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15話
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あれ以来、あれほど瑠衣を避けていた七瀬が今度は周りも唖然とするほど瑠衣に接触してくる。おまけに部活にまで入部してきた。
三年から入る者は相当珍しいだろう。それでもずっと一緒にテニスがしたいとは瑠衣も思ってはいたので戸惑いはあれど嬉しいといえば嬉しい。もちろん贔屓するつもりはないので最初は一年生と一緒の練習をしてもらっていた。だがずっと帰宅部を続けていたとは思えないほど基礎体力どころかテニスの腕もさほど落ちておらず、七瀬はあっという間に他の三年生すら追い越していった。
確かに元々七瀬は中学の時もエースだった。大胡も勝てたことがなかった。さすがに今ではいい勝負だが、ずっとやっていなかった者が大胡といい勝負の時点でどうかと思う。
「きっつい練習ずっとしてきた俺らの立場よ」
大胡が、それでもどこか嬉しそうに言えば七瀬はちらりと大胡を見て少し得意げな顔をした。
「あ、お前今、得意げな顔になっただろ」
すかさず大胡が言うも、すでに七瀬はふい、と違うところを見ている。
「お前さー、俺に対するなんかこう、敵意にも近い何か、中学の時より酷くなってね? 友だちだったのに酷くね?」
「生駒。基礎トレ終わった」
「あー、無視かよ無視ですか」
「おぅ。……っていうか大胡が何か言ってるぞ」
「次は何すんの」
大胡のことに関しては綺麗にスルーして七瀬が聞いてくる。以前大胡が「あいつに何だろなー、嫌われてるとまではいかないんかもだけど、避けられてる? でもねーな、敵対視されてるが一番しっくりいくんかな、よくわかんねーけどちょっと壁作られてた気がする。俺は嫌いじゃなかったんだけどなー」と言っていたことを瑠衣は思い出した。当時は気づかなかったが、今はもっとあからさまだからか瑠衣でもはっきりとわかる。
「……同じ部員同士仲よくするように」
困惑しつつ言えば七瀬は少しムッとしたような顔をした後で「大丈夫、お前は間違ってない。嫌いじゃないけど敵意あるから」と大胡に話しかけた。そしてまた瑠衣を見てくる。
「ちゃんと話、した」
「……」
面と向かって言われた大胡はだがショックを受けた様子も腹を立てた様子もなく、むしろ「やっぱそうだろ」とおかしげに笑っていた。
部活のない日はあっという間に拉致されるかのごとく引っ張られるようにして七瀬と共に学校を出る流れが多い。そしていつも七瀬の家へ連れて行かれる。
久しぶりに部屋へ行ってあの状況を目の当たりにして以来、初めて連れて行かれた時はあの二人の女子が部屋にいたことが脳裏に浮かんで何となく落ち着かないというかモヤるというか、すっきりしなかった。ただ、あの日から七瀬が幾人もの違う女子と一緒にいるところを瑠衣は見ていない。大胡や碧も見ていないと言っていた。
部屋では勉強することもある。成績はいいと教師は言っていたが、本人いわく「適当だったし勉強してない」らしい。テニス同様に元々頭もいいのもあるだろうが、高校に入ってから勉強しないとすぐに成績に響くものだと思っていた瑠衣は少々微妙な気持ちになった。
瑠衣に勉強を教わるようになった七瀬は実際「成績はいい」なんてものではなく、相当いい結果を出しているようだ。これも何となくモヤるというかすっきりしないなと瑠衣はまた微妙な気持ちで思ったりする。とはいえ自分のせいで将来まで台無しになってしまったらと思っていたことを考えると喜ばしいことだ。
「生駒」
「……」
部屋では勉強以外のこともしている。
体に触れてきて、そのまま抜かれたり、自分のと一緒に抜いたり、だろうか。やめろと最初は抵抗もしたが耳に触れられるとどうしても力が抜けてしまい、気づけばいいようにされていた。
ずっと避けていたくせに、風呂場での一件で七瀬はこういったことを瑠衣にしても問題ないと判断したのだろうか。そもそも七瀬は今、瑠衣のことをどう思っているのかもよくわかっていない。聞けばいいのだろうが「好きだ」と言われても「嫌いだが仕返ししている」と言われても平静でいられない気がしてしまって聞けていない。第一まだ瑠衣は七瀬に謝れていない。
……っていうか勃たないって言ってたのに普通に勃ってるだろ……。
もしかしたら何故か瑠衣に対してだけ勃起したのを幸いと、他の女子ではなく瑠衣に対してこういったことをしてくるのかもしれない。もしそれが理由なのだとしたらあれ程モテるというのに七瀬も何だかかわいそうな気もしないでもない。
瑠衣自身、中学の時に付き合っていた彼女と一通り経験しているものの慣れてはいない。それもあって相手は七瀬だというのに触れられたり刺激されると否応なしに反応し、結局射精してしまう。あと男とはいえ七瀬の様子があまりにも扇情的でつられてしまっているのもある。もちろん女のような淫らさ、艶っぽさ、色っぽさとは全然違い、あくまでも男らしい凄艶さなのだが、多分こういったことに性別はあまり関係ないのかもしれない。実際男に興味のない瑠衣も同性の俳優やスポーツ選手を見て格好いいと思ったり見惚れたりすることは当然ある。それと似たようなことじゃないだろうかと自分に言い聞かせた。
出してくる時のため息一つをとっても瑠衣にはない色気のようなものを感じる。
……経験の違いだろうか。
ついそんなことを思ってしまったが、七瀬は「中学の時から勃たなくなった」と言っていた。あまり自慢できる内容ではないだけに、わざわざこんなことに嘘はつかないだろう。ということはもしそういった経験があったのだとしても中学の時くらいで、瑠衣と変わらないことになる。
なら作りの違いか。
思わず苦笑していると名字を呼びかけてきた七瀬が瑠衣の首筋に触れてきた。
三年から入る者は相当珍しいだろう。それでもずっと一緒にテニスがしたいとは瑠衣も思ってはいたので戸惑いはあれど嬉しいといえば嬉しい。もちろん贔屓するつもりはないので最初は一年生と一緒の練習をしてもらっていた。だがずっと帰宅部を続けていたとは思えないほど基礎体力どころかテニスの腕もさほど落ちておらず、七瀬はあっという間に他の三年生すら追い越していった。
確かに元々七瀬は中学の時もエースだった。大胡も勝てたことがなかった。さすがに今ではいい勝負だが、ずっとやっていなかった者が大胡といい勝負の時点でどうかと思う。
「きっつい練習ずっとしてきた俺らの立場よ」
大胡が、それでもどこか嬉しそうに言えば七瀬はちらりと大胡を見て少し得意げな顔をした。
「あ、お前今、得意げな顔になっただろ」
すかさず大胡が言うも、すでに七瀬はふい、と違うところを見ている。
「お前さー、俺に対するなんかこう、敵意にも近い何か、中学の時より酷くなってね? 友だちだったのに酷くね?」
「生駒。基礎トレ終わった」
「あー、無視かよ無視ですか」
「おぅ。……っていうか大胡が何か言ってるぞ」
「次は何すんの」
大胡のことに関しては綺麗にスルーして七瀬が聞いてくる。以前大胡が「あいつに何だろなー、嫌われてるとまではいかないんかもだけど、避けられてる? でもねーな、敵対視されてるが一番しっくりいくんかな、よくわかんねーけどちょっと壁作られてた気がする。俺は嫌いじゃなかったんだけどなー」と言っていたことを瑠衣は思い出した。当時は気づかなかったが、今はもっとあからさまだからか瑠衣でもはっきりとわかる。
「……同じ部員同士仲よくするように」
困惑しつつ言えば七瀬は少しムッとしたような顔をした後で「大丈夫、お前は間違ってない。嫌いじゃないけど敵意あるから」と大胡に話しかけた。そしてまた瑠衣を見てくる。
「ちゃんと話、した」
「……」
面と向かって言われた大胡はだがショックを受けた様子も腹を立てた様子もなく、むしろ「やっぱそうだろ」とおかしげに笑っていた。
部活のない日はあっという間に拉致されるかのごとく引っ張られるようにして七瀬と共に学校を出る流れが多い。そしていつも七瀬の家へ連れて行かれる。
久しぶりに部屋へ行ってあの状況を目の当たりにして以来、初めて連れて行かれた時はあの二人の女子が部屋にいたことが脳裏に浮かんで何となく落ち着かないというかモヤるというか、すっきりしなかった。ただ、あの日から七瀬が幾人もの違う女子と一緒にいるところを瑠衣は見ていない。大胡や碧も見ていないと言っていた。
部屋では勉強することもある。成績はいいと教師は言っていたが、本人いわく「適当だったし勉強してない」らしい。テニス同様に元々頭もいいのもあるだろうが、高校に入ってから勉強しないとすぐに成績に響くものだと思っていた瑠衣は少々微妙な気持ちになった。
瑠衣に勉強を教わるようになった七瀬は実際「成績はいい」なんてものではなく、相当いい結果を出しているようだ。これも何となくモヤるというかすっきりしないなと瑠衣はまた微妙な気持ちで思ったりする。とはいえ自分のせいで将来まで台無しになってしまったらと思っていたことを考えると喜ばしいことだ。
「生駒」
「……」
部屋では勉強以外のこともしている。
体に触れてきて、そのまま抜かれたり、自分のと一緒に抜いたり、だろうか。やめろと最初は抵抗もしたが耳に触れられるとどうしても力が抜けてしまい、気づけばいいようにされていた。
ずっと避けていたくせに、風呂場での一件で七瀬はこういったことを瑠衣にしても問題ないと判断したのだろうか。そもそも七瀬は今、瑠衣のことをどう思っているのかもよくわかっていない。聞けばいいのだろうが「好きだ」と言われても「嫌いだが仕返ししている」と言われても平静でいられない気がしてしまって聞けていない。第一まだ瑠衣は七瀬に謝れていない。
……っていうか勃たないって言ってたのに普通に勃ってるだろ……。
もしかしたら何故か瑠衣に対してだけ勃起したのを幸いと、他の女子ではなく瑠衣に対してこういったことをしてくるのかもしれない。もしそれが理由なのだとしたらあれ程モテるというのに七瀬も何だかかわいそうな気もしないでもない。
瑠衣自身、中学の時に付き合っていた彼女と一通り経験しているものの慣れてはいない。それもあって相手は七瀬だというのに触れられたり刺激されると否応なしに反応し、結局射精してしまう。あと男とはいえ七瀬の様子があまりにも扇情的でつられてしまっているのもある。もちろん女のような淫らさ、艶っぽさ、色っぽさとは全然違い、あくまでも男らしい凄艶さなのだが、多分こういったことに性別はあまり関係ないのかもしれない。実際男に興味のない瑠衣も同性の俳優やスポーツ選手を見て格好いいと思ったり見惚れたりすることは当然ある。それと似たようなことじゃないだろうかと自分に言い聞かせた。
出してくる時のため息一つをとっても瑠衣にはない色気のようなものを感じる。
……経験の違いだろうか。
ついそんなことを思ってしまったが、七瀬は「中学の時から勃たなくなった」と言っていた。あまり自慢できる内容ではないだけに、わざわざこんなことに嘘はつかないだろう。ということはもしそういった経験があったのだとしても中学の時くらいで、瑠衣と変わらないことになる。
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