兵士達は盾を構え、ロングソードで迎え討つ。
「ぎぎぃあぁっ」
最早、ゴブリン語ですら無い音が、奴等の口から吐き出される。
「こちら、シルヴェスタン。ゴブリンのレビウスゾンビと交戦。隊員一名、死亡。他の部隊も注意されたし。」
通信しながら、シルヴェスタンはマチェーテで、切る、受ける、また切る。と攻防を繰り広げる。
他の兵士達も、レビウスゴブリンに多少は翻弄されてはいるが、鎧のお陰でかすり傷一つも付かずに始末をし、シルヴェスタンも片を付けた。
ゴブリンサイズだと小柄な為、爆破に巻き込まれ辛かったのかも知れない。
周囲を改めて見回すと、オークの焼けた死体が転がっていた。
これが盾になってしまったんだな。と、シルヴェスタンが思った。
ガタン!
と、物音が聞こえ、そこへ振り返ると、先程の噛まれた兵士の死体が、
ビクン、ビクン
と痙攣を起こしていた。
「マズイ、甦るぞ!」
兵士の1人が注意喚起をする。
シルヴェスタンを始め、皆が一斉に身構える。
すると、元兵士のレビウスゾンビは仰向けのまま、恐るべき背筋力で手を使わずに立ち上がった。
「……おいおい、マジかよ。」
兵士が呟くと、その兵士に向かって襲い掛かった。
その早さは、先程のレビウスゴブリンの比では無い。
成り立てによる、ボーナスなのか素早いのだ。
間一髪、盾で防ぐも、一瞬で盾が破壊されてしまう。
誰もが、コイツは殺られる。と、思った瞬間。
バシュン!
ドスッ!!
と、矢を放つ音と、レビウスゾンビの頭部にソレが刺さる音が、立て続けて聞こえた。
兵士達が、ふと見ると弓を放った、残心の構えのシルヴェスタンがそこに居た。
「無事か?」
「はい、大丈夫です!有難う御座いました!」
「礼を言うのは早い。先ずは、生きてここから出られてからだ。続けて生存者を捜すぞ。」
「ハッ!」
その後、ブランカの部隊が研究員達を救出。
シルヴェスタンとアーノルドンは、残るレビウスを始末。
ロベルタからは、妙な報告が入る。
「黒フードの者が、何かを持って素早く出て行った。」
その通信に、サラを始めとする、対策室の者は、顔を蒼くした。
レビウスを持ち去った者が居る。
と。
アンジュの通信終了後、サラはオスカー達に指示を出す。
「これから、工作班が脱出してきます。脱出終了後、起爆。研究所は完全に崩落はしないかも知れません。また、無事なレビウスが徘徊する可能性も大きいです。5人1組の分隊で探索し、全てを抹殺して下さい。それと、生き残った研究員は救出して下さい。レビウスに対する予防薬や治療薬の開発の知識になるかも知れません。亡国のレビウスゾンビは健在な訳ですから。」
「わかりました。では、その様に致します。」
暫くして、工作班が退去完了し、爆破の指示を出す。
地響きが、『ズズン』と重く低い音と共に足元に伝わる。
「第1から第4中隊まで突入開始。シルヴェスタン、アーノルドン、ロベルタ、ブランカ、頼むわよ?」
「ハッ!」
サラがそう言うと、4人は敬礼し、サラは答礼しつ送る。
次々と地下施設へと、武装した兵士達が突入して行く。
「爆破の設置範囲ならば、研究員は、悪くて軽症の筈ッス。あと、これは土産ッス。」
重要と思われる研究書類を何十冊か持ち出した工作班。
指示を予め出していたので、写画撮具で調べた書類やそれに関連しそうな書類を運び出したのだ。
「リーチェ、リック、アンジュ。助かったわ。有難う」
すると、この3人も敬礼した。
敬礼の様子を見ていた、オスカー達は内心、「カッコいいなアレ」と思ったらしい。
一方、突入したシルヴェスタンは、マチェーテとサバイバルダガーを携帯し、若干煙る施設内の、奥へ奥へと突き進んでいた。
