3 / 194
第一章
希望は捨てない
しおりを挟む
そんなこんなで、いざ子作りを……!という段階になって、またもや問題が発生した。
それは何かといえば、父さん命の義父がまたもや駄々を捏ねたのだ。
「うちの一族の誰にも、セオドアは触れさせない!本当は俺がセオドアと子作りしたかったのに…!」
そう宣言した義父は、自分の親族達を悉く候補から排除。やむなく父さんは自分の子爵家側の親戚と子作りしたのだそうだ。
という訳で、俺にアスタール公爵家の血が一滴も入っていないのは、義父の嫉妬ゆえである。……重ね重ね言うが、真面目にアホかと。
まあ、そりゃ分からんでもないよ。俺の塔さん、息子の俺が見てもうっかり見惚れちまう程の美形だしね。
ちなみにどれぐらい美形なのかと言えば、「あの方の隣に立ったら、私が惨めになる!」って、どこ行っても女性陣から遠巻きにされ、言い寄ってくるのは自分を伴侶(妻)にしたがる野郎共ばかり…というレベル。同じ男としてなんとも同情してしまう。
それでも、故郷にいた時はまだ良かったのだそうだ。
田舎ゆえの呑気な空気で、何とか平和に暮らせていたらしいから。
なのに父の噂を聞きつけた王族から社交界にデビューを強制され、王都に出て来てからは状況が一変。己の貞操を守る為、血で血を洗う戦いの日々だったのだそうだ。
父さん、この世界では珍しく一貫した異性愛者だったそうだし、そりゃー毎日地獄だっただろう。
そんなこんなで、父さんは18歳ぐらいまでは何とか貞操を守っていたんだそうだ。
が、公爵家の跡取りだった義父に見初められ、殺し合いか?!って位に凄まじい決闘の末に負けてしまい、泣く泣く養父の奥方様に収まり今に至ると。
「まあ、あのままいっても私の奥方になってくれそうな女性は現れなかっただろうし。これも運命かなって、今は思ってる」
俺が10歳になった時、話してくれた父さんの生い立ちと父上との馴れ初めだったが。最後の締めくくりで遠い目をした父さんを見た時、同情のあまりに思わず泣いた。
そういう訳で、『社交界の華』と謳われた父さんに恋い焦がれている連中は、それこそ未だに星の数ほどいるわけで、アスタール公爵家の親戚連中も例外なく父さんの熱烈な信奉者達。そんな連中が義父同様、父さんの血を引く子供を熱望するのは当然な訳なんだよ。血筋とかどうでもいいのか?!って、ツッコミも疲れる位に。
…で、俺の容姿はと言えば、幸か不幸か父さんと瓜二つ。
父さんの美貌を褒めたら自画自賛かよ?!ってツッコまれるレベル。クローンかってなぐらいそっくりなのである。と言うか、父さんよりも将来有望という嬉しくない称賛を、義父やその周辺から受けている。
お陰で俺は、物心ついた頃から野郎共に言い寄られる日々を送っている。
うっかり外を歩けば人さらいに拉致されそうになるし、傍付きの召使にすら襲われそうになってしまう有様。義父や実父に半殺しにされて叩きだされた使用人は、それこ二桁を突破しそうな勢いだ。だから俺の召使やメイド達はみな、よぼよぼのジジババばかり。
折角、若くて可愛いメイドに囲まれる優雅なお貴族様ライフを満喫できると思っていたのに…。現実は厳しい。
そういう事で義父の目論見通り、父さん似で生まれた俺を義父はそれこそ目に入れても痛くない程に溺愛してる。
親戚連中や、噂を聞きつけた義父の仲間内の貴族達も「ぜひともうちの息子の嫁に!」とうるさい。従弟連中も親にたきつけられているのか、会えばベタベタ接触してくる。仲の良いヤツらもいるけど、そいつらだって冗談めかしに求婚してくる。非常にうざい。ちなみに従妹には敬遠されているし、「うちの娘の婿に!」と言ってくる奴はいない。なんでだ!?
