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睦と青葉は一歳しか変わらない。たった一年。それでもやはり先に生まれてきた自分は当然「兄」であり、周りもそう扱ってくる。
「お兄ちゃんだから」
「お兄ちゃんでしょ」
そんな言葉を聞く度に、睦は内心「だから、何」と思っていた。
一年の差ってそんなデカイの。一年で体の成長以外にそんなに何だって大人になるものなの。
なぜ少し先に生まれただけで何でも我慢しなければならない? なぜ何でも優れていなければならない?
幸い両親は兄弟を比較するといった行動をとってきたことない。睦は睦、青葉は青葉とむしろ適当かというほど好き勝手させてくれた。睦が青葉に何か譲らなくても、そして睦が青葉の面倒を見なくても、それが間違ったことや酷いことに繋がらない限り放っておいてくれた。もちろん仕事が忙しかったというのもあるが、両親に対して思うことない。
だが仕事で成功した有名な親の周りに始終たくさんいた親戚たちはそうではなかった。親の代わりに面倒見るといって自分たちのいいようにしようとしてくる者たちはそうではなかった。
自我すらまだしっかりしていない頃からひたすら親でもない相手たちに聞かされる「兄」という言葉は睦にとって、むしろ忌々しいものでしかなかった。
「睦はお兄ちゃんだからね、将来親の後を継いでいかないとだし、しっかりしなきゃね」
「睦はお兄ちゃんでしょ? だから弟の青葉の面倒もしっかり見てあげないとね。そしていい見本にならないと」
ひたすらそんなことばかり言われ続けてむしろやる気を見出すヤツいるなら、そいつはもう変態じゃね?
そんな風に小さいながらも思っていた。適当に流す術は否応なしに覚えていったが、知らず知らずそれらの言葉はプレッシャーとして睦にのしかかっていた。
それでも青葉のことは実際大好きではあった。大切な存在。大事にしたい存在。だからといって宝箱に入れておきたい存在というわけでは、ない。
むしろ自分にとって楽しい存在であって欲しい。ただでさえあまりいない両親に、無駄にいる鬱陶しい親戚ばかりなのだ。せめて「弟」ならそれくらいいいんじゃないのと思っていた。
だから喧嘩も普通にする。とはいえドロドロしたものをぶつけるような楽しくないものじゃなく、スッキリできるような楽しめる喧嘩が、いい。
そして「弟」なら「兄」と同じようなことを楽しめるようになれば、いい。
いい見本? そんなの知らない。いや、そんなに言うならちゃんと見本になってあげるよ。あおは俺を見て、同じように歪んだことを楽しめばいい。俺はそのいい見本になってあげる。ほら、楽しいよ、あお。
きっと青葉はただ自分は睦に似ているのだろうとしか思わないだろう。もちろん一見被る気は睦にもなかった。服の趣味から得意な教科まで、ことごとく同じだと比較対象になってしまう。ただでさえ煩い周りがもっと煩くなる。向上したくないわけではない。自分は自分の思うよう自分のペースで何でもするだけ。結果は出している。ただ周りは黙れ、と思っているだけだ。
自分に関係ないからこそ、「兄」と「弟」を比べて無責任に評価してくる。
でもほら……楽しむ対象が人なら。
見下す相手や楽しむ相手が同じだったらきっと楽しい。
だからほら、それは俺を見本にしてね、あお。性的なことだって色々教えてあげる。男女だけが楽しいなんてもったいない。あおも男を楽しめばいい。そう、一緒に色々楽しもう?
