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先ほどから日陽はひたすらうずくまっていた。体を動かすのも億劫だった。
「……日陽、あの、ごめんな」
那月は甲斐甲斐しく世話を焼きながら謝ってくる。腰や尻はもちろんのこと、あらゆる関節が悲鳴を上げている気がする。日陽はゆっくり顔を横にして那月を見た。
「俺もお前を欲しいと思ったし」
「日陽……!」
「って言うと思ったか、馬鹿那月! いや、俺もお前としたいと思ったのはほんとだけどな、何ていうの、何事も限度ってもの、あるだろ?」
「う。ごめん……」
まさかの両思いとか、男同士ということもあり奇跡としか思えない。好きになった時期は違うが、そこは本当に凄いなと純粋に思うしとても嬉しい。
だからといって、実際限界がある。前に一度したきりであるだけの日陽に、一体どれほどしてくるのか。
そもそも男の体は基本的に受け入れるようにできていない。古くから同性愛はずっとあったようだが、さすがに自然に行えるようにはできていない。
……でも、本気で拒否してたら多分那月もやめてたかも。
乱れたままのシーツに包まりながら日陽は思った。結局日陽も拒否できなかったので同罪ではある。
好きだとわかった途端ひたすらするとか、ちょっと普通だとどうかとは思う。普段ならもっとこう、ゆっくり気持ちを育んだりしてからじゃないかとも思う。
それでも嬉しかったのだと日陽は思った。今も那月がひたすら謝りながらも日陽をこうして気にしてくれていることが多分心地いいのかもしれない。実際体は本当にキツいのだが、内心そんなことを思って日陽は少しだけ一人でほんわかとした後に那月にも笑いかけた。
「もういい。今回はお前も俺が好きなんだってわかったし特別許してやる。でもほんと無理だからなこんなにとか」
「う、うん。ごめんね。そんで……本当にありがとう」
ようやく那月もホッとしたのか嬉しそうにニコニコ笑顔を見せてきた。その笑顔を見て、日陽はじんわりまた両思いであることを噛みしめる。我ながら乙女かよと少し微妙になりつつ、ふと思い立って那月に「なあ」と呼び掛けた。
「何?」
「俺の鞄から『ツキくん』取って」
日陽が頼んだ途端、何故か那月がとてつもなく微妙な顔をしてくる。
「何だよ」
「え、いや……日陽、そんなにあのゲテモ……ぬいぐるみ気に入ってんの」
那月は言いながらも鞄から、クレーンゲームで得たぬいぐるみを出すと持ってきてくれた。
「え、何で。何かこう、ゆるふわな感じがかわいくね?」
「ゆるはまだかろうじて受け入れたとして、ふわかな……っ? ふわなの?」
「? え、お前これあんまり? あーだったらそうか……」
あまり好きでないなら仕方ない、と日陽が少しがっかりと言いかけると「別に嫌いとか言ってないよっ? っていうか何?」と那月が即座に言ってきた。
「え、いや何かこう、記念にツキくんをここに置いてこうかなって」
「ごめん、よくわからないんだけど」
「何で。いっぱい記念あるだろ? 俺がクレーンゲームでツキくん取れたのもすげーし、俺とお前がまさか両思いだったのもすげーし、……こうしてまたその、できたのもすげーだろ」
だから記念だと思えたし、那月がこのぬいぐるみを見るたびに自分を思い出せばいいなどとも思った。正直やはり乙女かと自分で自分が気持ち悪くもあるが、誰かを好きでその誰かと色んなものを共有するのが嬉しいという気持ちに性別はないと那月は思う。
基本的に日陽は普段あまり人前でベタベタするのも少し苦手だし、約束もわりと先約を優先する方なので、どちらかといえば恋愛に対してもあっさりとしたタイプであるかもしれない。
それでも嬉しい、楽しいといった感情は結構湧くしそういった気持ちは大切だとも思っている。
「日陽……」
那月は少し俯いた後、何故かいきなりキスしてきた。少し触れるだけのキスから、だんだんと深くなっていく。
今、いったい何でスイッチ入ったんだよっ?
