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5Friday
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瑠生はひたすら不機嫌だった。
あの後皆の前へ戻ると、宏が近づいてきて楽しげに「どうだった?」と聞いてくる。
「……黄馬は出場させませんから」
感想についてはスルーしながら瑠生がハッキリと告げると、宏はがっかりした顔をする。
「……黄馬なら優勝も考えられそうなのにねえ」
「駄目です」
「じゃあ瑠生が出る?」
ニコニコ言われ、瑠生はグッと声を詰まらせた。
正直出たくない。先ほどは渋々やりますと言ったが、今ももちろん化粧を含め女装だってしたくない。だが黄馬を、あの化粧した黄馬を皆に晒すことを思えば大したことないと心を決めた。
「俺が出ますから、黄馬は出ません」
「……了解。ちょうどね、君たちが出ていった後に誰を出場させるかって話してたんだ。君たちは保留にして。一応三人ということで絞ろうとしてたんだけど難しいね? とりあえず候補は俺と慶一、永久。そしてここにいない拓実。あとは瑠生ね」
いやそれだけ候補いたら別に俺は必要じゃなくないか……?
思わず頭にそう浮かんだが、何ごともきちんとしておきたいと思っている宏をわかっているので口にせず、黙って頷く。
「日を開けて、今度は拓実がいる時にもう一度皆で並んで決めようかなって思ってるよ。瑠生もその時は女装、してね」
ニッコリ言われ、やはり頷くしかできなかった。
他のメンバーの中で楽しんでいる者がすればいいと思ったりするのだが、候補の中で楽しみそうなのは宏くらいだろう。そして宏は恐らく出ないと瑠生は踏んでいる。本人は出ることになっても嫌がらないどころか普通に楽しむだろうが、千鶴が決して許さないとしか思えなかった。
その後ムッとしたまま黄馬を自室へ連れ込んだわけだが、ひたすら不機嫌なままの瑠生に、黄馬は「機嫌、直してくれないかな」と気がかりそうに見てきた。
「……黄馬としてもある意味やらされてただろうから不機嫌になっていいことじゃないのはわかってる」
瑠生はボソリと呟く。
「でもあんな姿を他のヤツに見せてると思うと落ち着かないから、無理」
ふいっと顔を逸らすと、黄馬が困ったように近づいてきた。
「……じゃあどうすれば機嫌、直してくれる?」
「……キスして」
黙った後にまたボソリと呟くと、少しだけ息を飲む音が聞こえてきた。だがすぐに黄馬がおずおず、瑠生の頬にキスしてきた。
普段黄馬からしてくれることなど皆無といっても過言ではないので内心とてつもなく動揺しつつ、わざと「頬?」と不機嫌そうに言う。するとまた少しの躊躇があった後、黄馬の唇が瑠生の唇に触れてきた。そのまますぐ離れそうだったので、瑠生は舌で黄馬の上唇の内側を舐めた。
「……っ」
黄馬は少しピクリとした後、そのままキスを続けてくる。しばらくしてようやく唇が離れた後「これで機嫌、よくなった?」と聞いてきた。
元々黄馬は悪くない。そして自分が勝手に機嫌を悪くしているのも瑠生はわかっている。だが今の状況が嬉しくそして楽しいと思え、瑠生は「まだ」と首を振る。機嫌に関しては頬にキスをしてくれた時点で実は直っている。
「キス、したのに」
「シャツのボタン、外して」
「え?」
口癖かと思うほどよく言ってくる「え」を瑠生は完全にスルーして「早く」とだけ呟く。黄馬はまた躊躇したものの、ゆっくりボタンを外していった。
その動作も、そして羞恥心のせいで赤くなっている表情も堪らなく瑠生を刺激してくる。ボタンの外れたシャツの隙間から胸のあたりがちらりと見えるのもまた、いい感じに落ち着かない。
黄馬が「外したけど」と告げてくると、瑠生は思わずニッコリ笑いそうになって俯いた。
「瑠生?」
「……じゃあ一人でしてるとこ、見せて」
「は?」
今度は口癖どころか本気で意味わからないといった気持ちのこもった「は」を聞かされた。さすがにそうだろうなと思いつつ「早く」とだけ呟くも、今度は黄馬も抵抗を見せてきた。
「い、いやだよ。何それ。そこまでできるわけないだろ」
