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3章 騎士編 光の救世主
97話
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琉生とローザリアがそんな話をしているなどと、これっぽっちも思っていない流輝はその頃、竜馬によって早々に到着していた目的地から、作戦通りまずは第一王子を見つけてこっそり合図を送り、倉庫に身を隠しながら話をしているところだった。
琉生と一緒に作った地図も役立った。さすがに城の中を気軽に模様替えだのなんだのしないようだ。以前見た時とあまり変わっていないように思える。
「まさか助けに来てくださるとは」
「捨て置けと言われてハイそうですかなんてさすがに無理ですよ」
流輝が苦笑するも、セオは申し訳なさそうな顔で頭を一旦下げてきた。
「ありがとうございます。……しかしあなたまで来てくださるなんて……。光の救世主をこれ以上危険な目に遭わせるわけにはいきません。あとあの賢王であられるノア王がよくあなたがこんな場所へ来るのを許されましたね。私ならそんな判断など到底できないでしょう。さすがのノア王だからこそ、でしょうか」
ノアを持ち上げ尊敬してくれるのは流輝としても何だか嬉しいが、実際は流輝や琉生がある意味駄々をこねたようなものだ。ノアは最後まで渋っていた。だがここは琉生を見習い、笑みだけ見せておく。
セオは何とか正妃たちと幼い王子、王女たちを他の倉庫に身を隠させ、自分は第二王子であるロニーを助けに行く途中だったようだ。正妃たちが身を隠している倉庫は今のところ幸い魔族に見つかっていないし、数名の闘技奴隷が守ってくれているらしい。
ちなみに他の奴隷たちも解放し助け出そうとしたが、闘技奴隷と違って足手まといにしかならないためむしろ王子たちを危険にさらすことになりかねない、と言われたのだと言う。
「一旦諦めましたが、でも彼らも皆、いずれどうにか助けたいと思っています」
セオは悔しそうに言っていた。
魔族たちは神殿を攻める準備に忙しいのもあり、今のところセオたちに対してあまり警戒していないようだ。おそらくは女、子ども、それに正妃たちを守る際に多少戦ったとはいえ「言いなりのお飾り王子」だからと油断もあるのかもしれない。それもあり、セオも正妃たちの身を隠すとロニーを助けに行こうとしていたのだろう。
ロニーは流輝たちの予想通り、地下の水路奥にあるらしい地下牢に閉じ込められているようだ。奴隷が教えてくれたのだとセオは言う。
そんな地下牢への通路は一部狭くなっているところもあるらしい。
「そこもあまり何人もで行かないほうがいいな」
流輝が言うとキャスが頷いてきた。
「俺と彼らの中からあと一人か二人が、セオ殿下と一緒に向かいます」
彼らというのは一旦倉庫で合流したメンバーの中にいる精鋭騎士たちのことだ。確かにキャスたちならば何かあっても対応できるだろう。だが流輝は首を横に振った。
「俺も行く」
「とんでもない。リキ様はここで……」
「神殿のことがあるから魔術師はほぼいない。こっちのメンバーに何人かいる他の魔術師の魔法は主に空間系の魔法だし外で待機してるだろ。俺ならどんな魔法もいける。で、潜入状態で地下牢へ行くってのに魔術師を使わない手はないだろ」
「……はぁ。わかりましたよ。リキ様はたまに言っても聞かない頑固者になりますからね」
ため息をついたものの簡単に譲歩してきたキャスに、セオは驚いた顔を向けた。
「確かあなたはリキ様の護衛騎士ですよね。ノア王だけでなく護衛騎士までもがそんなに簡単にリキ様の行動を許されるんですか。光の救世主ですよ?」
「殿下、この方は言い出したら聞かないとこあるので。あと、多分俺やここにいる精鋭騎士たちが束になってかかってもリキ様には敵わないと思います。だからですよ」
結局セオとキャス、そして流輝だけで向かうことにした。帰りはロニーを入れて四人だ。隠れるにも何かあった時に対応するにもちょうどいい人数だと流輝は満足する。
どうせ待っている状態ならと、残りのメンバーたちは別の倉庫にいる正妃たちの場所へ向かわせることにした。そこで何かあれば闘技奴隷たちと手を合わせて対応して欲しいと流輝は頼んだ。
地下牢へ向かうまでの間、流輝は「少人数だからかけやすい」と目くらましの魔法をセオとキャス、そして自分にかけた。流輝より魔力の能力が高いか、もしくは見つかった状態でかけた場合だとこの魔法は無効になる。そのため流輝たちお互いは見えるし、万が一魔族や操られている兵士たちがやって来たとしても、滅多に流輝より能力の高い魔力を持つ者などいないだろう。
地下は水路のせいもあり薄暗くじめじめとした感じだった。そこから柵を超えて狭い通路に入ると、ますます暗くなっていく。たまに魔具であるランプがぼんやりと狭い範囲を灯しているが、周りを見渡せる余裕は皆無そうだ。
時折来た道にあった水路の関係か、水がぽたん、ぽたんと滴る音がどこからか聞こえてきて不気味な雰囲気を演出してくれている。ここが元の世界のお化け屋敷ならそれも楽しかったかもしれないが、今の状況だと全くもってありがたくはない。
こんな場所に王子を閉じ込めているのかと、さすがの流輝も深刻な顔になる。ニューラウラ王国で今も拘束されているローガン王もそうだが、通常であれば王族はそれなりの部屋で拘禁されるはずだ。こんな地下牢に閉じ込めるなど、いくらとんでもない罪を犯した王族であってもこの世界ではまずあり得ない。それだけ今の状況が異常なのだろう。
