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サヨナラのはじまり……わたしの体が二つになる
目覚めると病室だった。
頭を動かして、自分の手を見た。
拭いきれなかったであろう、乾いた血がこびり付いていた。
お腹を見て、何処も傷だらけだった。
せっかく頑張って、日頃のマッサージやスキンケアをして、綺麗に整えていたのに残念だな……と、怪我をしたにしては暢気なことを思った。
頭に本が落ちてきたことを思い出して、頭を触るが、痛みも出血も、ましてや包帯も見当たらない。
何て優秀な治療なんだと感心する。
そこで私は、手を突こうとベッドを座って見下ろした。
そこにあったのは、明らかに血が付いている傷だらけの手と、綺麗で肌理の整った色白の手の甲だった。
私は驚いて、後ろを振り返る。
目に映ったのはバイタルと心電図だ。
一応、規則正しく脈打ってはいるが、グラフの波が弱弱しい。
それからは顔を見ようとしたが、怖くてなぜか見れない。
否……正確には真っ白に、空間が欠けたようになって見えない。
向かいには、優雨らしき、若い女の子が寝ている。
恐る恐る近づいてバイタルを見た。
ほとんど無傷の割には、脈が弱かった。
もしかしたら、庇った際に覆いかぶさったことで、胸骨を圧迫して骨折でもしたのだろうか?
そう思い、薄っすら膨らんだ胸を、病衣を剥いで覗いた。
すると、包帯と固定具の外に、谷間を切り開いた手術痕と圧迫による大きな内出血が見えた。
私は、涙が溢れた。
「守り切れなくて、本当にごめん……。」
思わず声に漏れるが、流れるはずの涙は零れない。
乾いたままの手で、優雨の病衣を直した。
はだけた肩と上乳を見ると、自分が感じてたよりも、どれほど華奢だったかと思い直す。
これで、特に小さいときは、男の子から私を庇って、偶に相手に手酷く殴られることもあった。
それでも平然とした顔で、わたしの手を引いてくれていたのだ。
今回は本当に命だけでも守れて良かったと、本気で思った。
同時に申し訳なさが、過去を遡って一杯になった。
布団を掛け直して、後ずさると、ゆっくりと優雨の口が動いて言葉を発した。
「麻依ちゃん……?」
わたしは一瞬ビクリと痙攣した。
目を開けていないはず、わたしの手にもすけるような感触しかなく、寝ていて激痛しか感じるはずのない彼女が、わたしを認識するはずはなかった。
なのに、明確に名前を呼んだ。
「守ってくれて……ありがとう。」
吐息で話しているような、微かな声で苦しそうに感謝を述べた。
聴いた瞬間に涙が止まらなかった。
感謝される謂われはない。
いっそのこと罵倒してくれた方が、私の心は幾分かマシだったのかもしれない。
わたしは優雨の手を、触れられない手で、そっと撫でて病室を後にした。
頭を動かして、自分の手を見た。
拭いきれなかったであろう、乾いた血がこびり付いていた。
お腹を見て、何処も傷だらけだった。
せっかく頑張って、日頃のマッサージやスキンケアをして、綺麗に整えていたのに残念だな……と、怪我をしたにしては暢気なことを思った。
頭に本が落ちてきたことを思い出して、頭を触るが、痛みも出血も、ましてや包帯も見当たらない。
何て優秀な治療なんだと感心する。
そこで私は、手を突こうとベッドを座って見下ろした。
そこにあったのは、明らかに血が付いている傷だらけの手と、綺麗で肌理の整った色白の手の甲だった。
私は驚いて、後ろを振り返る。
目に映ったのはバイタルと心電図だ。
一応、規則正しく脈打ってはいるが、グラフの波が弱弱しい。
それからは顔を見ようとしたが、怖くてなぜか見れない。
否……正確には真っ白に、空間が欠けたようになって見えない。
向かいには、優雨らしき、若い女の子が寝ている。
恐る恐る近づいてバイタルを見た。
ほとんど無傷の割には、脈が弱かった。
もしかしたら、庇った際に覆いかぶさったことで、胸骨を圧迫して骨折でもしたのだろうか?
そう思い、薄っすら膨らんだ胸を、病衣を剥いで覗いた。
すると、包帯と固定具の外に、谷間を切り開いた手術痕と圧迫による大きな内出血が見えた。
私は、涙が溢れた。
「守り切れなくて、本当にごめん……。」
思わず声に漏れるが、流れるはずの涙は零れない。
乾いたままの手で、優雨の病衣を直した。
はだけた肩と上乳を見ると、自分が感じてたよりも、どれほど華奢だったかと思い直す。
これで、特に小さいときは、男の子から私を庇って、偶に相手に手酷く殴られることもあった。
それでも平然とした顔で、わたしの手を引いてくれていたのだ。
今回は本当に命だけでも守れて良かったと、本気で思った。
同時に申し訳なさが、過去を遡って一杯になった。
布団を掛け直して、後ずさると、ゆっくりと優雨の口が動いて言葉を発した。
「麻依ちゃん……?」
わたしは一瞬ビクリと痙攣した。
目を開けていないはず、わたしの手にもすけるような感触しかなく、寝ていて激痛しか感じるはずのない彼女が、わたしを認識するはずはなかった。
なのに、明確に名前を呼んだ。
「守ってくれて……ありがとう。」
吐息で話しているような、微かな声で苦しそうに感謝を述べた。
聴いた瞬間に涙が止まらなかった。
感謝される謂われはない。
いっそのこと罵倒してくれた方が、私の心は幾分かマシだったのかもしれない。
わたしは優雨の手を、触れられない手で、そっと撫でて病室を後にした。
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