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シキとミヒロ
10話
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「この間はびっくりしました」
次に海優くんが来店した時、俺はまずなんて切りだそうかなと思っていたら海優くんのほうから話を振ってくれた。
その前にいつもの楽しい俺の時間は申し訳ないながらも満喫させてもらっている。今日は髪を洗う際に弄るだけじゃなく、タオルドライする際にも先に指を耳の中に入れてみた。もちろん入れ過ぎると気持ちいいどころか不快だろうと、そっとなぞる程度だが。それでも案の定海優くんはとてもいい表情を見せてくれた。小さく「……ん」という音が聞こえたような気がするが、これに関しては俺の願望かもしれない。だがいつものように堪えようとして小さくきゅっとひそめる眉や唇が愛おしい。
その後になんでもないようにタオルでも耳の中付近をそっと拭いた。これはいつもどのお客様にもしているように普通にさせてもらう。好きだと自覚してもこういうところが変わらないのは仕方ない。むしろ好きだからこそもっと見たいくらいなのだから。
「俺もびっくりしたよ。あの辺よく来るの?」
髪を乾かした後でカットしながら俺は鏡越しにニコニコとした顔を海優くんへ向けた。
「よくってほどでは。俺、寮なので外出するのに許可、いるんです。別に却下されるわけじゃないけどちょっと面倒なんで……」
「へえ」
……でも待って。ということは、月に二回ほど来店してくれているのはそのわずらわしい許可を取ってでも来たいってことになるのでは。
俺がそんな風に思っていると海優くんが「あ、でも」と少しだけ笑顔を見せてくれる。
「ここに来るのは面倒じゃないんで。むしろ志生さんが面倒ですよね。月一にしようかなと思ったりもするんですけどつい」
面倒なものか。むしろ毎日来てくれてもいい。
「いや、俺はありがたいよ。商売でもあるけど、ミヒロくんの髪を弄るの、楽しいからね」
耳を弄るのも楽しいけれども。最初の頃に比べたらかなり色々な触れかたをしていると思うのだが、海優くんは一度たりとも疑問の目を向けてきたことがない。鋭そうな顔をしているし反応を見ている限り敏感そうなのだが、俺がわざとするはずがないと盲信しているのだろうか。
だとしたら信じてくれていることは嬉しい反面、俺を絶対そういう対象で考えられないからかもしれないなあとも思えるのでなんとも。それとも気にするほどでもないくらい、髪をカットしたりカラーする以外の俺に全く関心がないという可能性もある。
かくも恋をするとネガティブになるものなのか。俺らしくもないと思いつつも、俺らしいというのが耳に悪戯をするというただのセクハラ行為なのだとしてもなんだか嫌だけれども。
「そう言っていただけて嬉しいです」
淡々と海優くんは言ってくれる。嬉しいと言えども知哉くんとソフトクリームを食べていた時のような笑顔は見せてくれない。とはいえ俺はただニッコリと笑う。
「でもたまたまだったとしたら本当に偶然だったね」
「はい。志生さんこそあの辺りはよく行かれるんですか?」
例え世間話なのだとしても好きな相手から聞かれると嬉しい。
「俺もよくってほどではないかな。ああでもあの近くに飲みに行くことは割とあるかも」
「そうなんですね。お酒か……」
お酒か、と呟く海優くんがどうにも色っぽく見えるので、俺が重傷なのかもしくは実際海優くんが男前だけではなく色気もあるかだ。まあ多分後者だ。
「寮に住んでるんだったら飲めないね」
「俺未成年なんで別に飲まないですが、中にはこっそり飲んでる人もいるかもですね」
お洒落にこだわっていそうだが、クールなだけではなく真面目なんだなあと改めて思って、俺はほっこりとする。そんな海優くんの口や体に無理やりお酒を垂らしたいなんて微塵とも悟らせない。きゅっと閉じた形のいい唇にいい香りのお酒を垂らす光景を勝手に想像し、俺はさらににっこりする。
見た目は洋酒といった雰囲気だが、洋酒よりも海優くんは日本酒が案外合いそう。吟醸酒とかがいいかな。リンゴやメロンを思わせる果物のような香りは海優くんに合いそうだと思った。飲ませるのではなく、飲みたくないと困っている海優くんの唇に垂らした雫を彼が嫌々舐めとるところが見たい気がする。
ちなみに俺は変態ではない。今まで変なプレイをしたことはない。ただ海優くんの何かがそう思わせてくるだけ、だと、言いたい。
「志生さんっていつも優しそうだしにこやかですね」
「そうかな。ありがとう。仕事柄かもだよ」
突然そんなことを言われても、俺の邪な考えなど微塵も感じさせないままサラリと微笑むくらい俺にはなんでもない。でも海優くんに対してはたまにそんな俺を保ち辛いときもあるが。
「そんなことないです。そういうところも憧れます」
「あ、はは」
平静、を保つ。家に帰ってからまたソファーに突っ伏しながら喜ぼう。とりあえず今日の目標を俺はまだ一つも果たしていない。
「ありがとう。そういえば一緒にいたチヤくん? 彼は学校の友だち?」
先ほどから手を休めることはしていない。長い髪ではないが、セクションごとに分け、ポイントカットをしていった後に整えていく。聞きたかったことを聞くときもそれは変わらない。
「ああ。そうです。でも一つ下なんで学校で会うことはあまりないです。たまたまパーティ的な集まりで知り合いになって」
なにそのパーティ行きたい。
「知哉も俺もファッションとか好きで」
「へえ、そうなんだね。ああ、学校であまり会わなくても寮で会うってことか」
海優くんのこと意識してなかった時はなんとも思わなかった寮が、今では響きからしてなにやら淫靡な感じがする。だってなんでもできそうじゃない?