俺は外見はともかく、中身は健全な男子高校生(前世合わせて倍の年齢になったが)でバリバリの異性愛者。当然かわいくて裕しい女の子が好みなのに、近くに行こうとするだけで彼女達からはあからさまに嫌がられる。だから求婚者は男のみ。まさに実父の悪夢再び。
うう…。折角美形に生まれたのに、美形過ぎて女の子から避けられるなんて!理不尽なんてもんじゃない。
父さんには「私そっくりに産んでしまって、本当に済まない」と、事あるごとに謝られているけど、こればっかりは父さんが悪い訳じゃないしな~。
まあ世の中は広い。こんな俺でも夫に欲しいという女子はきっと一人か二人はいるに違いない。……そうだ。希望は捨てないでおこう。死ぬまでには何とか女の子と結婚出来たらいいなぁ……。
それは何かといえば、父さん命の義父がまたもや駄々を捏ねたのだ。
「うちの一族の誰にも、セオドアは触れさせない!本当は俺がセオドアと子作りしたかったのに…!」
そう宣言した義父は、自分の親族達を悉く候補から排除。やむなく父さんは自分の子爵家側の親戚と子作りしたのだそうだ。
という訳で、俺にアスタール公爵家の血が一滴も入っていないのは、義父の嫉妬ゆえである。……重ね重ね言うが、真面目にアホかと。
まあ、そりゃ分からんでもないよ。俺の塔さん、息子の俺が見てもうっかり見惚れちまう程の美形だしね。
ちなみにどれぐらい美形なのかと言えば、「あの方の隣に立ったら、私が惨めになる!」って、どこ行っても女性陣から遠巻きにされ、言い寄ってくるのは自分を伴侶(妻)にしたがる野郎共ばかり…というレベル。同じ男としてなんとも同情してしまう。
それでも、故郷にいた時はまだ良かったのだそうだ。
田舎ゆえの呑気な空気で、何とか平和に暮らせていたらしいから。
なのに父の噂を聞きつけた王族から社交界にデビューを強制され、王都に出て来てからは状況が一変。己の貞操を守る為、血で血を洗う戦いの日々だったのだそうだ。
父さん、この世界では珍しく一貫した異性愛者だったそうだし、そりゃー毎日地獄だっただろう。
そんなこんなで、父さんは18歳ぐらいまでは何とか貞操を守っていたんだそうだ。
が、公爵家の跡取りだった義父に見初められ、殺し合いか?!って位に凄まじい決闘の末に負けてしまい、泣く泣く養父の奥方様に収まり今に至ると。
「まあ、あのままいっても私の奥方になってくれそうな女性は現れなかっただろうし。これも運命かなって、今は思ってる」
俺が10歳になった時、話してくれた父さんの生い立ちと父上との馴れ初めだったが。最後の締めくくりで遠い目をした父さんを見た時、同情のあまりに思わず泣いた。
そういう訳で、『社交界の華』と謳われた父さんに恋い焦がれている連中は、それこそ未だに星の数ほどいるわけで、アスタール公爵家の親戚連中も例外なく父さんの熱烈な信奉者達。そんな連中が義父同様、父さんの血を引く子供を熱望するのは当然な訳なんだよ。血筋とかどうでもいいのか?!って、ツッコミも疲れる位に。
…で、俺の容姿はと言えば、幸か不幸か父さんと瓜二つ。
父さんの美貌を褒めたら自画自賛かよ?!ってツッコまれるレベル。クローンかってなぐらいそっくりなのである。と言うか、父さんよりも将来有望という嬉しくない称賛を、義父やその周辺から受けている。
お陰で俺は、物心ついた頃から野郎共に言い寄られる日々を送っている。
うっかり外を歩けば人さらいに拉致されそうになるし、傍付きの召使にすら襲われそうになってしまう有様。義父や実父に半殺しにされて叩きだされた使用人は、それこ二桁を突破しそうな勢いだ。だから俺の召使やメイド達はみな、よぼよぼのジジババばかり。
折角、若くて可愛いメイドに囲まれる優雅なお貴族様ライフを満喫できると思っていたのに…。現実は厳しい。
そういう事で義父の目論見通り、父さん似で生まれた俺を義父はそれこそ目に入れても痛くない程に溺愛してる。
親戚連中や、噂を聞きつけた義父の仲間内の貴族達も「ぜひともうちの息子の嫁に!」とうるさい。従弟連中も親にたきつけられているのか、会えばベタベタ接触してくる。仲の良いヤツらもいるけど、そいつらだって冗談めかしに求婚してくる。非常にうざい。ちなみに従妹には敬遠されているし、「うちの娘の婿に!」と言ってくる奴はいない。なんでだ!?
俺は外見はともかく、中身は健全な男子高校生(前世合わせて倍の年齢になったが)でバリバリの異性愛者。当然かわいくて裕しい女の子が好みなのに、近くに行こうとするだけで彼女達からはあからさまに嫌がられる。だから求婚者は男のみ。まさに実父の悪夢再び。
うう…。折角美形に生まれたのに、美形過ぎて女の子から避けられるなんて!理不尽なんてもんじゃない。
父さんには「私そっくりに産んでしまって、本当に済まない」と、事あるごとに謝られているけど、こればっかりは父さんが悪い訳じゃないしな~。
まあ世の中は広い。こんな俺でも夫に欲しいという女子はきっと一人か二人はいるに違いない。……そうだ。希望は捨てないでおこう。死ぬまでには何とか女の子と結婚出来たらいいなぁ……。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
916
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる