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第一章
この世界の結婚事情について
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実はこの世界、性にかなりフリーダムというか。異性同士での結婚同様、同性同士で所帯を持つことが割と当たり前だったりするのだ。
特に俺が生まれたこの国、フェレーラ王国はそれが顕著で、こういう風に両親揃って男同士だったり、女同士だったりする家庭が普通なのである。
しかし、この世界では普通だと言っても「異性婚が当たり前」な日本人として16年間育ってきた俺。そんな前世の記憶持ちに、その現実にすぐ馴染めよう筈もない。
なので当然、記憶が戻った翌日から俺は父親ズを拒絶し続け、そのまま半年もの間プチ引きこもり状態になってしまったのである。
――……あの時の事は…うん、混乱していたとはいえ両親に非常に迷惑をかけたと思う。
特にゲイ的に言えば、攻めのタチ役の方の父など、俺にめっちゃ拒絶されてた時は、まるでこの世の終わりのような悲壮な顔をしていたからな。
ま、それも半年過ぎた頃から「自分の現状と折り合いつけて生きるしかないか」という開き直りと、諦めずに愛情を注いでくれた両親にほだされる形で俺は現実を受け止めた。そして、この世界で逞しく生きる決心をして今に至っている。
あ、何で俺がゲイ用語を知っているのかと言うと、それはひとえにトラウマNo.1にしてしっかり記憶に刻まれている腐れた姉貴。彼女の崇高なる創作活動…と言う名の腐れたBL原稿作成の修羅場に巻き込まれていたからだった。
様々なシチュエーションで絡み合ってる男同士の絵に、泣く泣くベタ塗りや消しゴムかけをさせられていた日々…。
正直言ってあまり思い出したくないが、それで嫌でもそっち方面に詳しくなった訳なのだ。もしあのクソ姉貴がこの世界に転生したら、きっと狂喜乱舞し、泣いて喜んだに違いない。
嬉しくないけど、前世でトラウマレベルだったあの悲惨な経験があったからこそ、半年引きこもり程度で立直れたのだろう。全くの予備知識なく覚醒していたら、ちょっとヤバかった。多分一生引きこもりだ。
これがある程度成長して、この世界の常識が浸透してから覚醒してれば、何とか折り合いがついたんだろうけど…。
ちなみに、同姓同士で子供が生めるかといえば、魔法や異種生物あふれるファンタジーなこの世であってもそれは不可能だ。
女同士だったらどこぞから種を貰って生んだり、男同士だったら養子を貰ったり、契約をした女性から子供を産んでもらったりしている。そこら辺は前世と変わり無い。
平民は養子が主流みたいだけど、血筋を大切にしている貴族や王族とかは、どちらかの血縁者からとか、しかるべき血筋から種を貰ったり、これまたどちらかの血縁者の女性を仮腹として子供を産んでもらったりが一般的だ。
そして俺自身はと言うと…。今目の前に座っている超絶美形な方の父が生物学的な父親。つまりもう一人の方、銀髪碧眼のイケオジの方は義父と言うわけだ。
しかし席順でわかる通り、この公爵家の家長は義父の方だ。つまり実父は奥方のポジション。
だから本来であるなら実父を『母上』と呼ばなければならないんだけど、いくら美形だとはいえ男相手に『母上』と言いたくない俺は、義父を『父上』実父を『父さん』と呼んでいる。
本当は貴族的にはあまりよろしくないみたいなんだけど、例の半年間の引きこもり生活が効いてるらしく、俺がまたあの時のようになったら不味いと思われているようで、実父を『父さん』呼びしている事を義父にも周囲にも表立って咎められた事はない。
それにしても……。同姓婚の貴族が跡継ぎを作るときは、その家の当主が子を作るのが通例なのだが。うちは俺の実父が親戚の娘と誓約し、嫡男として俺を作ったのである。これは異例中の異例だったそうだ。
実父は辺境の田舎を治める子爵の出だし、しかも俺を産んだ母親は実父の血筋の親戚。つまり嫡男である俺には公爵家の血は一滴も入っていないという事になるのだ。どう考えてもこれって不味いだろう。
なんでそうなったかと言うと、親父にベタぼれの義父が「どうせならセオドア(実父の名前)にそっくりな子供が欲しい!」と我が儘を言ったからだそうだ。……大貴族の当主の癖に、アホなのだろうか。
勿論、当初実父は「それはおかしいだろ!それにお前が良くても公爵家の親戚筋が納得すまい!?」と大反対したらしい。
けどその親戚連中までもが「おお!それはいい!」「セオドア殿のお子なら、さぞかし愛らしいだろう!」と、ノリノリで賛同してしまった為、父が仕方無しに子作りをする羽目になったという……。