「いえ。知哉、あまり部屋にいないらしいです」
「そうなの?」
「彼女に会いに行ってばかりですよ」
彼女。でかした、知哉くん。いい子だ。
俺は微笑んだ。
「彼女か。でもその度に外出許可とか大変だろうね」
「けっこう勝手に抜けだしてるそうですよ」
海優くんは先ほどからわりと淡々とした様子で教えてくれる。確かに俺に言っても支障はないだろうけれども、まるで俺だから教えてくれている気がしてなんとなく嬉しい。
「なるほどね。……そういえばミヒロくんは彼女、いないの?」
「はい」
笑顔でも困った顔でも嫌そうな顔でもなく、クールな様子で返事をしてくるので感情があまり読めない。
「そっか。作るの難しそう?」
見ている限り、外に出ていたら簡単そうだけどね。
「どうでしょうね。まあ、なるようになります」
ほんと男前。
俺はそっと苦笑した。
「まあ、そうだね。ああ、そういえばね、もしミヒロくんがよかったらなんだけど、今度一緒にご飯とか食べにいかない?」
「え?」
今日、今、初めて海優くんの感情が少し微笑む以外に出たような気がする。嬉しそうというより唖然としたような感じなのはこの際スルーだ。
「もっとゆっくり喋ってみたいなって思って。だめかな」
どうとでもとれるような言いかたをする。とはいえ男同士なのだし、どうにもとりようがない気もするが。
「いえ。是非」
是非、という海優くんはまた少しだけ微笑んでくれた。
次に海優くんが来店した時、俺はまずなんて切りだそうかなと思っていたら海優くんのほうから話を振ってくれた。
その前にいつもの楽しい俺の時間は申し訳ないながらも満喫させてもらっている。今日は髪を洗う際に弄るだけじゃなく、タオルドライする際にも先に指を耳の中に入れてみた。もちろん入れ過ぎると気持ちいいどころか不快だろうと、そっとなぞる程度だが。それでも案の定海優くんはとてもいい表情を見せてくれた。小さく「……ん」という音が聞こえたような気がするが、これに関しては俺の願望かもしれない。だがいつものように堪えようとして小さくきゅっとひそめる眉や唇が愛おしい。
その後になんでもないようにタオルでも耳の中付近をそっと拭いた。これはいつもどのお客様にもしているように普通にさせてもらう。好きだと自覚してもこういうところが変わらないのは仕方ない。むしろ好きだからこそもっと見たいくらいなのだから。
「俺もびっくりしたよ。あの辺よく来るの?」
髪を乾かした後でカットしながら俺は鏡越しにニコニコとした顔を海優くんへ向けた。
「よくってほどでは。俺、寮なので外出するのに許可、いるんです。別に却下されるわけじゃないけどちょっと面倒なんで……」
「へえ」
……でも待って。ということは、月に二回ほど来店してくれているのはそのわずらわしい許可を取ってでも来たいってことになるのでは。
俺がそんな風に思っていると海優くんが「あ、でも」と少しだけ笑顔を見せてくれる。
「ここに来るのは面倒じゃないんで。むしろ志生さんが面倒ですよね。月一にしようかなと思ったりもするんですけどつい」
面倒なものか。むしろ毎日来てくれてもいい。
「いや、俺はありがたいよ。商売でもあるけど、ミヒロくんの髪を弄るの、楽しいからね」
耳を弄るのも楽しいけれども。最初の頃に比べたらかなり色々な触れかたをしていると思うのだが、海優くんは一度たりとも疑問の目を向けてきたことがない。鋭そうな顔をしているし反応を見ている限り敏感そうなのだが、俺がわざとするはずがないと盲信しているのだろうか。
だとしたら信じてくれていることは嬉しい反面、俺を絶対そういう対象で考えられないからかもしれないなあとも思えるのでなんとも。それとも気にするほどでもないくらい、髪をカットしたりカラーする以外の俺に全く関心がないという可能性もある。
かくも恋をするとネガティブになるものなのか。俺らしくもないと思いつつも、俺らしいというのが耳に悪戯をするというただのセクハラ行為なのだとしてもなんだか嫌だけれども。
「そう言っていただけて嬉しいです」
淡々と海優くんは言ってくれる。嬉しいと言えども知哉くんとソフトクリームを食べていた時のような笑顔は見せてくれない。とはいえ俺はただニッコリと笑う。
「でもたまたまだったとしたら本当に偶然だったね」
