双神の輪~紡がれる絆の物語~

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1章 幼少編 異世界召喚

24話

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 この世界のことを知りたいとモリスとカルナに願い、二人には主に常識について学び、フランとキャスには主に剣について学び、気づけば十四歳となる年になっていた。
 今でも特に流輝は貴族としてのふるまいなどが
苦手ではあるが、元の世界の両親のおかげもあり食事のマナーなどは最初から褒められたりしていた。難しかったのは意外にもお金のことだろうか。そもそも貨幣価値がわからない。ただでさえ元の世界でも熟知しているわけではなかったが、この世界だと硬貨一枚で何ができるのかさっぱりだった。それにモリスたちの養子となってからも基本護衛の二人や他の使用人たちが管理し所持してくれていたため、双子は一番安い鉄貨すら手にしたことはなかった。だがそれだと学校へ行くようになってから不便だろうと教わることになった。
 この世界では硬貨しかないようだ。紙幣はないのと聞けばとても怪訝な顔をされた。もしかして約束手形や証券のことかと言われて逆に双子が首を傾げる羽目になった。
 全くわかっていない双子にモリスやフランたちは根気よく教えてくれた。買える商品の例えを把握し、元の世界と比較してかろうじて貨幣価値は把握できたかもしれない。多分。おそらく。
 一番安いのが鉄貨だ。鉄貨二枚でおそらくだが、元の世界ではコンビニエンスストアで売っている例の色んな種類がある小さなチョコレートが買えそうだとわかり、琉生はむしろこの世界の貨幣価値が元の世界より少しだけ高いのではと思ったらしい。

「なんで?」
「だって考えてもみて。一番価値の低い鉄貨二枚であのチョコ一つだよ? 元の世界だと一番価値低い一円二、三十枚はいるだろ」
「あー……、うん?」

 そう説明されると何となく言っていることがわかったような気がしたが、自分の中で繰り返そうとすると混乱してきて流輝は首を傾げた。元の世界では確か流輝と琉生のテストの結果にそんなに差はなかったはずだけれどもと微妙な気持ちになる。
 とにかくその鉄貨十枚分の価値があるのが小銅貨らしい。普通の銅貨となるとさらに小銅貨二十枚分はいるようだ。銀貨となるとさらに計り知れない。小銀貨は銅貨百枚分くらいの価値があるらしく、銀貨はさらに小銀貨の十枚分となり、金貨はその銀貨五十枚は必要だと習った。もはや日本円にしていくらなのか琉生ですら想像もつかない。
 だがいざ双子が「はじめてのおつかい」という任務を仰せつかった際に、カルナはニコニコしながらさらりと金貨がぎっしりつまった袋を寄こしてきた。これにはフランだけでなくキャスもドン引きしたような顔になっていた。双子もさすがにそれはまずいとわかる。多分この一袋で元の世界なら一等地の豪邸すら数えきれないくらい買える価値があるのではないだろうか。

「……ベレスフォード大公夫人。庶民には銀貨ですら滅多に目にすることはございませんので……」

 フランが控えめに言えばカルナはとても驚いていた。大公爵であるモリスはまだわかっていそうだが、大公爵夫人であるカルナの金銭感覚にはむしろ流輝が驚きたい。この世界の貨幣についてまだ全然わかっていない流輝ですら「金貨はないわ……」と即思った。

「でもフランやキャスだって貴族だろ。あまり庶民の貨幣価値とかわかんねえんじゃないの?」
「いえいえ、俺らは以前あなた方を市場へお連れした以外にも以前から訓練や見回りの際に市場で買い物したりしてたんで、結構詳しいですよ、リキ様。結構美味いものあるんで」

 キャスに言われ、確かにあれほど美味そうにパラクレタを頬張っていたキャスなら普段も買い食いくらいしてそうだと流輝は想像がついた。だがフランはそういった姿があまり浮かばない。市場へ連れて行ってもらった時も飲み物くらいしか口にしているところを見ていなかった。

「フランも買い食いとかすんの?」
「買いぐ……? 俺も武具の備品などを買ったりします。普段は専属の武器屋や鍛冶屋などに依頼しますが、ちょっとした備品を買うのに便利なので」
「あー、そっち。それなら何かわかる」

 納得した流輝に、表情は変わらないもののフランは「何が?」といった様子で少し首を傾げていた。
 その後銅貨や鉄貨を手に買い物に挑戦したが、教えてもらったにも関わらずいざ金額を言われても即座に反応しにくい。ちなみに通貨の呼び方はガルトで記号で示すとGであり、買い物をした時も「63ガルトね」などと言われるのだが、その際に咄嗟に上手く出せない。ベストは銅貨二枚と小銅貨一枚、そして鉄貨三枚なのだが、いざ直面するとわからなくなって戸惑った挙句、小銅貨六枚と鉄貨三枚を最終的に出したりする。

「むしろ円に変換せずそのまま覚えたほうが使いやすかったかもだね」

 最初の買い物の時に琉生が苦笑していた。
 それも学校へ行くことになる頃にはなんとか克服できるようにはなった。
 とりあえず一通り学んだだろうと思われた二人に、モリスはそろそろ学校へ通うことを提案してきた。そこでは騎士や魔術師としての勉強もできる。二人が断る理由など何もなかった。
 その学園は王都にあるため、双子は王都内にある大公爵邸から馬車で通学することになった。王都外に住む者など学園から自宅が離れている場合は皆大抵学園寮に入っているらしい。流輝は寮と聞いて少し好奇心が湧いたものの、おそらく「寮に入りたい」と言えばモリスもカルナもあからさまに落ち込みそうでしかないため、諦めることにする。ちなみに他国からの留学生も少なくないらしい。その場合大抵王族や貴族の子息子女だろうと思われる。
 頼んでいた制服などが届くと、二人は光の救世主という重責よりもとりあえずこれから始まる新生活に少々わくわくするようになっていた。
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