蛇 と 兎

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19.堪らない兎 ※

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 千景の事が好きでたまらない。優史は溢れ出てとまらない気持ちを舌に込めた。
 自分では特に自覚はないが、優史の外見は悪くないらしい。

「むしろいいんだよ、ほんっと自覚ねぇなぁ。背も高ぇし顔もいいしであームカつくムカつく」

 職場である学校の、隣のクラスの担任は教師同士で飲みに行った時に言っていた。ムカつくなどと言いながらもいつも話かけてくれたりと好意を示してくれる、明け透けなもの言いであるこの教師の事も優史は好きである。

 外見は、悪くない。でも。

 優史は思う。もしかしたら、むしろだからなのだろうか。今まで付き合った女性からは「そんな人だと思わなかった」などとよく言われた。優史自身はあまり自分を偽って人と接したことはないつもりだ。それでも親密になるにつれそういう風に言われ、落ち込む。

 それって本当に自分自身を否定されているということだよね?

 確かに子供の頃と違い、優史は自分の好きなことや好きなものを明け透けにはしていないかもしれない。

 でも他の人も普通そんなに自分の趣味や好みをばんばんと押し出したりしないよね?

 かわいいものが好きだと言うと妙な顔をされたり、好きな相手に料理したり何かをしたいと思うと男らしくないと言われたりして、最終的に「そんな人だとは……」と突き放されるのは辛い。
 どんな人だと思われて好意を持ってくれたのか知らないが、少なくとも実際の優史ではないのだろうなと思うと切なくなった。
 普通に友だちや知り合いとして接している限りでは皆、優史を否定してはこない。友人として、または同僚として接している内に、例えば優史がとてもかわいいものが好きなのだと知ったり、好きな相手に甲斐甲斐しく色々何かするのが好きだと知っても否定はされない。

 笑われる事はあるけれども。

 だが千景は違う。どんどん優史を知っても笑わないしバカにしない。どんなことも受け入れてくれる。
 最初好きになった理由は多分全然違うのだろうけれども、優史は今、千景のそんな部分が堪らなく嬉しかった。
 もちろん、千景の怖い部分には気づいている。例えば優史をいたぶり弄んで楽しんでいるところ。
 それでも優史は千景が好きでたまらない。例え優史の気持ちをいたぶり弄んできても、千景は本当に傷つけてはいけないところをちゃんとわかっていて、その部分には決して攻撃してこない人だと思っている。

 高校生でありながらそういったところを見極めて俺を弄んでくる性格はある意味本気で怖いとは思うけれども……。

「……そんなところ必死で舐めるくらい、俺が好きなの?」

 千景が静かに聞いてくる。

「……っん……、好き……」

 ゆったり一人用のソファーに足を組んで座っている千景。優史はその千景の素足に舌を這わせていた。
 悠然と座る千景を見ているだけで堪らなくなる。気づけば優史は足の甲に口づけしていた。千景に言われてなのか自分からしたのかも、もうわからない。しかもキスをするだけでは足りなくなり、優史は必死になって舐めた。
 足の甲も、裏も、そして指も。足の指を咥えると、ただそれだけで興奮してきた。

「ほんと、変態。かわいい変態……」

 囁く千景の声が耳から内臓に響く。
 他の人にしたいなどとは思えない。千景だから。
 千景だから余すところなく全てを舐め、味わい、そして欲しいと思う。優史は足首まで舐めるともどかしい思いに駆られた。

 ズボンが、邪魔……。もっとふくらはぎや膝の裏、そして太腿も全て、味わいたいのに……。でも……。

 優史は腰をあげて千景の足の間に入る。

 それらよりも、もっと味わいたいのは……。

「ちか、げ……、いい……? 舐めても、いい?」

 すると千景はまるで嘲笑するような笑みを浮かべてくる。だというのに優史はショックではない。むしろ、そんな表情すらも堪らなくなる。

「そんなに舐めたいの? そうだね、じゃあお願いするなら言い方があるよね?」

 甘く、そして低く響く千景の声に、優史の中が震える。

「ぁ……、お願い……、ち……かげ……。どうか俺に、舐めさせて……」
「……いいよ」

 許可を貰うと、優史は嬉しげに千景の前を寛げさせた。そして少しだけ反応してくれているペニスに気づくとさらに興奮する。

「……っん……ふ」

 はやる心を押さえながら、優史はゆっくりとソレを口に含んだ。

 千景の味が、する。

 その根元から先までを舐める。舐めながらたまに唇で横から咥えると、少しずつそれは硬さを増していき、ますます嬉しくなる。

「ん、ぁ……千景……、ん」

 舐めても舐めても足りなくて、優史は自分の口の中に含んだ。唇を丸めながら吸うようにして上下させる。どんどんと嵩を増していくそれが堪らなく愛しくて吸っては舐め、また必死になって吸う。

「優史は、そんなにそれが好きなの……?」

 頭を優しく撫でてくれる千景が静かに聞いてくる。

 好き。
 でも千景のだから、こんなにも、好き。

 コクコクと頷きながら、優史はさらに味わった。たまに喉の奥まで入ってしまい、さすがに苦しくて思わず涙目になる。それでも堪能する事をやめられなかった。自分自身も存在を辛いほどにアピールしてくる。

「……優史、腰が揺れてるよ? 好きもの」
「ぅ、ん、んん」

 好きものと言われているのに興奮する。すると千景が片足の指で優史のペニスの辺りをなぞってきた。

「っんん、ぅ……っ」

 千景のペニスに歯があたらないよう口を窄めながらも、優史はビクリと体を震わせる。

「はしたない程に硬くなってるじゃない。どうするの、これ?」

 聞かれて優史は少しペニスから口を離し、舐めながらも「出し、たい」と訴えた。

「いいよ。そうだね、とりあえず俺のを咥えながら、自分で扱いて?」

 優史は素直にズボンのチャックを開け、千景のを咥えながらもズボンと下着を下ろした。
 もちろん、今でも恥ずかしい。堪らなく恥ずかしい。だが、はやる気持ちには勝てない。
 千景が好きで好きで堪らなくて、そして千景を思って滾る熱を、どうにかしたくて堪らない。

「ぅふ、ぅ、ん、んん、んっ」

 相変わらず千景のペニスを咥えてしゃぶり、吸いこみながらも優史は自分のペニスに手をやった。既にぬるぬるとしていて、辺りに千景のを咥えている音だけでなくもっと卑猥な水音が静かに響く。

「前だけでいいの……?」

 優しく聞いてくる千景の声がぼんやりと頭に入ってくる。

 ううん。後ろも、欲しい。

 優史はもう片方の手を、ぬるぬるとしたペニスで濡らすと自分の後ろに回した。
 本当は、千景のが欲しい。まだ挿れてもらったことのない、千景のこの熱く硬い尖りが欲しくて堪らない。

「……っん、ふっ」

 それでも今この状況ですら、優史にとっては堪らないご褒美でもあった。

 千景、好き。本当に、好き……。

 口の中に広がる暖かいものを感じた途端、優史は自分のものも同じように放出させていた。
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