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そして虎と豹とキリン(終)
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あの事件後しばらくして颯一の様子がおかしいのに友悠は気づいていた。
いやまあ、ある意味いつだってそうは何となくおかしいけれども。
少々微妙な表情で遠い目になりつつも友悠の心は思ってたよりも凪いでいた。何故おかしいのかなんてすぐにわかった。これでも颯一と同じ部屋になってからずっと傍にいるわけではない。
もちろん今でもまだ颯一をそういう意味で好きなままだから、凪いでいても悲しいことは悲しい。それでも元々友悠がそう望んでいたし、何よりも颯一が幸せで嬉しく思うことが一番大切だった。
渉を好きだと気づき、戸惑っているせいで様子がおかしい颯一のことくらい、だからすぐにわかった。とはいえ友悠が何か言うのもと、口はつぐんでいた。
もちろん颯一から何か相談してきたら当然どんな話でも聞く。だが友悠が颯一を好きだと知っているだけに、きっと言ってはこないのだろうなと思っていた。
そういう遠慮は本当にいらないのだが、かといっていくら男前な性格とはいえ、そういう遠慮や配慮ができない颯一だったら、多分最初から好きにはなっていないだろう。友悠はそっと笑う。
色々わかっていなかったり鈍いところもある颯一だが、そんなところはちゃんとしていた。だから好きだったし、きっとこれからも好きだろうと思う。
友人として。
友悠が颯一をあの時一人にしてしまったことをとても後悔していると、颯一は「お互い気にしないことにしよう」と言ってくれた。自分も言われた通りにすぐ帰らず、油断して話しかけられた生徒に引っ張られるがままくっついて行ってしまった。それを友悠にずっと謝らないといけないから、と。
そう聞いた時は「全然違う、一緒じゃない。どう考えても悪いのは自分だ」と思いつつも、颯一の伝えたいことはわかった。過去に渉が颯一の飛ばしたハンカチを取ろうとして二階から落ちてしまった話を聞いたから余計だろう。
自分が悪いと思うことは案外簡単だ。自分を許す方が意外にも難しい。相手にもつらい思いをさせながら自分が悪いと思い続ける方が、精神的には色々追い詰めながらも実は楽なのだと友悠は思った。そしてようやく自分を許せるよう、落ち込むのをやめようと思えた。
つらい目にあったのにそんな風に思える、思わせてくれる颯一が友人で、本当によかったとそして思った。
きっと今後もずっと、仲よく付き合っていける。だからこそ、友人として好きでいたいし、友人として好きでよかった。恋愛対象として好きな気持ちはきっと風化していく。大丈夫。今は悲しいし寂しいが、でも大丈夫だ。
友悠は颯一の様子がおかしいと気づいた時、少しだけ情けないことに泣いた後、そう思った。
今はようやく最近また頻繁に颯一と友悠の教室に来るようになった渉を微妙な顔で見ることもできる。
こんなに颯一があからさまなのに、そして頭がよくて勘もよさそうなのに何故気づかないのだとひたすら微妙に思う。
もちろん他の生徒は、颯一がおかしいのもわからないだろう。友悠がわかるのは、颯一といつも一緒だし颯一が好きだからだ。渉は確かにいつも一緒というわけではない。そこは少し優越感を持ちつつ思う。だが好きな相手であり、幼馴染じゃないかとも思う。
なのに渉は「具合が悪いのか?」などと言いながら颯一の額に触れようとしたりしてさらに逃げられていた。
いっそ二人に「お互い好きだからだよ」とぶちまけたいくらいにもどかしい半面、友悠には親しく普通に接してくる颯一を怪訝そうに見ている渉に優越感もある。
事故でつい颯一とキスをしてしまった時も、そういえば颯一はしばらく友悠を意識していた。もしかしたらあの時、友悠が積極的に迫っていたらどうにかなったのかもしれない。それでもあの時颯一がしていた意識と、今渉に対してしている意識がまったく別物なことくらいわかる。