「なぜ」
「なぜって……は、恥ずかしいからに決まってる……」
その言葉に嘘がないのは瑠生も知っている。当時も、ようやく体のあちこちに触れても何とか受け入れてくれるようになった頃、瑠生は初めて黄馬のものに触れた。それまでは慣れてもらうため、本当に忍耐を試された。
初めて触れた時はズボンの上からだった。ズボンを脱がそうにも真っ赤になっていたので、かわいそうかなと思う気持ちと、そして少しのいたずら心が湧いたのだ。
「脱ぎたくない?」
そう囁きながら瑠生はゆっくりした動きでズボンの上から指を這わせる。
「……っぁ」
指の腹で微かにわかる程度に、その部分を刺激させた。瑠生の指が滑るたび、そこはゆっくり擡げてくる。
「っちょ、っと……瑠、生……やめ……」
「何を?」
黄馬を見ながら聞くと、黄馬は涙目になりながら怪訝そうな目を瑠生へ向けてきた。その表情にまた我慢を強いられる。
「……そ、れ」
「それ? ……あーこうやって触れること?」
もっととぼけようかと思ったが、あまり苛めたいのでもないので、瑠生は微笑みながら囁いた。黄馬は真っ赤な顔をして俯きながらコクコク頷く。
「これ、駄目? 何で? だって黄馬のここ、硬くなってる……」
耳元に唇を近づけてささやくと、黄馬がビクリと体を震わせた。その間も瑠生は構わずズボンの上からゆっくり窮屈そうになったその部分をなぞる。
そこは間違いなく硬くなっているだけではなく、かなり熱をもっている。中でどうなっているのか想像して、瑠生はまた堪らなくなった。本当は今すぐ下を脱がせ、思いきり扱いてあげたいと思う。
いや、あげたいのではなく自分がそうしたい。だが瑠生はひたすらもどかしいであろう接触を続ける。ますます硬くなり、だんだんしめっぽくなってくることにそして言い知れぬ楽しさを感じた。
「も……や、め……」
「黄馬はこんな風にそっと触れるだけでそんなに感じるのか? ほら、もう濡れてるだろ……?」
「ぅ、あ」
黄馬がぎゅっと目を閉じて堪えようとしているのがわかった。だが度々びくびく体を震わせてくる。優しくキスしたり開いているほうの手で髪や耳を撫でたりしながら、瑠生はひたすらゆっくりそこへ指を這わせていた。
「こ、んな、の……っ、ぅあ……っ」
もどかしさに体を少し捩らせていたくらいだった黄馬が、だんだん堪えられなくなっていく様はとてつもなく瑠生を煽ってきた。
「も……っ、ん……っ」
そしてとうとうズボンと下着を着けたまま達してしまったらしいとわかると、ショックを受けている黄馬に「黄馬、かわいい……」と呟きながら改めて優しくキスした。
ふとその時のことを思い出し、瑠生は思わず口元を綻ばせてしまった。
「瑠生……機嫌なんてもう悪くないよね……?」
案の定、それを黄馬に見られていた。ニッコリ笑ってきた黄馬はシャツのボタンを留め出す。
「……わかった。一人でしなくていい。でも駄目……代わりに俺にさせて」
「え、ちょ……」
機嫌悪い振りはもうできないし、黄馬が一人でするところも見られなくなったのは非常に残念だと思いつつ、だが黄馬を堪能することまで放棄はできない、と瑠生は手を伸ばした。
あの後皆の前へ戻ると、宏が近づいてきて楽しげに「どうだった?」と聞いてくる。
「……黄馬は出場させませんから」
感想についてはスルーしながら瑠生がハッキリと告げると、宏はがっかりした顔をする。
「……黄馬なら優勝も考えられそうなのにねえ」
「駄目です」
「じゃあ瑠生が出る?」
ニコニコ言われ、瑠生はグッと声を詰まらせた。
正直出たくない。先ほどは渋々やりますと言ったが、今ももちろん化粧を含め女装だってしたくない。だが黄馬を、あの化粧した黄馬を皆に晒すことを思えば大したことないと心を決めた。
「俺が出ますから、黄馬は出ません」
「……了解。ちょうどね、君たちが出ていった後に誰を出場させるかって話してたんだ。君たちは保留にして。一応三人ということで絞ろうとしてたんだけど難しいね? とりあえず候補は俺と慶一、永久。そしてここにいない拓実。あとは瑠生ね」
いやそれだけ候補いたら別に俺は必要じゃなくないか……?
