闇に光を

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20話(終)※

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「……ぁ」

 この時間、淡い色にそろそろ青さが増していく空は今日も雲一つなく、夏休みももうすぐ終わりだというのに日中の日差しの強さを予感させてくる。
 蝉たちは恋しさを思い切りどこかにいる相手に伝えようと既に精一杯鳴き乱れていた。
 親はもう出勤していない中、エアコンを緩くつけているはずの蒼羽の部屋で二人、先ほどからずっと汗まみれになっていた。
 あらゆる場所からとめどなく流れてくる蒼羽の汗を、時折唯翔は熱い息を吐きながら舐めとってくる。それに対して何とも思わないくらい、もうずっと体液のやり取りをしている気がする。
 告白の時のキスはお互い堪能する余裕があまりなかったのだが、こうして絡み合いながらひたすら交わしているとキスだけで蕩けそうになる。今まで他の相手にこれほど蒼羽は蕩けたことがない。唯翔が本当に大好きだからというのと、あとはもしかしたら兄弟だからかもしれない。
 似た遺伝子だから唾液による遺伝子の絡み合いもしっくりくるのではないかなどと思ったりして、蒼羽は兄弟という重さを自分なりに軽くしようとしているのかもしれない。
 まだ完全に割り切れてはいない。どうしたって血の繋がった兄弟だし、ましてや自分は兄なのだ。

 でも気持ちいーのはマジで気持ちいー。

 ひたすらキスを交わし、自分の中を深く突かれていることに蒼羽は夢中になる。
 道具や唯翔の指で何度も日を重ね慣らしたそこは、いざ本番となった時予想外なくらいあまり痛くなかった。初めてする行為であろう唯翔の動きはぎこちなかったし、なかなか挿入も上手くできなくて最終的には蒼羽が自分から上になって唯翔のを受け入れたのだが、それでもそんなに痛くなかった。どちらかと言えば妙な圧迫感に苦しさを覚えたが、それも耐えられないほどでもなかった。
 最初にリードできなかった唯翔はとてもわかりやすいほど後で落ち込んでいたが、蒼羽が「俺、初めての時はどこ入れていーかわかんなかったりわかっても上手く入れられなくてひたすら周り擦り付ける羽目になったし挙げ句中折れしたりで散々だったし、ケツの穴のがもっと難しいだろし、断然お前のが上手い」と言うと少し嬉しそうだった。

「ん、ぁ……ゆい、そこ……好き」
「ん……兄さん、かわいい……」

 未だ行為中何度も赤くなるお前のがかわいいわと内心言い返しつつ蒼羽は、さらに自分の中で大きくなりながら同じところを突こうとする唯翔のものを愛しく思った。
 夏休みをいいことに、大したデートをするでもなく隙あらばこんなことをしている。多分学校が始まるとこの行為は難しくなるだろうからその分まで無意識にやっているのかもしれない。
 さすがにまだ中でだけは達することはできないが、予想以上に後ろでの行為は気持ちよかった。罪悪感も吹き飛ぶ勢いでがっついてしまう。
 ところでこの間は高人と三人でキャンプへ行った。いち早く既に高校在学中だというのに車の免許を取っている高人が、親の車を出してくれた。ヤンキーのくせにアウトドアかよと突っ込む唯翔に、高人は「そんなこと言うならお前来なくていいよ、俺とオニイチャンの二人きりで行くから」と悪役のような笑みを浮かべて言い返していた。
 幼馴染で親友であっても、普通は二人きりでとか言い回さない気がして、もしかして唯翔との関係がバレているのではと蒼羽はドキドキした。親友でもさすがに言ったら駄目だろうと未だに打ち明けていない。唯翔は時折高人と何かこそこそとやりとりしているが、高人の蒼羽に対する接し方は変わらないので多分唯翔も言っていない気がするし、バレていないとは思うのだが。
 そのキャンプの時は堪えるのに結構必死だった。高人がいるのでイチャイチャできない。だがキャンプが楽しいのもあって軽率にイチャイチャしたくなったし、夜はそれぞれ寝袋とはいえ真隣で唯翔が眠っているのだ。おまけに唯翔が時折、蒼羽に触れてくる。性的な触れ方でないにしても蒼羽もまだまだ青いのですぐに興奮しそうになった。挙げ句、キスをされ本当に理性がぶっ飛ぶかと思った。

「ゆい……駄目だろ……」
「堪えてる兄さんかわいい」
「おい……」

 かわいいのはこんな時にも甘えてくれるお前だと思いつつ、時々の甘いスキンシップに蒼羽はくらくらしていた。
 それもあり翌朝は実際にくらくらしそうだった。寝不足と必死になって欲を堪えたせいで疲れていた蒼羽に、高人は楽しげに肩をぽんと叩きながら「お疲れ」などと言ってきた。

「……っは? な、何、何だよっ?」
「いや、お前枕変わると寝にくいかなとか思ってさ。あんまり寝られてねえんだろ」
「え? あ、ああ! そう、そうなんだよな」

 何だとホッとして笑ったが、あれは危なかったと思う。以前に「お前どこでも寝るよな」などと高人に言われたことがあるというのに、もしかしたらしっかりしているはずのオカン気質高人は、意外にも案外うっかりなのかもしれないなどと思った。
 それもあって、普段からもう少し落ち着かないとと思うのだが、気づけば絡み合ってしまう。
 付き合いたてだし仕方がないかと、また自分の中にある好きな部分を唯翔のもので擦られて体を仰け反らせながら蒼羽は甘いため息を吐く。

「はぁ……そこ、ほんといい……」
「ほんと? 気持ちいい?」

 未だにまだ余裕はないのか、懸命な表情をした唯翔が囁くように聞いてくる。それがかわいくて堪らない。

「ん、気持ち、いー、もっと……」

 蒼羽は腰を擦り付けながら唯翔に抱きついた。
 兄だけれども恋人でもある。それをあえて実感したくて前のようにやたら兄ぶらず、たまに甘えたりもする。普段はこっそりな関係なので中々甘えるのも難しいが、こうして絡み合っている時はやりやすい。
 蒼羽が甘えると唯翔は何となく嬉しそうに見えるのがまた蒼羽にとって嬉しいし愛しい。

「……っ、ぁ、イく……」
「好き、兄さん……蒼羽……好き」

 中を唯翔のもので擦られながら前を手で擦られたら耐えられる訳がない。びくびくと体を震わせ射精すると唯翔がキスをしながらがつがつと突き上げてきた。達したばかりで死ぬ、と蒼羽が思っていると唯翔も直ぐに射精してきた。
 唯翔は相変わらず基本的には寡黙だ。それでも前よりずっと話してくれるようになったし、昔とはまた違うがなついてくれる。下手をすればよくそんなこと言えるな? と蒼羽が赤くなるようなこともわりに淡々と口にする。
 それを指摘すると「俺、今ずっと光ってる蛍だから」と訳のわからない返しをされた。

「兄ちゃんな、国語とか苦手だし行間読むの無理なんだけど……」

 汗まみれの体をぐったり横たえながら微妙な顔を向けると笑われた。あまり笑わない唯翔の貴重な笑顔に、何言っているのかわからなくてもいいやと蒼羽はまたキスをせがんだ。
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