そうやって睦は、「兄」としてずっと「弟」の面倒を見てきた。
青葉は睦を兄として扱ってこない。お互い大切な身内。
大切で大好きな、あお。
ただ一度青葉が「むつはお兄ちゃんなんでしょ? おばさんがね、むつのこと、ちゃんとお兄さんって呼びなさいって言ってきたよ。なんで? むつじゃだめなの? なんで?」と言ってきた時は切れた。そうやって無責任に兄弟という枠を押しつけようとしてくる他人と、そして青葉に。
青葉のことは嘘偽りなく好きだ。でも後で生まれた身としてただ気楽に、兄弟というコンプレックスに悩まされることなく、睦に負けないよう純粋に努力して笑っている青葉がたまに物凄く憎く思うこともある。一般家庭よりも多分執拗に、小さな頃から「兄だから遠慮し、兄だから面倒を見、そして兄だから優れているべき」というくだらない固定概念を押しつけられてきた睦にとって、純粋な青葉が酷く憎いことがあった。
だが切れた睦に対して、策略も何もなくひたすら悲しげに泣きじゃくる青葉を見ていると、すぐそんな気持ちは晴れた。固定概念にとらわれているのはむしろ自分じゃないかと思った。
青葉は純粋に睦を慕ってくれている。そこに兄だから弟だからという押しつけはない。拘っているのはむしろ自分だ、青葉を見てそう思って以来、睦はますます好き勝手するようになった。歪んでいるのであろう性格が治ることはないが別に気にならない。
デザイナーである親の跡継ぎってなんだよ、デザイナーという才能もいずれ譲り受けんのかよ、とずっと内心せせら笑ってはいたが、これに関しては生まれた時すでに譲り受けていたようだ。青葉もそれは同じらしい。同じ職業……と思いもしたが、ファッションの好み異なっているのでそれは問題ないだろう。
今でも親戚のことはとてつもなく鬱陶しいと思っている。だが適当に受け答えする以外睦の内面を煩わせることは基本ない。
青葉を今のような青葉にしたという自覚はある。元々純粋で素直な性格だった。だからきっと睦が面倒見なければ、今頃それこそ外見に伴った爽やかで優しくかわいい子になっていたかもしれない。
それを自分の勝手な感情でいいように扱ったという自覚は、ある。あるが、後悔したことは一瞬たりともない。
多分睦は元々性格が悪かったのだろうと自分でも思っている。これも自覚はある。だから後悔するどころか青葉が青葉でよかったとさえ思っていた。
青葉と体の関係を持ったことすら後悔したことない。それどころか自分のところに引き摺り落としたことに幸福感さえ覚える。
もちろん恋愛感情はない。ないが、大切で大事な「俺の青葉」だとは思っている。
その青葉が最近少しだけ、おかしい。慶一のせいだと睦はわかっている。
もちろん自分も慶一で遊ぶのは楽しい。久々にとてもいい玩具を手に入れたようでいい気分でもある。
青葉は最初、ただ単にあの無口で無表情なところを崩したいと思っていただけだろう。だが睦は少し違う。
慶一も睦たちと同じように年子の兄弟がいる。あちらは慶一が弟で、同じ風紀書記の三年にいる黄馬が兄だ。デザイナーである睦たちの親と違い、あちらの親は化粧品の会社を経営している。育ってきた環境は多分違うだろう。もちろん知っているのではなく憶測でしかないが、きっと親はいつも最低でもどちらかはいてくれたのではないだろうか。少なくともわけのわからない親戚がやたら口出ししてくるような環境じゃない気はする。
あの黄馬を見ているとそう思える。あれぞおそらく「兄」なのだろう。
黄馬に対して思うところは特にない。睦が一目置いている生徒会会計三年のあの瑠生が、今ではベタ惚れなのだ。面白みはないが恐らくあの優しい兄気質な性格は、一見でも取り繕っているのでもなく本物なのだろうなと思う。
その代わり、慶一は、違う。無口で無表情。おまけに心底素っ気ない。それはもちろん性格だろう。昔からなのだろう。
でも……きっと周りから受けた影響を思いきり培ってきてるよねぇ……?
