双神の輪~紡がれる絆の物語~

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3章 騎士編 光の救世主

84話

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 あの後、ソリアが「その魔法石は他に類を見ないほど貴重なものとなったわけです。どなたも決して他言してはなりません」と宣言してきた。その会議に出ている者以外には例え家族にも秘密にすべきだ、と。
 光魔法自体は光の救世主しか使えない。しかも属性の中で最強だと言われる光や闇の力が誰でもが使用できる魔法石に宿っているとなると、その価値は計り知れない。もし悪用を考える者が手にすれば大変なこととなる。
 ソリアの話を聞いた他の会議参加者も皆頷き、表情を固くしていた。
 そういえばローザリアがこっそり教えてくれた話だが、処刑されたラントが捕まった時に持っていた魔法石にも闇魔法がやはり宿っていたらしく、その石は王ノア自らが見守る中、ソリアによって破壊されたらしい。それを聞いた時も、手にした王がノアであってよかったと流輝は心底思った。何となくだが以前訪問したモールザ王国の王、ローガンの手に渡っていたら悪用されそうな気が流輝の中でほんのりとしていた。とはいえ会議には今までも今回もモールザ王国の人間は参加しているし特に問題はないはずなのだが、多分会った時の印象が流輝的にいまいちだったからかもしれない。

 王様だぞ、相手は。絶対これ冗談でも口にしたら駄目なやつだ。

 何を考えているんだかと自分に微妙になりながら、流輝も一応形としてだが会議室を出る前に「他言しない」という誓約書にサインしてから出る。魔法のかかった誓約書のため、破るとサインした者に多大なる魔力の負荷がかかる。流輝ほどの魔力の持ち主ならばそこまでではないかもしれないが、おそらく普通の者は重傷を負うか死ぬかだろう。それを解除できるのは誓約書に魔法をかけた者だけで、この場合はソリアだ。また、魔法をかけた者は自分に対しては解除できないらしい。
 かなり怖い魔法、というかもはや呪いじゃねえかと話を聞いた流輝は青くなりながらけっこうドン引きしていた。とはいえ流輝と特に琉生は当事者だしモリスとカルナには話すつもりではある。あとでノアに許可をもらいソリアにその部分だけ解除してもらおうとそっと思った。それに今までもずっとそばにいて見守ってくれていたローザリアにも話したい気持ちしかない。

「どう思う、ルイ」
「お父さん、お母さんとローザリアは別格でしょ。いいと思う。陛下に許可もらおう」

 その日から琉生は無理をしない程度に、自室で預かった魔法石に少しずつ光の魔力を入れていくことになった。何かあったら心配なので流輝がそばにいる時に入れてもらうことにしている。
 琉生が入れているのを見ながら、流輝は自分にも光の魔力があれば手伝えるのにとため息をついた。

「兄さんにもし光の魔力があったら、魔力量が底なしなんだからそもそも魔法石に入れる必要なさそうじゃない?」
「底なしじゃねえし。つか冗談言ってるんじゃねえから。俺、ほんと悔しいんだからな」
「うん。わかってる。ありがとう」

 琉生は嬉しそうに微笑んできた。
 ノアの許可も得てソリアに改めて術をかけてもらい、両親とローザリアには魔法石のことはその後話した。カルナは心配そうに「無茶はしないでね」と琉生に何度も言っていた。過去に流輝がもの知らずな上に無謀だったせいで、琉生が枯渇寸前まで魔力を使い倒れた時のことを見ているから余計心配になるのだろうと流輝は思った。ただそこで流輝が「俺のせいで」と口や態度に出してしまうとかえって両親にも琉生にも迷惑なのだと今ではわかっているので、特に何も言わないでいた。

「でも俺もさ、心配なんだよ」
「それは仕方ないよリキ。だってお互いかけがえのない相手だもの」

 流輝たちの家、ベレスフォードの屋敷にある庭園のテラスで、ローザリアが優しく微笑んできた。琉生は剣の訓練をフランたちとしている。ローザリアの護衛騎士であるエリスもそれに参加しているようで、この場所には流輝とローザリアだけだった。なので念のため軽い結界を張り、安心して流輝は琉生の話をしていた。
 ちなみにノアに許可をもらう際に「ローザリアも」と流輝が言うと、途端に何故か「そうか、そうか。リキはローザリアにもと思うか」と嬉しそうに頷かれた。

「陛下もほんとはローザリアに言いたかったけど私的なことだと思って遠慮してたところに俺が言ったからラッキー、みたいなアレかな」
「ラッキーって。違うでしょ」

 後で琉生に言えばそう苦笑していた。

「でもルイに心配だって言えばかえって困らせる気がしてさ」
「うん、とね。あなたたちはお互いを心配しすぎなとこ、あると思う。たまに妬けるくらい」
「何で妬けんだよ。何に対する嫉妬だよ」

 思わず笑うとローザリアは「私もそこに入りたいじゃない」と苦笑してきた。

「入ってるよ」
「ほんと?」
「ああ。ローザリアは俺にとって大事なんだから」

 当然のように言えばローザリアが真っ赤になってきた。

 もしかして俺、何か恥ずかしいこと言ってしまったのか? うん? いやでも別に……待て、これ捉え方によれば俺、いきなり口説いてるキモいやつみたいなのか?

「ル、ルイみたいにな! それにルイもそう思ってるぞ絶対! その、大事な身内なんだから」

 慌てて付け足すとローザリアはむしろ少し気落ちした様子を見せてくる。

 何だ? たまにローザリアの反応わかんねぇ。

「……俺、たまにお前に何か悪いこととか言ってる?」
「え? 言ってないよ、全然。何で?」
「いや、わかんねぇけどさ。たまにお前、悲しそうっつーか、がっかりしてるっつーか、そんな感じの反応してくる気がして」
「そ、そんなことないよ。全然ない。気にしないで。あと私もそこに入ってるの、すごく嬉しい」
「そう、ならいいけど」
「……。リキ。大丈夫だよ。あなたたちはお互い心配し合ってることわかってるし、それをわかってるからお互いを思ってきっと無茶はしない。それにあなたがついているだけでルイは十分助けになってると思う。だってあなただってそうでしょ? あとあなたもルイも強いから、大丈夫。大丈夫だよ」

 ローザリアに大丈夫と微笑みながら言われると本当に大丈夫で問題ないような気がした。

「うん……ありがとうな、ローザリア」
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