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3章 騎士編 光の救世主
106話
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流輝の底が知れないほどの魔力により、溢れかえるほどいた負傷兵は皆回復した。
新たに運ばれてきた兵は、すでにいた負傷兵が重傷であればあるほど死にそうな表情でげっそりしつつも体は完全に治っている様子を見て「よほど死の淵をみるような怪我をしたんだろうに、よく治ったな……」などと思ったが正確には違う。
「……リキ様のあの回復魔法はどうなってるんだ」
「俺、今までも他の魔術師に回復魔法かけてもらったことあるけどさ、確かに痛みはあるよ? あるけど、あるけど……」
「まあ、なんていうか……治療の範囲内というか……」
「他の水属性や風属性の魔法が使える魔術師の回復魔法なら完全に治せなかったりはするもののあれほどの苦痛は……」
「いやでもリキ様の魔法だとどれだけひどい傷だって痕も残らないほど治るよな」
「でもあの痛みは……」
「俺、負った傷より百倍は痛かった」
「お前、あれ放っておいたら腕もげてたぞ」
「いやでもマジそれくら痛みが……」
治してもらった兵たちがこんな会話をしていることを新たな負傷兵は知らないが、どのみち後で身をもって知ることになる。
一通り治した流輝は、一旦琉生と一緒に救護テントから出た。
「何で兵士ら、あんな複雑そうな顔してたんだろな」
「……はは。それこそ何で兄さんはあれほど大勢のひどい傷を完治させてもまだいくらでも魔法が使えそうだってのに、あんなに回復魔法、苦手なの。普通苦手なら治すのも苦手だし、ひどい傷完治させるほどなら回復魔法は得意だと思うんだけど」
「俺も不思議」
微妙な顔の琉生に対し流輝があははと笑いながらテントから離れようとしているところへ、慌てた様子の兵士が駆け込んできた。指令本部であるテントと間違えたくらい、慌てているようだ。
「どうしたんだ」
「そ、それが……モ、モールザ王国軍であると思われる兵たちが大勢でやって来て……! モールザ王国の王子であるセオ殿下かロニー殿下と話が、話がしたい、と」
琉生は一体、といった様子で眉をひそめたが、流輝には思い当たることがあるようだった。早速この戦いの指揮をとっている隊長や王子たちの元へ向かい、その話をする。皆が警戒する中、モールザ王国第二王子のロニーが笑みを浮かべた。キャスも警戒を解き頷いている。
琉生が把握しきれていないまま、ロニーと流輝、キャスがその者たちがいる場所へ向かおうとした。すると各国の王子、ルーベンとテディも共に向かおうと言ってきた。
「ちょ、ちょっと待って兄さん。どういうこと。いくらここにロニー王子がいるとはいえ、今のモールザ王国軍は……」
「大丈夫。セオ殿下かロニー殿下を指名してきたってことは問題ない。ルイも来たらいい」
「……わかった。兄さんが大丈夫って言うなら信じる。それに何かあった時俺が兄さんを守るし」
「ありがたいけど、それって信じるって言えんのか……?」
流輝が苦笑している中、他の騎士たちは「危険です」「おやめください」と止めてくる。
「大丈夫。彼らは味方なんだ」
実際、待たせていたモールザ王国軍は皆ハーフブラットだった。そして地下牢で話をし、流輝たちを逃がすためにひきつけ役を買って出てくれたらしいハーフブラットの騎士が前へ出てきた。
「約束通り、説得できた者たちを連れてきました」
そしてロニーと流輝の前で跪く。
「我々は皆、今のこの状況を止めたいと思っており、また殿下方の力となれたらと思っている者ばかりです」
すると他の兵も一斉に跪いた。相当な数の兵たちが一斉に跪く光景は圧巻だった。だがロニーは怯むことなく笑みを浮かべる。
「皆、ありがとう。私たちはいまだ不利な状況にある。それでも皆、剣と魔法を持って戦ってくれるか」
ロニーの言葉に、兵が今度はまた一斉に立ち上がり、それなりの位である軍制服の上着を脱ぎ、一般歩兵と同じような格好となった。この場では大声で同意できない代わりの意思表示だと事情があまりわかっていない琉生も思った。
ひと段落ついたところでロニーが兵たちを指示している間に、流輝が琉生とルーベン、テディにモールザ王国でのことを説明した。
「事情はわかった。僕もロニー殿に賛同しよう。間違いなく我々の味方をする者ならば魔族だろうが人間だろうが構わぬ」
ルーベンが例の眩い笑みを浮かべた。同じくテディも浮かべてくる。
「そうだな。俺の兵はまだ納得できない者もいるだろうけど、俺自身が説得しよう。魔族に対する偏見はすぐになくなるものではないだろうな。それには時間が必要だけど、この場ではそうも言ってられない」
こちら側に寝返った形になるが、ハーフブラットの軍による加勢はかなり強力だった。一気に勢いづく。
「よし、この流れに乗れ! 俺に続け」
流輝も勢いづき、戦闘態勢に入った。ハーフブラットと流輝の魔力はかなりの戦力となった。
それでも戦いは長引いた。そんな中、ようやくソリアが最後の魔法円を解除したという連絡が入る。これで神殿を破壊されることはとりあえず免れた。あとはこの神殿を守りつつ、魔族や魔獣を退けるだけとなる。
