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進める虎に襲われる豹
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襲われた上に薬を飲まされていた生徒は思っていたよりもしっかりしていたのか、あの後もさほどトラウマになっている様子はなかった。
一見小柄で女子みたいなタイプなので、もっと泣いたりするかと思っていた渉は少しホッとした。本人は「これくらいで病んでいたら僕みたいな生徒は生き残れないんです……」などと本気か冗談かわからないようなことを言っていた。それを聞くと妙に納得してしまうところが嫌だなとだが渉は思う。
薬の問題がなくなっても、やはり今後も無理やりな行為などの暴行はなくならないだろう。公にならなくても、きっとどこかで発生している。
普通の共学でもそういう問題はあるかもしれない。なくても「いじめ」という名の暴力はよく問題になっていると聞く。この学校は恋愛絡みやレイプといった問題があるわりに、世間で聞くようないじめ問題は聞いたことない。レイプもいじめの一種かもしれないし、もしかしたらいじめも水面下ではあるのかもしれない。ただ少なくとも誰の口からも聞いたことなかったし、見回りする渉も見たことはなかった。
恋愛絡みの喧嘩が発生しても、むしろそこだけは妙に男らしくわかりやすい喧嘩だったりする。誰かが人気者の誰かを好きだから皆でいじめようなどといったネチネチとしたものはなかった。
結局、どこの学校でも何らかの問題はあるのだろうとは思う。ただ、渉は「だから仕方ない」で片づけるのは嫌だった。いずれもっと色々変えていけたらと思いつつ、渉は職員室奥の部屋を借り、許可を得た上で個人情報は載っていない生徒名簿一覧を見ていた。
件の生徒を襲っていた生徒からは、薬の入手方法について聞いている。そこから導き出された生徒を探していた。
「……こいつか……」
そして自分と同じ二年生の中に探していた生徒を見つけた。一見大人しそうで目立たないタイプのその生徒は、裏で外部から入手した2B-Gで幾人かの生徒を手なずけて徒党を組み、他の生徒に安い金で売りつけたりしていた。自分たちも薬を楽しみつつ、一般生徒に乱暴をした場合は相手を怯えさせて口を塞がせていたようだ。
基本的には真面目な生徒が多いため、当然ながら皆、薬などに縁はない。なので「もし誰かにバラしたら薬を飲んで享楽にふけったことを親に言う」などと言われたら怯えて何も言えなくなってしまうのだろう。
絶対に許さない、と思いつつもだが明確な証拠がなかった。話を聞いただけであり、あくまでも状況証拠でしかない。それでも渉自身は構わなかったが。
別に警察に逮捕されなくとも、この学校での存在やむしろ家での存在でもいい。抹殺できればそれでも十分だと思えた。後は適当に堕ちていくなりなんなりして碌でもない人生を歩めばいい。
「……一之瀬、ね……。大人しそうな顔して……もしこいつがこの間そうちゃんに接触していたヤツなら大嘘もいいとこだな。そうちゃんの隣のクラスどころか、俺と同じ学年じゃないか……」
にしても、と名簿を見ながら渉はふと違うことを考えた。
襲われていたような、女子みたいな子の方がむしろ強いのだろうか。
颯一は女装すれば間違いなく女の子には見えるだろうが、何もしなければ普通の男子でしかない。むしろそういう颯一みたいなタイプの方が色々と弱そうな気がした。
襲われたりしたら立ち直れないんじゃないだろうか。
件の生徒より断然颯一の方が、そういった部分のメンタルは弱い気がする。
いや、俺がそんなことさせないけれども。
そんなことを思いつつ、そういえば盗聴器の受信機を教室の鞄の中に置いたままなのを思い出す。流石に職員室に持ち込むのもなと思ってそのまま置いていた。
放課後は大抵、颯一は友悠と一緒だし、基本的には皆が沢山いる間に帰っているので大丈夫だろうとは思う。だが、と渉は立ち上がった。何事も絶対ということはない。
一応教育指導担当を見つけて名簿を渡した。こいつだと思われると告げた上で「ちょっと教室に鞄をとってきます」と断りいれた。
