とある能力者達の物語

第4章 泥沼な関係

第2話 前世の泥沼な関係

琉貴るき曰くいわく、葉子ようこと琉貴は前世で夫婦であり、その子供に朱嘉しゅか、狛井こまい、紗枝さえの順でいたらしい。

しかしながら、私は琉貴に「朱嘉の前世は妖狐だ」と言われており、そうなると前世の葉子は妖怪を産んだことになるという、素晴らしい矛盾点である。

葉子だけに、妖狐を産んだのかな？なんてボケは必要ないだろう。

まぁ、琉貴の発言が正しいのであれば、私は前世で長女であり、弟妹達に狛井と紗枝がいるという事だ。

妖狐の弟妹達・・・やはり妖怪なのであろうか？などというどうでもいい疑問を抱きつつ、話半分にそれを聞いていた。

前世での関係図からすると、前世の娘と琉貴は付き合っており、前世の息子に葉子は告白された事になる。

これには流石の私も頭を抱えざる得ない。

もはやここまで来ると言っている意味が分からないのだ。

それもそうだ。私は前世の関係を聞かされても、へーという感想しか出なかったからである。

実際自分がそういった立場で言われると、それはまぁ、常人であれば私のような反応しか出来ないであろう。

なんと言うか・・・言葉を失うとはこの事を言うんだな。と改めて痛感した。

実感がわかない以上、そういう反応をせざるを得ないのである。

ここまで来てしまうと、頭の回転が早い私でさえも、なんと返せば良いか、適切な言葉が出てこない。

私は絶句したまま、皆の関係や人となりを観察することにした。