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第一幕 終焉の物語と殉教者たち
二:⑩
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「・・・・・・・・・・・・」
「遠い昔には沢山生まれ、育まれた分霊たちも、今はそこに在るだけで成長出来なくなった。自然環境の中で生まれるはずが、人の手によって、育てられて、手軽に買える苗として、五人の手に届いた現実を考えれば、もうそう簡単に分霊としての素養を持つ精霊は生まれないのかも知れない。人の手によって育てられた彼らを、成長させるにはまた、人の手が居るのだろうね? ・・・・・・で、本題にもどるけど、元々の世界樹から切り離されて、存在するために必要な生命エネルギーを得るには、新しい世界と契約しなくてはならなくて、旧来の世界樹から得ていた恩恵を使い切る前に、新たな世界樹と契約を結び直さなくてはならなくなった。・・・・・・途切れるはずだった未来を、紡ぐためにね? 丸々全部を受け継いで貰うために」
「・・・・・・・・・・・・」
「五人の守護者が余力を使い切る前でよかった。取りあえず、どうにか“日本の現在”を、判りやすく説明するならば、世界樹をパソコンでいうHDD(ハード)に例えるならば、インストールしているところ」
「・・・・・・終えたら、わたしたちの守護者のあの子たちが帰ってくるの?」
鏡子の問いかけに、遙は、肯定する。
「一部は正解。精霊としてのあの子たちに対面出来たのは“此処”だから」
「・・・・・・どういうこと?」
「あなたたちの植木鉢に植わっている、苗木は、守護者たちの帰る場所であり器。だから、自分の役目が終わったら、あなたたちの傍らに、己を育んだ身体へと帰ってくる。けど、こうやって意志の疎通を可能にするには、それなりに成長しなくちゃならなくて、成長するにはあなたたちの協力が不可欠だってこと。・・・・・・育成ゲームのつもりで、挑んだらいいよ。愛情は勿論、それだけじゃあなくって、彼らにとってなにが求められているかを読みとって世話して、あなたたちが彼らと出会った頃の大きさまで育て上げること。・・・・・・取りあえずは、夢で出会えるように頑張って。ちなみに、わたしもこれ」
遙は抱えている小さな苗を心持ち上げて示した。
「・・・・・・えっ、それってハル姉が育てるの?!」
驚いた様子で声を上げたのは、咲夜だ。咲夜の隣では、眉間に皺をよせながら、確認を取るように、純一が続ける。
「遙さん、で、いいかな? それって、世界樹なんやろ? 俺たちの守護者たちが、インストールだっけ? それの先に選んだってことは」
事実だから、遙は「うん」と肯定する。それを見て、裕樹は恐る恐る、そっと片手を上げた。
「・・・・・・もしかして、僕たちがそうなように、遙さんも、現状まで育てるってこと?」
遙は遠い目をしたまま「そうなるねぇ」と呟いた。
「まず、これに合う植木鉢と土を探すことからになるねぇ・・・」
「え?」
きょとりと聞き返したのは姫子だった。遙は苦笑する。
「刺し穂と同じ。まぁ、もう根が出ているから、後は植えるだけなんだけど、育て方によって、日本という“世界”の環境が変わる」
五人は驚いたように目を見開くと、それぞれがそれぞれ、視線を交わした。
「環境って?」
誰とはなしに聞き返したその問いかけに、遙は一つ頷く。
「そのままずばり、自分たちを取り巻く外界。海があって、山があって、空があって、四季がある。私たちがかつて生活していたときに生まれ育ったもろもろ全て」
遙の返答に、五人は互いに顔を見合わせる。
「私たちが知る星という植木鉢を探して、この刺し穂を移植しなくちゃね。それが一番難しいんだよ・・・・・・大概の命の生まれた星は、星が用意した土壌に植えられた世界樹だからね、星という植木鉢と命の根源である世界樹は、対として存在しているから、片方が欠けた“生き物が育つ環境を用意できる”星というのが無い。星にもまた意思があって、世界樹にも意思がある。例え、片方が欠けた星を見つけたとしても、向こうが受け入れなければ、私たちの故郷であり世界でもある日本という名の、世界樹が根付く事が出来ない」
「ハル姉・・・・・・」
不安そうに呼びかけたのは、咲夜だ。
「家族を、友人を、何より私たちの育んだ故郷を取り戻すには、無茶でも探さなくちゃならない。・・・・・・発根したって事は、あとは器と土壌を用意するだけ。・・・・・・それを探すのは、神様たちに頼まれた、わたしの役目だろうからね」
遙は深くため息を吐くと、にこりと笑って見せた。
「気づいているかどうか判らないけど、今、わたしたちが居るココは、もうこの小さな世界樹の神域。わたしが来るまでは、守護者たちがあなたたちを守るために作った霊域だった。けど、わたしがきて、契約すべき新たな世界樹の苗があった。新規契約のために全てを移行したから、霊域から、神域に入った。・・・・・・わたしも頑張るから、五人もそれぞれの守護者をよろしくね? 大丈夫、相談する相手はいるから。・・・・・・ここから、みんなの居る場所に戻す。一部を除いて、みんなは日本の未来を取り戻すまで、わたしと、あの日に皆が見た出来事を忘れる日常が普通に訪れるけど、“時間”は刻まない。だから、時を進めるために、わたしは行くね?」
「ハル姉!!」
泣きそうな声で叫んだのは、咲夜だ。
「五人は他の人が持っていない記憶を持つことになる。多分、他にも何人か、“あの日”の記憶を持つ人が居ると思う。サクくんたちは一人じゃない。ま、同好の士の連中あたってみれば、あの日のイベントに集まった人たちの一部が、覚えていると思うから」
