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初会話
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「アリスお嬢様」
朝食で俺はようやく目的の女の子アリスを見つけた。
彼女は俺と目を合わせた瞬間、驚いたかのように目を丸くした。
あ、そうか。セバスチャンってアリスに殺されたんだっけ。
「セバスチャン? なんであなたがあなたは昨日……」
「お嬢様。昨日なにかございましたか? アリスお嬢様のおかげでお、僕は疲れもスッキリ取れました」
「疲れがスッキリ? 私のおかげで?」
案の定アリスは目を白黒させている。
当然だろう。
死んだはずの俺……いや僕が生きていたんだから。
セバスチャンについてはガブリエルからいろいろと教えてもらった。
一人称。アリスをどう呼んでいたか。普段の仕事。とりあえずのことは一通り覚えられたはずだ。
「いいわセバスチャン。あなたがいるなら今日の予定は変更なしよ」
「予定でございますか?」
「今日の夜もいつもどおり私の部屋に来なさい。いいわね」
「はい、かしこまりました」
え。部屋?
夜に部屋ってもしかしてアリスはセバスチャンと……いや、ならなんで死んだのか。
勢い余ってとか、もしかして激しすぎたのか。
まさか、セバスチャンがドMだったりして。
「セバス君の考えてることが下品な気がするよ――」
天使《ガブリエル》が妙なことを言うが気にしないでおく。
天使であるガブリエルは俺の以外の人間には見えないし、声も聞こえないのだ。ここで会話なんかしたら一発で変人扱いだろう。
「メイド。朝食が終わったらすぐに学園へ行くわ。会議はなしよ」
「はい、お嬢様。ですが、毎日同じメニューではうまくいかないかと思いますが」
「忠告は不要よ」
「申し訳ございません。出すぎたことをいたしました」
「セバスチャン。あなたは夜の支度をしなさい。今日の掃除はメイドに任せてるから不要よ」
「かしこまりました」
その後すぐにアリスは自分の席へと座り朝食が始まった。
俺たち使用人の食事はもうすでに終えているのでこのまま主人たちが食事を終えるまで見守る仕事を行う。
ちなみに主人たちといったが朝食の場に顔を出したのはアリスだけだ。
この屋敷にはアリスの他にも母や父がいるそうだが滅多にアリスと食事をとることがないらしい。
だから、アリスがー人で食べる様を俺とメイドだけで待つ。
正直言って何もすることがない。
執事っていうからもっと世話をしたりするもんだと思っていたけどどうやらそうでもないのだ。
仕事はアリスを含めた主人たちや執事長などの上司より指示をもらって行うのだが、セバスチャンだけは違うらしい。
どういう経緯で執事になったのかわからないが、セバスチャンはアリス専用でアリスの気まぐれによって仕事が発生するのだ。
たまに当主様や執事長などから指示をもらうこともあるが基本的にはアリスの指示待ちである。
今日は夜の支度をせよと言っているが具体的には何をすべきなんだろうか。
身体を念入りに洗っておけってことか?
とりあえず教えてガブリえもん!
俺は助けを求めて空中を漂っているガブリエルへと視線を送った。
「はぁ……しょうがないなぁ、もう」
ガブリエルはため息を吐きながらもやれやれといった風に言葉を続ける。
「アリスちゃんが学園に行ったらダンジョンに行こうか」
「!!」
ダンジョン。
待ちに待ったダンジョンだ
その言葉だけでテンションが上がってしまうのは子供っぽいことかもしれないがワクワクするんだから仕方がない。
俺はアリスが食事を終えて学園へ向かうのをウキウキしながら待つのであった。
朝食で俺はようやく目的の女の子アリスを見つけた。
彼女は俺と目を合わせた瞬間、驚いたかのように目を丸くした。
あ、そうか。セバスチャンってアリスに殺されたんだっけ。
「セバスチャン? なんであなたがあなたは昨日……」
「お嬢様。昨日なにかございましたか? アリスお嬢様のおかげでお、僕は疲れもスッキリ取れました」
「疲れがスッキリ? 私のおかげで?」
案の定アリスは目を白黒させている。
当然だろう。
死んだはずの俺……いや僕が生きていたんだから。
セバスチャンについてはガブリエルからいろいろと教えてもらった。
一人称。アリスをどう呼んでいたか。普段の仕事。とりあえずのことは一通り覚えられたはずだ。
「いいわセバスチャン。あなたがいるなら今日の予定は変更なしよ」
「予定でございますか?」
「今日の夜もいつもどおり私の部屋に来なさい。いいわね」
「はい、かしこまりました」
え。部屋?
夜に部屋ってもしかしてアリスはセバスチャンと……いや、ならなんで死んだのか。
勢い余ってとか、もしかして激しすぎたのか。
まさか、セバスチャンがドMだったりして。
「セバス君の考えてることが下品な気がするよ――」
天使《ガブリエル》が妙なことを言うが気にしないでおく。
天使であるガブリエルは俺の以外の人間には見えないし、声も聞こえないのだ。ここで会話なんかしたら一発で変人扱いだろう。
「メイド。朝食が終わったらすぐに学園へ行くわ。会議はなしよ」
「はい、お嬢様。ですが、毎日同じメニューではうまくいかないかと思いますが」
「忠告は不要よ」
「申し訳ございません。出すぎたことをいたしました」
「セバスチャン。あなたは夜の支度をしなさい。今日の掃除はメイドに任せてるから不要よ」
「かしこまりました」
その後すぐにアリスは自分の席へと座り朝食が始まった。
俺たち使用人の食事はもうすでに終えているのでこのまま主人たちが食事を終えるまで見守る仕事を行う。
ちなみに主人たちといったが朝食の場に顔を出したのはアリスだけだ。
この屋敷にはアリスの他にも母や父がいるそうだが滅多にアリスと食事をとることがないらしい。
だから、アリスがー人で食べる様を俺とメイドだけで待つ。
正直言って何もすることがない。
執事っていうからもっと世話をしたりするもんだと思っていたけどどうやらそうでもないのだ。
仕事はアリスを含めた主人たちや執事長などの上司より指示をもらって行うのだが、セバスチャンだけは違うらしい。
どういう経緯で執事になったのかわからないが、セバスチャンはアリス専用でアリスの気まぐれによって仕事が発生するのだ。
たまに当主様や執事長などから指示をもらうこともあるが基本的にはアリスの指示待ちである。
今日は夜の支度をせよと言っているが具体的には何をすべきなんだろうか。
身体を念入りに洗っておけってことか?
とりあえず教えてガブリえもん!
俺は助けを求めて空中を漂っているガブリエルへと視線を送った。
「はぁ……しょうがないなぁ、もう」
ガブリエルはため息を吐きながらもやれやれといった風に言葉を続ける。
「アリスちゃんが学園に行ったらダンジョンに行こうか」
「!!」
ダンジョン。
待ちに待ったダンジョンだ
その言葉だけでテンションが上がってしまうのは子供っぽいことかもしれないがワクワクするんだから仕方がない。
俺はアリスが食事を終えて学園へ向かうのをウキウキしながら待つのであった。
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