今の颯一は渉のことをしっかりわかって意識していた。
男前な性格の颯一のことだから、多分その内自分から打ち明けるのだろうなと友悠は二人を見ながら何となく思っていた。その考えは間違っていなかったと、後日早々にわかる。
「俺、渉が好きだってわかった」
颯一は気持ちが固まったからだろう。友悠にもちゃんと打ち明けてくれた。
「……そっか」
「うん。……ともとは……これからも友だちでいて、いい……?」
「当たり前だろ? むしろこっちがそう願うよ」
少しだけおずおずと言ってきた颯一に、友悠はニッコリ笑いかけた。
「よかった……! そ、そんでさ、俺、渉にも言った」
「え、そうなんだ」
さすが男前な颯一、と友悠は内心楽しげに笑う。だが次の言葉を聞くと、とてつもなく微妙な顔になった。
「うん! でもさ、決心固めよーて思ってすぐに俺をあいつのもんにしろって言ったらすげー引かれた。何だよあいつ、変態のくせにな!」
「……そう……」
そこまで男前だったんだ……。
こちらが恥ずかしくなるようなキザなことですら平気で言ったり態度に出したりする渉は案外古風だ。何となく言われた時の渉の顔が想像できてしまい、友悠は遠い目になった。
「何か俺に負担かかるとか言って。別に俺、男だしさ。なよっちくねえし大丈夫なのに変に気を使ってくんだよ」
「……でもそんな馬見塚さんだから好きなんだろ」
友悠が笑いかけながら言うと「ち、違うし」と言いながらも颯一は真っ赤になっていた。
男前な性格のくせに、こういうところがかわいらしいから始末に悪いよねと友悠はまた苦笑する。
そして多分、男同士で何をするかなど、あまり知らないのだろうなと、口を尖らせている颯一を見ながらそっと思った。
「と、とも……」
さらに数日後、青い顔して放課後友悠に声をかけてきた颯一の話を聞いて、その考えが間違っていなかったと知る。
学校の帰りに歩きながら、そんな様子であるわけを聞くと、颯一が俯きながら話してきた。
「さっきさ……教室の隅で固まって何か話してるヤツらいるから何してんだろって思って近づいたらさ」
颯一が言うのを聞いて、確かにそういえば何か話をしていたなと友悠は頷く。
「その中の一人が最近つき合った相手とエッチしたって話でさ」
「え」
「俺もた、確かにそんな感じだし、その、すげぇ気になったから一緒に聞かせてもらってたんだ」
「……そ、そうなんだ……」
まさかそんな話をしていたとは、と友悠は微妙な顔で颯一を見下ろした。あれほど気持ち悪がり逃げていた颯一をほんのり懐かしく思いつつ、そっと苦笑する。
「ん。じゃ、じゃあさ……その、そいつはい、今までも経験あるらしくてさ……そ、その、相手のをう、受け入れる……」
「あー……」
友悠がますます微妙な顔をして呟くと、颯一が何とも言えないような顔でいきなり見上げてきた。そして友悠につかみかかってくる。
「お前もやり方、知ってんの? ともはするならどっちなの? どー考えてもそれ、痛いだろ? おかしくね? 何てとこに突っ込……」
「ちょ、ちょっと! 待って……! そう、落ち着いて……。だ、大丈夫だよ。そ、そのほら、馬見塚さんてきっと痛くないように凄く気を使ってしてくれ、る、よ……えっと、その……、うん。っていうか俺だって男同士は経験ないし……! 俺に聞かないで……」
周りを気にしながら宥めるように友悠は言うと、颯一は「だって!」と顔を赤くしながらまた俯いた。
「俺は、その……多分万が一、その、ないと思うけど万が一誰かこの学校の生徒とする羽目になったとしても……受け入れるのは、ないか、な……」
この答えで何とか許してくれと友悠がため息つきつつ言う。
「そ、そっか……。でもほら! ともは一応経験あんだろ?」
寮の自室に着いたので颯一が部屋の鍵を開けるべくキーホルダーを取り出した。例の渉に貰ったものだ。これのおかげで颯一を見つけられたということもあるので、一応友悠は颯一にも何も言わずにいる。