日陽も気持ちいいことは好きだし那月とのキスも嬉しい。が、今は危機感しかない。
「っちょ、待て!」
なので何とか引き離すと、少し息を乱しながら那月を呆れたように見た。
「何でツキくんの話からそんなキスっ?」
「だって! あの、っていうか本当にツキくんとやら、置いてくのか?」
「きっと那月のツキも上げてくれるよ。そいや那月もツキってつくし、何かうん」
「何がうんなの? それにツキくん、くれるのって微妙なツキなんだよね……?」
「あ、ちゃんと聞いててくれたんだな。アニメではその微妙加減が絶妙なんだよな」
「いやいや、その微妙なツキ、俺貰っても多分困るよ?」
「……じゃあいらないか」
せっかくいい感じの記念だったんだけどなと思ったが、那月がいらないものを押しつけるわけにもいかない。日陽は少しがっかりしたが、まあ仕方ないかと一旦ベッドの傍らに置いたぬいぐるみに手を伸ばそうとした。すると那月がその前にぬいぐるみを手にしてそれを抱きしめた。
「那月、どうした」
「貰っておく! 嬉しいよ日陽。ありがとう! ずっと大切にしまい込んでおくよ!」
「え、しまったら駄目だろ、飾ったり置いておくもんじゃないのか」
「……そうだな、うん、そう、するよ……」
また微妙な顔をしている那月に「別にいらないなら構わない」と言いかけたが「いるよ!」と途中で遮られた。それがなんだかおかしくて日陽が笑うと、那月も笑ってきた。
翌日もまだ体の節々が痛かったし怠さもあったが、動けないほどでもないので日陽は普通に過ごした。ただし部活ではストレッチ中心の練習をさせてもらう。
「ちょっと挫くほどじゃないけど足、痛めて」
そう言うとストレッチ練習をさせてもらえたので、つくづく無茶をさせない部活でよかったなと日陽は思う。足、というか付け根あたりではあるが、実際まだ少し痛いのは間違いではないので嘘をついたわけでもない、と自分には言い聞かせる。
翌々日には体は元通りになっていた。
恋人、という関係に新たになった那月は傍から見ても普段より嬉しそうに見えるのか「楽しそうだな」「何かあった?」などと何度か聞かれていた。一応那月には「こういう関係は秘密がいい」と伝えている。それでも実際那月があまりに嬉しそうなので、つい口にしないかと日陽はハラハラした。
「すごく楽しいことがあっただけだよ」
「楽しいことって何」
「言ったら楽しいことが半減しそうだから言わない」
「何それ」
そんなやりとりが聞こえてきた時もハラハラしていた。
「……日陽、あの、ごめんな」
那月は甲斐甲斐しく世話を焼きながら謝ってくる。腰や尻はもちろんのこと、あらゆる関節が悲鳴を上げている気がする。日陽はゆっくり顔を横にして那月を見た。
「俺もお前を欲しいと思ったし」
「日陽……!」
「って言うと思ったか、馬鹿那月! いや、俺もお前としたいと思ったのはほんとだけどな、何ていうの、何事も限度ってもの、あるだろ?」
「う。ごめん……」
まさかの両思いとか、男同士ということもあり奇跡としか思えない。好きになった時期は違うが、そこは本当に凄いなと純粋に思うしとても嬉しい。
だからといって、実際限界がある。前に一度したきりであるだけの日陽に、一体どれほどしてくるのか。
そもそも男の体は基本的に受け入れるようにできていない。古くから同性愛はずっとあったようだが、さすがに自然に行えるようにはできていない。
……でも、本気で拒否してたら多分那月もやめてたかも。
乱れたままのシーツに包まりながら日陽は思った。結局日陽も拒否できなかったので同罪ではある。
好きだとわかった途端ひたすらするとか、ちょっと普通だとどうかとは思う。普段ならもっとこう、ゆっくり気持ちを育んだりしてからじゃないかとも思う。
それでも嬉しかったのだと日陽は思った。今も那月がひたすら謝りながらも日陽をこうして気にしてくれていることが多分心地いいのかもしれない。実際体は本当にキツいのだが、内心そんなことを思って日陽は少しだけ一人でほんわかとした後に那月にも笑いかけた。
「もういい。今回はお前も俺が好きなんだってわかったし特別許してやる。でもほんと無理だからなこんなにとか」
「う、うん。ごめんね。そんで……本当にありがとう」
ようやく那月もホッとしたのか嬉しそうにニコニコ笑顔を見せてきた。その笑顔を見て、日陽はじんわりまた両思いであることを噛みしめる。我ながら乙女かよと少し微妙になりつつ、ふと思い立って那月に「なあ」と呼び掛けた。
「何?」
