ケーキと幼馴染

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15話 ※

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 風呂から出たところに祐真がいたのにはびっくりした、と稀斗は自分の部屋に向かいながら思っていた。祐真が稀斗のことをそういう意味で好きだというなら、もしかして裸というのはよくないことなのだろうかとふと思い、慌てて上着を着る。
 いつも風呂から出ると稀斗は下着だけの姿で部屋に移動する。バスタオルで拭いてもなんとなく湿っぽい体ですぐ服を着るのが好きじゃないからなのだが、前から母親や姉からは「あんたが出てきた時に来客があったらどうするのか」などとは言われていた。そんなそうそう偶然なんてあるかよなんて思っていたが、偶然は偶然あるからこそ偶然なんだなとどうでもいいことをしみじみ考えていると祐真が部屋に入ってきた。なんとなく顔を合わせ辛くて、稀斗はレポートを探し出す。
 部屋に祐真の作ったケーキを持ってきてくれた姉が部屋から出ていった後にようやく座って、そのケーキを食べた。その前も食べている間も妙な視線をずっと感じてはいた。服を着ていても変なスイッチでも入ったままなのだろうかと思いながら、いつものように甘さ控えめな上に案外美味しかったケーキを食べ終えるとなんとなく指がべたつくような気がして指を舐めた。
 もしかするとそのせいなのだろうか、祐真に完全に変なスイッチが入ってしまったらしい。そういえば初めてキスをされた時もクリームを舐めたかなんかだったっけと今さらながらに稀斗は気づいた。こいつは舐めるとこ見るのにフェチでもあるのかと唖然としていたらむしろ祐真に手や腕を舐められる。

 まさかそんなところを舐められ、ゆるく噛まれて気持ちいいなどと誰が思う?

 時折ついピクリと小さく体が震えるのをどうしようもなく情けなく思いながらも、稀斗はどうすることもできなかった。
 そうこうしていると唇にキスをされる。だがいつもとは違う。ぬるりと入ってきた舌に、稀斗は咄嗟に口を閉じようとした。だがその前に舌を絡めとられ、動けなくなる。

 俺はいったいどうなっているんだ。

 嫌いじゃないとはいえ、幼馴染の友だち、しかも男相手に何故こんなことを抵抗もろくにできずにされ続けているんだろうと思う。だが一瞬感じた自分のものでないぬめりとした物体に違和感を覚えたものの、すぐに力など全く入らなくなってしまった。祐真の舌が稀斗の舌に絡んできた後に上顎を舐めてくるとゾクリと体が震えた。

「っふ」

 変な呼吸音が漏れる。頭の中では「男同士で何やってんだ」「ありえない」「今すぐ突き離せ」とぐるぐる回っているのにそれはただ意味の成さない文字の羅列に変わって行く。
 最初に激しく舌を絡め取ってきた割に祐真の舌はゆっくりとなぞるように上顎や歯茎を舐めたりつつくようにしてきた。唾液のやりとりのせいか、考えることすらまともにできずに稀斗はされるがままだった。また舌に祐真の舌が這ってきたかと思うと今度は軽く甘噛みされた後に吸われる。稀斗は変な呼吸音が何度も漏れた。そして口内をひたすら味わわれ、稀斗も祐真の与えてくる唾液を味わう羽目になる。
 何がなんだかわからなくなっていると祐真の手が稀斗の服の中に入り、そっと体をまさぐってきたのに気づいた。

「ん、んん」

 抗議しようにもベッドの縁に体をいつのまにやらのしかかるようにして押し付けられていて思うように手すら動かせない。まさぐる祐真の手はぜんぜん激しさがなく、そっと触れてくるだけだというのに稀斗の体は敏感にその感触に反応する。

「んぅ、んっ」

 脇腹や背中にまで這って行く手や指が今度はまた前にまわり、稀斗の乳首を掠っていった時、稀斗はビクリとまた体を震わせた。

「きぃ、かわいい……」

 ようやく唇を離してきた祐真はほんのり乱れた息で囁く。

「ざ、けんな……俺に向かって、んなこと、言う、な……っ。つか、お前、何考え……っ」
「ごめんね、でもきぃだって悪いんだからね……」

 謝りながらも稀斗の体を弄ってくる手は止まらない。

「は? な、んで」
「俺、きぃ好きだって知ってんのに、何で無防備なの? 何でそんな恰好のままなの?」
「はぁ? 服、着ただろう、が……!」
「下履いてない……!」
「パンツ履いてんだろが!」
「……きぃ、わかってない、わかってないよ……」
「なにが……」
「だったらきぃ、もし自分の気になるような女の子が自分の前で足むき出しにしてきても、なにも思わないの?」
「……んなもん、つかそれは女だろ……!」
「だからわかってない……っ。別に俺、きぃのこと女の子のような扱いしたい訳じゃないけど、でも好きなんだよ? そんなの触れたくなるに決まってるのに。たくさん触れたくなるのに。わかってない!」