「はい。志生さんこそあの辺りはよく行かれるんですか?」
例え世間話なのだとしても好きな相手から聞かれると嬉しい。
「俺もよくってほどではないかな。ああでもあの近くに飲みに行くことは割とあるかも」
「そうなんですね。お酒か……」
お酒か、と呟く海優くんがどうにも色っぽく見えるので、俺が重傷なのかもしくは実際海優くんが男前だけではなく色気もあるかだ。まあ多分後者だ。
「寮に住んでるんだったら飲めないね」
「俺未成年なんで別に飲まないですが、中にはこっそり飲んでる人もいるかもですね」
お洒落にこだわっていそうだが、クールなだけではなく真面目なんだなあと改めて思って、俺はほっこりとする。そんな海優くんの口や体に無理やりお酒を垂らしたいなんて微塵とも悟らせない。きゅっと閉じた形のいい唇にいい香りのお酒を垂らす光景を勝手に想像し、俺はさらににっこりする。
見た目は洋酒といった雰囲気だが、洋酒よりも海優くんは日本酒が案外合いそう。吟醸酒とかがいいかな。リンゴやメロンを思わせる果物のような香りは海優くんに合いそうだと思った。飲ませるのではなく、飲みたくないと困っている海優くんの唇に垂らした雫を彼が嫌々舐めとるところが見たい気がする。
ちなみに俺は変態ではない。今まで変なプレイをしたことはない。ただ海優くんの何かがそう思わせてくるだけ、だと、言いたい。
「志生さんっていつも優しそうだしにこやかですね」
「そうかな。ありがとう。仕事柄かもだよ」
突然そんなことを言われても、俺の邪な考えなど微塵も感じさせないままサラリと微笑むくらい俺にはなんでもない。でも海優くんに対してはたまにそんな俺を保ち辛いときもあるが。
「そんなことないです。そういうところも憧れます」
「あ、はは」
平静、を保つ。家に帰ってからまたソファーに突っ伏しながら喜ぼう。とりあえず今日の目標を俺はまだ一つも果たしていない。
「ありがとう。そういえば一緒にいたチヤくん? 彼は学校の友だち?」
先ほどから手を休めることはしていない。長い髪ではないが、セクションごとに分け、ポイントカットをしていった後に整えていく。聞きたかったことを聞くときもそれは変わらない。
「ああ。そうです。でも一つ下なんで学校で会うことはあまりないです。たまたまパーティ的な集まりで知り合いになって」
なにそのパーティ行きたい。
「知哉も俺もファッションとか好きで」
「へえ、そうなんだね。ああ、学校であまり会わなくても寮で会うってことか」
海優くんのこと意識してなかった時はなんとも思わなかった寮が、今では響きからしてなにやら淫靡な感じがする。だってなんでもできそうじゃない?
「いえ。知哉、あまり部屋にいないらしいです」
「そうなの?」
「彼女に会いに行ってばかりですよ」
彼女。でかした、知哉くん。いい子だ。
俺は微笑んだ。
「彼女か。でもその度に外出許可とか大変だろうね」
「けっこう勝手に抜けだしてるそうですよ」
海優くんは先ほどからわりと淡々とした様子で教えてくれる。確かに俺に言っても支障はないだろうけれども、まるで俺だから教えてくれている気がしてなんとなく嬉しい。
「なるほどね。……そういえばミヒロくんは彼女、いないの?」
「はい」
笑顔でも困った顔でも嫌そうな顔でもなく、クールな様子で返事をしてくるので感情があまり読めない。
「そっか。作るの難しそう?」
見ている限り、外に出ていたら簡単そうだけどね。
「どうでしょうね。まあ、なるようになります」
ほんと男前。
俺はそっと苦笑した。
「まあ、そうだね。ああ、そういえばね、もしミヒロくんがよかったらなんだけど、今度一緒にご飯とか食べにいかない?」
「え?」
今日、今、初めて海優くんの感情が少し微笑む以外に出たような気がする。嬉しそうというより唖然としたような感じなのはこの際スルーだ。
「もっとゆっくり喋ってみたいなって思って。だめかな」
どうとでもとれるような言いかたをする。とはいえ男同士なのだし、どうにもとりようがない気もするが。
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是非、という海優くんはまた少しだけ微笑んでくれた。
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