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2章 学生編 生きる覚悟
49話
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結局初めての模擬戦闘で流輝とルバスは引き分けと判断された。ほぼ剣でやりあったのだが、どちらかが攻めるとどちらかが防ぐといった風にひたすら攻防戦だった気がする。ただ流輝は途中何度かひやりとさせられる目にあった。それが妙に悔しい。
魔術に関してはあの後もう一度だけルバスは炎の魔法を放ってきたが、それも流輝は消し去っている。今度は余裕があったため、周りからは剣で薙ぎ払ったかのように見えるようにして水魔法を剣にまとわせて相殺させた。水蒸気のようなものが出てしまったが、どうやら周りでは剣の勢いで消した際に発生したものだとでも受け止めてくれているようだ。
引き分け、と教師が判断してきた際にルバスは「まだやれます」と抗議していたが「君たちだけに時間をとるわけにはいかない」と言われて渋々受け入れたようだ。実際ルバスと戦った時間はさほど長くはなかった。剣でやりあっている時はそれなりに長く感じたが、時間を見ると大して経っていなかった。
「貴様、これで終わったとは思うなよ」
模擬戦闘終了後、ルバスが流輝を睨みながら偉そうに言ってくる。
「思ってはねーけど、お前さあ、何でいちいちそんなに仰々しいの? もっと普通に言えねえの?」
「俺は普通だ。むしろお前こそ大公爵家の人間でありながら言葉遣いがなってなさすぎだろうが。貴様の弟を見習え」
「は?」
「ルイ・ターナーのほうもむかつくことはむかつくが、あちらはまだ丁寧な言葉遣いと礼儀作法がある。貴様のその言動は何だ。それで俺の家より身分の高い家の家督なのだと思うと嘆かわしささえある」
「はあっ? お前、ほんっとつまんねーやつだし鬱陶しいな!」
「何だとっ? いいだろう、次の合同授業では貴様がそんな偉そうな口を利けないようにしてやる」
「偉そうな口利いてくんのはお前なんだよ! お前こそ、次は覚悟するんだな!」
思いきり言い合ったところで琉生が間に入ってきてその場はそれでとりあえず終わったし、結局次の合同授業はのどか極まりない「お茶会での作法」だった。とはいえそこでも流輝とルバスはいかに優雅に茶と茶菓子をいただくかを競い合った挙句、教師から「二人そろって見学していなさい」と邪魔者扱いの上その場から外れるよう命じられた。食事のマナーはいいほうだっただけに流輝としてはなおさらルバスが鬱陶しいと思った。
その後の模擬戦闘でも結局引き分けばかりで、流輝としてもすっきりしない。ちなみに琉生は初回の模擬戦闘で見せた圧倒的な剣技により今では年上でも相手が中々見つからない状態だったりする。
「お前はいいよな。剣だとまだそこまで警戒しなくていいもんな」
「まあそうだね。フランや特にキャスなんて在学中から剣の腕、かなりすごかったらしいし、俺も剣のせいで救世主だと疑われることはまずなさそうだもんね」
「俺も魔法思いきり使ってすっきりしたい」
「まあ、駄目だろうけどね」
あはは、と琉生が笑うのを流輝はじろりと睨んでからため息をついた。
別に見せびらかしたいほどの欲はないが、たまには思う存分使ってみたくはなる。今のところ、模擬戦闘では攻撃を防ぐ以外ではほぼ使ったことがないし、周りから見れば魔法を使ったことすらわからないだろう。ただし教師からは一度「もしかして力を抑えているのか」と聞かれたことはある。その時は「まさか。ルバスを倒したくて仕方がない俺が?」とごまかした。
