トーカティブレティセント

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シキとミヒロ

18話 ※

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 海優くんは両手で顔に覆っているタオルをぎゅっと押さえている。本当はその中の表情を見ていたいが、そうしている海優くんもかわいいのでありだと思う。
 俺は膝掛けの中でパンツを脱がせた時のように少し腰を浮かせさせ、下着をずらした。さすがに替えの下着は用意していないから汚さないようにしないとだしね。そして既に硬くなっている海優くんのものを、新たにオイルで濡らした手でゆるゆると扱いていく。
 膝掛けが視界的に邪魔だけれども、これを退けてしまったら多分海優くんが本当に嫌がるのが目に見えているので仕方ない。

「気持ち、いい?」

 返ってこないだろうなと思いつつも聞くと、やはり無言のままで首だけ振られた。だが無言とはいえ、時折くぐもった声が漏れ聞こえてくる。

「イきそうになったら教えて欲しいな。色々汚しちゃわないようにね」

 俺はニコニコとしながらさらにぬるぬるとした手を動かしていく。
 正直な話、自分も家でだがこのオイルを使ったことがある。滑りがいいとやはり気持ちいいものだし。
 だが家での感じと違う。ほんのりと香るオイルと海優くんの匂いが混じってまるで俺は媚薬を嗅いでいるような気分になる。俺の手の中にある海優くんの硬いアレがまるで生きているように脈打っている気がする。
 自分でもするものなのに、人のものを触れるとすごく感覚が違うんだなと俺は思った。なんだろう、自分自身の感覚が快楽で麻痺しない分、余計にそのものを感じるのだろうか。どうせなら触覚や嗅覚、聴覚以外ににも視覚、味覚も楽しみたいが、仕方がない。それはいつかの楽しみにとっておく。
 ひくひくと動く竿を上下に扱く手を速めて時折誰もが弱いであろう亀頭を弄っていると暫くすると海優くんが「も……」と声を上げた。

「イく?」
「……っん、ん」

 タオルでくぐもっているが切なげな声で海優くんがコクコクと頷いているのがわかる。
俺は手を止めることなく、もう片方の手で用意しておいた小さな柔らかいガーゼハンカチで海優くんのものを包み込むようにした。

「ミヒロくん、イって……?」

 俺は囁くように言いながらガーゼハンカチの上から亀頭をぐりぐりと弄った。

「っふ、ぅ……っ」

 ガーゼの上からでも海優くんのものがビクビクと震えたのがわかった。そしてじんわりと温かくなり、ペニスは小さくなっていく。

「かわいい」

 優しく拭きとりながら俺が言うとまだタオルで隠れた口から、また「変態」とのお言葉を賜った。
 下を元通りにした後に髪に巻いていたタオルを取ってお湯で流し、シャンプーした。最初は凄く警戒していたがまたマッサージをしていると海優くんの緊張がほぐれていくのがわかった。きっと敏感なままだろうから今耳に悪戯したら楽しいだろうなと思ったが、あまり一度に色々すると二度とこういう時間を作ってくれなさそうどころか、ちゃんとデートをする前に嫌われそうなので我慢する。
 今日は髪は染めないのでその後でしっかりトリートメントもして、最終的にかかった時間はしっかり、ヘッドスパのコース内にある三十分。そのためにオイルスパをしたようなものだ。

「色々気持ちよかったでしょ」

 階下に降りるときに俺がニッコリと言うと、海優くんは少し顔色が赤くなりながらも「セクハラ美容師」とつれない。高校生だもんなーと思いつつも俺は反省する気はないし多分またすると思う。
 一階では髪をカットして終わった。俺はなんでもない風を装うのは得意なので、いや、落ち込んでいる時は卓也さんにばれていたが、基本的には得意なのでニコニコといつもと変わらない様子でカットした。海優くんも、気づけばもう機嫌を直してくれているようで俺が髪をカットしていくところをいつものように見ていた。
 このスペースではさすがに人の目があるのでいくら俺でも妙なことはしない。いや、いつもシャンプーの時などにしていましたが。
 そうじゃなくて色々本当はゆっくり話したいけれどもあくまでも店員とお客様であることは忘れていないということだ。