絶対に言われているはずだ。絶対、周りから「お兄ちゃんはあんななのにねえ」と、言われているはずだ。
それを思うと睦はむしろゾクゾク震えそうだった。自分と同じ部分に親近感があるわけでもない。ましてや同族嫌悪でもない。多分それは歪んだ欲望なだけだと自分でもわかっている。
青葉は大切で大好きな存在。そして「弟」ではなくかけがえのない何かであり、いたぶりたいものではない。いつも一緒に楽しいと思っていたいだけ。
そこへ現れた、恐らく兄弟という状況を周りから意識させられたであろう「弟」という存在。おまけに全然表情を出してこない。
こんなの、楽しくないはずない。
まだ中等部にいた頃は、慶一が子どものようにしか見えなかったから、いたぶるといってもただのからかい対象でしかなかった。多分当時は青葉も、というか青葉自体子どもだっただろうから、ただ睦と一緒にからかっていただけだったろう。
その内多少飽きてきて、他に色々新しい遊びも覚えたせいで興味は一旦薄れていったのだが、高等部に入ってからまた変わってきた。
あれは夏が過ぎたくらいだっただろうか。同じ風紀にいても特に関心が薄れていたはずの慶一がたまたま視界に入っただけだったのだが、ハッとなった。気のせいかもしれないが、元々無表情云々をどうにかすれば整った顔をしている慶一が、どうにも儚げというか変な色気が増したように見えた。
そこからまた興味が湧き。今では実際体を味わうまでになっている。
慶一の具合はとてもいい感じだし、反応もやはりいい。だから睦もそれなりに夢中にはなっている。かなりお気に入りだから、流河を含め青葉以外の誰かが慶一と関係を持つという状態は腹立たしいとも思う。
だが青葉の反応が、どうにも少しだけおかしいとも思う。慶一の部屋へ二人で押しかけてセックスした時も少しおかしかった。青葉も多分流河に対して腹立てていたのだとは思うが、慶一を犯していた時も、最後にはキスまでしていた。
他がキスに対してどう思っているかは知らない。だが睦は好きでもないただの遊びでキスしたいと思ったことはない。体を弄ぶためにする口でのいたぶりならまだわかる。それすらも本番するならあまり興味ない。それならまだ見ているほうが楽だし楽しい。ましてや唇同士のキスはどうにも面倒だとしか思えない。
睦の興味は基本そのまま青葉の興味でもある。そうなるように仕向けたのは自分だ。二人で慶一をいたぶる時は青葉にいたぶる役をさせているが、本番が目的だったら青葉も基本的にはあまり色々弄って楽しむ方ではないはずだ。
なのに、と思うと怪訝にもなる。
おまけに他で勃たないって?
それを聞いた時はおかしくて心底笑わせてもらったが、すぐに内心怪訝に思った。
どう考えても青葉が、おかしい。
「お兄ちゃんだから」
「お兄ちゃんでしょ」
そんな言葉を聞く度に、睦は内心「だから、何」と思っていた。
一年の差ってそんなデカイの。一年で体の成長以外にそんなに何だって大人になるものなの。
なぜ少し先に生まれただけで何でも我慢しなければならない? なぜ何でも優れていなければならない?
幸い両親は兄弟を比較するといった行動をとってきたことない。睦は睦、青葉は青葉とむしろ適当かというほど好き勝手させてくれた。睦が青葉に何か譲らなくても、そして睦が青葉の面倒を見なくても、それが間違ったことや酷いことに繋がらない限り放っておいてくれた。もちろん仕事が忙しかったというのもあるが、両親に対して思うことない。
だが仕事で成功した有名な親の周りに始終たくさんいた親戚たちはそうではなかった。親の代わりに面倒見るといって自分たちのいいようにしようとしてくる者たちはそうではなかった。
自我すらまだしっかりしていない頃からひたすら親でもない相手たちに聞かされる「兄」という言葉は睦にとって、むしろ忌々しいものでしかなかった。
「睦はお兄ちゃんだからね、将来親の後を継いでいかないとだし、しっかりしなきゃね」
「睦はお兄ちゃんでしょ? だから弟の青葉の面倒もしっかり見てあげないとね。そしていい見本にならないと」
ひたすらそんなことばかり言われ続けてむしろやる気を見出すヤツいるなら、そいつはもう変態じゃね?
