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6話
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年明けすぐにまた大胡や碧と顔を合わせ、瑠衣は神社へ向かっていた。最初に大胡と顔を合わせた時「お前に会いたくないわけじゃないけどそろそろ俺も、お前に最近会ってねえなあって勢いで彼女とデートしたいし初詣にも行きたいんだけど」と言われる。
「新年最初にそれ? まあでも俺は寛大だから怒らずお前がそうなるよう祈っといてやるよ」
「さすが光王子」
「やっぱ俺と嫌ってほど頻繁に会いますようにって祈るわ」
「っく。つかそうなるとお前だって彼女もできず俺とばっか過ごす羽目になるんだけど?」
「別に俺はそれでもいいよ」
「やだ、光王子の本命、俺だったの?」
頬に手を当てて照れる振りをしている大胡を無視し、瑠衣は少し歩を早めた。
「おい、待てよ。つかさー、ここら辺住んでたら絶対あの神社に初詣いくだろ?」
「? まぁ」
「でも家も近いってのにやっぱ五十島には会わねえな。女と過ごしてて健全に初詣なんかやってられねーとかかな。それとも実は大晦日からすげー張り切って行っちゃうタイプだったりしてな、あんな派手になってんのに。ちょっとそれ笑えるからいいな」
「……いくら近くても時間まで被るとは限らないだろ」
確かに瑠衣も今の七瀬に対してとても派手な印象しか持っていなかった。だが年末最後の部活が終わった日にばったり会った時にほんの少しだけ口を利いた際の七瀬はどちらかといえば物静かな雰囲気だった。見た目は派手だが、派手に遊び倒しているような印象ではなかった気がする。とはいえ話したのは本当に一瞬だったしほぼ内容なんてないようなものだったので瑠衣がそう思いたいだけなのかもしれない。
「ま、そっか。あいつさー、ほんと何であーなったのかなー」
「……」
俺のせいだ、とはさすがに言えない。言えば「何で」となるだろうし、瑠衣には七瀬が告白してきたことを伏せて上手く説明できそうにない。嘘でもなんでも上手く言葉が浮かぶ人になりたかったとほんのり思う。
「つっても俺、親しみあった昔でさえさぁ、あいつに何だろなー、嫌われてるとまではいかないんかもだけど、避けられてる? でもねーな、敵対視されてるが一番しっくりいくんかな、よくわかんねーけどちょっと壁作られてた気がする。俺は嫌いじゃなかったんだけどなー」
「え? そうなのか?」
それは知らなかった。昔の七瀬は人懐こくて誰からも好かれるような明るいタイプだったし、別に大胡のことに対しても特に何も言っていなかった気がする。
「おお」
「気のせいじゃないの。ああ、あれか、五十島って見た目も中身も好かれるタイプだったし、大胡、羨ましいあまり勝手にそんな風に捉えてたとかさ」
「お前は俺を何だと思ってんの。嫌いじゃなかったつってんだろ。そりゃ五十島もお前も俺からしたら心底羨ましすぎて抱きつきたいくらいだけど」
「意味がわからないな」
「でも嫉妬でねちねち悪く捉えるタイプじゃねーぞ俺。むしろこーやってばんばん本人にも口に出して浄化するタイプだ」
「ああ、そうだな」
浄化って、と笑いながら瑠衣は頷いた。たまに煩いが、大胡は裏がなくて気持ちがいい。
駅前に着くと碧はすでに到着していたようだ。年上の彼女と一緒に着物姿で何やら楽しそうに話している。
「おーい、あお! あけおめー!」
人見知りという言葉が多分自分の中の辞書にない大胡は彼女と楽しそうな碧の元へ親しげに駆けつける。瑠衣も苦笑しながら後に続いた。
「あけましておめでとう、碧。深山さん」
「おめでとう、大胡くん、瑠衣」
「あけましておめでとう、生駒くん」
「かんなさーん、久しぶり! 俺のこと覚えてる?」
「覚えてるよ、大胡くん。あけましておめでとう」
碧の彼女、紺奈がおかしそうに笑っていた。
その後四人で神社へ向かい、参拝してから出店を回った。賽銭して手を合わせる際、瑠衣の脳裏に七瀬が過ったが今さら仲直りを願うのもなと部活と受験について願った。
屋台の中に入って皆でお好み焼きと焼きそば、あとおでんを食べながら主に二人のデート場所について話した。そうしないと、ともすれば瑠衣は部活の話になりそうだし大胡は合コンについてひたすら頼みそうだからだが、一応今後の参考にもさせてもらった。告白されても断ってはいるが、瑠衣もそういったことに全く興味がないわけではない。いつか自分に好きな人ができればその人とデートだってしたいと思う。
二十歳を超えている紺奈は一人、美味しそうにビールを飲んでいた。それを大胡は羨ましそうに眺めつつ、この寒いのにコーラを飲んでいる。それを碧が指摘すれば「かんなさんだって冷たい炭酸飲んでんだろ」と返ってきた。酒とコーラは多分違うと瑠衣は思ったがスルーしておいた。碧と瑠衣は甘酒を飲んでいた。屋台の甘酒は米麹ではなく酒粕で作られていると聞いたことがあるのでアルコールがないわけではないが、それでもせいぜい1パーセント未満だろう。法律上でも多分未成年が飲んで問題ないものだと思われる。それでももっと子どもの頃はこの甘酒が瑠衣は苦手だった。酒がというよりショウガが苦手だったのかもしれない。
