双神の輪~紡がれる絆の物語~

Guidepost

文字の大きさ
31 / 120
2章 学生編  生きる覚悟

30話

しおりを挟む
「先ほどのご質問ですが、ディルアン家の子どもたちは全員で三人ですね。長男のラント様に次男のルバス様。そして長女のアリアン嬢です」

 双子もソファーに座るとフランが教えてくれた。それに続いてキャスが説明してくれる。

「ラントは今二十三歳だったかと。ディルアン家の跡継ぎとして父親の仕事を手伝っているようです。父親のドルフはモリス様同様王族の血筋ではありますので王宮勤めをしていて、一応仕事はそれなりにできるようですね」
「キャス……あの方も公爵なのだぞ。言い方や呼び方はさておき、せめて敬称くらいつけろ」
「フランは細かいんだよ。俺だってさすがに本人目の前にして呼び捨てなんかしねえよ」

 少なくともキャスはディルアン家の面々を好んでいないということはよくわかる、と流輝は内心思った。変なところで素直というかわかりやすいというか、自分が尊敬したり認めた相手にはとても敬意を払うが、そうでない相手にはそれなりで、嫌っている相手だとこんな感じなのだろう。それを琉生に耳打ちしたら「兄さんとキャスって相性ほんといいよね」と耳打ちを返された。どういう意味かわからない。
 とても単純そうな印象もあるが、それでもキャスは十九歳の時に当時九歳だった流輝の護衛騎士となっている。ということは王都学園を十八で卒業してからすぐ騎士として即戦力のある人物だったということだ。流輝たちが子どもだから心を開きやすいだろうと若い騎士を選んだのだとしても、光の救世主相手に実力のない騎士をあの王が自らつけようとはしない気がする。
 そんなキャスとずいぶん年齢差がありそうな印象さえある、落ち着いたフランは琉生の護衛騎士となった時は二十一歳だった。キャスと二つしか変わらない。

 モテるだけあるよなあ。

 今もキャスを呆れたように咎めているフランを流輝はそっと見た。男の流輝から見てもフランは格好がいいと思う。見た目はキャスも格好がいいのだが、フランは中からもそれがにじみ出ている気がする。それに真面目で堅実なところもおそらく女性に人気なのだろう。

 のわりに全然浮ついた噂とか聞かないんだよな。

 もうこの二人とも五年の付き合いになる。キャスは二十四歳でフランは二十六歳になる年だ。この世界では成人するのが早いのもあって結婚する年齢も早そうだが、フランが誰かと付き合っているところを流輝は見たことがないし聞いたこともない。ついでにキャスもない。流輝からすればフランよりは残念感がちょいちょいあるが、キャスも見た目はいいし何より剣の腕は相当いいからそれなりにモテてもおかしくない気がするのだが、本当にそういった噂は耳にしない。

「どうかされましたか?」

 そっと見ていたつもりが、気づけばひたすら見続けていたのだろう、フランが怪訝そうに聞いてきた。

「え? あーうん。フランってすげーイケメンだし仕事もすげーできるだろ? ついでにまあ、キャスも」
「何でついでなんですか!」

キャスから聞こえてきた言葉は無視して流輝は続けた。

「なのに誰かと付き合ってるとか全然聞かないんだけど。もしかして俺らにバレたら駄目とか思ってこっそり付き合ってんの? 全然バレていいしむしろ知りたい勢いなんだけど」
「……兄さんはほんと思ったこと口にするよね」

 隣で琉生がそんなことを言いつつ苦笑している気配がするが、それよりもフランの唖然とした顔が珍しくて流輝はますますフランに見入った。

「……、……ごほん。こっそりとかバレてはいけないなどと思っておりません。あとどなたともお付き合いはしておりません」

 だが唖然とした顔はすぐにいつものように淡々とした表情になった。フランの横でキャスが笑っている。

「キャスは?」
「俺ですか? 俺も別に隠す気はないですよ。あとフランと同じく誰とも付き合ってないですしね。女の子は好きですけど、それより好きなのが剣やリキ様、ルイ様なので、今はまだ騎士やあなたの側近としての仕事が一番ですね」
「ぇえー……剣が一番ってわからなくもねーけど……もったいない……」
「いやいや。というかそれを言うならリキ様たちこそ、学校でおモテになるでしょう。よさそうなご令嬢はいらっしゃいました?」
「い、いねーよ」
「……今はディルアン家の話をしていたと思うんですが」
「おい、せっかくリキ様と楽しい恋バナになりかけたってのに水差すなよフラン」
「は? 別に俺の話はいらねえし」
「だ、そうだキャス。では続けますが、えっと、ルバス様のご年齢は十五歳ですね。ローザリア様と同じお歳で、皆さまと同じ学園に在学しておりますのでお会いする機会はあるのではと思いますよ」

