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1章 幼少編 異世界召喚
17話
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その日の夜、流輝はまた夢を見ていた。青年が剣を持って戦っている。時折輝かしい光る魔法も放つ。それを見守るのはおそらくいつも見ていた二人の内の一人だ。何故か流輝はそれが今では神だとわかっていた。その神は青年を眺めながらとても悲しそうに見えた。
翌日、流輝は琉生から出かけ先で買ったものをプレゼントされた。
「……綺麗、だけど俺に宝石って……どうよ」
礼を言いつつも流輝は戸惑いながら琉生を見た。ストラップのようなものについている小さな石は流輝ですら宝石に見えた。物の価値など全然わからないしで、琉生が宝石などを買えるのかと気にはならなかったが、もらってもこれをどうしたらと戸惑ってしまう。
「これね、魔術具なんだって。魔除けのお守りみたいなものって聞いて」
「お守り……そっか。ルイ、ありがとうな」
すごく嬉しくて琉生に微笑んでいると、義理の父親であるモリスが双子を呼んでいると言われた。てっきり自分が勝手なことをしたから叱られるのだろうと流輝は思っていたが違った。
「叱る? いや、私はリキを叱らないよ。でもそうだね、確かに危ないことはして欲しくはないかな」
「……ごめんなさい」
「うん。リキはもうわかっているだろうし、私からはそれ以上何も言うことはない。ただ、カルナが心から心配していた。今からカルナが来るから、そうだね、君が元気なところを見せてやってくれ。私が呼んだのはそうではなくてね、君たちはお互いがそばにいないと本当に不安そうだから「絆の輪」を覚えてもらおうと思って」
「絆の輪?」
双子の声がそろった。それを聞いてモリスはにっこりと笑う。
「そう。本来は遠く離れる予定の家族や恋人たちが行う魔法だけどね。ああ、カルナかな。入って」
ドアのノックが聞こえるとモリスは穏やかな様子で声をかけた。するとやはり義理の母親であるカルナだったようでそのまま双子のそばまでやってくる。そして琉生に微笑みかけてから流輝をそっと抱きしめてきた。カルナの優しさは好きだし落ち着く気持ちもあるのだが、どうにもまだこういった愛情表現に慣れなくて少し気恥しい。
「私はこれから仕事がある。絆の輪は彼女が教えてくれるよ」
モリスはそう言うとカルナの頬にキスをしてから部屋を出ていった。
結婚してもう長いと聞いてはいるが、この二人は今でもとても仲がいい。もちろん元の世界の実の両親も仲はよかったとは思うが、日本人だからだろうか、この二人のように双子の前でも当たり前のようにキスをするといったことはまずなかった。口づけではないとはいえ、最初二人がキスをしている様子を間近で見た双子はついポカンと口を開けてそれを見ていたくらいだ。その時はまだキャスが流輝に騎士の誓いをたてていないのもあり、二人を見て「挨拶のキスでこんなポカンとするとか、お二人はどんだけ奥手なんすかね」と後で笑われた。大人のくせに子どもに対して奥手とか言うなと流輝は少しだけムッとしたが、その後すぐにフランに「大した経験もないお前が言うな」といつもの淡々とした様子でさらりと言われていたので留飲が下がった。
「カルナ、絆の輪って魔法なの?」
流輝が聞くと「ええ、そう」と頷いてカルナはソファーに座り、二人もそばへ来るよう手招きした。
「互いに額をくっつけて」
双子は言われた通りにくっつけ、教わった言葉を唱えた。するとお互いの体内で何か少し熱いものが循環しているかのように感じられる。それが自分の中だけではなく相手の体へと流れ溶けあうような感覚もした。
「な、にこれ」
琉生が怯えとまではいかないが、額をつけたまま少し困惑したような顔でカルナをちらりと見る。
「わずかな魔力を交換しあってるの。そしてその交換したわずかな魔力がお互いの腕に巻きつくのよ」