 顔を赤くしながら言ってくる祐真を稀斗は唖然とした表情で見た。

「……わ、わかった。悪い。ズボン、じゃあ履くからどけ」
「むり」
「は?」
「そんな足みたらもうその足くっついてる付け根想像するだけじゃむり。見たくなるし触りたくて仕方ないから、むり」
「はっ? 何言ってんだよっ? んなもん、お前と同じもんしかねぇぞ! お前と同じもんくっついてんの見てどうすんだよ、つか触るって何だよ……っ」

 引いたようになって祐真を押し返そうとするが、その前に祐真の手が稀斗のボクサーパンツに伸びた。呆気なくずらされ、中途半端に履いたままの状態で稀斗のものが少しそこから覗く。

「おま、っちょ、待っ」

 言いかけたが思わずその口を稀斗は自分の手で塞いだ。びくりと大きく体が震える。
 自分で触れたことはもちろんあるが、人に触れられたのは初めてだった。自分でない手が性感帯の塊ともいえる部分に触れていると思うだけでどうしようもなく体の奥が疼きそうだが、実際ゆっくりと触れられて稀斗のものはあっという間に痛いほど硬くなった。そのためつい漏れそうになった変な声を抑えようと、口を手で塞がざるを得なかった。

「ん、んぅっ」

 それでも漏れそうになる声をなんとか抑えるのに必死で、抵抗などままならない。

「きぃの……硬いね。感じてくれてるの?」

 赤い顔をした祐真は熱のこもった目を向けてきた。口を押さえたままジロリと睨むと「押さえるくらいなら、俺が塞いであげるね」と空いている手で稀斗の手をずらし、またキスしてきた。唇や口内をまさぐられながら、下では祐真の手が稀斗のものをまさぐってくる。
 最初はゆっくりと触れていた指だが、直ぐに硬くなったものに対して今度はしっかり握ってきた。上下に動く手が自分のものでないだけであり得ないほど感じてしまう。

「っん、ん」

 その指が亀頭をぐり、と扱いてくると耐えがたい快楽が稀斗の背中や脳天にまで到達する。聞きたくもない水音がそして稀斗の耳に入ってきて、羞恥のあまりキスされた時に瞑っていた目をさらにギュッと瞑った。

「先、凄く濡れてる」

 キスの合間に囁かれ、稀斗は自分の顔が熱くなるのが分かった。
 少しだけ下着をずらされただけの状態ですら、今の稀斗には興奮してしまう材料になっている気がする。そのまま完全には脱げていない下着に祐真の手が入り込み、今や先から溢れるものが祐真の手によって全体的に濡らされぬるぬるとしている。そしてそれをその手が犯してくる。

「きぃ、痛くない? 気持ちいい?」

 乾いた状態で激しく擦られたら痛かったかもしれないが、今はもう多分何をされても快楽にしか結びつかないかもしれなかった。だが素直に「気持ちいい」などと言えるはずもなく、稀斗は目をぎゅっと瞑ったまま首を振るしかできない。

「きぃ、好き。大好き。かわいい」

 一旦離していた唇がまた稀斗の口を塞いできた。手の動きが早くなる。付け根から先まで動いたかと思うと今度は集中的に亀頭のあたりを扱いてきた。

「ぅ、んん、んっ、んんっ」

 もう耐えられなかった。稀斗は幼馴染の手に白濁した熱を思いきり吐き出した。
 しばらく惚けた後、気まずいままながら祐真に対して説教をし、ようやく課題に手をつけてでき上がった時にはかなり遅い時間だった。稀斗の許可なしに稀斗の母親に泊まっていくように言われた祐真は、喜んで泊まることにしたようだ。そして夜中に布団から這いずり出て稀斗の眠るベッドに入ってき、もう一度稀斗のものを抜いてきた。「ごめんね」と「好き」を交互に耳元で囁かれながら襲われる。その時はあろうことか祐真のものと一緒に扱かれた。それがまたあまりに気持ちがよくてあっけなく達してしまった稀斗は翌日、制服に着替えないとと祐真が朝早くに帰っていった後にひたすら布団の中で突っ伏していて遅刻しそうになってしまった。
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