そして今まさに、渉が気にしている颯一は襲われようとしていた。
「……遊びたいって、何だよ……」
「だってさぁ、何か反応楽しいしかわいいなって。こいつらの中で見たことあるやついるんでしょう? 結構上手く逃げるみたいだね。でも今はどうかなぁ?」
一之瀬は相変わらず柔らかい口調で話してくる。その口調にはだが違和感しか感じられなかった。
「……お前、何か……変」
「あはは、今から襲われようとしてるのに、そこ? ほんと反応面白いね。変とか。失礼だなあ。こんなに僕は大人しいし柔らかい感じでしょう? 何が変なの?」
「何と、なく……」
颯一は言い返しながらも、さり気に周りに目をやっていた。今入ってきた生徒は五人。到底彼らの間をすり抜けて教室から出られる気がしない。それでも絶対に逃げてやると思っていた。
「んー、何でだろうね? ああ、そっか。薬のせいかなぁ……?」
「は? 薬? 何の……」
「とってもね、楽しくなる薬。きっと君も気に入るよ。最初は効きが悪い子もいるんだけどね? でもそんな子でも周りが突然色鮮やかに見えたりぐらいはするみたい。効けば風景が踊りだしたりするから」
ふわりと微笑むと、一之瀬は淡々と説明してくる。颯一は唖然となった。そういうモノには疎いしほぼ何もわからない。それでもこの目の前の生徒が何を言っているのかはわかった。
「お前、何考えて……? ドラッグとか、いいことあるはずないだろ?」
思わず少し後退った。途端、今までふわふわとした様子だった一之瀬が後ろに目配せする。すると入ってきてから何もすることなくただ立っていた生徒が颯一に近づいてきた。例の先輩を見て、颯一は何故あの先輩がああも怖かったのかわかったような気がした。
「ドラッグとか……、ほんと、何考えて……」
「大丈夫だよ、落ち着いて……? きっと君も楽しくなるよ。それでね」
颯一に相変わらず優しく話しかけながら、一之瀬が手を伸ばしてくる。
「これ飲んでセックスするとほんともう、最高なんだ」
ひゅっと変な呼吸音が颯一の口から出た。絶対に逃げないと、本気で危ない。そう思う前に体が動いていた。
一之瀬からは簡単に逃れられた。だが案の定、他の生徒に捕まる。自分をつかんできた生徒が例の先輩だとわかると、颯一の体に震えが走った。
「だめだよ、込谷くん。逃げちゃ。今から一緒に楽しいことするのに。絶対君も楽しいから」
「っくそ! 楽しくなんかねぇし! 俺は飲まねぇからな!」
何とか震えをこらえようとしつつ、颯一は目の前の先輩を、そして一之瀬を睨んだ。
「……あはは。もう、飲んでるよ」
だが一之瀬はやはり柔らかい口調のまま、ジュースのペットボトルを持ち上げて軽く振ってきた。
「っ?」
「まだ効かないんだろうけど、これはさ、案外効いてくるの早いはずだから。錠剤砕いて溶かしてるしさ、絶対早いはず。ね? 楽しも? ほんといいから。感覚も鋭くなるし、アレも凄く硬くなる気がするしね。何ていっても、射精する時がもうほんと最高だよ?」
言いながら、一之瀬はだが机の上に座る。その代わり、颯一をつかんできた先輩が颯一をそのまま近くの机に押し倒してきた。
「っ離せ……!」
「離すわけないだろ? 今から一緒に気持ちよくなるってんだから」
その先輩はニヤリとしながら押し倒した颯一の体を弄って来た。制服のベストを脱がされてしまい、体が震える。気持ち悪さと恐怖が颯一の中を占める。
他の生徒は少し離れたところで同じくニヤニヤしながらそんな颯一たちを見ていた。
「そいつがさあ、込谷くんのこと特に好きみたいでねえ。だから最初はじっくり二人ですればいいかなって。僕らはそれをゆっくり楽しませてもらうよ。でも後で皆でちゃんとかわいがってあげるから。きっと虜になるよ? 薬でもうほんと体が快楽で消えてしまいそうになるから……」
「嫌だ! 嫌だばか! くそ!」
腹立つことに涙があふれてきた。そのせいだろうか、颯一から見える視界に広がる教室の天井がなぜかキラキラして見える。目の前にいるケダモノは相変わらずケダモノなのに、周りの風景がなぜか違ってみえる。電球までもが艶めかしく感じられた。
何か、綺麗だ。こんな綺麗な幻想的なところで、ケダモノに押し倒されているなんて、なかなかシュール……。
違う。
違う……!
