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5話
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あれから三年後、チート能力は皆無だと悟らざるを得なかったイーディスはそれでもまだ往生際悪く騎士になることを夢見つつ日々を過ごしていた。
ちなみに今日はとてもめでたい日なので、普段あまり着飾ることが好きではないイーディスも渋々サラのさせたいように着飾っている。
王宮でのパーティがあり、第一王子とイーディスの姉、エレンとの婚約発表も兼ねたパーティということで、家族皆浮足立っていたしサラはイーディスの分まで大興奮だった。
もちろんイーディスもエレンの婚約発表はとても嬉しく思っている。
体が弱かったはずのエレンは、イーディスが料理人やエレンの侍女、そして執事のボル・ダリアンに協力をお願いして食事や適度な運動、環境といったことに気をつけてきちんとした生活を過ごさせると、めきめきと健康になっていった。前世を思うと大した知識でもなんでもないのだがこの世界では目新しいことも多かったのか、それとも単純に十歳やそこらの少女の発想ということに驚かれたのか、イーディスはしばらく周りから驚かれつつも大いに褒められ崇められ、そして可愛がられた。
エレンもイーディスが指示してくれたおかげだと知ると心から感謝してくれ、元々妹のことは大事に思ってくれていたようだがそれに拍車がかかったような気がする。今日も婚約発表という重大な予定があるというのに、イーディスが珍しくお洒落をしていることに夢中でひたすら「可愛い可愛い」と言ってくれていた。
パーティといってもだいたいすることは飲食かダンスだろう。酒はさすがに飲めないが、食べることは現世でもどうやら好きなようで、デビュタントはまだまだ先でありダンスはまだ披露できないイーディスは豪華な控室でこっそり、だがひたすら食べていたかもしれない。
貴族の令嬢は社交界デビューするまではひたすら大邸宅の奥でメイドや教育係に囲まれて育つ。通常、令嬢たちは綺麗で可愛いものに囲まれマナーやエチケットを学び、貴婦人としての教養を身につけていく。そしてデビューを果たし一人前のレディとなった令嬢たちは結婚し、次の世代を繋げるために子を産み育てる立派な母親となるまでが一般的だろう。日々出歩いて剣を振っているイーディスがいかに破天荒かこれだけでわかる。
イーディスも一応、一般的な令嬢と同じように育ってはきている。十歳までは当然、この世界しか知らないイーディスであったため毎日をほぼ子ども部屋で過ごし、家庭教師から読み書きや音楽などを学んでいた。少し成長すると外国語や地理、歴史も学んだし音楽以外にも美術なども学んだ。
本来は十代に入ると社交界デビューへ向けて更なる外国語と音楽やダンスの勉強を強化していく。ただ他の一般教育に関しては、教養があり過ぎる令嬢というものが結婚に不利だとされるため、例えもし家庭教師だけでなく貴族学校へ入ったとしてもそれ以上しっかり教育を学ぶこともない。
ただ十歳で前世の記憶が混じった今のイーディスとなってからは日々練習している剣だけでなく、独自でも勉強をしている。それというのも一般の令嬢と同じようにデビュタントを果たし結婚し子どもを産むということに対してこれっぽっちも憧れがないどころかイーディスにとって目標になり得ないからだ。むしろどこぞの男と恋愛することすら今のところ少々抵抗を覚える。
出来れば騎士になりたいが、万が一それが無理だった場合でも、偉い学士かせめて修道女になりたい。これがとりあえず今のイーディスの目標だった。
とはいえ着飾ったエレンはとても綺麗だし素晴らしいと思う。自分が無理なだけで令嬢らしさというのもよいと思うし、エレンにはエレンが幸せだと思う未来が開かれて欲しいと思っている。
今までずっと垂らしていた髪をアップにしたエレンはドレスも長いドレスを着ていた。まさに子どもではなく一人前のレディだ。この日までにエレンは親戚や周りの知人を訪問し、地位のある人と会ったり小さなパーティに参加したりして今日という日に備えてのパーティ経験も積んでいる。宮廷用の長いドレスを着ても少しも委縮したところもなく堂々としていた。イーディスがこうして控室で食事を堪能している間におそらく王や他の王族たちに拝謁し親から紹介されたのち、正式な婚約発表となっているだろう。
その後、ようやくイーディスも王族の人々に簡単に紹介された。
王も息子である王子たちも皆銀色の髪に青い目をしたやたら見目のいい人たちであり、さすが王族とばかりにイーディスは眩しさに目を瞬かせたくなった。とはいえ前世の記憶のある身としては特に興味はない。同じくらい綺麗な王女様でもいれば目を凝らしてガン見したかった気はするが、十三歳にもなる侯爵令嬢としてはそういった態度はどうかと思うしいっそいなくてよかったかもしれない。
エレンの婚約者となった第一王子、ジュード・スタンナードは美形のくせに浮わついたところもなく真面目そうに見えた。美形のくせに、というのは全面的にイーディスの偏見だ。
「君がエレンの可愛がっている妹君か。ジュードだ。よろしく」
ついでに挨拶も堅苦しい。身分も年齢も下の十三歳である子どもに対して発する言葉でもないように思える。だが身を屈めて丁寧に言ってくれたことに正直イーディスは少々感動を覚えた。
「初めまし、っひゃっく」
こちらとしても日々剣を振り回しつつ一応淑女としての教養を習っている身であり、あとこちらが本音でもあるが親と兄姉に後で褒めてもらいたいがために精一杯可愛らしい淑女として挨拶をしようとしたイーディスだったが、思わず出た盛大なしゃっくりで台無しになった。