かなりの数の敵を倒した琉生も少しホッとしつつ、流輝の姿を探した。すると神殿近くで一人の魔族と戦っていることに気づいた。
新たに運ばれてきた兵は、すでにいた負傷兵が重傷であればあるほど死にそうな表情でげっそりしつつも体は完全に治っている様子を見て「よほど死の淵をみるような怪我をしたんだろうに、よく治ったな……」などと思ったが正確には違う。
「……リキ様のあの回復魔法はどうなってるんだ」
「俺、今までも他の魔術師に回復魔法かけてもらったことあるけどさ、確かに痛みはあるよ? あるけど、あるけど……」
「まあ、なんていうか……治療の範囲内というか……」
「他の水属性や風属性の魔法が使える魔術師の回復魔法なら完全に治せなかったりはするもののあれほどの苦痛は……」
「いやでもリキ様の魔法だとどれだけひどい傷だって痕も残らないほど治るよな」
「でもあの痛みは……」
「俺、負った傷より百倍は痛かった」
「お前、あれ放っておいたら腕もげてたぞ」
「いやでもマジそれくら痛みが……」
治してもらった兵たちがこんな会話をしていることを新たな負傷兵は知らないが、どのみち後で身をもって知ることになる。
一通り治した流輝は、一旦琉生と一緒に救護テントから出た。
「何で兵士ら、あんな複雑そうな顔してたんだろな」
「……はは。それこそ何で兄さんはあれほど大勢のひどい傷を完治させてもまだいくらでも魔法が使えそうだってのに、あんなに回復魔法、苦手なの。普通苦手なら治すのも苦手だし、ひどい傷完治させるほどなら回復魔法は得意だと思うんだけど」
「俺も不思議」
微妙な顔の琉生に対し流輝があははと笑いながらテントから離れようとしているところへ、慌てた様子の兵士が駆け込んできた。指令本部であるテントと間違えたくらい、慌てているようだ。
「どうしたんだ」
「そ、それが……モ、モールザ王国軍であると思われる兵たちが大勢でやって来て……! モールザ王国の王子であるセオ殿下かロニー殿下と話が、話がしたい、と」
琉生は一体、といった様子で眉をひそめたが、流輝には思い当たることがあるようだった。早速この戦いの指揮をとっている隊長や王子たちの元へ向かい、その話をする。皆が警戒する中、モールザ王国第二王子のロニーが笑みを浮かべた。キャスも警戒を解き頷いている。
琉生が把握しきれていないまま、ロニーと流輝、キャスがその者たちがいる場所へ向かおうとした。すると各国の王子、ルーベンとテディも共に向かおうと言ってきた。
「ちょ、ちょっと待って兄さん。どういうこと。いくらここにロニー王子がいるとはいえ、今のモールザ王国軍は……」
「大丈夫。セオ殿下かロニー殿下を指名してきたってことは問題ない。ルイも来たらいい」
「……わかった。兄さんが大丈夫って言うなら信じる。それに何かあった時俺が兄さんを守るし」
「ありがたいけど、それって信じるって言えんのか……?」
流輝が苦笑している中、他の騎士たちは「危険です」「おやめください」と止めてくる。
「大丈夫。彼らは味方なんだ」
実際、待たせていたモールザ王国軍は皆ハーフブラットだった。そして地下牢で話をし、流輝たちを逃がすためにひきつけ役を買って出てくれたらしいハーフブラットの騎士が前へ出てきた。
「約束通り、説得できた者たちを連れてきました」
そしてロニーと流輝の前で跪く。
「我々は皆、今のこの状況を止めたいと思っており、また殿下方の力となれたらと思っている者ばかりです」
すると他の兵も一斉に跪いた。相当な数の兵たちが一斉に跪く光景は圧巻だった。だがロニーは怯むことなく笑みを浮かべる。
「皆、ありがとう。私たちはいまだ不利な状況にある。それでも皆、剣と魔法を持って戦ってくれるか」
ロニーの言葉に、兵が今度はまた一斉に立ち上がり、それなりの位である軍制服の上着を脱ぎ、一般歩兵と同じような格好となった。この場では大声で同意できない代わりの意思表示だと事情があまりわかっていない琉生も思った。
ひと段落ついたところでロニーが兵たちを指示している間に、流輝が琉生とルーベン、テディにモールザ王国でのことを説明した。
「事情はわかった。僕もロニー殿に賛同しよう。間違いなく我々の味方をする者ならば魔族だろうが人間だろうが構わぬ」
ルーベンが例の眩い笑みを浮かべた。同じくテディも浮かべてくる。
「そうだな。俺の兵はまだ納得できない者もいるだろうけど、俺自身が説得しよう。魔族に対する偏見はすぐになくなるものではないだろうな。それには時間が必要だけど、この場ではそうも言ってられない」
こちら側に寝返った形になるが、ハーフブラットの軍による加勢はかなり強力だった。一気に勢いづく。
「よし、この流れに乗れ! 俺に続け」
流輝も勢いづき、戦闘態勢に入った。ハーフブラットと流輝の魔力はかなりの戦力となった。
それでも戦いは長引いた。そんな中、ようやくソリアが最後の魔法円を解除したという連絡が入る。これで神殿を破壊されることはとりあえず免れた。あとはこの神殿を守りつつ、魔族や魔獣を退けるだけとなる。
かなりの数の敵を倒した琉生も少しホッとしつつ、流輝の姿を探した。すると神殿近くで一人の魔族と戦っていることに気づいた。
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