主人公が鈍感(←理由あり)過ぎて、全然進展しないじゃないか!

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序章 再会は突然に

001 始まりの鐘

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「ああ、もう中3なのか。受験めんどくさそうだなあ」

 市立東成中学校の三年に進級したばかりの男子生徒、霧嶋亮平(きりしま りょうへい)はぼやいていた。

「そんなこと言ってもしょうがないって」

 亮平のぼやきに言葉を返したのは、亮平の幼馴染の真藤友佳(しんどう ともか)だ。亮平とは小さい頃からよく遊んでいた。小学校、中学校と同じ学校だったので、仲の良さは親友という表現を超えている。

「ほら、もう。遅れるじゃない。早くいこ。初日からそうそうに遅刻なんて、最悪だからさ」

 友佳が、右にある公園の時計を指さした。時計の針は八時十三分を指していた。登校時間まであと二分しかない。学校は目の前に見えているが、教室で着席していないと遅刻にカウントされるので、急がなければならない。

「時計指してるひまがあったら単刀直入に『遅刻するよ』って言えばいいじゃん」
「亮平はいっつも時計を見せないと全然急がないじゃん。小学校の時から。ただでさえ歩くの遅いのに」
「そんなことない!」

 亮平はぶつぶつ言いながらも、生徒玄関に急ぐ。実のところは、友佳の言っていることが本当なので、そっぽをむいているのだ。

 亮平は時計を確認しないと信じないクセがついてしまっている。小学校の時は、時計を見ずに登校したら、普通に遅刻していたということを何度もやらかしたという過去がある。

 前日に各家庭に手紙が配られてあるので、自分がどこのクラスなのかは分かる。というか今の状況でもし学校で張り紙方式だったら遅刻する。手紙にはクラスの名簿も乗ってはいたが、基本男子の欄しか見ない。

 学校に入って、亮平は自分の教室、3ーAに直行する。今までほとんど行ったことのない階、4階に3年の教室があるので、遠い。学校に入った時に時計を見たらチャイムがなる一分前だったので、校則とか関係なしに走る。

 そして、自分の席に滑り込んだ。

「キンコンカンコン」

 ギリギリセーフ。間一髪で遅刻しなかった。進級一発目から減点は回避できたので、亮平はほっとした。

 事前配布の手紙には、座席表までは持っていなかったので、友達がいるかどうかあたりを見回した。教室の隅っこの方に横岳(よこたけ)がいた。

 横岳は中学校に入ってからできた親友だ。行事がある度に漫才のボケる方をやっている。ちなみに友佳は違うクラスだから、この教室にはいない。

 後は前後の人ぐらいは確認しようと、亮平はまず前に目を向けた。亮平の前の人は、女子で、長い髪がヘアピンで……。

(へ?)

 亮平は心の中で驚いた。このくくり方といい、使っているヘアピンの特徴といい、この女子は...

(まさか……)

 亮平は自分の目を疑った。自分の席の目の前に、見たことのあるような女子が座っているからだ。証拠はつけているヘアピンだ。

(あの柄はあいつが自分で塗った柄だったはず……)

 だが亮平の幼い時の記憶なので、間違っているかもしれない。いや、間違っているだろう。あいつは遠くに引っ越したんだ。小学校に上がる一週間前に。

 だからありえない。ここにいるなんて。
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