……あれ? そういえば何回かルバスとやってからはあいつも魔法、使ってこなくなったな。それもあって今じゃ全然魔法使ってねーわ。
魔法を使ったところで流輝がいつもこっそり魔法を使って跳ね除けるか消してしまうため、使っても無駄だと諦めたのだろうか。
あいつの辞書に「諦める」なんて言葉、載ってなさそうだけどな。でも他に理由浮かばねーし。……今度機会あれば本人に聞いてみるか。
ところで初めての模擬戦闘で結局ローザリアの戦闘は見漏れてしまった。それを本人に「残念。次の時は見学するわ」と伝えると「見なくていいから」と首をぶんぶん振られた。そうなるとむしろ見たくなるのは道理だ。とはいえいつもルバスとの戦闘に時間を取られ、今のところ見られていない。
「ローザリアって結局どんな戦い方してんの?」
琉生に聞けば「自分で見ればいいじゃない」と言われた。至極もっともではあるが、それができないから聞いているわけだ。
「ルバスのせいで見れてねーの」
「あー。本当にいつもいつも、兄さんもルバスも無駄に熱いよね」
「無駄ってなんだよ! それに俺は普通。あいつがいつも鬱陶しいの!」
「そうかなあ。だったら受け流せばいいじゃない。それを毎回ムキになって受けてる兄さんを見てる限り、俺からしたら二人とも一緒だよ」
「やめろ。あいつと一緒とか言うな。で、ローザリアの戦い方ってどんなの」
「うーん。別に特殊な戦い方じゃないから説明しにくいんだけど……結構綺麗な剣術の型だよ。中々模範になりそうな。やっぱりその辺はさすが王族だなあって思った」
「へえ。魔法も使うの?」
「前に一度だけ水の魔法を使ってたけど、基本的には剣かな。でも魔力は普通の人よりはあるほうじゃないかなあ。にしてもえらく聞いてくるね。ローザリアに興味でも湧いた?」
ニコニコと聞かれ、流輝は頷く。
「そりゃあな。知ってるやつの戦い方とかちょっと気になるだろ?」
「あー。何だ、ただの戦闘馬鹿……」
「今、馬鹿って言った? ほんと何でたまにお前、俺に対してそうなの? 冷たいというか扱いがさあ!」
「気のせいだよ、兄さん」
琉生がまたニコニコと流輝を見てきた。
魔術に関してはあの後もう一度だけルバスは炎の魔法を放ってきたが、それも流輝は消し去っている。今度は余裕があったため、周りからは剣で薙ぎ払ったかのように見えるようにして水魔法を剣にまとわせて相殺させた。水蒸気のようなものが出てしまったが、どうやら周りでは剣の勢いで消した際に発生したものだとでも受け止めてくれているようだ。
引き分け、と教師が判断してきた際にルバスは「まだやれます」と抗議していたが「君たちだけに時間をとるわけにはいかない」と言われて渋々受け入れたようだ。実際ルバスと戦った時間はさほど長くはなかった。剣でやりあっている時はそれなりに長く感じたが、時間を見ると大して経っていなかった。
「貴様、これで終わったとは思うなよ」
模擬戦闘終了後、ルバスが流輝を睨みながら偉そうに言ってくる。
「思ってはねーけど、お前さあ、何でいちいちそんなに仰々しいの? もっと普通に言えねえの?」
「俺は普通だ。むしろお前こそ大公爵家の人間でありながら言葉遣いがなってなさすぎだろうが。貴様の弟を見習え」
「は?」
「ルイ・ターナーのほうもむかつくことはむかつくが、あちらはまだ丁寧な言葉遣いと礼儀作法がある。貴様のその言動は何だ。それで俺の家より身分の高い家の家督なのだと思うと嘆かわしささえある」
「はあっ? お前、ほんっとつまんねーやつだし鬱陶しいな!」
「何だとっ? いいだろう、次の合同授業では貴様がそんな偉そうな口を利けないようにしてやる」
「偉そうな口利いてくんのはお前なんだよ! お前こそ、次は覚悟するんだな!」
