幸せの形

野良猫

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第1章 迷い人・雪の話

第10話 迷い人・雪の真実

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テーブルに、置かれたホットミルクを1口飲んで、深呼吸をして、気持ちを落ち着けた。

幸はその様子を眺めていた。

雪「私は・・・死んだんだよね?」

幸はその問いに、コクリと頷いた。

雪「・・・やっぱり・・・夢じゃなかったんだ・・・。」

雪はその場で頭を抱えた。



━━━・・・・ある日の夜、雪の家

雪「ママ・・・お腹空いた・・・」

雪は数日間まともに食べさせて貰えていなかった。

雪の母「・・・知らないわよ。あんたが居たから・・・あんたのせいで・・・。あんたなんか産まなきゃ良かった・・・。」

雪の母親は、そう言うと雪を鋭い視線で睨みつける。

雪「・・・ママ・・・ごめんなさい・・・。」

雪は部屋の隅で体育座りをして、震えながら謝罪をする。

雪自身、何に対して謝っているのか、既にわからなくなっていた。

雪の母「あんたなんか・・・あんたなんか・・・!産まなきゃ良かった!!!」

雪の母親はそう言うと、雪を殴りつけた。

雪はひたすら謝り続けた。


━━━・・・・・・ある日の昼

雪は死んだ魚の目をしながら、フラフラと歩き出す。

雪の母親は、仕事で家を開けていた。

雪が向かった先はキッチンだった。

雪はキッチンにある包丁を手に取ると、自分の首元へと持っていった。

雪「・・・ごめんなさい・・・ママ・・・。」

そう呟くと、雪は思い切り包丁を引いた。


━━・・・・・・・幸福堂

雪は全てを思い出した。

母親から疎まれ、生きる気力を無くした雪は、自ら命を絶ったのだ。

雪「・・・私が居なければ、ママは幸せになれるって言ってたから・・・。」

涙をぽろぽろとこぼしながら、雪は淡々と語る。

雪「・・・だから、私は・・・自分で・・・」

そこまで言った所で、静かに聞いていた幸が口を開く。

幸「いいえ、雪様。残念ながら雪様のお母様は幸せにはなれません。貴女様を失った事で、深く後悔して生きていきます。」

雪「・・・え?」

雪は幸の思いもよらぬ発言に、頭を上げた。

雪「だって・・・だって!ママは私なんかいらないって!」

雪は声を荒らげてまくし立てる。

幸はそれを遮るかのように、優しく語りかけた。

幸「実の娘が自ら命を絶ったと知ったら、どんな親であろうと悲しみます。雪様のお母様は自らの言葉に後悔をし、貴女様を失った事で強い失望感を味わっています。」

雪「そんな事ない!ずっと、ずっと、私はママに苦しめられてきた!そんなのただ娘を失って可哀想な私って思ってるだけ!」

雪は食ってかかったように、幸に叫んだ。

幸は雪を宥めるようにし、話を続けた。
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