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3章 騎士編 光の救世主
95話
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会議の後、流輝たちモールザ王国メンバーは集まると入念に計画を立てた。琉生は光の神殿メンバーとして多分話し合いをしているのだと思われる。
王ノアは琉生が光の神殿へ向かうことにも、流輝がモールザ王国へ向かうことにも反対していたが、お互い「神殿を守りたい」「王子たちを確実に助けたい」と説得し、納得はしていないものの了承してもらっていた。それくらい、琉生の剣技や流輝の魔力量や魔法は国内外問わず飛びぬけていたのもある。この能力の高さも光の救世主としての能力に違いないとノアも認めざるを得なかったのだろう。
話し合いも終わり、明日の準備を各自済ませたら今日はもう早くに寝ようということで解散となった。
今日は自分たちの屋敷に戻ることなく、この城の中にある王宮に泊まることになっている。琉生はもう部屋に戻っているだろうかと思いながら流輝も準備されているであろう部屋へ向かおうとした。
「……リキ」
王宮内の広い中庭が望める廊下を虫の音を聞きながら歩いていると名前を呼ばれた。
「ローザリア? こんな時間にどうしたんだ。いくら王宮内だからって一人でうろついたら駄目だろ」
ローザリアの声だとすぐにわかり、振り返ると護衛騎士のエリスもつけずにローザリアが一人で流輝のところまでやって来ようとしていた。
「……お父様に聞いたの。詳しい話はもちろん教えていただいてないけど……リキ、明日モールザ王国へ行くんですってね、そして王子たちを脱出させるって」
「ああ。絶対王子たちを助けてくるよ」
ローザリアに笑いかけるも、いつもと違って笑顔が返ってこない。それどころか少し俯いてしまった。
「どうしたんだよ」
「……ちゃんと、帰ってきて」
「あ? ああ。あー、うん。帰ってくるよ」
どうしたんだと思ったが、多分流輝を心配してくれているのだろうとさすがにわかり、流輝は笑顔のままローザリアに頷いた。そしてシャツの中から首にかかっているネックレスを取り出してみせる。青い魔法石が小さく光った。
「それにこれがあるんだ。間違いなく俺は無事だな」
するとそのネックレスと流輝を見て、ようやくローザリアが笑みを見せてきた。だがまたすぐに悲しそうな顔になり、そのまま流輝に抱きついてきた。
「ロ……」
ついぎしりと体が固まったが、流輝は深呼吸するとローザリアの背中に手を回し、優しくぽんぽんとたたく。
「ほんとに、ほんとにほんとに無事帰ってきて。絶対だから。絶対なんだから」
ぎゅっと抱きついてくるローザリアに、流輝は表現しがたい気持ちが湧き起こってきた。くすぐったいような甘いような息苦しいような複雑そうな感情だ。
「ああ」
流輝もぎゅっと抱きしめ返した。抱きつかれた時は落ち着かなかったのに、こうして自分からぎゅっと抱きしめると妙に落ち着いてきた。まるで足りない自分の体の一部にピースがぴったりはまったかのような感覚さえある。一卵性双生児の琉生ならまだしも、他人に対してそんな感覚になれるのかと何だか不思議だった。
「あ」
おもわず声が出て、ローザリアが悲しそうな表情はそのままに、怪訝そうな様子で流輝の腕の中から見てきた。
「どうしたの?」
「俺、ピンときちゃって……」
「? 何が……?」
それは突然だった。今までもローザリアに対して怪訝な気持ちになったことは何度もあるが、いつもよくわからないままだった。だが今、突然ピンときた。
だってそうだろ……こんなに自分の中でピースがぴったりはまるような感じになんの、それしかねーだろ……。
ずっとよくわからないからわたわたしたり変に照れたりぎこちなくなったりしていた。だがわかってしまえばとてもスッキリする。
「ローザリア」
名前を呼ばれ、ローザリアは腕の中のまま改めて流輝を見てきた。
「俺、お前が好きだわ」
笑顔で言うと、ローザリアはポカンとしてからしばらくしてようやくわかったかのように頷いてきた。
「もちろん私だってリキもルイも好きだよ」
「ちげーよ。俺の好きはそれじゃなくて。いやまあその好きもずっとあるけど。そうじゃなくて、こうして抱きしめて離したくねーなって好きだ」
途端、ローザリアが真っ赤になってきた。自覚したのもあってその様子を流輝は素直に「かわいいな」と思えた。そんな自分の感情にテンションが上がる。
俺、ちゃんと女の子好きになれんだな。今まで全然そういうの興味ねえ気がしてたし、下手したらやっぱ俺、ガキなんかなってちょっと思ってたわ。
とはいえローザリアはこの国の第一王女だ。いくらノアが愛情深い父親だとしてもいずれはどこかの国の王子と結婚するのではないだろうか。
「悪い。変なこと言って。別にお前を困らせたいんじゃな──」
「わっ、私も、私もリキが好き、大好き、すごく大好き、ずっとずっと前から好きだよ……!」
忘れてくれと言いそうになっていると、ローザリアが真っ赤な顔のまま慌てたように言ってきた。さすがに流輝も少し顔が熱くなる。
「ね、熱烈だな……」
「っだ、だって、だってリキ、絶対忘れてくれとか言いそうだったから」
「その通りだ。だってお前、第一王女だし」
「そんなの関係ない。それに、それ言うならリキだって光の救世主様じゃない。大丈夫、私たちお似合いだもの。すごくお似合いだから!」
真っ赤なままのくせに必死になって言ってくるローザリアが素直にかわいくて、流輝は破顔した。