友悠も随分強くなったと思う。特に胃と神経が。そっとズボンのポケットに入っている小型のカード式盗聴妨害装置のスイッチをオフにしながら、友悠も開いた部屋の中へ入った。部屋の中にはまだそれなりの量の盗聴器があるだろうと予想しているため、妨害音が酷いことになってもと自室では渋々スイッチを切るようにしている。
「経験って言われても……。その、当時付き合っていた彼女とかだけど……」
「ずるいよな! ともは一応経験あるんだもんなー」
「何がずるいんだよ」
「だってずるい! 俺、何もねぇんだぞ、ずるい! ってちょっと待て。俺絶対突っ込まれる側だって思いこんでたけど、別に俺が突っ込んでもそこはおかしくないよな?」
ハッとなったように言ってくる颯一の内容はすでにずれているし、そしていつもの如くおかしい。だがそれに関してはあえて指摘せず、友悠は渉が受けることのあり得なさをとりあえず伝えようと思った。
「……な、んかおかしい、かな……?」
「何でだよ!」
「じゃあさ、そうは馬見塚さんがそうに突っ込まれてるとこ、想像できんの?……悪いけど俺は、無理。凄い、無理……」
「ぅ……、てちょ、待てよ、どういうことだよ、だったら俺だと……」
「友人貴様! そうちゃんが突っ込まれて喘いでるところは想像できたと言うことだな、許さん……!」
自分なら想像つくのかと言いかけた颯一が最後まで言う前にまたいつもの如く部屋に突入してきた渉によって遮られた。
ああ、まあ予想はついていたけれども……。
友悠がそっと微妙な顔をしながら思っている反面、好きだと告白してもなお、そこは譲れないのか颯一が相変わらず「キモい! いきなり入ってくんな! つかまた会話盗聴してたんじゃねぇだろうな!」などと言いながら抗議していた。
渉はそんな颯一のギャップ込みの全てがかわいくてならないのか「そうちゃん、相変わらずかわいいな!」などと言いながら無防備にも腹を晒して颯一に対してニコニコ手を大きく広げて差しのべているようだった。
いやまあ、ある意味いつだってそうは何となくおかしいけれども。
少々微妙な表情で遠い目になりつつも友悠の心は思ってたよりも凪いでいた。何故おかしいのかなんてすぐにわかった。これでも颯一と同じ部屋になってからずっと傍にいるわけではない。
もちろん今でもまだ颯一をそういう意味で好きなままだから、凪いでいても悲しいことは悲しい。それでも元々友悠がそう望んでいたし、何よりも颯一が幸せで嬉しく思うことが一番大切だった。
渉を好きだと気づき、戸惑っているせいで様子がおかしい颯一のことくらい、だからすぐにわかった。とはいえ友悠が何か言うのもと、口はつぐんでいた。
もちろん颯一から何か相談してきたら当然どんな話でも聞く。だが友悠が颯一を好きだと知っているだけに、きっと言ってはこないのだろうなと思っていた。
そういう遠慮は本当にいらないのだが、かといっていくら男前な性格とはいえ、そういう遠慮や配慮ができない颯一だったら、多分最初から好きにはなっていないだろう。友悠はそっと笑う。
色々わかっていなかったり鈍いところもある颯一だが、そんなところはちゃんとしていた。だから好きだったし、きっとこれからも好きだろうと思う。
友人として。
友悠が颯一をあの時一人にしてしまったことをとても後悔していると、颯一は「お互い気にしないことにしよう」と言ってくれた。自分も言われた通りにすぐ帰らず、油断して話しかけられた生徒に引っ張られるがままくっついて行ってしまった。それを友悠にずっと謝らないといけないから、と。
そう聞いた時は「全然違う、一緒じゃない。どう考えても悪いのは自分だ」と思いつつも、颯一の伝えたいことはわかった。過去に渉が颯一の飛ばしたハンカチを取ろうとして二階から落ちてしまった話を聞いたから余計だろう。
