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3章 騎士編 光の救世主
107話
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何でこいつ、こんなに強いんだ?
先ほども流輝は結構強い魔族と戦っていた。その魔族は「お前のせいでモールザ王国の目論見が台無しだ」「結局お前がアーリマンの邪魔もしたのだったな」などとよくわからないことを言ってきていた。やたらと貴族気取りの魔族だったが流輝が何度か攻撃魔法を食らわせるとようやく倒れてくれた。
女性の姿をしつつも男のような口を利く魔族と戦っていたキャスも同じくようやく倒したらしく、二人で一瞬肩の力を抜いた時、目の前に現れたのがこの魔族だった。
他の魔族も十分に強いと流輝は思っていた。多分精鋭騎士や魔術師たちでも中々敵わないほどの強さだと、実際戦ってきて思っていた。
だが目の前の魔族はさらに比べ物にならないほど異様に強い。キャスも一緒になって、というか流輝を守るようにして戦っているが、剣豪であるキャスですら全く歯が立たない。
「クソ」
「……は。クソはお前だ、救世主。こんなことになるのなら、お前たちをさっさと倒しておけばよかった。お前たちなど、どちらでもいいと思ったのは判断ミスだった」
睨んできた魔族の言葉に、流輝の脳裏でディルアン事件がよきっていく。確かに命が狙われたものの深追いはされなかった。
「っていうか、お前が魔族の王なのか?」
「……は。まとめ役ではある。だが我々の王は永遠に一人だけだ」
笑ったかと思うと、その魔族は忌々しげな表情に変わった。そしてひときわ大きな力を放ってくる。
「リキ様……闇魔法です……! 避けなければ……っ」
「その前にお前が避けろキャス!」
このままだとキャスが間違いなく正面から食らってしまう、と流輝はとっさに思いきりキャスに体当たりした。予想外だったのかキャスは簡単に横へ転がるように吹っ飛ぶ。代わりに流輝の目の前に闇魔法が襲いかかってきていた。
「っリキ様……!」
体勢を持ち直しキャスが慌てて流輝の前に立ちはだかろうとするが、当然間に合わない。正面から受けるのでなくともこの威力では流輝も今回ばかりはもう無理かもと思いながらも何とかガードする魔法を繰り出そうとした。
だがその魔法が流輝の後ろを抜けて消えていっても流輝自体何ともない。一瞬たりともチリッともしなかった。
「な……んだ?」
いや、以前にもこんなことがなかっただろうか。
あまりに強い闇魔法だっただけに生きた心地さえしていない流輝が動揺しつつも唖然としていると、不可解そうな顔をした魔族がじっと流輝を見てきた。
「……そういえばアーリマンが何か……言っていた……」
「は?」
またアーリマンかよ誰だよと、まだ心臓がドキドキいっている流輝はその魔族を見返す。魔族は思いきり目を細めながら流輝を見ていた。
「確かに……お前から王の面影を……」
「え、何……」
その時、気合いの入った声とともに琉生がいつの間にか近くまで来ていて剣をその魔族に対し振り下ろしてきた。流輝に気を取られているようだったはずの魔族だが、それを容易にかわす。
琉生が攻撃してくれているならその間に強い魔法をと、普段ほぼ詠唱なしで魔法を使っている流輝はしっかり詠唱し始めた。それほどにこの魔族の力が強いと流輝も琉生もキャスもわかっていた。
そのキャスも流輝の詠唱を邪魔させないため、前へ出て琉生とは別に切りつけようとした。だが琉生もキャスもその魔族によって簡単に吹き飛ばされる。琉生はとっさに身を守り、何とか起き上がることができた。しかしキャスの後ろには流輝がいる。それをわかっていたキャスは退くこともできずまともに攻撃を食らったようだ。そのまま流輝の方へ飛ばされた。
詠唱途中でキャスが思いきりぶつかってきて、流輝はとっさの対応ができなかった。続けて放ってきた魔族の攻撃に対し、キャスを守ろうとして流輝もほぼまともに受けてしまったようだ。衝撃で流輝もキャスも飛ばされる。そして気を失ってしまったのか、流輝もキャスも動かなくなってしまった。流輝は魔法にやられたというより、打ち所が悪かったのかもしれない。
「兄さん……! キャス! ……嘘だ……兄さん、兄さん……リキ! リキ起きて!」
少し離れたところから琉生が叫ぶが、やはり流輝もキャスもピクリとも動かない。
「あ……」
それを目の当たりにした琉生の頭の中は真っ白になった。そのとたん、自分の中にほぼ持ち得てなかった魔力が暴発した。
一気にあちこちから魔族の叫び声が聞こえる。光の神殿近くだったためか、わずかな魔力しか持ち得ないはずが神殿の魔力により増強されたのか、光魔法の力は膨大だった。異様なほどの力を持つ、おそらくは魔族のリーダーであった者も、あちこちにいた魔族も魔獣もあっという間に消え去ってしまった。むしろ光魔法であるため、魔族の血が濃ければ濃いほどダメージは大きかったのだろう。人間たちは全く支障がなかったし、ハーフブラットたちは気を失ったり蹲っている者はいても消え去る者はいなかったようだ。
人間側の者がざわついている中、琉生は暴発により魔力を使い果たしてしまったのか一言も発することなくその場へ倒れる。
唖然としていた人間たちだったが、琉生が倒れたことで我に返った。慌てて救護兵たちが動き出す。倒れている味方をそして運び出した。もちろん流輝も運ばれようとしていたが、その際に目を覚ました。
