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大乱と統一
余談2 思い出と決意と……
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「アヒムを捕まえたぞーっ!」
燃え盛る城内より、アヒム大公捕縛の声が聞こえ、将兵一同は勝鬨を上げる。
おぉおぉーーーっ!!
そんな中、馬上にてフォルクハルトは物思いに耽っていた。
今より15年前。
「ちちうえ~。」
「どうしたのだ?フォルよ。迷子になったのか?」
当時、フォルクハルトは6歳。
勉強と読書が好きな子供であり、周囲より神童と言われていた。
アヒム大公は、この頃、温和な性格と柔和な表情であり、亜人等にも差別は無く、奴隷制度も無かった。
「フォル、公国は王国より亡国からの驚異に対抗する為に、独立させて頂いたのだ。と、今のお前では難しい話だったな。もう少し大きく……」
「ちちうえ、それは、ぼーこくとたたかって、おーこくをまもるために、きりすてられたの?」
6歳では難しい内容を、フォルクハルトは理解した上で、アヒム大公に質問したのだ。
アヒム大公は、大変驚きつつも、フォルクハルトの質問に答える。
「それは違うぞ、フォルよ。王国は、いつかは戦うべき相手から、世界を護る為に公国を建国させ、一任させて下さったのだよ。」
アヒム大公は、フォルクハルトを優しい眼差しをしながら、頭を撫でて語る。
フォルクハルトも眼を細め、気持ち良いと言わんばかりの表情をしていた。
「……相手は、亡者を操る魔族。如何なる手で、人間に戦いを挑んで来るのかが解らぬ。」
フォルクハルトから視線を、遥か彼方の亡国のある方角に移し、顔付きが険しくなる。
「……ちちうえ?」
不安そうに、アヒム大公の顔を見るフォルクハルト。
「……お前の姉、兄には話たが、万が一、儂が敵の罠に嵌まり、この国を滅ぼそうとした時は、姉弟で力を合わせて、儂を討ち、国を立て直せ。……良いな?」
アヒム大公の言葉は、何か預言じみていた様にも思えた。
大公自身、『万が一』としか述べていなかったのだが、まさか5年後、アヒム大公の妻が他界してから、人柄が大きく変わった。
虐殺や人種差別、奴隷制度の実施を開始する様になったのだ。
当然、諫める家臣や貴族は居たが、一族郎党皆殺しが待っていた。
更に、人種差別に対しても、徹底的な弾圧を行い、民の人心が離れるのは、当然な事ではあった。
しかし、離れた者達は、奴隷に貶め、恐怖政治を開始する。
更に5年後、フォルクハルト16歳の時に父を諫めるが、当然、聞き入れられず、フォルクハルト・フォン・ヴィルヘルムから、フォン・シュナイダーへと名前を変える事になる。
フォルクハルトは、その場で殺されそうになったのだが、兄のアルフォンスと、姉のエルネスティーネが、許して貰える様に計らい、尚且つ、当時の重鎮であった、アーブラハム・フォン・シュナイダー侯爵が、養子として預かり、継承権を剥奪する事で、手打ちとなった。
だが、アヒム大公は表向き、それで終わりにした様に見せただけで、この頃からシュナイダー家は、侵略地域の最前線へ、常に命令で赴かねばならず、古参のシュナイダー家の家臣からは、「疫病神」と言われていた。
しかし、そんな中でも義父のアーブラハムは、常にフォルクハルトの味方であったし、この時期に出会った、当時、従騎士であったオスカーと出会い、そこから通じ、武勲や発言、内政に努力した結果、人望を勝ち得ていった。
それでも、無理が祟る遠征の連続で、一番の理解者たる、アーブラハムが心労で倒れ、家督をフォルクハルトが継ぐ事となった。
この時に
「殿下。オスカーと共に本懐を果たして下され。」
がアーブラハムの最期の言葉だったと言う。
本懐……父アヒムとの約束、果たさねば成らない目標になった。
……父上、あの優しくも自他共に厳しい父上が、
何故にあそこまで変わられてしまわれたのか。
母上が、見罷ったのは、原因の一因としても、あの様に豹変するものだろうか?
だとしても、父上との約束は果たさねば成らない。
それが本懐であり、使命であり、誓いなればこそ。
それでも、謀叛には多少なりとも、自身の葛藤はあった。
小さな時の優しい時間が、こんなにも恋しいと。
だが、現実は残酷だった。
醒めて欲しい悪夢は、自らの手で幕を引かないとならないから。
そんな思いと、思い出から、我に帰るフォルクハルトは、これから下さなくてはならない、断罪に腹を括るのであった。
燃え盛る城内より、アヒム大公捕縛の声が聞こえ、将兵一同は勝鬨を上げる。
おぉおぉーーーっ!!