自分が悪いと思うことは案外簡単だ。自分を許す方が意外にも難しい。相手にもつらい思いをさせながら自分が悪いと思い続ける方が、精神的には色々追い詰めながらも実は楽なのだと友悠は思った。そしてようやく自分を許せるよう、落ち込むのをやめようと思えた。
つらい目にあったのにそんな風に思える、思わせてくれる颯一が友人で、本当によかったとそして思った。
きっと今後もずっと、仲よく付き合っていける。だからこそ、友人として好きでいたいし、友人として好きでよかった。恋愛対象として好きな気持ちはきっと風化していく。大丈夫。今は悲しいし寂しいが、でも大丈夫だ。
友悠は颯一の様子がおかしいと気づいた時、少しだけ情けないことに泣いた後、そう思った。
今はようやく最近また頻繁に颯一と友悠の教室に来るようになった渉を微妙な顔で見ることもできる。
こんなに颯一があからさまなのに、そして頭がよくて勘もよさそうなのに何故気づかないのだとひたすら微妙に思う。
もちろん他の生徒は、颯一がおかしいのもわからないだろう。友悠がわかるのは、颯一といつも一緒だし颯一が好きだからだ。渉は確かにいつも一緒というわけではない。そこは少し優越感を持ちつつ思う。だが好きな相手であり、幼馴染じゃないかとも思う。
なのに渉は「具合が悪いのか?」などと言いながら颯一の額に触れようとしたりしてさらに逃げられていた。
いっそ二人に「お互い好きだからだよ」とぶちまけたいくらいにもどかしい半面、友悠には親しく普通に接してくる颯一を怪訝そうに見ている渉に優越感もある。
事故でつい颯一とキスをしてしまった時も、そういえば颯一はしばらく友悠を意識していた。もしかしたらあの時、友悠が積極的に迫っていたらどうにかなったのかもしれない。それでもあの時颯一がしていた意識と、今渉に対してしている意識がまったく別物なことくらいわかる。
今の颯一は渉のことをしっかりわかって意識していた。
男前な性格の颯一のことだから、多分その内自分から打ち明けるのだろうなと友悠は二人を見ながら何となく思っていた。その考えは間違っていなかったと、後日早々にわかる。
「俺、渉が好きだってわかった」
颯一は気持ちが固まったからだろう。友悠にもちゃんと打ち明けてくれた。
「……そっか」
「うん。……ともとは……これからも友だちでいて、いい……?」
「当たり前だろ? むしろこっちがそう願うよ」
少しだけおずおずと言ってきた颯一に、友悠はニッコリ笑いかけた。
「よかった……! そ、そんでさ、俺、渉にも言った」
「え、そうなんだ」
さすが男前な颯一、と友悠は内心楽しげに笑う。だが次の言葉を聞くと、とてつもなく微妙な顔になった。
「うん! でもさ、決心固めよーて思ってすぐに俺をあいつのもんにしろって言ったらすげー引かれた。何だよあいつ、変態のくせにな!」
「……そう……」
そこまで男前だったんだ……。
こちらが恥ずかしくなるようなキザなことですら平気で言ったり態度に出したりする渉は案外古風だ。何となく言われた時の渉の顔が想像できてしまい、友悠は遠い目になった。
「何か俺に負担かかるとか言って。別に俺、男だしさ。なよっちくねえし大丈夫なのに変に気を使ってくんだよ」
「……でもそんな馬見塚さんだから好きなんだろ」
友悠が笑いかけながら言うと「ち、違うし」と言いながらも颯一は真っ赤になっていた。
男前な性格のくせに、こういうところがかわいらしいから始末に悪いよねと友悠はまた苦笑する。
そして多分、男同士で何をするかなど、あまり知らないのだろうなと、口を尖らせている颯一を見ながらそっと思った。
「と、とも……」
さらに数日後、青い顔して放課後友悠に声をかけてきた颯一の話を聞いて、その考えが間違っていなかったと知る。
学校の帰りに歩きながら、そんな様子であるわけを聞くと、颯一が俯きながら話してきた。
「さっきさ……教室の隅で固まって何か話してるヤツらいるから何してんだろって思って近づいたらさ」