「っつ……、どう、なっ」
どうなったのかと言いかけた流輝の目に、救護兵に囲まれその場で蘇生措置を取られている琉生の姿が入ってきた。
先ほども流輝は結構強い魔族と戦っていた。その魔族は「お前のせいでモールザ王国の目論見が台無しだ」「結局お前がアーリマンの邪魔もしたのだったな」などとよくわからないことを言ってきていた。やたらと貴族気取りの魔族だったが流輝が何度か攻撃魔法を食らわせるとようやく倒れてくれた。
女性の姿をしつつも男のような口を利く魔族と戦っていたキャスも同じくようやく倒したらしく、二人で一瞬肩の力を抜いた時、目の前に現れたのがこの魔族だった。
他の魔族も十分に強いと流輝は思っていた。多分精鋭騎士や魔術師たちでも中々敵わないほどの強さだと、実際戦ってきて思っていた。
だが目の前の魔族はさらに比べ物にならないほど異様に強い。キャスも一緒になって、というか流輝を守るようにして戦っているが、剣豪であるキャスですら全く歯が立たない。
「クソ」
「……は。クソはお前だ、救世主。こんなことになるのなら、お前たちをさっさと倒しておけばよかった。お前たちなど、どちらでもいいと思ったのは判断ミスだった」
睨んできた魔族の言葉に、流輝の脳裏でディルアン事件がよきっていく。確かに命が狙われたものの深追いはされなかった。
「っていうか、お前が魔族の王なのか?」
「……は。まとめ役ではある。だが我々の王は永遠に一人だけだ」
笑ったかと思うと、その魔族は忌々しげな表情に変わった。そしてひときわ大きな力を放ってくる。
「リキ様……闇魔法です……! 避けなければ……っ」
「その前にお前が避けろキャス!」
このままだとキャスが間違いなく正面から食らってしまう、と流輝はとっさに思いきりキャスに体当たりした。予想外だったのかキャスは簡単に横へ転がるように吹っ飛ぶ。代わりに流輝の目の前に闇魔法が襲いかかってきていた。
「っリキ様……!」
体勢を持ち直しキャスが慌てて流輝の前に立ちはだかろうとするが、当然間に合わない。正面から受けるのでなくともこの威力では流輝も今回ばかりはもう無理かもと思いながらも何とかガードする魔法を繰り出そうとした。
だがその魔法が流輝の後ろを抜けて消えていっても流輝自体何ともない。一瞬たりともチリッともしなかった。
「な……んだ?」
いや、以前にもこんなことがなかっただろうか。
あまりに強い闇魔法だっただけに生きた心地さえしていない流輝が動揺しつつも唖然としていると、不可解そうな顔をした魔族がじっと流輝を見てきた。
「……そういえばアーリマンが何か……言っていた……」
「は?」
またアーリマンかよ誰だよと、まだ心臓がドキドキいっている流輝はその魔族を見返す。魔族は思いきり目を細めながら流輝を見ていた。
「確かに……お前から王の面影を……」
「え、何……」
その時、気合いの入った声とともに琉生がいつの間にか近くまで来ていて剣をその魔族に対し振り下ろしてきた。流輝に気を取られているようだったはずの魔族だが、それを容易にかわす。
琉生が攻撃してくれているならその間に強い魔法をと、普段ほぼ詠唱なしで魔法を使っている流輝はしっかり詠唱し始めた。それほどにこの魔族の力が強いと流輝も琉生もキャスもわかっていた。
そのキャスも流輝の詠唱を邪魔させないため、前へ出て琉生とは別に切りつけようとした。だが琉生もキャスもその魔族によって簡単に吹き飛ばされる。琉生はとっさに身を守り、何とか起き上がることができた。しかしキャスの後ろには流輝がいる。それをわかっていたキャスは退くこともできずまともに攻撃を食らったようだ。そのまま流輝の方へ飛ばされた。
詠唱途中でキャスが思いきりぶつかってきて、流輝はとっさの対応ができなかった。続けて放ってきた魔族の攻撃に対し、キャスを守ろうとして流輝もほぼまともに受けてしまったようだ。衝撃で流輝もキャスも飛ばされる。そして気を失ってしまったのか、流輝もキャスも動かなくなってしまった。流輝は魔法にやられたというより、打ち所が悪かったのかもしれない。
「兄さん……! キャス! ……嘘だ……兄さん、兄さん……リキ! リキ起きて!」
少し離れたところから琉生が叫ぶが、やはり流輝もキャスもピクリとも動かない。
「あ……」
それを目の当たりにした琉生の頭の中は真っ白になった。そのとたん、自分の中にほぼ持ち得てなかった魔力が暴発した。
一気にあちこちから魔族の叫び声が聞こえる。光の神殿近くだったためか、わずかな魔力しか持ち得ないはずが神殿の魔力により増強されたのか、光魔法の力は膨大だった。異様なほどの力を持つ、おそらくは魔族のリーダーであった者も、あちこちにいた魔族も魔獣もあっという間に消え去ってしまった。むしろ光魔法であるため、魔族の血が濃ければ濃いほどダメージは大きかったのだろう。人間たちは全く支障がなかったし、ハーフブラットたちは気を失ったり蹲っている者はいても消え去る者はいなかったようだ。
人間側の者がざわついている中、琉生は暴発により魔力を使い果たしてしまったのか一言も発することなくその場へ倒れる。
唖然としていた人間たちだったが、琉生が倒れたことで我に返った。慌てて救護兵たちが動き出す。倒れている味方をそして運び出した。もちろん流輝も運ばれようとしていたが、その際に目を覚ました。
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