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3章 騎士編 光の救世主
94話
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結局、部屋でなどおちおち休んでいられないのであろうルビーにも改めて席は用意された。
「元々兄たち……いえ、第一王子や第二王子は奴隷たちとも交流を図っておりました」
できる限り、自分たちが信用、信頼できると間違いなく判断できる者たちとセオやロニーは交流しようとしていたようだ。最初はセオだけで動いていた。だがそもそも兄を慕っているロニーは、信頼に値するとセオは判断して自分のしていることや考え、疑問などを話したらしい。もちろんロニーもセオと同じ考えだったため、隠れてではあるがともに行動するようになったようだ。
すでにセオはコロシアムを見学する風を装い、様々な奴隷と接し、当初は警戒しかしなかった奴隷たちから徐々に信用を勝ち取ってきてはいたようだ。その内とある闘技奴隷の一人と出会ってからは一気に状況も変わったらしいとルビーは言う。
「彼は元騎士であり、セオの師でもあった人でした。セオはその人からずっと剣を教わっていたのだと私に教えてくれたことがあります。ですがその後どうやら無実の罪を着せられ、セオの前からも姿を消していたようです」
コロシアムで変わり果てた自分の元剣の師を見つけたセオは、とても衝撃を受けた。その上セオがこの場所でしかも自分と接するのは危険でしかないからと、その男が入れられていた牢から出ていくようすげなく言われた。
しかしそんなことでセオが諦められるはずもない上にその男が奴隷たちのリーダー的存在だとわかると、次にコロシアムを訪れる時にはただの貴族の客を装い化粧で顔まで変えてその男の元へ会いに行った。
何度もそうして訪れてくるセオにとうとうその男も折れたが、条件をつけてきた。
「もし何かあったり周りにバレそうな時は何もかも私に押しつけて、あなたは素知らぬ振りをすると約束してください。でないと協力はいたしません」
「そんなことできるわけが……」
「ならお帰りください。ここへ来るべきではない」
「しかし」
「……」
「あなたは私の師だ。しかも無実の罪を着せられたというのに、もし私の失態などで危なくなったら何もかも押しつけろ、と? そんなこと到底……」
「……」
「……はぁ……。わかった。約束する。それに絶対に知られないようにする」
この男の協力を得られることにより、間違いなく奴隷たちを解放できる可能性がとても高まる。セオは渋々頷くしかなかった。
「その誓いは結構です。ただ約束してください」
「……わかった。約束する。誓おう。何かあった時は……あなたに……荷を負わせる……」
「今から私は何もかもあなたに協力いたします」
戦いの時以外でここに待機する時は鎖に繋がれているため、痩せてしまった男が動きにくい体勢ながらにセオに多少ではあるがかしずいた時、その鎖の音が重苦しく響いた。
「彼を味方につけ、元々奴隷たちから多少なりとも信用を得ていたセオはますます信頼を得ることができたようです。そして彼らとさらに接することで魔族が相当深いところまでモールザ王国に関わっていると知れました」
ルビーは少々かすれた声をどうにかするかのように、そばに置かれていた水を少し飲むことで口を湿らせ、続けてきた。
「いずれ魔族があからさまに動き出すことを予想したセオは、その際に起きるであろう混乱や騒動に紛れて奴隷を逃がそうと考えておりました。魔族に対し自分や奴隷たちは力量不足だとわかってはいましたが、魔族がモールザ王国を乗っ取ろうと動いている時なら隙もあるだろうと……」
そこまで言うとルビーは俯いてきた。
人身売買や奴隷制度は大罪だ。奴隷を助けよう、逃がそうということは、自由を与える代わりに世間に対しその罪を明るみにすることとなる。たとえローガン王や何人もの貴族たちがしでかしていた罪だとしても、王族であるセオたちが大罪を逃れる可能性はあまり高くない。それをわかっていて覚悟した上での行動ということなのだろう。
だがその後、魔族はもはやほぼモールザ王国を乗っ取っていた上に狙っていたのは光の神殿だと知ると、セオやロニーは自分たちだけでどうこうできるものではないと判断した。とはいえ他国へ知らせようにも魔族の邪魔が入る。そうこうしている内に今回のようなこととなったのだと話すと、ルビーは細く長い息を吐いた。
「そういう訳ですので奴隷たちの協力を得ることは難しくありません」
会議はしばらくしてようやく終了した。ゆっくりしている暇はなかった。
光の神殿が攻められれば王子たちどころか、どのみち元も子もない。そのため人員のほとんどはやはりそちらへ回すこととなった。そしてモールザ王国へは少人数で、それも戦う目的ではなく王子たちの救出だけを目的とし向かうこととなった。
とはいえモールザ王国はすでに魔族の手に落ち、拠点となってしまっているようなものだ。救出だけを目的にするにしてもあまりに危険な場所となる。よって腕の相当立つ者が選ばれた。
転移魔法が使える魔術師数名と精鋭騎士数名。そして流輝とキャスがメンバーとなった。それ以外の騎士や魔術師は光の神殿へ向かうか、ニューラウラ王国へ攻めてくる可能性もあるため城に残ることとなる。琉生は光魔法を持つ者だけに、城に残るメンバーと言われた。
「それならなおさら、私は神殿へ向かうべきです」
琉生はそう主張し、頑として城に残ることに首を縦に振らなかった。
どのみち初めて流輝と琉生は別々の行動となるが、今回ばかりは仕方がない。