「俺の鞄から『ツキくん』取って」
日陽が頼んだ途端、何故か那月がとてつもなく微妙な顔をしてくる。
「何だよ」
「え、いや……日陽、そんなにあのゲテモ……ぬいぐるみ気に入ってんの」
那月は言いながらも鞄から、クレーンゲームで得たぬいぐるみを出すと持ってきてくれた。
「え、何で。何かこう、ゆるふわな感じがかわいくね?」
「ゆるはまだかろうじて受け入れたとして、ふわかな……っ? ふわなの?」
「? え、お前これあんまり? あーだったらそうか……」
あまり好きでないなら仕方ない、と日陽が少しがっかりと言いかけると「別に嫌いとか言ってないよっ? っていうか何?」と那月が即座に言ってきた。
「え、いや何かこう、記念にツキくんをここに置いてこうかなって」
「ごめん、よくわからないんだけど」
「何で。いっぱい記念あるだろ? 俺がクレーンゲームでツキくん取れたのもすげーし、俺とお前がまさか両思いだったのもすげーし、……こうしてまたその、できたのもすげーだろ」
だから記念だと思えたし、那月がこのぬいぐるみを見るたびに自分を思い出せばいいなどとも思った。正直やはり乙女かと自分で自分が気持ち悪くもあるが、誰かを好きでその誰かと色んなものを共有するのが嬉しいという気持ちに性別はないと那月は思う。
基本的に日陽は普段あまり人前でベタベタするのも少し苦手だし、約束もわりと先約を優先する方なので、どちらかといえば恋愛に対してもあっさりとしたタイプであるかもしれない。
それでも嬉しい、楽しいといった感情は結構湧くしそういった気持ちは大切だとも思っている。
「日陽……」
那月は少し俯いた後、何故かいきなりキスしてきた。少し触れるだけのキスから、だんだんと深くなっていく。
今、いったい何でスイッチ入ったんだよっ?
日陽も気持ちいいことは好きだし那月とのキスも嬉しい。が、今は危機感しかない。
「っちょ、待て!」
なので何とか引き離すと、少し息を乱しながら那月を呆れたように見た。
「何でツキくんの話からそんなキスっ?」
「だって! あの、っていうか本当にツキくんとやら、置いてくのか?」
「きっと那月のツキも上げてくれるよ。そいや那月もツキってつくし、何かうん」
「何がうんなの? それにツキくん、くれるのって微妙なツキなんだよね……?」
「あ、ちゃんと聞いててくれたんだな。アニメではその微妙加減が絶妙なんだよな」
「いやいや、その微妙なツキ、俺貰っても多分困るよ?」
「……じゃあいらないか」
せっかくいい感じの記念だったんだけどなと思ったが、那月がいらないものを押しつけるわけにもいかない。日陽は少しがっかりしたが、まあ仕方ないかと一旦ベッドの傍らに置いたぬいぐるみに手を伸ばそうとした。すると那月がその前にぬいぐるみを手にしてそれを抱きしめた。
「那月、どうした」
「貰っておく! 嬉しいよ日陽。ありがとう! ずっと大切にしまい込んでおくよ!」
「え、しまったら駄目だろ、飾ったり置いておくもんじゃないのか」
「……そうだな、うん、そう、するよ……」
また微妙な顔をしている那月に「別にいらないなら構わない」と言いかけたが「いるよ!」と途中で遮られた。それがなんだかおかしくて日陽が笑うと、那月も笑ってきた。
翌日もまだ体の節々が痛かったし怠さもあったが、動けないほどでもないので日陽は普通に過ごした。ただし部活ではストレッチ中心の練習をさせてもらう。
「ちょっと挫くほどじゃないけど足、痛めて」
そう言うとストレッチ練習をさせてもらえたので、つくづく無茶をさせない部活でよかったなと日陽は思う。足、というか付け根あたりではあるが、実際まだ少し痛いのは間違いではないので嘘をついたわけでもない、と自分には言い聞かせる。
翌々日には体は元通りになっていた。
恋人、という関係に新たになった那月は傍から見ても普段より嬉しそうに見えるのか「楽しそうだな」「何かあった?」などと何度か聞かれていた。一応那月には「こういう関係は秘密がいい」と伝えている。それでも実際那月があまりに嬉しそうなので、つい口にしないかと日陽はハラハラした。
「すごく楽しいことがあっただけだよ」
「楽しいことって何」
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そんなやりとりが聞こえてきた時もハラハラしていた。
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