奥へ進むごとにますます暗くなっていく。だが薄暗いランプが間隔をあけて灯っているため何も見えないわけではない。しばらくすると、ところどころで兵士が倒れていることに気づいた。何かあったのは間違いない。
三人とも警戒を強くしつつ進むと、ようやく地下牢が見えてきた。それとともにその場所から誰かの声が漏れ聞こえてきた。
琉生と一緒に作った地図も役立った。さすがに城の中を気軽に模様替えだのなんだのしないようだ。以前見た時とあまり変わっていないように思える。
「まさか助けに来てくださるとは」
「捨て置けと言われてハイそうですかなんてさすがに無理ですよ」
流輝が苦笑するも、セオは申し訳なさそうな顔で頭を一旦下げてきた。
「ありがとうございます。……しかしあなたまで来てくださるなんて……。光の救世主をこれ以上危険な目に遭わせるわけにはいきません。あとあの賢王であられるノア王がよくあなたがこんな場所へ来るのを許されましたね。私ならそんな判断など到底できないでしょう。さすがのノア王だからこそ、でしょうか」
ノアを持ち上げ尊敬してくれるのは流輝としても何だか嬉しいが、実際は流輝や琉生がある意味駄々をこねたようなものだ。ノアは最後まで渋っていた。だがここは琉生を見習い、笑みだけ見せておく。
セオは何とか正妃たちと幼い王子、王女たちを他の倉庫に身を隠させ、自分は第二王子であるロニーを助けに行く途中だったようだ。正妃たちが身を隠している倉庫は今のところ幸い魔族に見つかっていないし、数名の闘技奴隷が守ってくれているらしい。
ちなみに他の奴隷たちも解放し助け出そうとしたが、闘技奴隷と違って足手まといにしかならないためむしろ王子たちを危険にさらすことになりかねない、と言われたのだと言う。
「一旦諦めましたが、でも彼らも皆、いずれどうにか助けたいと思っています」
セオは悔しそうに言っていた。
魔族たちは神殿を攻める準備に忙しいのもあり、今のところセオたちに対してあまり警戒していないようだ。おそらくは女、子ども、それに正妃たちを守る際に多少戦ったとはいえ「言いなりのお飾り王子」だからと油断もあるのかもしれない。それもあり、セオも正妃たちの身を隠すとロニーを助けに行こうとしていたのだろう。
ロニーは流輝たちの予想通り、地下の水路奥にあるらしい地下牢に閉じ込められているようだ。奴隷が教えてくれたのだとセオは言う。
そんな地下牢への通路は一部狭くなっているところもあるらしい。
「そこもあまり何人もで行かないほうがいいな」
流輝が言うとキャスが頷いてきた。
「俺と彼らの中からあと一人か二人が、セオ殿下と一緒に向かいます」
彼らというのは一旦倉庫で合流したメンバーの中にいる精鋭騎士たちのことだ。確かにキャスたちならば何かあっても対応できるだろう。だが流輝は首を横に振った。
「俺も行く」
「とんでもない。リキ様はここで……」
「神殿のことがあるから魔術師はほぼいない。こっちのメンバーに何人かいる他の魔術師の魔法は主に空間系の魔法だし外で待機してるだろ。俺ならどんな魔法もいける。で、潜入状態で地下牢へ行くってのに魔術師を使わない手はないだろ」
「……はぁ。わかりましたよ。リキ様はたまに言っても聞かない頑固者になりますからね」
ため息をついたものの簡単に譲歩してきたキャスに、セオは驚いた顔を向けた。
「確かあなたはリキ様の護衛騎士ですよね。ノア王だけでなく護衛騎士までもがそんなに簡単にリキ様の行動を許されるんですか。光の救世主ですよ?」
「殿下、この方は言い出したら聞かないとこあるので。あと、多分俺やここにいる精鋭騎士たちが束になってかかってもリキ様には敵わないと思います。だからですよ」
結局セオとキャス、そして流輝だけで向かうことにした。帰りはロニーを入れて四人だ。隠れるにも何かあった時に対応するにもちょうどいい人数だと流輝は満足する。
どうせ待っている状態ならと、残りのメンバーたちは別の倉庫にいる正妃たちの場所へ向かわせることにした。そこで何かあれば闘技奴隷たちと手を合わせて対応して欲しいと流輝は頼んだ。
地下牢へ向かうまでの間、流輝は「少人数だからかけやすい」と目くらましの魔法をセオとキャス、そして自分にかけた。流輝より魔力の能力が高いか、もしくは見つかった状態でかけた場合だとこの魔法は無効になる。そのため流輝たちお互いは見えるし、万が一魔族や操られている兵士たちがやって来たとしても、滅多に流輝より能力の高い魔力を持つ者などいないだろう。
地下は水路のせいもあり薄暗くじめじめとした感じだった。そこから柵を超えて狭い通路に入ると、ますます暗くなっていく。たまに魔具であるランプがぼんやりと狭い範囲を灯しているが、周りを見渡せる余裕は皆無そうだ。
時折来た道にあった水路の関係か、水がぽたん、ぽたんと滴る音がどこからか聞こえてきて不気味な雰囲気を演出してくれている。ここが元の世界のお化け屋敷ならそれも楽しかったかもしれないが、今の状況だと全くもってありがたくはない。
こんな場所に王子を閉じ込めているのかと、さすがの流輝も深刻な顔になる。ニューラウラ王国で今も拘束されているローガン王もそうだが、通常であれば王族はそれなりの部屋で拘禁されるはずだ。こんな地下牢に閉じ込めるなど、いくらとんでもない罪を犯した王族であってもこの世界ではまずあり得ない。それだけ今の状況が異常なのだろう。
奥へ進むごとにますます暗くなっていく。だが薄暗いランプが間隔をあけて灯っているため何も見えないわけではない。しばらくすると、ところどころで兵士が倒れていることに気づいた。何かあったのは間違いない。
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