「来てくれてありがとうね。次は一カ月後?」

 会計をする前に受付カウンターでいつも次の都合を聞く。時間がない時は一旦アシスタントをしてくれている子にそれは任せているのだが、今日はニコニコと俺が聞く。
 海優くんは一瞬微妙な顔をしてきたが「はい、この日辺りで」とまたいつものように答えてくれた。あの時は慣れていなさそうで高校生らしいなあと思ったが、普段はやっぱり大人みたいだなと思う。
いつものように見送りをする時も海優くんはなんでもないように店を出た。
 でも外に出て離れる時に「……あんなでご褒美になりましたか」とボソリと言いながら見せてきた少し赤い顔に、油断していた俺は理性を必死になって保つはめになった。
 その夜、俺はとても質のいい、豊富なおかずを堪能した。できることなら家に連れ込んでなにもかも堪能したいところだけれども、七つは下であろう高校生に対してさすがに今まで恋愛に適当だった俺でも無茶はしない。それにこういう風にじわじわでもわりと、いや、かなり楽しい。
 海優くんが無事受験を終えるまでにあと何回美容院に来てくれるだろうか。その間にどれだけ海優くんの反応を楽しみつつ色々開発できるだろうかと考えるだけでぞくぞくしそうだ。
 彼が寮に入っていないのならまだ遊びにも誘いやすかったかもしれないが、そんなことを考えるだけでも俺は生きていけそうな気がする。とはいえ美容院だけだと、色んな意味で触れて多少俺の性的欲求は満たせても、会話というコミュニケーションが満たせない。会話はできるが好き勝手に色々話す訳にもいかない。
 もちろん電話で話すこともできるが、機械を通して喋るのと好きな相手の体温を近くに感じながら喋るのでは雲泥の差がある。
 だからせめて海優くんの冬休みに少しはゆっくり会えたらいいなとか思っているが、こんなこと考えているのが卓也さんにバレたら生ぬるい顔をされそうだ。
 いや、生ぬるい顔じゃなくて腹を抱えて笑われた。いつもの場所で飲んている時に。
 こう、最近卓也さんと飲んでいることばかり言っているとまるで俺に友達がいないみたいだが、違う。学生時代の男友達や女友達もいるが、中々皆と時間が合わないのだ。
 せめてこの周辺で勤めている友達がいればと思うが、この辺はビジネス街ではないし、専門学校時代の友だちは置いておいて、基本的に友達であまりファンション系の仕事をしている者がいない。大抵サラリーマンかガテン系か、飲食業としても場所の違うところで働いているかだ。
 化粧品会社に勤めている女の子の職場は案外近いが、なんていうか友だちでもあまり女の子と二人で会わないほうがいいかなと前の俺からしたら考えられないような配慮を海優くんに対して持っている。
 なので必然的に同じ職場である卓也さんと飲みに行くのが多くなる。
 卓也さんには海優くんと付き合うことになったと言わされる羽目になったが、別に俺のこの乙女のような、せめて冬休みにはという考えは当然言うつもりなんてなかった。だが卓也さんに散々「高校生相手に無茶すんなよ」とか「ちゃんと付き合っていけんの」とか、何ていうかこちらの腹を微妙にじわじわ嫌な具合でつついてこられたせいで気づけば「ミヒロくんの冬休みには時間作りたいとは思ってるんです」などと口にしてしまっていた。
そして「キモい」と笑われる羽目になったのだ。

「……そういうアンタはどうなんです」

 とてつもなく嫌な顔をしたくなったが俺はなんでもないように卓也さんを見る。

「なにが」
「近藤ちゃんと進展はあるんですか」
「付き合ってんだぞ、そりゃあるに決まってんだろ」

 あるの?

 俺はついポカンとした顔をしてしまった。

 ついこの間までは「付き合っても変わらねえ」とかなんとか言ってただろアンタ……。

「あの近藤ちゃんとむしろなにがどうあるのか詳細を聞きたいですね」
「は? お前俺の何やらとか聞いて楽しいの」

 微妙な顔で見られたし、俺だってアンタの絡みやらなんやらなんて興味ないと言いたい。

「アンタのことはどうでもいいですが、近藤ちゃんがどんな風になるのかは明日予約されてるお客様の髪をどうしようかよりも気になります」
「なにそれ」
「ちょっと見学させてくださいよ」
「嫌に決まってんだろ、なにプレイだよ! それにお前サドなの知ってるからな。お前楽しませるためのマサは存在しねえんだよ。俺のもんだからな」
「ウザいです」
「お前はキモいわ」

 他のことには適当なくせに案外卓也さん、ケチだな。まあ俺も、もし海優くんの堪えている時の顔が見たいとか言われたら言ってきた相手の唇を捻りつぶしたくはなるかもしれないけれども。
 卓也さんと近藤ちゃんがどんな状態の関係になっているのかは結局わからなかったけれども、好奇心が満たされなかっただけで別に俺に焦りはない。俺は俺のペースでじわじわ海優くんを楽しめたらそれで幸せだと思っている。
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