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13話
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最近、思っていることが灯にはある。何となくではあるのだが、梓が自分を避けているのではないか、と思われるのだ。とはいえ本当に何となくだ。ハッキリ感じられるのではない。
灯が話しかけるといつもと変わらず返してくれるし、態度も別に変わらない。だが、何だろうか、どこかそれとなく一歩、一線引いているかのような感じがする。それに教えてくれていたギターの練習も最近はできていない。休みなどのタイミングが合わないだけだといえばそれまでなのだが、どうにも違和感のようなものを灯は覚えた。
「シュウ」
学校の休み時間、椅子に座って前の授業で使った教科書や資料集を既に沢山入っているらしい机の中に何とか押し込んでいる柊のところへ行くと、自分を見てもらえるよう、しゃがんで下から覗き込む。
「っ、……何やってんだよ……」
一瞬驚いたような顔をした柊が微妙な表情で灯を見てきた。
「あのさ」
「つかそのまま話かけんな。普通に椅子に座れよ」
「わかった。……シュウ、何で顔赤いの?」
「っこれはあれだ。えっと、教科書無理やり机に押し込んでるから」
柊の返事に灯は笑いながら柊の机を見る。持って帰るのが面倒なのか柊は教科書を学校に置きすぎだと思う。だというのに頭はいいのだから灯としては少々納得がいかないが。
「なぁ、シュウ」
言われた通り、とりあえず空いている柊の前の椅子に座ると改めて灯は呼びかけた。
「ん?」
「あのさ、アズさんって忙しい?」
「梓? さぁ、俺は知らねーけど、何で?」
そもそも普段仲よく一緒にいるのではないらしい柊に聞いても当然わからないと返ってくるのかもしれないが、それでも気になってしまってつい聞いていた。
ただ何故と聞き返されると少々返答に困る。明確な理由はないのだ。何となく梓が自分を避けているのではないかと思っているだけだし、それが何故気になるのかと、もしさらに聞かれたとしても返答に困る。
寂しく感じるから、だろうか?
灯は自分でもよくわからなかった。そもそも梓をどういう括りで把握すればいいかもよくわからない。
灯は梓よりも年下だ。向こうは大学生であり、こちらは高校生だ。それでも友人と言っていいのだろうか。もしくはアルバイト仲間だろうか。それともギターを教えてくれる柊のお兄さん、だろうか。
灯としては、友人というカテゴリーだったらいいなと思う。普段友人相手に「これから友だちだ」などと宣言するわけではないが、相手が自分と何らかの立場が違うとなると難しいものだなと灯は思った。
「あいつと何かあったのか?」
「え? あはは、違うよ、シュウ。その、次の日曜にアズさんと約束があるんだけど、大丈夫かなあって思って」
「約束ぅ?」
灯の言葉に柊がよくわからない反応をしてきた。
結局、日曜日は約束通り梓は灯の家へ来た。しかも柊も一緒だった。二人が一緒にいるところを見てまず浮かんだのは、背の高いイケメン二人が歩いているところは圧巻だろうなということよりも、道中どんな会話をしながら一緒に歩いてたんだろう、だった。思わず灯は小さく笑ってしまう。
「……何だよ」
そんな灯に柊が微妙な顔をしてきた。梓はニコニコ笑顔だ。
「ひーちゃんだ!」
奥から出てきた恋が柊に気づくと、嬉しそうに駆けつけてきて柊に抱きついた。柊も途端にこやかになり、恋を抱き上げる。
「おお、熱烈な歓迎だな」
それを見ていた梓が感嘆したように言うと、恋を下ろした柊はジロリと梓を睨んだ。
「煩い」
梓は気にした様子もなく、ニッコリ恋に笑いかけた。
「君が恋ちゃん? 俺、この柊のお兄ちゃんなんだ。よろしくね」
すると恋は梓を見て、サッと灯の元に戻ってくると後ろに隠れた。そして恥ずかしそうな様子で梓を見上げた。
「れん、いつも人見知りなんてしないだろ」
そんな恋がかわいいながらもおかしくて、灯が優しく言うと「だって大きいお兄ちゃんなんだもん」と灯からするとわかるようでいまいち基準のわからない理由を言われた。それでも梓が兄属性だからだろうか、恋はすぐに梓と仲よしになっていた。梓も楽しそうに恋を抱き上げて遊んでいる。
「ちょっ、れんちゃんを気安く抱くな! 梓!」
嫌そうに言う柊に、梓はおかしそうに笑う。
「お前、ヤキモチ?」
「はぁっ?」
一応喧嘩をしているのだろう。だが灯の目には微笑ましく見えた。二人のやり取りが楽しくて、つい笑ってしまう。小さい子はよくない空気には敏感だと言うが、恋も怯えることもなく楽しそうにしていた。
「あら、今日は賑やかね」
夕方になると、用事のあった母親が帰ってきた。そして梓と柊に気づき「灯がいつもお世話になっています」とにこやかに頭を下げる。
「ちょっ、おばさん、やめろよ」
柊が困ったように言う横で梓は「こちらこそ、仲よくさせてもらってます」と同じように頭を下げている。