思わず頭にそう浮かんだが、何ごともきちんとしておきたいと思っている宏をわかっているので口にせず、黙って頷く。
「日を開けて、今度は拓実がいる時にもう一度皆で並んで決めようかなって思ってるよ。瑠生もその時は女装、してね」
ニッコリ言われ、やはり頷くしかできなかった。
他のメンバーの中で楽しんでいる者がすればいいと思ったりするのだが、候補の中で楽しみそうなのは宏くらいだろう。そして宏は恐らく出ないと瑠生は踏んでいる。本人は出ることになっても嫌がらないどころか普通に楽しむだろうが、千鶴が決して許さないとしか思えなかった。
その後ムッとしたまま黄馬を自室へ連れ込んだわけだが、ひたすら不機嫌なままの瑠生に、黄馬は「機嫌、直してくれないかな」と気がかりそうに見てきた。
「……黄馬としてもある意味やらされてただろうから不機嫌になっていいことじゃないのはわかってる」
瑠生はボソリと呟く。
「でもあんな姿を他のヤツに見せてると思うと落ち着かないから、無理」
ふいっと顔を逸らすと、黄馬が困ったように近づいてきた。
「……じゃあどうすれば機嫌、直してくれる?」
「……キスして」
黙った後にまたボソリと呟くと、少しだけ息を飲む音が聞こえてきた。だがすぐに黄馬がおずおず、瑠生の頬にキスしてきた。
普段黄馬からしてくれることなど皆無といっても過言ではないので内心とてつもなく動揺しつつ、わざと「頬?」と不機嫌そうに言う。するとまた少しの躊躇があった後、黄馬の唇が瑠生の唇に触れてきた。そのまますぐ離れそうだったので、瑠生は舌で黄馬の上唇の内側を舐めた。
「……っ」
黄馬は少しピクリとした後、そのままキスを続けてくる。しばらくしてようやく唇が離れた後「これで機嫌、よくなった?」と聞いてきた。
元々黄馬は悪くない。そして自分が勝手に機嫌を悪くしているのも瑠生はわかっている。だが今の状況が嬉しくそして楽しいと思え、瑠生は「まだ」と首を振る。機嫌に関しては頬にキスをしてくれた時点で実は直っている。
「キス、したのに」
「シャツのボタン、外して」
「え?」
口癖かと思うほどよく言ってくる「え」を瑠生は完全にスルーして「早く」とだけ呟く。黄馬はまた躊躇したものの、ゆっくりボタンを外していった。
その動作も、そして羞恥心のせいで赤くなっている表情も堪らなく瑠生を刺激してくる。ボタンの外れたシャツの隙間から胸のあたりがちらりと見えるのもまた、いい感じに落ち着かない。
黄馬が「外したけど」と告げてくると、瑠生は思わずニッコリ笑いそうになって俯いた。
「瑠生?」
「……じゃあ一人でしてるとこ、見せて」
「は?」
今度は口癖どころか本気で意味わからないといった気持ちのこもった「は」を聞かされた。さすがにそうだろうなと思いつつ「早く」とだけ呟くも、今度は黄馬も抵抗を見せてきた。
「い、いやだよ。何それ。そこまでできるわけないだろ」
「なぜ」
「なぜって……は、恥ずかしいからに決まってる……」
その言葉に嘘がないのは瑠生も知っている。当時も、ようやく体のあちこちに触れても何とか受け入れてくれるようになった頃、瑠生は初めて黄馬のものに触れた。それまでは慣れてもらうため、本当に忍耐を試された。
初めて触れた時はズボンの上からだった。ズボンを脱がそうにも真っ赤になっていたので、かわいそうかなと思う気持ちと、そして少しのいたずら心が湧いたのだ。
「脱ぎたくない?」
そう囁きながら瑠生はゆっくりした動きでズボンの上から指を這わせる。
「……っぁ」
指の腹で微かにわかる程度に、その部分を刺激させた。瑠生の指が滑るたび、そこはゆっくり擡げてくる。
「っちょ、っと……瑠、生……やめ……」
「何を?」
黄馬を見ながら聞くと、黄馬は涙目になりながら怪訝そうな目を瑠生へ向けてきた。その表情にまた我慢を強いられる。
「……そ、れ」
「それ? ……あーこうやって触れること?」
もっととぼけようかと思ったが、あまり苛めたいのでもないので、瑠生は微笑みながら囁いた。黄馬は真っ赤な顔をして俯きながらコクコク頷く。
「これ、駄目? 何で? だって黄馬のここ、硬くなってる……」
耳元に唇を近づけてささやくと、黄馬がビクリと体を震わせた。その間も瑠生は構わずズボンの上からゆっくり窮屈そうになったその部分をなぞる。
そこは間違いなく硬くなっているだけではなく、かなり熱をもっている。中でどうなっているのか想像して、瑠生はまた堪らなくなった。本当は今すぐ下を脱がせ、思いきり扱いてあげたいと思う。
いや、あげたいのではなく自分がそうしたい。だが瑠生はひたすらもどかしいであろう接触を続ける。ますます硬くなり、だんだんしめっぽくなってくることにそして言い知れぬ楽しさを感じた。
「も……や、め……」
「黄馬はこんな風にそっと触れるだけでそんなに感じるのか? ほら、もう濡れてるだろ……?」
「ぅ、あ」
黄馬がぎゅっと目を閉じて堪えようとしているのがわかった。だが度々びくびく体を震わせてくる。優しくキスしたり開いているほうの手で髪や耳を撫でたりしながら、瑠生はひたすらゆっくりそこへ指を這わせていた。
「こ、んな、の……っ、ぅあ……っ」
もどかしさに体を少し捩らせていたくらいだった黄馬が、だんだん堪えられなくなっていく様はとてつもなく瑠生を煽ってきた。
「も……っ、ん……っ」
そしてとうとうズボンと下着を着けたまま達してしまったらしいとわかると、ショックを受けている黄馬に「黄馬、かわいい……」と呟きながら改めて優しくキスした。
ふとその時のことを思い出し、瑠生は思わず口元を綻ばせてしまった。
「瑠生……機嫌なんてもう悪くないよね……?」
案の定、それを黄馬に見られていた。ニッコリ笑ってきた黄馬はシャツのボタンを留め出す。
「……わかった。一人でしなくていい。でも駄目……代わりに俺にさせて」
「え、ちょ……」
機嫌悪い振りはもうできないし、黄馬が一人でするところも見られなくなったのは非常に残念だと思いつつ、だが黄馬を堪能することまで放棄はできない、と瑠生は手を伸ばした。
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