そんな風に小さいながらも思っていた。適当に流す術は否応なしに覚えていったが、知らず知らずそれらの言葉はプレッシャーとして睦にのしかかっていた。
それでも青葉のことは実際大好きではあった。大切な存在。大事にしたい存在。だからといって宝箱に入れておきたい存在というわけでは、ない。
むしろ自分にとって楽しい存在であって欲しい。ただでさえあまりいない両親に、無駄にいる鬱陶しい親戚ばかりなのだ。せめて「弟」ならそれくらいいいんじゃないのと思っていた。
だから喧嘩も普通にする。とはいえドロドロしたものをぶつけるような楽しくないものじゃなく、スッキリできるような楽しめる喧嘩が、いい。
そして「弟」なら「兄」と同じようなことを楽しめるようになれば、いい。
いい見本? そんなの知らない。いや、そんなに言うならちゃんと見本になってあげるよ。あおは俺を見て、同じように歪んだことを楽しめばいい。俺はそのいい見本になってあげる。ほら、楽しいよ、あお。
きっと青葉はただ自分は睦に似ているのだろうとしか思わないだろう。もちろん一見被る気は睦にもなかった。服の趣味から得意な教科まで、ことごとく同じだと比較対象になってしまう。ただでさえ煩い周りがもっと煩くなる。向上したくないわけではない。自分は自分の思うよう自分のペースで何でもするだけ。結果は出している。ただ周りは黙れ、と思っているだけだ。
自分に関係ないからこそ、「兄」と「弟」を比べて無責任に評価してくる。
でもほら……楽しむ対象が人なら。
見下す相手や楽しむ相手が同じだったらきっと楽しい。
だからほら、それは俺を見本にしてね、あお。性的なことだって色々教えてあげる。男女だけが楽しいなんてもったいない。あおも男を楽しめばいい。そう、一緒に色々楽しもう?
そうやって睦は、「兄」としてずっと「弟」の面倒を見てきた。
青葉は睦を兄として扱ってこない。お互い大切な身内。
大切で大好きな、あお。
ただ一度青葉が「むつはお兄ちゃんなんでしょ? おばさんがね、むつのこと、ちゃんとお兄さんって呼びなさいって言ってきたよ。なんで? むつじゃだめなの? なんで?」と言ってきた時は切れた。そうやって無責任に兄弟という枠を押しつけようとしてくる他人と、そして青葉に。
青葉のことは嘘偽りなく好きだ。でも後で生まれた身としてただ気楽に、兄弟というコンプレックスに悩まされることなく、睦に負けないよう純粋に努力して笑っている青葉がたまに物凄く憎く思うこともある。一般家庭よりも多分執拗に、小さな頃から「兄だから遠慮し、兄だから面倒を見、そして兄だから優れているべき」というくだらない固定概念を押しつけられてきた睦にとって、純粋な青葉が酷く憎いことがあった。
だが切れた睦に対して、策略も何もなくひたすら悲しげに泣きじゃくる青葉を見ていると、すぐそんな気持ちは晴れた。固定概念にとらわれているのはむしろ自分じゃないかと思った。
青葉は純粋に睦を慕ってくれている。そこに兄だから弟だからという押しつけはない。拘っているのはむしろ自分だ、青葉を見てそう思って以来、睦はますます好き勝手するようになった。歪んでいるのであろう性格が治ることはないが別に気にならない。
デザイナーである親の跡継ぎってなんだよ、デザイナーという才能もいずれ譲り受けんのかよ、とずっと内心せせら笑ってはいたが、これに関しては生まれた時すでに譲り受けていたようだ。青葉もそれは同じらしい。同じ職業……と思いもしたが、ファッションの好み異なっているのでそれは問題ないだろう。
今でも親戚のことはとてつもなく鬱陶しいと思っている。だが適当に受け答えする以外睦の内面を煩わせることは基本ない。
青葉を今のような青葉にしたという自覚はある。元々純粋で素直な性格だった。だからきっと睦が面倒見なければ、今頃それこそ外見に伴った爽やかで優しくかわいい子になっていたかもしれない。
それを自分の勝手な感情でいいように扱ったという自覚は、ある。あるが、後悔したことは一瞬たりともない。
多分睦は元々性格が悪かったのだろうと自分でも思っている。これも自覚はある。だから後悔するどころか青葉が青葉でよかったとさえ思っていた。
青葉と体の関係を持ったことすら後悔したことない。それどころか自分のところに引き摺り落としたことに幸福感さえ覚える。