思いきり言い合ったところで琉生が間に入ってきてその場はそれでとりあえず終わったし、結局次の合同授業はのどか極まりない「お茶会での作法」だった。とはいえそこでも流輝とルバスはいかに優雅に茶と茶菓子をいただくかを競い合った挙句、教師から「二人そろって見学していなさい」と邪魔者扱いの上その場から外れるよう命じられた。食事のマナーはいいほうだっただけに流輝としてはなおさらルバスが鬱陶しいと思った。
その後の模擬戦闘でも結局引き分けばかりで、流輝としてもすっきりしない。ちなみに琉生は初回の模擬戦闘で見せた圧倒的な剣技により今では年上でも相手が中々見つからない状態だったりする。
「お前はいいよな。剣だとまだそこまで警戒しなくていいもんな」
「まあそうだね。フランや特にキャスなんて在学中から剣の腕、かなりすごかったらしいし、俺も剣のせいで救世主だと疑われることはまずなさそうだもんね」
「俺も魔法思いきり使ってすっきりしたい」
「まあ、駄目だろうけどね」
あはは、と琉生が笑うのを流輝はじろりと睨んでからため息をついた。
別に見せびらかしたいほどの欲はないが、たまには思う存分使ってみたくはなる。今のところ、模擬戦闘では攻撃を防ぐ以外ではほぼ使ったことがないし、周りから見れば魔法を使ったことすらわからないだろう。ただし教師からは一度「もしかして力を抑えているのか」と聞かれたことはある。その時は「まさか。ルバスを倒したくて仕方がない俺が?」とごまかした。
……あれ? そういえば何回かルバスとやってからはあいつも魔法、使ってこなくなったな。それもあって今じゃ全然魔法使ってねーわ。
魔法を使ったところで流輝がいつもこっそり魔法を使って跳ね除けるか消してしまうため、使っても無駄だと諦めたのだろうか。
あいつの辞書に「諦める」なんて言葉、載ってなさそうだけどな。でも他に理由浮かばねーし。……今度機会あれば本人に聞いてみるか。
ところで初めての模擬戦闘で結局ローザリアの戦闘は見漏れてしまった。それを本人に「残念。次の時は見学するわ」と伝えると「見なくていいから」と首をぶんぶん振られた。そうなるとむしろ見たくなるのは道理だ。とはいえいつもルバスとの戦闘に時間を取られ、今のところ見られていない。
「ローザリアって結局どんな戦い方してんの?」
琉生に聞けば「自分で見ればいいじゃない」と言われた。至極もっともではあるが、それができないから聞いているわけだ。
「ルバスのせいで見れてねーの」
「あー。本当にいつもいつも、兄さんもルバスも無駄に熱いよね」
「無駄ってなんだよ! それに俺は普通。あいつがいつも鬱陶しいの!」
「そうかなあ。だったら受け流せばいいじゃない。それを毎回ムキになって受けてる兄さんを見てる限り、俺からしたら二人とも一緒だよ」
「やめろ。あいつと一緒とか言うな。で、ローザリアの戦い方ってどんなの」
「うーん。別に特殊な戦い方じゃないから説明しにくいんだけど……結構綺麗な剣術の型だよ。中々模範になりそうな。やっぱりその辺はさすが王族だなあって思った」
「へえ。魔法も使うの?」
「前に一度だけ水の魔法を使ってたけど、基本的には剣かな。でも魔力は普通の人よりはあるほうじゃないかなあ。にしてもえらく聞いてくるね。ローザリアに興味でも湧いた?」
ニコニコと聞かれ、流輝は頷く。
「そりゃあな。知ってるやつの戦い方とかちょっと気になるだろ?」
「あー。何だ、ただの戦闘馬鹿……」
「今、馬鹿って言った? ほんと何でたまにお前、俺に対してそうなの? 冷たいというか扱いがさあ!」
「気のせいだよ、兄さん」
琉生がまたニコニコと流輝を見てきた。
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