「おかーさん、ひーちゃんはれんがおせわするのよ」
ついでに恋は相変わらずわかるようでわからないことを言いながら母親に駆け寄った。灯も母親から買い物袋を受け取るため母親の元へ行き、そのまま台所へ向かった。
灯が話しかけるといつもと変わらず返してくれるし、態度も別に変わらない。だが、何だろうか、どこかそれとなく一歩、一線引いているかのような感じがする。それに教えてくれていたギターの練習も最近はできていない。休みなどのタイミングが合わないだけだといえばそれまでなのだが、どうにも違和感のようなものを灯は覚えた。
「シュウ」
学校の休み時間、椅子に座って前の授業で使った教科書や資料集を既に沢山入っているらしい机の中に何とか押し込んでいる柊のところへ行くと、自分を見てもらえるよう、しゃがんで下から覗き込む。
「っ、……何やってんだよ……」
一瞬驚いたような顔をした柊が微妙な表情で灯を見てきた。
「あのさ」
「つかそのまま話かけんな。普通に椅子に座れよ」
「わかった。……シュウ、何で顔赤いの?」
「っこれはあれだ。えっと、教科書無理やり机に押し込んでるから」
柊の返事に灯は笑いながら柊の机を見る。持って帰るのが面倒なのか柊は教科書を学校に置きすぎだと思う。だというのに頭はいいのだから灯としては少々納得がいかないが。
「なぁ、シュウ」
言われた通り、とりあえず空いている柊の前の椅子に座ると改めて灯は呼びかけた。
「ん?」
「あのさ、アズさんって忙しい?」
「梓? さぁ、俺は知らねーけど、何で?」
そもそも普段仲よく一緒にいるのではないらしい柊に聞いても当然わからないと返ってくるのかもしれないが、それでも気になってしまってつい聞いていた。
ただ何故と聞き返されると少々返答に困る。明確な理由はないのだ。何となく梓が自分を避けているのではないかと思っているだけだし、それが何故気になるのかと、もしさらに聞かれたとしても返答に困る。
寂しく感じるから、だろうか?
灯は自分でもよくわからなかった。そもそも梓をどういう括りで把握すればいいかもよくわからない。
灯は梓よりも年下だ。向こうは大学生であり、こちらは高校生だ。それでも友人と言っていいのだろうか。もしくはアルバイト仲間だろうか。それともギターを教えてくれる柊のお兄さん、だろうか。
灯としては、友人というカテゴリーだったらいいなと思う。普段友人相手に「これから友だちだ」などと宣言するわけではないが、相手が自分と何らかの立場が違うとなると難しいものだなと灯は思った。
「あいつと何かあったのか?」
「え? あはは、違うよ、シュウ。その、次の日曜にアズさんと約束があるんだけど、大丈夫かなあって思って」
「約束ぅ?」
灯の言葉に柊がよくわからない反応をしてきた。
結局、日曜日は約束通り梓は灯の家へ来た。しかも柊も一緒だった。二人が一緒にいるところを見てまず浮かんだのは、背の高いイケメン二人が歩いているところは圧巻だろうなということよりも、道中どんな会話をしながら一緒に歩いてたんだろう、だった。思わず灯は小さく笑ってしまう。
「……何だよ」
そんな灯に柊が微妙な顔をしてきた。梓はニコニコ笑顔だ。
「ひーちゃんだ!」
奥から出てきた恋が柊に気づくと、嬉しそうに駆けつけてきて柊に抱きついた。柊も途端にこやかになり、恋を抱き上げる。
「おお、熱烈な歓迎だな」
それを見ていた梓が感嘆したように言うと、恋を下ろした柊はジロリと梓を睨んだ。
「煩い」
梓は気にした様子もなく、ニッコリ恋に笑いかけた。
「君が恋ちゃん? 俺、この柊のお兄ちゃんなんだ。よろしくね」
すると恋は梓を見て、サッと灯の元に戻ってくると後ろに隠れた。そして恥ずかしそうな様子で梓を見上げた。
「れん、いつも人見知りなんてしないだろ」
そんな恋がかわいいながらもおかしくて、灯が優しく言うと「だって大きいお兄ちゃんなんだもん」と灯からするとわかるようでいまいち基準のわからない理由を言われた。それでも梓が兄属性だからだろうか、恋はすぐに梓と仲よしになっていた。梓も楽しそうに恋を抱き上げて遊んでいる。
「ちょっ、れんちゃんを気安く抱くな! 梓!」
嫌そうに言う柊に、梓はおかしそうに笑う。
「お前、ヤキモチ?」
「はぁっ?」
一応喧嘩をしているのだろう。だが灯の目には微笑ましく見えた。二人のやり取りが楽しくて、つい笑ってしまう。小さい子はよくない空気には敏感だと言うが、恋も怯えることもなく楽しそうにしていた。
「あら、今日は賑やかね」
夕方になると、用事のあった母親が帰ってきた。そして梓と柊に気づき「灯がいつもお世話になっています」とにこやかに頭を下げる。
「ちょっ、おばさん、やめろよ」
柊が困ったように言う横で梓は「こちらこそ、仲よくさせてもらってます」と同じように頭を下げている。
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