とりあえずレイクオーツ王国とフェザリア王国の王や他に出席していた者たちは援軍を早急に準備するため、先に転移魔法により各国へ戻っていった。
「元々兄たち……いえ、第一王子や第二王子は奴隷たちとも交流を図っておりました」
できる限り、自分たちが信用、信頼できると間違いなく判断できる者たちとセオやロニーは交流しようとしていたようだ。最初はセオだけで動いていた。だがそもそも兄を慕っているロニーは、信頼に値するとセオは判断して自分のしていることや考え、疑問などを話したらしい。もちろんロニーもセオと同じ考えだったため、隠れてではあるがともに行動するようになったようだ。
すでにセオはコロシアムを見学する風を装い、様々な奴隷と接し、当初は警戒しかしなかった奴隷たちから徐々に信用を勝ち取ってきてはいたようだ。その内とある闘技奴隷の一人と出会ってからは一気に状況も変わったらしいとルビーは言う。
「彼は元騎士であり、セオの師でもあった人でした。セオはその人からずっと剣を教わっていたのだと私に教えてくれたことがあります。ですがその後どうやら無実の罪を着せられ、セオの前からも姿を消していたようです」
コロシアムで変わり果てた自分の元剣の師を見つけたセオは、とても衝撃を受けた。その上セオがこの場所でしかも自分と接するのは危険でしかないからと、その男が入れられていた牢から出ていくようすげなく言われた。
しかしそんなことでセオが諦められるはずもない上にその男が奴隷たちのリーダー的存在だとわかると、次にコロシアムを訪れる時にはただの貴族の客を装い化粧で顔まで変えてその男の元へ会いに行った。
何度もそうして訪れてくるセオにとうとうその男も折れたが、条件をつけてきた。
「もし何かあったり周りにバレそうな時は何もかも私に押しつけて、あなたは素知らぬ振りをすると約束してください。でないと協力はいたしません」
「そんなことできるわけが……」
「ならお帰りください。ここへ来るべきではない」
「しかし」
「……」
「あなたは私の師だ。しかも無実の罪を着せられたというのに、もし私の失態などで危なくなったら何もかも押しつけろ、と? そんなこと到底……」
「……」
「……はぁ……。わかった。約束する。それに絶対に知られないようにする」
この男の協力を得られることにより、間違いなく奴隷たちを解放できる可能性がとても高まる。セオは渋々頷くしかなかった。
「その誓いは結構です。ただ約束してください」
「……わかった。約束する。誓おう。何かあった時は……あなたに……荷を負わせる……」
「今から私は何もかもあなたに協力いたします」
戦いの時以外でここに待機する時は鎖に繋がれているため、痩せてしまった男が動きにくい体勢ながらにセオに多少ではあるがかしずいた時、その鎖の音が重苦しく響いた。
「彼を味方につけ、元々奴隷たちから多少なりとも信用を得ていたセオはますます信頼を得ることができたようです。そして彼らとさらに接することで魔族が相当深いところまでモールザ王国に関わっていると知れました」
ルビーは少々かすれた声をどうにかするかのように、そばに置かれていた水を少し飲むことで口を湿らせ、続けてきた。
「いずれ魔族があからさまに動き出すことを予想したセオは、その際に起きるであろう混乱や騒動に紛れて奴隷を逃がそうと考えておりました。魔族に対し自分や奴隷たちは力量不足だとわかってはいましたが、魔族がモールザ王国を乗っ取ろうと動いている時なら隙もあるだろうと……」
そこまで言うとルビーは俯いてきた。
人身売買や奴隷制度は大罪だ。奴隷を助けよう、逃がそうということは、自由を与える代わりに世間に対しその罪を明るみにすることとなる。たとえローガン王や何人もの貴族たちがしでかしていた罪だとしても、王族であるセオたちが大罪を逃れる可能性はあまり高くない。それをわかっていて覚悟した上での行動ということなのだろう。
だがその後、魔族はもはやほぼモールザ王国を乗っ取っていた上に狙っていたのは光の神殿だと知ると、セオやロニーは自分たちだけでどうこうできるものではないと判断した。とはいえ他国へ知らせようにも魔族の邪魔が入る。そうこうしている内に今回のようなこととなったのだと話すと、ルビーは細く長い息を吐いた。
「そういう訳ですので奴隷たちの協力を得ることは難しくありません」
会議はしばらくしてようやく終了した。ゆっくりしている暇はなかった。
光の神殿が攻められれば王子たちどころか、どのみち元も子もない。そのため人員のほとんどはやはりそちらへ回すこととなった。そしてモールザ王国へは少人数で、それも戦う目的ではなく王子たちの救出だけを目的とし向かうこととなった。
とはいえモールザ王国はすでに魔族の手に落ち、拠点となってしまっているようなものだ。救出だけを目的にするにしてもあまりに危険な場所となる。よって腕の相当立つ者が選ばれた。
転移魔法が使える魔術師数名と精鋭騎士数名。そして流輝とキャスがメンバーとなった。それ以外の騎士や魔術師は光の神殿へ向かうか、ニューラウラ王国へ攻めてくる可能性もあるため城に残ることとなる。琉生は光魔法を持つ者だけに、城に残るメンバーと言われた。
「それならなおさら、私は神殿へ向かうべきです」
琉生はそう主張し、頑として城に残ることに首を縦に振らなかった。
どのみち初めて流輝と琉生は別々の行動となるが、今回ばかりは仕方がない。
とりあえずレイクオーツ王国とフェザリア王国の王や他に出席していた者たちは援軍を早急に準備するため、先に転移魔法により各国へ戻っていった。
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