薬だ。
そう思った途端、颯一の体からサァッと血の気が引いていくのが感じられた。
いや、でも。まだ、大丈夫。まだいける。
ギリッと自分の舌を噛むと、颯一は足をもたげさせ、思いきり目の前のケダモノの股間を攻撃した。
「っひぎ……!」
ケダモノが颯一から離れ、蹲る。その隙をみて、机から飛び起きた颯一は教室のドアへ向かって駆けだした。ドアが天国の入り口に見える。
薬のせいなのか今の気持ちのせいなのかわからないまま、颯一は天国の入り口を開けた。
「バカ! 何してんのさ!」
そんな声がしたのを後に、颯一は廊下に飛び出た。そして一目散に逃げる。しかしどこへ逃げればいいか、今の颯一にはわからなかった。ただでさえ焦っている上に頭が回らない。
でも……逃げないと捕まる。
ふわふわと妙な感覚になりながらも、後ろからケダモノたちが追いかけてくる感じはわかった。
足の速さなら自信は、ある。
だって渉に鍛えられたから。
渉……。
渉! 馬鹿! 何で今いないんだよ馬鹿! 渉……!
颯一はますますおかしくなってくる感覚の中、ひたすら「渉」「馬鹿」と悪態をつきながら走っていた。無意識のまま、気づけば上へ上へと上がっていた颯一が開けたドアは、もう一つの天国への入り口だと思えた。
だがそこは高い所が苦手な颯一にとって地獄の入口、屋上だった。
一見小柄で女子みたいなタイプなので、もっと泣いたりするかと思っていた渉は少しホッとした。本人は「これくらいで病んでいたら僕みたいな生徒は生き残れないんです……」などと本気か冗談かわからないようなことを言っていた。それを聞くと妙に納得してしまうところが嫌だなとだが渉は思う。
薬の問題がなくなっても、やはり今後も無理やりな行為などの暴行はなくならないだろう。公にならなくても、きっとどこかで発生している。
普通の共学でもそういう問題はあるかもしれない。なくても「いじめ」という名の暴力はよく問題になっていると聞く。この学校は恋愛絡みやレイプといった問題があるわりに、世間で聞くようないじめ問題は聞いたことない。レイプもいじめの一種かもしれないし、もしかしたらいじめも水面下ではあるのかもしれない。ただ少なくとも誰の口からも聞いたことなかったし、見回りする渉も見たことはなかった。
恋愛絡みの喧嘩が発生しても、むしろそこだけは妙に男らしくわかりやすい喧嘩だったりする。誰かが人気者の誰かを好きだから皆でいじめようなどといったネチネチとしたものはなかった。
結局、どこの学校でも何らかの問題はあるのだろうとは思う。ただ、渉は「だから仕方ない」で片づけるのは嫌だった。いずれもっと色々変えていけたらと思いつつ、渉は職員室奥の部屋を借り、許可を得た上で個人情報は載っていない生徒名簿一覧を見ていた。
件の生徒を襲っていた生徒からは、薬の入手方法について聞いている。そこから導き出された生徒を探していた。
「……こいつか……」
そして自分と同じ二年生の中に探していた生徒を見つけた。一見大人しそうで目立たないタイプのその生徒は、裏で外部から入手した2B-Gで幾人かの生徒を手なずけて徒党を組み、他の生徒に安い金で売りつけたりしていた。自分たちも薬を楽しみつつ、一般生徒に乱暴をした場合は相手を怯えさせて口を塞がせていたようだ。
基本的には真面目な生徒が多いため、当然ながら皆、薬などに縁はない。なので「もし誰かにバラしたら薬を飲んで享楽にふけったことを親に言う」などと言われたら怯えて何も言えなくなってしまうのだろう。
