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第4章 修学旅行編
037 到着したけどそれどころじゃない
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「まもなく、当機は着陸態勢に入ります。シートベルト着用をよろしくお願いいたします」
アナウンスが流れたとき、亮平達の班は一人を除いて皆グタっとしていた。グタっとしている中でも約一名、違う意味でグタっとしているが。
「霧嶋、荷物持ちよろしくな」
「分かったから……」
「「「「……」」」」
一番最初が横岳、二つ目が亮平だ。
七並べの後、大富豪、ポーカーなどいろいろなゲームをやった。大富豪のようなある程度実力でカバーできるゲームは勝てるのだが、運の要素が大きいゲームはことごとく負けた。
そして、さらに不幸は連鎖した。
亮平と横岳以外の四人が、飛行機酔いを起こしてゲーム続行が不可能となったのだ。その時点での亮平の総合順位は最下位の6位。横岳が『今の時点で最下位の人が罰ゲーム』と言い出し、亮平を除く全員が賛成した。多数決なので、強制的に決まった。
もっとも、飛行機酔いを起こした未帆を含む四人は早く安静になりたいと思っていただけだと思うが。
「それより、大丈夫か?四人とも。西森さんも、荻原さんも、片桐さんも、麻生も。霧嶋は大丈夫だからいいけど」
数十分前に吐き気を訴えてから、四人ともずっとビニール袋を持ってグタっとしているのだ。心配になるのも当然だ。
(最後の一言は余計だろ!)
とにかく、このままでは那覇に着いたら亮平と横岳でそれぞれ三人分を背負わなくてはいけなくなる。
「窓の外、沖縄が見えてるぞー」
「……なら、着いたら教えてくれる?」
とりあえず言ってみたものの、効果はなさそうだ。
「もうすぐ着くから、寝てるやつは起こしとけよー。後、酔っている人がいる班は、後でゆっくり行くから心配しなくていいぞ」
担任の呼びかけがかかる。
(ゆっくりいけるなら、安心だな)
亮平は少し安心した。が、それによってまたあるものが復活したのを忘れていた。
「……」
となりに座っている未帆を見る。かなりしんどそうだ。眠っている様にも見えるが、気持ち悪いのだろう。
考えてみれば、班員のうち四人も酔うのは珍しいのではないのだろうか。そして、自分が酔っていないのは運がいいのではないだろうか。酔っている人には悪いと思いながらも、亮平は酔わなかったことに感謝した。
「ご搭乗ありがとうございました。まもなく、那覇です」
アナウンスが流れ、ついに飛行機は空港の滑走路へと降り立った。
「霧嶋、荷物持ちよろしくな」
横岳が余計なことを思い出させる。
飛行機が完全に停止したとき、亮平の班の中は様子が三つに分かれていた。少しだけだが興奮している横岳。荷物持ちをやらされるのでうつむいている亮平。そして、気持ち悪くて下を向いている未帆、荻原さん、片桐さん、麻生の四人。とてもではないが普通に歩ける状態ではなかった。
「ついたぞー。横岳は、麻生と片桐さんをヨロシク」
「分かってますよー」
結局、亮平と横岳で二人ずつ支えながら飛行機を降りることとなった。
アナウンスが流れたとき、亮平達の班は一人を除いて皆グタっとしていた。グタっとしている中でも約一名、違う意味でグタっとしているが。
「霧嶋、荷物持ちよろしくな」
「分かったから……」
「「「「……」」」」
一番最初が横岳、二つ目が亮平だ。
七並べの後、大富豪、ポーカーなどいろいろなゲームをやった。大富豪のようなある程度実力でカバーできるゲームは勝てるのだが、運の要素が大きいゲームはことごとく負けた。
そして、さらに不幸は連鎖した。
亮平と横岳以外の四人が、飛行機酔いを起こしてゲーム続行が不可能となったのだ。その時点での亮平の総合順位は最下位の6位。横岳が『今の時点で最下位の人が罰ゲーム』と言い出し、亮平を除く全員が賛成した。多数決なので、強制的に決まった。
もっとも、飛行機酔いを起こした未帆を含む四人は早く安静になりたいと思っていただけだと思うが。
「それより、大丈夫か?四人とも。西森さんも、荻原さんも、片桐さんも、麻生も。霧嶋は大丈夫だからいいけど」
数十分前に吐き気を訴えてから、四人ともずっとビニール袋を持ってグタっとしているのだ。心配になるのも当然だ。
(最後の一言は余計だろ!)
とにかく、このままでは那覇に着いたら亮平と横岳でそれぞれ三人分を背負わなくてはいけなくなる。
「窓の外、沖縄が見えてるぞー」
「……なら、着いたら教えてくれる?」
とりあえず言ってみたものの、効果はなさそうだ。
「もうすぐ着くから、寝てるやつは起こしとけよー。後、酔っている人がいる班は、後でゆっくり行くから心配しなくていいぞ」
担任の呼びかけがかかる。
(ゆっくりいけるなら、安心だな)
亮平は少し安心した。が、それによってまたあるものが復活したのを忘れていた。
「……」
となりに座っている未帆を見る。かなりしんどそうだ。眠っている様にも見えるが、気持ち悪いのだろう。
考えてみれば、班員のうち四人も酔うのは珍しいのではないのだろうか。そして、自分が酔っていないのは運がいいのではないだろうか。酔っている人には悪いと思いながらも、亮平は酔わなかったことに感謝した。
「ご搭乗ありがとうございました。まもなく、那覇です」
アナウンスが流れ、ついに飛行機は空港の滑走路へと降り立った。
「霧嶋、荷物持ちよろしくな」
横岳が余計なことを思い出させる。
飛行機が完全に停止したとき、亮平の班の中は様子が三つに分かれていた。少しだけだが興奮している横岳。荷物持ちをやらされるのでうつむいている亮平。そして、気持ち悪くて下を向いている未帆、荻原さん、片桐さん、麻生の四人。とてもではないが普通に歩ける状態ではなかった。
「ついたぞー。横岳は、麻生と片桐さんをヨロシク」
「分かってますよー」
結局、亮平と横岳で二人ずつ支えながら飛行機を降りることとなった。
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