「そっか。お似合いか。だったらなおさら俺、絶対帰ってこねーとな」
流輝はまたローザリアをぎゅっと抱きしめた。
王ノアは琉生が光の神殿へ向かうことにも、流輝がモールザ王国へ向かうことにも反対していたが、お互い「神殿を守りたい」「王子たちを確実に助けたい」と説得し、納得はしていないものの了承してもらっていた。それくらい、琉生の剣技や流輝の魔力量や魔法は国内外問わず飛びぬけていたのもある。この能力の高さも光の救世主としての能力に違いないとノアも認めざるを得なかったのだろう。
話し合いも終わり、明日の準備を各自済ませたら今日はもう早くに寝ようということで解散となった。
今日は自分たちの屋敷に戻ることなく、この城の中にある王宮に泊まることになっている。琉生はもう部屋に戻っているだろうかと思いながら流輝も準備されているであろう部屋へ向かおうとした。
「……リキ」
王宮内の広い中庭が望める廊下を虫の音を聞きながら歩いていると名前を呼ばれた。
「ローザリア? こんな時間にどうしたんだ。いくら王宮内だからって一人でうろついたら駄目だろ」
ローザリアの声だとすぐにわかり、振り返ると護衛騎士のエリスもつけずにローザリアが一人で流輝のところまでやって来ようとしていた。
「……お父様に聞いたの。詳しい話はもちろん教えていただいてないけど……リキ、明日モールザ王国へ行くんですってね、そして王子たちを脱出させるって」
「ああ。絶対王子たちを助けてくるよ」
ローザリアに笑いかけるも、いつもと違って笑顔が返ってこない。それどころか少し俯いてしまった。
「どうしたんだよ」
「……ちゃんと、帰ってきて」
「あ? ああ。あー、うん。帰ってくるよ」
どうしたんだと思ったが、多分流輝を心配してくれているのだろうとさすがにわかり、流輝は笑顔のままローザリアに頷いた。そしてシャツの中から首にかかっているネックレスを取り出してみせる。青い魔法石が小さく光った。
「それにこれがあるんだ。間違いなく俺は無事だな」
するとそのネックレスと流輝を見て、ようやくローザリアが笑みを見せてきた。だがまたすぐに悲しそうな顔になり、そのまま流輝に抱きついてきた。
「ロ……」
ついぎしりと体が固まったが、流輝は深呼吸するとローザリアの背中に手を回し、優しくぽんぽんとたたく。
「ほんとに、ほんとにほんとに無事帰ってきて。絶対だから。絶対なんだから」
ぎゅっと抱きついてくるローザリアに、流輝は表現しがたい気持ちが湧き起こってきた。くすぐったいような甘いような息苦しいような複雑そうな感情だ。
「ああ」
流輝もぎゅっと抱きしめ返した。抱きつかれた時は落ち着かなかったのに、こうして自分からぎゅっと抱きしめると妙に落ち着いてきた。まるで足りない自分の体の一部にピースがぴったりはまったかのような感覚さえある。一卵性双生児の琉生ならまだしも、他人に対してそんな感覚になれるのかと何だか不思議だった。
「あ」
おもわず声が出て、ローザリアが悲しそうな表情はそのままに、怪訝そうな様子で流輝の腕の中から見てきた。
「どうしたの?」
「俺、ピンときちゃって……」
「? 何が……?」
それは突然だった。今までもローザリアに対して怪訝な気持ちになったことは何度もあるが、いつもよくわからないままだった。だが今、突然ピンときた。
だってそうだろ……こんなに自分の中でピースがぴったりはまるような感じになんの、それしかねーだろ……。
ずっとよくわからないからわたわたしたり変に照れたりぎこちなくなったりしていた。だがわかってしまえばとてもスッキリする。
「ローザリア」
名前を呼ばれ、ローザリアは腕の中のまま改めて流輝を見てきた。
「俺、お前が好きだわ」
笑顔で言うと、ローザリアはポカンとしてからしばらくしてようやくわかったかのように頷いてきた。
「もちろん私だってリキもルイも好きだよ」
「ちげーよ。俺の好きはそれじゃなくて。いやまあその好きもずっとあるけど。そうじゃなくて、こうして抱きしめて離したくねーなって好きだ」
途端、ローザリアが真っ赤になってきた。自覚したのもあってその様子を流輝は素直に「かわいいな」と思えた。そんな自分の感情にテンションが上がる。
俺、ちゃんと女の子好きになれんだな。今まで全然そういうの興味ねえ気がしてたし、下手したらやっぱ俺、ガキなんかなってちょっと思ってたわ。
とはいえローザリアはこの国の第一王女だ。いくらノアが愛情深い父親だとしてもいずれはどこかの国の王子と結婚するのではないだろうか。
「悪い。変なこと言って。別にお前を困らせたいんじゃな──」
「わっ、私も、私もリキが好き、大好き、すごく大好き、ずっとずっと前から好きだよ……!」
忘れてくれと言いそうになっていると、ローザリアが真っ赤な顔のまま慌てたように言ってきた。さすがに流輝も少し顔が熱くなる。
「ね、熱烈だな……」
「っだ、だって、だってリキ、絶対忘れてくれとか言いそうだったから」
「その通りだ。だってお前、第一王女だし」
「そんなの関係ない。それに、それ言うならリキだって光の救世主様じゃない。大丈夫、私たちお似合いだもの。すごくお似合いだから!」
真っ赤なままのくせに必死になって言ってくるローザリアが素直にかわいくて、流輝は破顔した。
「そっか。お似合いか。だったらなおさら俺、絶対帰ってこねーとな」
流輝はまたローザリアをぎゅっと抱きしめた。
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