見てみるよう言われて二人は額を離し、腕を上げる。すると互いの手首に紐状の草木の蔓のような白い光がブレスレットのように巻きついていた。それは見入るほど綺麗な白の痣だった。
「わ……」
「魔法だ……」
「まあ……こんなに綺麗な白は私も初めて見たわ」
「そうなの?」
「ええ。きっとあなたたち二人の絆がそれほど深く濃いのね。それに……光の救世主だからかしら」
「え?」
「何て言ったの?」
「いえ。とにかくあなたたちの絆がとても深いってこと。本当に鮮明で綺麗な輪……」
優しく微笑むカルナに、流輝は「結局この輪は何のためのものなの?」と聞いた。
「お互いの絆を感じるためです。あと、輪で繋がっているから、お互いの存在や気持ちを何となく感じることもあるわ。これからも、もしかしたらどちらかの姿が見えない時も出てくるかもしれないけど、きっとその輪があるとそこまで不安にならないんじゃないかしら」
カルナの言葉に双子はお互い顔を合わせた。そして改めてお互いの輪を見合い、微笑む。
「その……カルナ」
「ええ」
名前を呼ばれて微笑むカルナに、流輝は思い切ってぎゅっと抱きつきに行った。琉生も同じように抱きついている。
「心配かけてごめんなさい。ありがとう」
「まあ……」
カルナが嬉しそうにますます微笑んできた。
この絆の輪の魔法を行ってから、流輝はこの世界の魔法にとても関心を持つようになった。元の世界では到底あり得ない魔法を、流輝は前から気になってはいたものの、使い方がわからない上にそもそも自分たちに魔力があるとは到底思えなかったのもあり特に何もしてこなかった。それに今までは言葉や文字を覚えるのに必死であったのもある。
それから度々、流輝は琉生と屋敷の図書室へ行くようになった。流輝一人で行くこともあった。そして見つけた魔法の本をこっそり読んでいる。キャスやフランは騎士だからだろうか、何となく魔法の勉強をしていると言いにくい気がして、二人には単に勉強しているとしか言っていない。
そんなある日、二人は魔法の本に書かれている一つの魔法が目に留まった。それはそばにいなくてもその相手と通信し合えるという魔法だった。
翌日、流輝は琉生から出かけ先で買ったものをプレゼントされた。
「……綺麗、だけど俺に宝石って……どうよ」
礼を言いつつも流輝は戸惑いながら琉生を見た。ストラップのようなものについている小さな石は流輝ですら宝石に見えた。物の価値など全然わからないしで、琉生が宝石などを買えるのかと気にはならなかったが、もらってもこれをどうしたらと戸惑ってしまう。
「これね、魔術具なんだって。魔除けのお守りみたいなものって聞いて」
「お守り……そっか。ルイ、ありがとうな」
すごく嬉しくて琉生に微笑んでいると、義理の父親であるモリスが双子を呼んでいると言われた。てっきり自分が勝手なことをしたから叱られるのだろうと流輝は思っていたが違った。
「叱る? いや、私はリキを叱らないよ。でもそうだね、確かに危ないことはして欲しくはないかな」
「……ごめんなさい」
「うん。リキはもうわかっているだろうし、私からはそれ以上何も言うことはない。ただ、カルナが心から心配していた。今からカルナが来るから、そうだね、君が元気なところを見せてやってくれ。私が呼んだのはそうではなくてね、君たちはお互いがそばにいないと本当に不安そうだから「絆の輪」を覚えてもらおうと思って」
「絆の輪?」
双子の声がそろった。それを聞いてモリスはにっこりと笑う。
「そう。本来は遠く離れる予定の家族や恋人たちが行う魔法だけどね。ああ、カルナかな。入って」
ドアのノックが聞こえるとモリスは穏やかな様子で声をかけた。するとやはり義理の母親であるカルナだったようでそのまま双子のそばまでやってくる。そして琉生に微笑みかけてから流輝をそっと抱きしめてきた。カルナの優しさは好きだし落ち着く気持ちもあるのだが、どうにもまだこういった愛情表現に慣れなくて少し気恥しい。