昔七瀬と屋台で飲んだことを覚えている。七瀬は好きだったみたいで瑠衣が「飲めない」というと美味しそうに瑠衣の分も飲んでくれた。ふとそれを思い出し、懐かしさに口元が綻んだ。
「新年最初にそれ? まあでも俺は寛大だから怒らずお前がそうなるよう祈っといてやるよ」
「さすが光王子」
「やっぱ俺と嫌ってほど頻繁に会いますようにって祈るわ」
「っく。つかそうなるとお前だって彼女もできず俺とばっか過ごす羽目になるんだけど?」
「別に俺はそれでもいいよ」
「やだ、光王子の本命、俺だったの?」
頬に手を当てて照れる振りをしている大胡を無視し、瑠衣は少し歩を早めた。
「おい、待てよ。つかさー、ここら辺住んでたら絶対あの神社に初詣いくだろ?」
「? まぁ」
「でも家も近いってのにやっぱ五十島には会わねえな。女と過ごしてて健全に初詣なんかやってられねーとかかな。それとも実は大晦日からすげー張り切って行っちゃうタイプだったりしてな、あんな派手になってんのに。ちょっとそれ笑えるからいいな」
「……いくら近くても時間まで被るとは限らないだろ」
確かに瑠衣も今の七瀬に対してとても派手な印象しか持っていなかった。だが年末最後の部活が終わった日にばったり会った時にほんの少しだけ口を利いた際の七瀬はどちらかといえば物静かな雰囲気だった。見た目は派手だが、派手に遊び倒しているような印象ではなかった気がする。とはいえ話したのは本当に一瞬だったしほぼ内容なんてないようなものだったので瑠衣がそう思いたいだけなのかもしれない。
「ま、そっか。あいつさー、ほんと何であーなったのかなー」
「……」
俺のせいだ、とはさすがに言えない。言えば「何で」となるだろうし、瑠衣には七瀬が告白してきたことを伏せて上手く説明できそうにない。嘘でもなんでも上手く言葉が浮かぶ人になりたかったとほんのり思う。
「つっても俺、親しみあった昔でさえさぁ、あいつに何だろなー、嫌われてるとまではいかないんかもだけど、避けられてる? でもねーな、敵対視されてるが一番しっくりいくんかな、よくわかんねーけどちょっと壁作られてた気がする。俺は嫌いじゃなかったんだけどなー」
「え? そうなのか?」
それは知らなかった。昔の七瀬は人懐こくて誰からも好かれるような明るいタイプだったし、別に大胡のことに対しても特に何も言っていなかった気がする。
「おお」
「気のせいじゃないの。ああ、あれか、五十島って見た目も中身も好かれるタイプだったし、大胡、羨ましいあまり勝手にそんな風に捉えてたとかさ」
「お前は俺を何だと思ってんの。嫌いじゃなかったつってんだろ。そりゃ五十島もお前も俺からしたら心底羨ましすぎて抱きつきたいくらいだけど」
「意味がわからないな」
「でも嫉妬でねちねち悪く捉えるタイプじゃねーぞ俺。むしろこーやってばんばん本人にも口に出して浄化するタイプだ」
「ああ、そうだな」
浄化って、と笑いながら瑠衣は頷いた。たまに煩いが、大胡は裏がなくて気持ちがいい。
駅前に着くと碧はすでに到着していたようだ。年上の彼女と一緒に着物姿で何やら楽しそうに話している。
「おーい、あお! あけおめー!」
人見知りという言葉が多分自分の中の辞書にない大胡は彼女と楽しそうな碧の元へ親しげに駆けつける。瑠衣も苦笑しながら後に続いた。
「あけましておめでとう、碧。深山さん」
「おめでとう、大胡くん、瑠衣」
「あけましておめでとう、生駒くん」
「かんなさーん、久しぶり! 俺のこと覚えてる?」
「覚えてるよ、大胡くん。あけましておめでとう」
碧の彼女、紺奈がおかしそうに笑っていた。
その後四人で神社へ向かい、参拝してから出店を回った。賽銭して手を合わせる際、瑠衣の脳裏に七瀬が過ったが今さら仲直りを願うのもなと部活と受験について願った。
屋台の中に入って皆でお好み焼きと焼きそば、あとおでんを食べながら主に二人のデート場所について話した。そうしないと、ともすれば瑠衣は部活の話になりそうだし大胡は合コンについてひたすら頼みそうだからだが、一応今後の参考にもさせてもらった。告白されても断ってはいるが、瑠衣もそういったことに全く興味がないわけではない。いつか自分に好きな人ができればその人とデートだってしたいと思う。
二十歳を超えている紺奈は一人、美味しそうにビールを飲んでいた。それを大胡は羨ましそうに眺めつつ、この寒いのにコーラを飲んでいる。それを碧が指摘すれば「かんなさんだって冷たい炭酸飲んでんだろ」と返ってきた。酒とコーラは多分違うと瑠衣は思ったがスルーしておいた。碧と瑠衣は甘酒を飲んでいた。屋台の甘酒は米麹ではなく酒粕で作られていると聞いたことがあるのでアルコールがないわけではないが、それでもせいぜい1パーセント未満だろう。法律上でも多分未成年が飲んで問題ないものだと思われる。それでももっと子どもの頃はこの甘酒が瑠衣は苦手だった。酒がというよりショウガが苦手だったのかもしれない。
昔七瀬と屋台で飲んだことを覚えている。七瀬は好きだったみたいで瑠衣が「飲めない」というと美味しそうに瑠衣の分も飲んでくれた。ふとそれを思い出し、懐かしさに口元が綻んだ。
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