 少なくとも双子たちのクラスにはアリアンしかいなかったということは残りのクラスであるセレーネかアステリにいるのだろうが、ローザリアからは何も聞いたことがない。アステリクラスにいるのかもしれない。

「で、アリアン嬢はお二人もご存じのようですね。ご年齢もお二人とご一緒かと」
「ふーん」

 先ほどまでは一応聞いておきたいと思っていたが、そろそろ流輝としてはどうでもよくなってきていた。気のない返事に琉生がまた苦笑している。ただ、その後にキャスが言った言葉であまりどうでもよくはなくなった。

「ドルフがそもそも血筋を重んじるやつなんですよ。そのせいでしょうがローザリア様をあまりよく思っていないようです。もちろんわかりやすく出しはしませんけどね。それもあってあの兄弟もその考えを持っているようです。小さい頃からそんな教育を受けてたんでしょうね」
「はぁっ? んだよそれ。一気に嫌いになったわ!」

 ムッとして思わず立ち上がる流輝の横で琉生もが「そういう人らなのか。覚えておくよ、フラン、キャス。ありがとう」と気に食わなさそうな顔をしていた。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

捨てられた前世【大賢者】の少年、魔物を食べて世界最強に、そして日本へ

月城 友麻
ファンタジー
辺境伯の三男坊として転生した大賢者は、無能を装ったがために暗黒の森へと捨てられてしまう。次々と魔物に襲われる大賢者だったが、魔物を食べて生き残る。 こうして大賢者は魔物の力を次々と獲得しながら強くなり、最後には暗黒の森の王者、暗黒龍に挑み、手下に従えることに成功した。しかし、この暗黒龍、人化すると人懐っこい銀髪の少女になる。そして、ポーチから出したのはなんとiPhone。明かされる世界の真実に大賢者もビックリ。 そして、ある日、生まれ故郷がスタンピードに襲われる。大賢者は自分を捨てた父に引導を渡し、街の英雄として凱旋を果たすが、それは物語の始まりに過ぎなかった。 太陽系最果ての地で壮絶な戦闘を超え、愛する人を救うために目指したのはなんと日本。 テンプレを超えた壮大なファンタジーが今、始まる。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活

シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

異世界転移物語

月夜
ファンタジー
このところ、日本各地で謎の地震が頻発していた。そんなある日、都内の大学に通う僕(田所健太)は、地震が起こったときのために、部屋で非常持出袋を整理していた。すると、突然、めまいに襲われ、次に気づいたときは、深い森の中に迷い込んでいたのだ……

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

外れギフト魔石抜き取りの奇跡!〜スライムからの黄金ルート!婚約破棄されましたのでもうお貴族様は嫌です〜

KeyBow
ファンタジー
 この世界では、数千年前に突如現れた魔物が人々の生活に脅威をもたらしている。中世を舞台にした典型的なファンタジー世界で、冒険者たちは剣と魔法を駆使してこれらの魔物と戦い、生計を立てている。  人々は15歳の誕生日に神々から加護を授かり、特別なギフトを受け取る。しかし、主人公ロイは【魔石操作】という、死んだ魔物から魔石を抜き取るという外れギフトを授かる。このギフトのために、彼は婚約者に見放され、父親に家を追放される。  運命に翻弄されながらも、ロイは冒険者ギルドの解体所部門で働き始める。そこで彼は、生きている魔物から魔石を抜き取る能力を発見し、これまでの外れギフトが実は隠された力を秘めていたことを知る。  ロイはこの新たな力を使い、自分の運命を切り開くことができるのか?外れギフトを当りギフトに変え、チートスキルを手に入れた彼の物語が始まる。

処理中です...