颯一が言うのを聞いて、確かにそういえば何か話をしていたなと友悠は頷く。
「その中の一人が最近つき合った相手とエッチしたって話でさ」
「え」
「俺もた、確かにそんな感じだし、その、すげぇ気になったから一緒に聞かせてもらってたんだ」
「……そ、そうなんだ……」
まさかそんな話をしていたとは、と友悠は微妙な顔で颯一を見下ろした。あれほど気持ち悪がり逃げていた颯一をほんのり懐かしく思いつつ、そっと苦笑する。
「ん。じゃ、じゃあさ……その、そいつはい、今までも経験あるらしくてさ……そ、その、相手のをう、受け入れる……」
「あー……」
友悠がますます微妙な顔をして呟くと、颯一が何とも言えないような顔でいきなり見上げてきた。そして友悠につかみかかってくる。
「お前もやり方、知ってんの? ともはするならどっちなの? どー考えてもそれ、痛いだろ? おかしくね? 何てとこに突っ込……」
「ちょ、ちょっと! 待って……! そう、落ち着いて……。だ、大丈夫だよ。そ、そのほら、馬見塚さんてきっと痛くないように凄く気を使ってしてくれ、る、よ……えっと、その……、うん。っていうか俺だって男同士は経験ないし……! 俺に聞かないで……」
周りを気にしながら宥めるように友悠は言うと、颯一は「だって!」と顔を赤くしながらまた俯いた。
「俺は、その……多分万が一、その、ないと思うけど万が一誰かこの学校の生徒とする羽目になったとしても……受け入れるのは、ないか、な……」
この答えで何とか許してくれと友悠がため息つきつつ言う。
「そ、そっか……。でもほら! ともは一応経験あんだろ?」
寮の自室に着いたので颯一が部屋の鍵を開けるべくキーホルダーを取り出した。例の渉に貰ったものだ。これのおかげで颯一を見つけられたということもあるので、一応友悠は颯一にも何も言わずにいる。
友悠も随分強くなったと思う。特に胃と神経が。そっとズボンのポケットに入っている小型のカード式盗聴妨害装置のスイッチをオフにしながら、友悠も開いた部屋の中へ入った。部屋の中にはまだそれなりの量の盗聴器があるだろうと予想しているため、妨害音が酷いことになってもと自室では渋々スイッチを切るようにしている。
「経験って言われても……。その、当時付き合っていた彼女とかだけど……」
「ずるいよな! ともは一応経験あるんだもんなー」
「何がずるいんだよ」
「だってずるい! 俺、何もねぇんだぞ、ずるい! ってちょっと待て。俺絶対突っ込まれる側だって思いこんでたけど、別に俺が突っ込んでもそこはおかしくないよな?」
ハッとなったように言ってくる颯一の内容はすでにずれているし、そしていつもの如くおかしい。だがそれに関してはあえて指摘せず、友悠は渉が受けることのあり得なさをとりあえず伝えようと思った。
「……な、んかおかしい、かな……?」
「何でだよ!」
「じゃあさ、そうは馬見塚さんがそうに突っ込まれてるとこ、想像できんの?……悪いけど俺は、無理。凄い、無理……」
「ぅ……、てちょ、待てよ、どういうことだよ、だったら俺だと……」
「友人貴様! そうちゃんが突っ込まれて喘いでるところは想像できたと言うことだな、許さん……!」
自分なら想像つくのかと言いかけた颯一が最後まで言う前にまたいつもの如く部屋に突入してきた渉によって遮られた。
ああ、まあ予想はついていたけれども……。
友悠がそっと微妙な顔をしながら思っている反面、好きだと告白してもなお、そこは譲れないのか颯一が相変わらず「キモい! いきなり入ってくんな! つかまた会話盗聴してたんじゃねぇだろうな!」などと言いながら抗議していた。
渉はそんな颯一のギャップ込みの全てがかわいくてならないのか「そうちゃん、相変わらずかわいいな!」などと言いながら無防備にも腹を晒して颯一に対してニコニコ手を大きく広げて差しのべているようだった。
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