黒の魅了師は最強悪魔を使役する

暁 晴海

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第一章

弟の一大事……?

この国の貴族は甘い物好きが多いが、三人も例に漏れず甘党なので、喜んでお茶の誘いに乗って来た。

俺が作るのは世間一般的な貴族の食べる激甘スィーツではないのだが、全く問題ない。

彼らは以前、偶然俺が作った菓子を食べてから俺の菓子の大ファンになっているのだ。
ってか本当に、見栄とプライドで貴重な砂糖を大量消費するなら、無駄だから止めちまえと言いたい。そうすりゃその使わなくなった分の砂糖が庶民にも安い価格で流通すると思うのだが…。

まあ、昔からの習慣って、むやみに変えられないよな。俺の元いた世界でも、「こんな取り決めやめちまえ!」って思う制度や仕組み、山程あったし。

それはさておき、師匠と親父の元に戻った俺は三人を師匠に紹介する。すると師匠、なにやら鋭い闘気を一瞬出した。固まるエイトール、アドルファス、キーラン。

「師匠!ちょっと…!」

「挨拶だ。気にするな」

気にするなって、気にするよ。さっきの闘気、俺でもビビったし。こんなの急に向けられたら、耐性のない奴らは…下手すれば気絶する。

だが当の三人はと言うと、揃って「流石はラヴィーンの守護神…!」と、恐れながらも興奮している様子。流石は分家とは言え、直系に近い名家の子息達だ。

…あれ?師匠って実は凄く有名な人だったんだ。単純に父さんの親戚筋で、エルフの血を引く強い人って認識しかなかったけど。

三人が三人とも、父さんに学院を抜け出した事を叱られた後は色々なお菓子を摘まみつつ、ワイワイお茶会を楽しんだ。

彼らもあのジャリジャリと砂糖を噛み締めるような甘味は苦手らしく、「ここに来ると美味い菓子が喰えて嬉しい!」と、喜んで食べてくれるので俺も作った甲斐がある。だけど、重大問題が発生したって割りになんか呑気だよな。

実はたいしたことなくて、それを口実に菓子喰いに来たわけじゃないよな?

「…実は今日、こうして俺達がこちらを訪ねたのは、テオに頼まれたからなんです」

「え?!」

俺の心の声を聞き取ったのか、唐突に話し始めたアドルファスの言葉に、俺と父さんが驚きの声をあげる。という事は、こいつらが抜け出したのにテオが関わっているという事か。
ってかテオ、学院に戻ったばかりだってのに何やってんだ。それとも、そんなにも緊急の要件なのだろうか。…でも、緊急性があれば、帰宅する事も可能だった筈。

益々、呑気にお茶会してる場合じゃ無かったんじゃ?!一体、何があったっていうんだ?

「アドルファス、詳しく話を聞かせてくれ!ひょっとしてテオに何かあったのか?!」

「えっと…。まぁ、確かに何かはあったんだが…」

「それを先に言えよ?!ジョナサン!馬車の用意をしろ!!今から学院に行ってテオの救出を…」

「落ち着けユキヤ!!」

「これが落ち着いてられるか!!」

「本当に命とかには別状ないんだって!!…その、実はだな…」

ちょっと言い辛そうにしているアドルファスの代わりに、エイトールがいつものおちゃらけ顔を一変させ、真剣な顔で飲んでいたカップをソーサーに置いた。

「半年ほど前、我が国の第二王子が時期遅れで入学されたのですが、セオドア様は御存じでしょうか?」

「ああ、ローレンス王子ね。ウェズレイから聞いた事があるが、かなり優秀な方のようだね。王や家臣の期待を一身に受けられているとか?」


「はい。実際魔力も高く、優れた容姿の持ち主です。学院に入学されてからこっち、学園内で信奉者を数え切れない程増やしております」

「ちょっと待てよエイトール!王子の事なんかより、テオの事だろ!?あいつに何があったか、さっさと話せよ!」

いきなり第二王子の話をされ、テオの事に話を戻せとばかりにそう言った俺に対し、エイトールは落ち着けとばかりに手をヒラヒラさせた。

「テオの事に関係あるから話してんだよ。で、そのローレンス王子はな、入学してすぐテオに一目惚れしたんだ」

「はぁっ!?」

思わず素っ頓狂な声をあげてしまった。

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