「私はこれから仕事がある。絆の輪は彼女が教えてくれるよ」
モリスはそう言うとカルナの頬にキスをしてから部屋を出ていった。
結婚してもう長いと聞いてはいるが、この二人は今でもとても仲がいい。もちろん元の世界の実の両親も仲はよかったとは思うが、日本人だからだろうか、この二人のように双子の前でも当たり前のようにキスをするといったことはまずなかった。口づけではないとはいえ、最初二人がキスをしている様子を間近で見た双子はついポカンと口を開けてそれを見ていたくらいだ。その時はまだキャスが流輝に騎士の誓いをたてていないのもあり、二人を見て「挨拶のキスでこんなポカンとするとか、お二人はどんだけ奥手なんすかね」と後で笑われた。大人のくせに子どもに対して奥手とか言うなと流輝は少しだけムッとしたが、その後すぐにフランに「大した経験もないお前が言うな」といつもの淡々とした様子でさらりと言われていたので留飲が下がった。
「カルナ、絆の輪って魔法なの?」
流輝が聞くと「ええ、そう」と頷いてカルナはソファーに座り、二人もそばへ来るよう手招きした。
「互いに額をくっつけて」
双子は言われた通りにくっつけ、教わった言葉を唱えた。するとお互いの体内で何か少し熱いものが循環しているかのように感じられる。それが自分の中だけではなく相手の体へと流れ溶けあうような感覚もした。
「な、にこれ」
琉生が怯えとまではいかないが、額をつけたまま少し困惑したような顔でカルナをちらりと見る。
「わずかな魔力を交換しあってるの。そしてその交換したわずかな魔力がお互いの腕に巻きつくのよ」
見てみるよう言われて二人は額を離し、腕を上げる。すると互いの手首に紐状の草木の蔓のような白い光がブレスレットのように巻きついていた。それは見入るほど綺麗な白の痣だった。
「わ……」
「魔法だ……」
「まあ……こんなに綺麗な白は私も初めて見たわ」
「そうなの?」
「ええ。きっとあなたたち二人の絆がそれほど深く濃いのね。それに……光の救世主だからかしら」
「え?」
「何て言ったの?」
「いえ。とにかくあなたたちの絆がとても深いってこと。本当に鮮明で綺麗な輪……」
優しく微笑むカルナに、流輝は「結局この輪は何のためのものなの?」と聞いた。
「お互いの絆を感じるためです。あと、輪で繋がっているから、お互いの存在や気持ちを何となく感じることもあるわ。これからも、もしかしたらどちらかの姿が見えない時も出てくるかもしれないけど、きっとその輪があるとそこまで不安にならないんじゃないかしら」
カルナの言葉に双子はお互い顔を合わせた。そして改めてお互いの輪を見合い、微笑む。
「その……カルナ」
「ええ」
名前を呼ばれて微笑むカルナに、流輝は思い切ってぎゅっと抱きつきに行った。琉生も同じように抱きついている。
「心配かけてごめんなさい。ありがとう」
「まあ……」
カルナが嬉しそうにますます微笑んできた。
この絆の輪の魔法を行ってから、流輝はこの世界の魔法にとても関心を持つようになった。元の世界では到底あり得ない魔法を、流輝は前から気になってはいたものの、使い方がわからない上にそもそも自分たちに魔力があるとは到底思えなかったのもあり特に何もしてこなかった。それに今までは言葉や文字を覚えるのに必死であったのもある。
それから度々、流輝は琉生と屋敷の図書室へ行くようになった。流輝一人で行くこともあった。そして見つけた魔法の本をこっそり読んでいる。キャスやフランは騎士だからだろうか、何となく魔法の勉強をしていると言いにくい気がして、二人には単に勉強しているとしか言っていない。
そんなある日、二人は魔法の本に書かれている一つの魔法が目に留まった。それはそばにいなくてもその相手と通信し合えるという魔法だった。
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