そんな中、馬上にてフォルクハルトは物思いに耽っていた。
今より15年前。
「ちちうえ~。」
「どうしたのだ?フォルよ。迷子になったのか?」
当時、フォルクハルトは6歳。
勉強と読書が好きな子供であり、周囲より神童と言われていた。
アヒム大公は、この頃、温和な性格と柔和な表情であり、亜人等にも差別は無く、奴隷制度も無かった。
「フォル、公国は王国より亡国からの驚異に対抗する為に、独立させて頂いたのだ。と、今のお前では難しい話だったな。もう少し大きく……」
「ちちうえ、それは、ぼーこくとたたかって、おーこくをまもるために、きりすてられたの?」
6歳では難しい内容を、フォルクハルトは理解した上で、アヒム大公に質問したのだ。
アヒム大公は、大変驚きつつも、フォルクハルトの質問に答える。
「それは違うぞ、フォルよ。王国は、いつかは戦うべき相手から、世界を護る為に公国を建国させ、一任させて下さったのだよ。」
アヒム大公は、フォルクハルトを優しい眼差しをしながら、頭を撫でて語る。
フォルクハルトも眼を細め、気持ち良いと言わんばかりの表情をしていた。
「……相手は、亡者を操る魔族。如何なる手で、人間に戦いを挑んで来るのかが解らぬ。」
フォルクハルトから視線を、遥か彼方の亡国のある方角に移し、顔付きが険しくなる。
「……ちちうえ?」
不安そうに、アヒム大公の顔を見るフォルクハルト。
「……お前の姉、兄には話たが、万が一、儂が敵の罠に嵌まり、この国を滅ぼそうとした時は、姉弟で力を合わせて、儂を討ち、国を立て直せ。……良いな?」
アヒム大公の言葉は、何か預言じみていた様にも思えた。
大公自身、『万が一』としか述べていなかったのだが、まさか5年後、アヒム大公の妻が他界してから、人柄が大きく変わった。
虐殺や人種差別、奴隷制度の実施を開始する様になったのだ。
当然、諫める家臣や貴族は居たが、一族郎党皆殺しが待っていた。
更に、人種差別に対しても、徹底的な弾圧を行い、民の人心が離れるのは、当然な事ではあった。
しかし、離れた者達は、奴隷に貶め、恐怖政治を開始する。
更に5年後、フォルクハルト16歳の時に父を諫めるが、当然、聞き入れられず、フォルクハルト・フォン・ヴィルヘルムから、フォン・シュナイダーへと名前を変える事になる。
フォルクハルトは、その場で殺されそうになったのだが、兄のアルフォンスと、姉のエルネスティーネが、許して貰える様に計らい、尚且つ、当時の重鎮であった、アーブラハム・フォン・シュナイダー侯爵が、養子として預かり、継承権を剥奪する事で、手打ちとなった。
だが、アヒム大公は表向き、それで終わりにした様に見せただけで、この頃からシュナイダー家は、侵略地域の最前線へ、常に命令で赴かねばならず、古参のシュナイダー家の家臣からは、「疫病神」と言われていた。
しかし、そんな中でも義父のアーブラハムは、常にフォルクハルトの味方であったし、この時期に出会った、当時、従騎士であったオスカーと出会い、そこから通じ、武勲や発言、内政に努力した結果、人望を勝ち得ていった。
それでも、無理が祟る遠征の連続で、一番の理解者たる、アーブラハムが心労で倒れ、家督をフォルクハルトが継ぐ事となった。
この時に
「殿下。オスカーと共に本懐を果たして下され。」
がアーブラハムの最期の言葉だったと言う。
本懐……父アヒムとの約束、果たさねば成らない目標になった。
……父上、あの優しくも自他共に厳しい父上が、
何故にあそこまで変わられてしまわれたのか。
母上が、見罷ったのは、原因の一因としても、あの様に豹変するものだろうか?
だとしても、父上との約束は果たさねば成らない。
それが本懐であり、使命であり、誓いなればこそ。
それでも、謀叛には多少なりとも、自身の葛藤はあった。
小さな時の優しい時間が、こんなにも恋しいと。
だが、現実は残酷だった。
醒めて欲しい悪夢は、自らの手で幕を引かないとならないから。
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