まあようはそれだけ、父さんが美形過ぎたって所なのだろうが……。それを聞いた時は、アスタール公爵家。真面目に頭大丈夫か?と、この公爵家の将来が真面目に心配になったものだ。
特に俺が生まれたこの国、フェレーラ王国はそれが顕著で、こういう風に両親揃って男同士だったり、女同士だったりする家庭が普通なのである。
しかし、この世界では普通だと言っても「異性婚が当たり前」な日本人として16年間育ってきた俺。そんな前世の記憶持ちに、その現実にすぐ馴染めよう筈もない。
なので当然、記憶が戻った翌日から俺は父親ズを拒絶し続け、そのまま半年もの間プチ引きこもり状態になってしまったのである。
――……あの時の事は…うん、混乱していたとはいえ両親に非常に迷惑をかけたと思う。
特にゲイ的に言えば、攻めのタチ役の方の父など、俺にめっちゃ拒絶されてた時は、まるでこの世の終わりのような悲壮な顔をしていたからな。
ま、それも半年過ぎた頃から「自分の現状と折り合いつけて生きるしかないか」という開き直りと、諦めずに愛情を注いでくれた両親にほだされる形で俺は現実を受け止めた。そして、この世界で逞しく生きる決心をして今に至っている。
あ、何で俺がゲイ用語を知っているのかと言うと、それはひとえにトラウマNo.1にしてしっかり記憶に刻まれている腐れた姉貴。彼女の崇高なる創作活動…と言う名の腐れたBL原稿作成の修羅場に巻き込まれていたからだった。
様々なシチュエーションで絡み合ってる男同士の絵に、泣く泣くベタ塗りや消しゴムかけをさせられていた日々…。
正直言ってあまり思い出したくないが、それで嫌でもそっち方面に詳しくなった訳なのだ。もしあのクソ姉貴がこの世界に転生したら、きっと狂喜乱舞し、泣いて喜んだに違いない。
嬉しくないけど、前世でトラウマレベルだったあの悲惨な経験があったからこそ、半年引きこもり程度で立直れたのだろう。全くの予備知識なく覚醒していたら、ちょっとヤバかった。多分一生引きこもりだ。
これがある程度成長して、この世界の常識が浸透してから覚醒してれば、何とか折り合いがついたんだろうけど…。
ちなみに、同姓同士で子供が生めるかといえば、魔法や異種生物あふれるファンタジーなこの世であってもそれは不可能だ。
女同士だったらどこぞから種を貰って生んだり、男同士だったら養子を貰ったり、契約をした女性から子供を産んでもらったりしている。そこら辺は前世と変わり無い。
平民は養子が主流みたいだけど、血筋を大切にしている貴族や王族とかは、どちらかの血縁者からとか、しかるべき血筋から種を貰ったり、これまたどちらかの血縁者の女性を仮腹として子供を産んでもらったりが一般的だ。
そして俺自身はと言うと…。今目の前に座っている超絶美形な方の父が生物学的な父親。つまりもう一人の方、銀髪碧眼のイケオジの方は義父と言うわけだ。
しかし席順でわかる通り、この公爵家の家長は義父の方だ。つまり実父は奥方のポジション。
だから本来であるなら実父を『母上』と呼ばなければならないんだけど、いくら美形だとはいえ男相手に『母上』と言いたくない俺は、義父を『父上』実父を『父さん』と呼んでいる。
本当は貴族的にはあまりよろしくないみたいなんだけど、例の半年間の引きこもり生活が効いてるらしく、俺がまたあの時のようになったら不味いと思われているようで、実父を『父さん』呼びしている事を義父にも周囲にも表立って咎められた事はない。
それにしても……。同姓婚の貴族が跡継ぎを作るときは、その家の当主が子を作るのが通例なのだが。うちは俺の実父が親戚の娘と誓約し、嫡男として俺を作ったのである。これは異例中の異例だったそうだ。
実父は辺境の田舎を治める子爵の出だし、しかも俺を産んだ母親は実父の血筋の親戚。つまり嫡男である俺には公爵家の血は一滴も入っていないという事になるのだ。どう考えてもこれって不味いだろう。
なんでそうなったかと言うと、親父にベタぼれの義父が「どうせならセオドア(実父の名前)にそっくりな子供が欲しい!」と我が儘を言ったからだそうだ。……大貴族の当主の癖に、アホなのだろうか。
勿論、当初実父は「それはおかしいだろ!それにお前が良くても公爵家の親戚筋が納得すまい!?」と大反対したらしい。
けどその親戚連中までもが「おお!それはいい!」「セオドア殿のお子なら、さぞかし愛らしいだろう!」と、ノリノリで賛同してしまった為、父が仕方無しに子作りをする羽目になったという……。
まあようはそれだけ、父さんが美形過ぎたって所なのだろうが……。それを聞いた時は、アスタール公爵家。真面目に頭大丈夫か?と、この公爵家の将来が真面目に心配になったものだ。
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