絶対に許さない、と思いつつもだが明確な証拠がなかった。話を聞いただけであり、あくまでも状況証拠でしかない。それでも渉自身は構わなかったが。
別に警察に逮捕されなくとも、この学校での存在やむしろ家での存在でもいい。抹殺できればそれでも十分だと思えた。後は適当に堕ちていくなりなんなりして碌でもない人生を歩めばいい。
「……一之瀬、ね……。大人しそうな顔して……もしこいつがこの間そうちゃんに接触していたヤツなら大嘘もいいとこだな。そうちゃんの隣のクラスどころか、俺と同じ学年じゃないか……」
にしても、と名簿を見ながら渉はふと違うことを考えた。
襲われていたような、女子みたいな子の方がむしろ強いのだろうか。
颯一は女装すれば間違いなく女の子には見えるだろうが、何もしなければ普通の男子でしかない。むしろそういう颯一みたいなタイプの方が色々と弱そうな気がした。
襲われたりしたら立ち直れないんじゃないだろうか。
件の生徒より断然颯一の方が、そういった部分のメンタルは弱い気がする。
いや、俺がそんなことさせないけれども。
そんなことを思いつつ、そういえば盗聴器の受信機を教室の鞄の中に置いたままなのを思い出す。流石に職員室に持ち込むのもなと思ってそのまま置いていた。
放課後は大抵、颯一は友悠と一緒だし、基本的には皆が沢山いる間に帰っているので大丈夫だろうとは思う。だが、と渉は立ち上がった。何事も絶対ということはない。
一応教育指導担当を見つけて名簿を渡した。こいつだと思われると告げた上で「ちょっと教室に鞄をとってきます」と断りいれた。
そして今まさに、渉が気にしている颯一は襲われようとしていた。
「……遊びたいって、何だよ……」
「だってさぁ、何か反応楽しいしかわいいなって。こいつらの中で見たことあるやついるんでしょう? 結構上手く逃げるみたいだね。でも今はどうかなぁ?」
一之瀬は相変わらず柔らかい口調で話してくる。その口調にはだが違和感しか感じられなかった。
「……お前、何か……変」
「あはは、今から襲われようとしてるのに、そこ? ほんと反応面白いね。変とか。失礼だなあ。こんなに僕は大人しいし柔らかい感じでしょう? 何が変なの?」
「何と、なく……」
颯一は言い返しながらも、さり気に周りに目をやっていた。今入ってきた生徒は五人。到底彼らの間をすり抜けて教室から出られる気がしない。それでも絶対に逃げてやると思っていた。
「んー、何でだろうね? ああ、そっか。薬のせいかなぁ……?」
「は? 薬? 何の……」
「とってもね、楽しくなる薬。きっと君も気に入るよ。最初は効きが悪い子もいるんだけどね? でもそんな子でも周りが突然色鮮やかに見えたりぐらいはするみたい。効けば風景が踊りだしたりするから」
ふわりと微笑むと、一之瀬は淡々と説明してくる。颯一は唖然となった。そういうモノには疎いしほぼ何もわからない。それでもこの目の前の生徒が何を言っているのかはわかった。
「お前、何考えて……? ドラッグとか、いいことあるはずないだろ?」
思わず少し後退った。途端、今までふわふわとした様子だった一之瀬が後ろに目配せする。すると入ってきてから何もすることなくただ立っていた生徒が颯一に近づいてきた。例の先輩を見て、颯一は何故あの先輩がああも怖かったのかわかったような気がした。
「ドラッグとか……、ほんと、何考えて……」
「大丈夫だよ、落ち着いて……? きっと君も楽しくなるよ。それでね」
颯一に相変わらず優しく話しかけながら、一之瀬が手を伸ばしてくる。
「これ飲んでセックスするとほんともう、最高なんだ」
ひゅっと変な呼吸音が颯一の口から出た。絶対に逃げないと、本気で危ない。そう思う前に体が動いていた。
一之瀬からは簡単に逃れられた。だが案の定、他の生徒に捕まる。自分をつかんできた生徒が例の先輩だとわかると、颯一の体に震えが走った。
「だめだよ、込谷くん。逃げちゃ。今から一緒に楽しいことするのに。絶対君も楽しいから」
「っくそ! 楽しくなんかねぇし! 俺は飲まねぇからな!」
何とか震えをこらえようとしつつ、颯一は目の前の先輩を、そして一之瀬を睨んだ。
「……あはは。もう、飲んでるよ」
だが一之瀬はやはり柔らかい口調のまま、ジュースのペットボトルを持ち上げて軽く振ってきた。
「っ?」
「まだ効かないんだろうけど、これはさ、案外効いてくるの早いはずだから。錠剤砕いて溶かしてるしさ、絶対早いはず。ね? 楽しも? ほんといいから。感覚も鋭くなるし、アレも凄く硬くなる気がするしね。何ていっても、射精する時がもうほんと最高だよ?」
言いながら、一之瀬はだが机の上に座る。その代わり、颯一をつかんできた先輩が颯一をそのまま近くの机に押し倒してきた。
「っ離せ……!」
「離すわけないだろ? 今から一緒に気持ちよくなるってんだから」
その先輩はニヤリとしながら押し倒した颯一の体を弄って来た。制服のベストを脱がされてしまい、体が震える。気持ち悪さと恐怖が颯一の中を占める。
他の生徒は少し離れたところで同じくニヤニヤしながらそんな颯一たちを見ていた。
「そいつがさあ、込谷くんのこと特に好きみたいでねえ。だから最初はじっくり二人ですればいいかなって。僕らはそれをゆっくり楽しませてもらうよ。でも後で皆でちゃんとかわいがってあげるから。きっと虜になるよ? 薬でもうほんと体が快楽で消えてしまいそうになるから……」
「嫌だ! 嫌だばか! くそ!」
腹立つことに涙があふれてきた。そのせいだろうか、颯一から見える視界に広がる教室の天井がなぜかキラキラして見える。目の前にいるケダモノは相変わらずケダモノなのに、周りの風景がなぜか違ってみえる。電球までもが艶めかしく感じられた。
何か、綺麗だ。こんな綺麗な幻想的なところで、ケダモノに押し倒されているなんて、なかなかシュール……。
違う。
違う……!
薬だ。
そう思った途端、颯一の体からサァッと血の気が引いていくのが感じられた。
いや、でも。まだ、大丈夫。まだいける。
ギリッと自分の舌を噛むと、颯一は足をもたげさせ、思いきり目の前のケダモノの股間を攻撃した。
「っひぎ……!」
ケダモノが颯一から離れ、蹲る。その隙をみて、机から飛び起きた颯一は教室のドアへ向かって駆けだした。ドアが天国の入り口に見える。
薬のせいなのか今の気持ちのせいなのかわからないまま、颯一は天国の入り口を開けた。
「バカ! 何してんのさ!」
そんな声がしたのを後に、颯一は廊下に飛び出た。そして一目散に逃げる。しかしどこへ逃げればいいか、今の颯一にはわからなかった。ただでさえ焦っている上に頭が回らない。
でも……逃げないと捕まる。
ふわふわと妙な感覚になりながらも、後ろからケダモノたちが追いかけてくる感じはわかった。
足の速さなら自信は、ある。
だって渉に鍛えられたから。
渉……。
渉! 馬鹿! 何で今いないんだよ馬鹿! 渉……!
颯一はますますおかしくなってくる感覚の中、ひたすら「渉」「馬鹿」と悪態をつきながら走っていた。無意識のまま、気づけば上へ上へと上がっていた颯一が開けたドアは、もう一つの天国への入り口だと思えた。
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