もちろん恋愛感情はない。ないが、大切で大事な「俺の青葉」だとは思っている。
その青葉が最近少しだけ、おかしい。慶一のせいだと睦はわかっている。
もちろん自分も慶一で遊ぶのは楽しい。久々にとてもいい玩具を手に入れたようでいい気分でもある。
青葉は最初、ただ単にあの無口で無表情なところを崩したいと思っていただけだろう。だが睦は少し違う。
慶一も睦たちと同じように年子の兄弟がいる。あちらは慶一が弟で、同じ風紀書記の三年にいる黄馬が兄だ。デザイナーである睦たちの親と違い、あちらの親は化粧品の会社を経営している。育ってきた環境は多分違うだろう。もちろん知っているのではなく憶測でしかないが、きっと親はいつも最低でもどちらかはいてくれたのではないだろうか。少なくともわけのわからない親戚がやたら口出ししてくるような環境じゃない気はする。
あの黄馬を見ているとそう思える。あれぞおそらく「兄」なのだろう。
黄馬に対して思うところは特にない。睦が一目置いている生徒会会計三年のあの瑠生が、今ではベタ惚れなのだ。面白みはないが恐らくあの優しい兄気質な性格は、一見でも取り繕っているのでもなく本物なのだろうなと思う。
その代わり、慶一は、違う。無口で無表情。おまけに心底素っ気ない。それはもちろん性格だろう。昔からなのだろう。
でも……きっと周りから受けた影響を思いきり培ってきてるよねぇ……?
絶対に言われているはずだ。絶対、周りから「お兄ちゃんはあんななのにねえ」と、言われているはずだ。
それを思うと睦はむしろゾクゾク震えそうだった。自分と同じ部分に親近感があるわけでもない。ましてや同族嫌悪でもない。多分それは歪んだ欲望なだけだと自分でもわかっている。
青葉は大切で大好きな存在。そして「弟」ではなくかけがえのない何かであり、いたぶりたいものではない。いつも一緒に楽しいと思っていたいだけ。
そこへ現れた、恐らく兄弟という状況を周りから意識させられたであろう「弟」という存在。おまけに全然表情を出してこない。
こんなの、楽しくないはずない。
まだ中等部にいた頃は、慶一が子どものようにしか見えなかったから、いたぶるといってもただのからかい対象でしかなかった。多分当時は青葉も、というか青葉自体子どもだっただろうから、ただ睦と一緒にからかっていただけだったろう。
その内多少飽きてきて、他に色々新しい遊びも覚えたせいで興味は一旦薄れていったのだが、高等部に入ってからまた変わってきた。
あれは夏が過ぎたくらいだっただろうか。同じ風紀にいても特に関心が薄れていたはずの慶一がたまたま視界に入っただけだったのだが、ハッとなった。気のせいかもしれないが、元々無表情云々をどうにかすれば整った顔をしている慶一が、どうにも儚げというか変な色気が増したように見えた。
そこからまた興味が湧き。今では実際体を味わうまでになっている。
慶一の具合はとてもいい感じだし、反応もやはりいい。だから睦もそれなりに夢中にはなっている。かなりお気に入りだから、流河を含め青葉以外の誰かが慶一と関係を持つという状態は腹立たしいとも思う。
だが青葉の反応が、どうにも少しだけおかしいとも思う。慶一の部屋へ二人で押しかけてセックスした時も少しおかしかった。青葉も多分流河に対して腹立てていたのだとは思うが、慶一を犯していた時も、最後にはキスまでしていた。
他がキスに対してどう思っているかは知らない。だが睦は好きでもないただの遊びでキスしたいと思ったことはない。体を弄ぶためにする口でのいたぶりならまだわかる。それすらも本番するならあまり興味ない。それならまだ見ているほうが楽だし楽しい。ましてや唇同士のキスはどうにも面倒だとしか思えない。
睦の興味は基本そのまま青葉の興味でもある。そうなるように仕向けたのは自分だ。二人で慶一をいたぶる時は青葉にいたぶる役をさせているが、本番が目的だったら青葉も基本的にはあまり色々弄って楽しむ方ではないはずだ。
なのに、と思うと怪訝にもなる。
おまけに他で勃たないって?
それを聞いた時はおかしくて心底笑わせてもらったが、すぐに内心怪訝に思った。
どう考えても青葉が、おかしい。
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