「こちらブランカ。シルヴェスタン、そっちはどう?」
「……今の所、異常無しだ。気をつけろ。レビウスの生き残りが居るかも知れん。」
「了。」
シルヴェスタンが注意深く探っていると、奥から声が微かに聞こえて来た。
ハンドサインで、周囲の味方に「静かに。止まれ。向こうに何か居る。」と知らせる。
ハンドサイン自体は知らない兵士も、シルヴェスタンの動作でサッと警戒し身構える。
ゆっくりと静かに、声の元へと近付く、シルヴェスタンの部隊。
「……すけて……れ。……か」
言葉だ。だが、レビウスに噛まれている可能性もあるし、また、軽度の実験体の可能性も否定出来ない。
物陰から様子を観ながら、更に近付いて行く。
「……ぐっ、ごぼぉ。」
うつ伏せで倒れている者は、獣人。しかもレビウスゾンビに成りかけ。
シルヴェスタンは前髪を軽く掻き揚げ、マチェーテを腰から抜く。
静かに背後へと廻り込み、脳天へと、キツイ一撃を与え絶命させた。
「……許せよ。」
そう呟くと、部隊に残存が居ないか確認の指示を出す。
その時、
「ぐわぁあぁあぁーっ!」
兵士の悲鳴が谺する。
そちらを見ると、ゴブリンのレビウスゾンビが、兵士の首筋や、指先等、装甲が薄い箇所に3体群がり、噛み付いていた。
ぐちゃ……にちゃ……
嫌な咀嚼音が耳に障る。
他の兵士達は盾を構え、ロングソードで迎え討つ。
「ぎぎぃあぁっ」
最早、ゴブリン語ですら無い音が、奴等の口から吐き出される。
「こちら、シルヴェスタン。ゴブリンのレビウスゾンビと交戦。隊員一名、死亡。他の部隊も注意されたし。」
通信しながら、シルヴェスタンはマチェーテで、切る、受ける、また切る。と攻防を繰り広げる。
他の兵士達も、レビウスゴブリンに多少は翻弄されてはいるが、鎧のお陰でかすり傷一つも付かずに始末をし、シルヴェスタンも片を付けた。
ゴブリンサイズだと小柄な為、爆破に巻き込まれ辛かったのかも知れない。
周囲を改めて見回すと、オークの焼けた死体が転がっていた。
これが盾になってしまったんだな。と、シルヴェスタンが思った。
ガタン!
と、物音が聞こえ、そこへ振り返ると、先程の噛まれた兵士の死体が、
ビクン、ビクン
と痙攣を起こしていた。
「マズイ、甦るぞ!」
兵士の1人が注意喚起をする。
シルヴェスタンを始め、皆が一斉に身構える。
すると、元兵士のレビウスゾンビは仰向けのまま、恐るべき背筋力で手を使わずに立ち上がった。
「……おいおい、マジかよ。」
兵士が呟くと、その兵士に向かって襲い掛かった。
その早さは、先程のレビウスゴブリンの比では無い。
成り立てによる、ボーナスなのか素早いのだ。
間一髪、盾で防ぐも、一瞬で盾が破壊されてしまう。
誰もが、コイツは殺られる。と、思った瞬間。
バシュン!
ドスッ!!
と、矢を放つ音と、レビウスゾンビの頭部にソレが刺さる音が、立て続けて聞こえた。
兵士達が、ふと見ると弓を放った、残心の構えのシルヴェスタンがそこに居た。
「無事か?」
「はい、大丈夫です!有難う御座いました!」
「礼を言うのは早い。先ずは、生きてここから出られてからだ。続けて生存者を捜すぞ。」
「ハッ!」
その後、ブランカの部隊が研究員達を救出。
シルヴェスタンとアーノルドンは、残るレビウスを始末。
ロベルタからは、妙な報告が入る。
「黒フードの者が、何かを持って素早く出て行った。」
その通信に、サラを始めとする、対策室の者は、顔を蒼くした。
レビウスを持ち去った者が居る。
と。
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