遙は手にしている小さな芽が出たばかりの苗木を抱え直すと、手を振った。
「またね!」
「遠い昔には沢山生まれ、育まれた分霊たちも、今はそこに在るだけで成長出来なくなった。自然環境の中で生まれるはずが、人の手によって、育てられて、手軽に買える苗として、五人の手に届いた現実を考えれば、もうそう簡単に分霊としての素養を持つ精霊は生まれないのかも知れない。人の手によって育てられた彼らを、成長させるにはまた、人の手が居るのだろうね? ・・・・・・で、本題にもどるけど、元々の世界樹から切り離されて、存在するために必要な生命エネルギーを得るには、新しい世界と契約しなくてはならなくて、旧来の世界樹から得ていた恩恵を使い切る前に、新たな世界樹と契約を結び直さなくてはならなくなった。・・・・・・途切れるはずだった未来を、紡ぐためにね? 丸々全部を受け継いで貰うために」
「・・・・・・・・・・・・」
「五人の守護者が余力を使い切る前でよかった。取りあえず、どうにか“日本の現在”を、判りやすく説明するならば、世界樹をパソコンでいうHDD(ハード)に例えるならば、インストールしているところ」
「・・・・・・終えたら、わたしたちの守護者のあの子たちが帰ってくるの?」
鏡子の問いかけに、遙は、肯定する。
「一部は正解。精霊としてのあの子たちに対面出来たのは“此処”だから」
「・・・・・・どういうこと?」
「あなたたちの植木鉢に植わっている、苗木は、守護者たちの帰る場所であり器。だから、自分の役目が終わったら、あなたたちの傍らに、己を育んだ身体へと帰ってくる。けど、こうやって意志の疎通を可能にするには、それなりに成長しなくちゃならなくて、成長するにはあなたたちの協力が不可欠だってこと。・・・・・・育成ゲームのつもりで、挑んだらいいよ。愛情は勿論、それだけじゃあなくって、彼らにとってなにが求められているかを読みとって世話して、あなたたちが彼らと出会った頃の大きさまで育て上げること。・・・・・・取りあえずは、夢で出会えるように頑張って。ちなみに、わたしもこれ」
遙は抱えている小さな苗を心持ち上げて示した。
「・・・・・・えっ、それってハル姉が育てるの?!」
驚いた様子で声を上げたのは、咲夜だ。咲夜の隣では、眉間に皺をよせながら、確認を取るように、純一が続ける。
「遙さん、で、いいかな? それって、世界樹なんやろ? 俺たちの守護者たちが、インストールだっけ? それの先に選んだってことは」
事実だから、遙は「うん」と肯定する。それを見て、裕樹は恐る恐る、そっと片手を上げた。
「・・・・・・もしかして、僕たちがそうなように、遙さんも、現状まで育てるってこと?」
遙は遠い目をしたまま「そうなるねぇ」と呟いた。
「まず、これに合う植木鉢と土を探すことからになるねぇ・・・」
「え?」
きょとりと聞き返したのは姫子だった。遙は苦笑する。
「刺し穂と同じ。まぁ、もう根が出ているから、後は植えるだけなんだけど、育て方によって、日本という“世界”の環境が変わる」
五人は驚いたように目を見開くと、それぞれがそれぞれ、視線を交わした。
「環境って?」
誰とはなしに聞き返したその問いかけに、遙は一つ頷く。
「そのままずばり、自分たちを取り巻く外界。海があって、山があって、空があって、四季がある。私たちがかつて生活していたときに生まれ育ったもろもろ全て」
遙の返答に、五人は互いに顔を見合わせる。
「私たちが知る星という植木鉢を探して、この刺し穂を移植しなくちゃね。それが一番難しいんだよ・・・・・・大概の命の生まれた星は、星が用意した土壌に植えられた世界樹だからね、星という植木鉢と命の根源である世界樹は、対として存在しているから、片方が欠けた“生き物が育つ環境を用意できる”星というのが無い。星にもまた意思があって、世界樹にも意思がある。例え、片方が欠けた星を見つけたとしても、向こうが受け入れなければ、私たちの故郷であり世界でもある日本という名の、世界樹が根付く事が出来ない」
「ハル姉・・・・・・」
不安そうに呼びかけたのは、咲夜だ。
「家族を、友人を、何より私たちの育んだ故郷を取り戻すには、無茶でも探さなくちゃならない。・・・・・・発根したって事は、あとは器と土壌を用意するだけ。・・・・・・それを探すのは、神様たちに頼まれた、わたしの役目だろうからね」
遙は深くため息を吐くと、にこりと笑って見せた。
「気づいているかどうか判らないけど、今、わたしたちが居るココは、もうこの小さな世界樹の神域。わたしが来るまでは、守護者たちがあなたたちを守るために作った霊域だった。けど、わたしがきて、契約すべき新たな世界樹の苗があった。新規契約のために全てを移行したから、霊域から、神域に入った。・・・・・・わたしも頑張るから、五人もそれぞれの守護者をよろしくね? 大丈夫、相談する相手はいるから。・・・・・・ここから、みんなの居る場所に戻す。一部を除いて、みんなは日本の未来を取り戻すまで、わたしと、あの日に皆が見た出来事を忘れる日常が普通に訪れるけど、“時間”は刻まない。だから、時を進めるために、わたしは行くね?」
「ハル姉!!」
泣きそうな声で叫んだのは、咲夜だ。
「五人は他の人が持っていない記憶を持つことになる。多分、他にも何人か、“あの日”の記憶を持つ人が居ると思う。サクくんたちは一人じゃない。ま、同好の士の連中あたってみれば、あの日のイベントに集まった人たちの一部が、覚えていると思うから」
遙は手にしている小さな芽が出たばかりの苗木を抱え直すと、手を振った。
「またね!」
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