ダンジョン脱税物語 ~ダンジョンで経験値を脱税します!~

中谷キョウ

文字の大きさ
4 / 16

セバスチャンな始まり

しおりを挟む
「セバス君。今気づいたんだけど、あの子と会う前にいろいろ準備しといた方がいいと思うよ」

 セバスチャンの身体に慣れるため、屋敷内を散策している途中で天使がそう呼びかけた。

「準備ってなにか必要なものがあるのか? 正直、この身体ならなんでも出来るような気がするぜ」

 セバスチャンの身体は優秀だ。前の俺の身体よりもよく動く。
 そして、なにより若い。
 身長が低くてハスキーボイスなのは少し嫌だが素の俺よりもスペックが高い。

 主に顔面が。素の俺はいわゆる普通だった。
 メガネをかければオタクっぽくなるし、ちょっと髪を染めたりすればやんちゃ盛りな大学生にも見えなくはなかった。

 セバスチャンの年齢は17歳。
 童顔というか女顔。身体はすらっとしていて肌も白い。それでいて力持ち。なんていうか漫画の主人公みたいなタイプで俺にはもったいない。

「たしかにキミの身体は強いけど。少なくとも前のセバス君はあの子のせいで死んじゃったんだよ」

「アリスのせいで死んだ? なんで?」

「んー、ちょっとね……」

「なるほど、そこに問題があるってことか。だったら、それこそ先にあの子に会うべきだろ」

「はぁ、セバス君がそうしたいならそうすればいいよ。ボクはただの監視役だからね」

「そうか、お前は俺の監視だったのか」

「うん、あんまりこっちで暴れないようにしたり。あとは助言とかもするよ。今みたいにね」

 天使の加護がついているってことはある意味無敵だ。

「それと伝えるのを忘れていたけど、タマちゃん様からキミにプレゼントがあるんだ」

「プレゼント?」

 なんだろう。
 神様とはいえミジンコからもらえるものなんて俺に使えるものなのか。

「キミ、今失礼なこと考えてたでしょ」

「!」

「あ、やっぱりその反応は図星だね!! いくらキミでもタマちゃん様をバカにするなら――」

「待て、待てって! バカにはしてないから!」

「そう? ならいいんだ……今度は許さないからね」

 バ、バレてる……。
 あんまり迂闊なことは思ったり言わない方がいいな。

「で、キミへのプレゼントなんだけど……それはもうすでにキミの中にある」

「もしかして、この身体セバスチャンがプレゼントなのか?」

「いやいや、さすがにこの世界の神様でもタマちゃん様はそんなにけち臭くないよ」

「ってことはもしかしてスキルとか使えたりするのか!」

「ビンゴ。タマちゃん様がキミへの餞別としてこの世界『タックスヘルン』で有用なユニークスキルをセバスチャンの身体に付与したんだ」

「ユニークスキル!」

 なんだそのワクワクしそうなワードは。
 これはあれだ。
 伝説の勇者がもらえるような特別なスキルに違いない。

「で、なんなんだそのスキルって」

「ふふっ、それは後の楽しみにした方がいいよ。ダンジョンで使うのが一番わかりやすいし」

 ダンジョン!?
 スキルお預けよりもそっちの方が気になる!

 多分この『タックスヘルン』っていう世界は剣とか魔法があるファンタジーな世界に違いない!

「とりあえず、あの子はまだ朝食前だから今のうちに色々教えておくね」

「ああ、さっさとやろうぜ」

 ダンジョンありありと聞いてテンションMAXだ。
 今ならなんでもできるような気がする。

「そうだ。天使。あの子の名前はなんていうんだ。知り合いなら名前を知っといた方がいいだろ。それにお前の名前もな」

「あの子の名前はアリス。そして、ボクの名前はガブリエル。ボクの名前の方は別に気にしなくてもいいよ。特に意味もないから」

「呼ぶ時天使ってあんまり呼びたくないだけだよガブリエル。俺は前まで天使とか神さまなんて信じちゃいなかったんだ」

「やっぱり不憫だねキミは」

 いまどき神を信じない日本人なんて珍しくもない。
 だから、そんなゴミを見るような目で見るのはやめて。傷ついちゃうから!
 あ、でもちょっといいかも。

「ますます不憫だねキミは」

 俺の心を読んだかのような蔑みの目を向けるガブリエル。
 は、反論できねぇ……。

 そんな風にやりとりしながら俺はガブリエルからセバスチャンとしてのレクチャーを受けた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います

ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。 懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで

六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。 乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。 ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。 有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。 前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

処理中です...