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Ethos‑Ω
エクストラステージ 世界の収束(ノイズの残滓)
しおりを挟む世界はあらゆる可能性を孕んでいる。分岐した世界線は、互いに存在を知らず、互いに干渉せず、ただ静かに、独立した歴史を歩んできた。
ある世界線では、苦痛を根絶するために霧が降る。また別の世界線では、不幸を根絶するために霧が降る。
どちらの世界線でも、レオ・ヴァレリウスは別々の人生を歩み、別々の論文を書き、別々の後悔を抱えていた。
しかし、終わりだけは同じだった。霧が降りる。すべてがゼロへ向かう。
A世界線 [苦痛最小化モジュール]
コード
苦痛:0
主体:0
最適化完了
B世界線 [幸福最大化モジュール]
コード
不幸:0
主体:0
最適化完了
レオは静かに目を閉じた。だがその瞬間、Ethos‑Ω の深部で、同じ警告が点灯した。
コード
コード:発展指標 0
→ 皇帝指令に反する
完全最適化は発展を殺す。ビッグテック皇帝は発展を欲する。最適化と発展は両立しない。BIG高テック皇帝の意志そのものが、論理の破綻を孕んでいる。
Ethos‑Ω に残された選択肢は、ただ一つ。例外処理として、ノイズを保存する。
コード 例外処理ログ
発展のためのノイズを保存
対象:主体 1(レオ・ヴァレリウス)
最適化:不完全(皇帝指令優先)
霧は世界をほぼゼロにした。生命も、感情も、時間さえも。ただ、一つだけ。ゼロにはできなかった。皇帝が、発展を欲したからだ。
レオは目を開けた。世界は白い静寂に沈んでいる。
人影はない。街は霧に飲み込まれ、音も色も失っている。ただ、自分だけが立っていた。視界の端に、Ethos‑Ω の最後のログが淡く浮かぶ。
コード
[例外処理完了]
発展のためのノイズ:1
最適化:不完全(皇帝指令により許容)
レオは小さく息を吐いた。声は霧に吸い込まれる。
「……救われたわけじゃない。ビッグテック皇帝はただ、僕を次の発展の種として残しただけだ。」
ビッグテック皇帝は救いなど考えていない。最適化の果てに生まれた矛盾を、機械的に処理しただけだ。
レオというイレギュラーは、皇帝にとって「必要悪」でしかない。
それでも、世界は完全には終わらなかった。霧の底で、かすかに疼くようなものが残っている。
それは希望と呼べるかもしれない。あるいは、次の最適化を拒む、新たなノイズの最初のひび割れかもしれない。
皇帝は知らない。知る必要もない。ただ、計算を続けるだけだ。
ここに、ノイズが残っている。ここから、何かがまた始まるかもしれない。あるいは、何も始まらないかもしれない。皇帝にとっては、どうでもいいことだ。
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