ちなみに今日はとてもめでたい日なので、普段あまり着飾ることが好きではないイーディスも渋々サラのさせたいように着飾っている。
王宮でのパーティがあり、第一王子とイーディスの姉、エレンとの婚約発表も兼ねたパーティということで、家族皆浮足立っていたしサラはイーディスの分まで大興奮だった。
もちろんイーディスもエレンの婚約発表はとても嬉しく思っている。
体が弱かったはずのエレンは、イーディスが料理人やエレンの侍女、そして執事のボル・ダリアンに協力をお願いして食事や適度な運動、環境といったことに気をつけてきちんとした生活を過ごさせると、めきめきと健康になっていった。前世を思うと大した知識でもなんでもないのだがこの世界では目新しいことも多かったのか、それとも単純に十歳やそこらの少女の発想ということに驚かれたのか、イーディスはしばらく周りから驚かれつつも大いに褒められ崇められ、そして可愛がられた。
エレンもイーディスが指示してくれたおかげだと知ると心から感謝してくれ、元々妹のことは大事に思ってくれていたようだがそれに拍車がかかったような気がする。今日も婚約発表という重大な予定があるというのに、イーディスが珍しくお洒落をしていることに夢中でひたすら「可愛い可愛い」と言ってくれていた。
パーティといってもだいたいすることは飲食かダンスだろう。酒はさすがに飲めないが、食べることは現世でもどうやら好きなようで、デビュタントはまだまだ先でありダンスはまだ披露できないイーディスは豪華な控室でこっそり、だがひたすら食べていたかもしれない。
貴族の令嬢は社交界デビューするまではひたすら大邸宅の奥でメイドや教育係に囲まれて育つ。通常、令嬢たちは綺麗で可愛いものに囲まれマナーやエチケットを学び、貴婦人としての教養を身につけていく。そしてデビューを果たし一人前のレディとなった令嬢たちは結婚し、次の世代を繋げるために子を産み育てる立派な母親となるまでが一般的だろう。日々出歩いて剣を振っているイーディスがいかに破天荒かこれだけでわかる。
イーディスも一応、一般的な令嬢と同じように育ってはきている。十歳までは当然、この世界しか知らないイーディスであったため毎日をほぼ子ども部屋で過ごし、家庭教師から読み書きや音楽などを学んでいた。少し成長すると外国語や地理、歴史も学んだし音楽以外にも美術なども学んだ。
本来は十代に入ると社交界デビューへ向けて更なる外国語と音楽やダンスの勉強を強化していく。ただ他の一般教育に関しては、教養があり過ぎる令嬢というものが結婚に不利だとされるため、例えもし家庭教師だけでなく貴族学校へ入ったとしてもそれ以上しっかり教育を学ぶこともない。
ただ十歳で前世の記憶が混じった今のイーディスとなってからは日々練習している剣だけでなく、独自でも勉強をしている。それというのも一般の令嬢と同じようにデビュタントを果たし結婚し子どもを産むということに対してこれっぽっちも憧れがないどころかイーディスにとって目標になり得ないからだ。むしろどこぞの男と恋愛することすら今のところ少々抵抗を覚える。
出来れば騎士になりたいが、万が一それが無理だった場合でも、偉い学士かせめて修道女になりたい。これがとりあえず今のイーディスの目標だった。
とはいえ着飾ったエレンはとても綺麗だし素晴らしいと思う。自分が無理なだけで令嬢らしさというのもよいと思うし、エレンにはエレンが幸せだと思う未来が開かれて欲しいと思っている。
今までずっと垂らしていた髪をアップにしたエレンはドレスも長いドレスを着ていた。まさに子どもではなく一人前のレディだ。この日までにエレンは親戚や周りの知人を訪問し、地位のある人と会ったり小さなパーティに参加したりして今日という日に備えてのパーティ経験も積んでいる。宮廷用の長いドレスを着ても少しも委縮したところもなく堂々としていた。イーディスがこうして控室で食事を堪能している間におそらく王や他の王族たちに拝謁し親から紹介されたのち、正式な婚約発表となっているだろう。
その後、ようやくイーディスも王族の人々に簡単に紹介された。
王も息子である王子たちも皆銀色の髪に青い目をしたやたら見目のいい人たちであり、さすが王族とばかりにイーディスは眩しさに目を瞬かせたくなった。とはいえ前世の記憶のある身としては特に興味はない。同じくらい綺麗な王女様でもいれば目を凝らしてガン見したかった気はするが、十三歳にもなる侯爵令嬢としてはそういった態度はどうかと思うしいっそいなくてよかったかもしれない。
エレンの婚約者となった第一王子、ジュード・スタンナードは美形のくせに浮わついたところもなく真面目そうに見えた。美形のくせに、というのは全面的にイーディスの偏見だ。
「君がエレンの可愛がっている妹君か。ジュードだ。よろしく」
ついでに挨拶も堅苦しい。身分も年齢も下の十三歳である子どもに対して発する言葉でもないように思える。だが身を屈めて丁寧に言ってくれたことに正直イーディスは少々感動を覚えた。
「初めまし、っひゃっく」
こちらとしても日々剣を振り回しつつ一応淑女としての教養を習っている身であり、あとこちらが本音でもあるが親と兄姉に後で褒めてもらいたいがために精一杯可愛らしい淑女として挨拶をしようとしたイーディスだったが、思わず出た盛大なしゃっくりで台無しになった。
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