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第一部 第二章 ドラゴン娘と冒険
Episode007 ライバルの再来
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「そういえば、シノアにはライバルみたいな存在はいなかった?」
とある朝、パンを貪りながら俺は聞いた。
ドラゴンロードの娘だったのだから、他のドラゴンロードの息子や娘とライバルでもおかしくはないだろう。
「……いましたよ。ドラゴンロード四天王の一角『勝利の不死鳥』フェニクトリーの娘、リルフィ。精霊と何かしらの繋がりがあって、それで強化されていて、今まで負けなしのドラゴンなんです」
「もしかして、そのドラゴンとはよく戦っていたのか?」
「私もリルフィも武闘派ではありませんが、何度かはありました」
やっぱり、そういうところになるとライバルはいるんだな……。
俺にはまだライバルと呼べる存在がいないけど、そういうヤツがいると伸びるんだろう。
「今はどうしているんでしょうか……」
「あ、そっか。300年も旅してたんだっけ?まあ、近いうちに会えたりしてな」
俺はソイツに少し興味があったので、ワザとフラグになりそうな言い方をしてみた。
これで本当に会えるならいいんだけど。
~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~
今日は死散鰐の討伐に来ている。
何でも、貯水池の近くの川にそんなのが住み着いたんだとか。
「死散鰐は私の炎魔法で十分ですよね?」
「……威力は調節しなよ?」
そんなこんなあって、作戦は決行された――。
~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~
干上がった川を見て、俺は頭を抱えた。
こうなるであろうことは最初から分かってはいたのだ。
でも、こうでもしなければ俺が死ぬ覚悟で飛びかかる必要があったので、安全面を考えると、コレは正しい選択だったと言わざるを得ない。
「なあ、水魔法で何かいいのはないのか?」
「そうすると、逆に川を抉って怒られますね」
「川が干上がることですら問題だと思うんだけど……」
もうここは、開き直るしかないのか?
いや、それでは冒険者としての見られ方に影響する。
どうするべきか……。
「……ん?あれは何でらか?」
ラードンが指さす方向を見ると、青い髪と瞳の少女がこちらに向かって歩いてくる。
ただ、その少女を見て俺の感……いや、本能がこう悟った。
あれはドラゴンだ、と。
「リルフィ!?アナタが何でここに!?」
俺の直感の通り、その少女はドラゴン――リルフィだったらしい。
いや-、フラグの力ってスゲェわ。
こんな簡単に運命を繋いでしまうんだから。
「お前がこの川を干上がらせたのか、シノア?」
「まあ……、はい」
「……シノア、久しぶりだな」
「リルフィこそ、少し大きくなりましたね」
この二人、300年越しでも覚えているのか……。
まあ、人間とドラゴンじゃそういう時間の感じ方もちがうだろうし。
「とりあえず、この川を元に戻せばいいのだな?」
「はい。頼みますよ」
ライバル……なんだよな。
こうやって見てるとそうには思えないのだが。
「『水の精霊よ。我が契約せし精霊王の権限の名の元に於いて、汝の力の一部を捧げたまえ』!」
リルフィがそう唱えると、魔法陣が展開されて、そこから水が注がれ……。
たった1分で干上がった川を元に戻してみせたのである。
「ス、スゲェ……」
「こ、これが精霊と契約した者の力でらか……」
リルフィは、その後すぐにシノアと向き合った。
二人の間に火花が散ったのは気のせいではないらしい。
「【死焔爆散】!」
「【天雨葬冥】!」
二人は同時に魔法を放ち、次々と生態系を破壊しかねない速度で攻撃し合った。
それは、数時間に及ぶ大乱闘となったのだった……。
~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~
「やっぱり、やりますね……」
「シノアこそ、火力が上がっているのだ……」
破壊した生態系を元に戻したリルフィは、二人で寝転がりながらそう語らい合っている。
ホント、ああいうライバルが欲しいものだ。
それにしても、リルフィさ、最初に出てきて川を元に戻す時に『契約せし精霊王』って言ってたし、かなりヤバいんだろうなあ。
「お疲れ。ヤバかったな」
「ん?人間か?なぜここに?」
「気づいてなかったんですか?あの人たちは最初からいましたよ!」
「ほう?その言いようから察するに、シノアの仲間なのか」
「いえ!仲間ではなく……」
恐らく、『恋人です!』とか言おうとしていたのだろう。
しかし、それはトンデモナイ音によって搔き消された。
そう、それは……
「うう……。お腹がすいたのだ……」
リルフィの腹の虫が鳴いたからだ。
「……しょうがないし、一回俺たちの街に来る?」
少女は、赤面ながら笑った。
とある朝、パンを貪りながら俺は聞いた。
ドラゴンロードの娘だったのだから、他のドラゴンロードの息子や娘とライバルでもおかしくはないだろう。
「……いましたよ。ドラゴンロード四天王の一角『勝利の不死鳥』フェニクトリーの娘、リルフィ。精霊と何かしらの繋がりがあって、それで強化されていて、今まで負けなしのドラゴンなんです」
「もしかして、そのドラゴンとはよく戦っていたのか?」
「私もリルフィも武闘派ではありませんが、何度かはありました」
やっぱり、そういうところになるとライバルはいるんだな……。
俺にはまだライバルと呼べる存在がいないけど、そういうヤツがいると伸びるんだろう。
「今はどうしているんでしょうか……」
「あ、そっか。300年も旅してたんだっけ?まあ、近いうちに会えたりしてな」
俺はソイツに少し興味があったので、ワザとフラグになりそうな言い方をしてみた。
これで本当に会えるならいいんだけど。
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今日は死散鰐の討伐に来ている。
何でも、貯水池の近くの川にそんなのが住み着いたんだとか。
「死散鰐は私の炎魔法で十分ですよね?」
「……威力は調節しなよ?」
そんなこんなあって、作戦は決行された――。
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干上がった川を見て、俺は頭を抱えた。
こうなるであろうことは最初から分かってはいたのだ。
でも、こうでもしなければ俺が死ぬ覚悟で飛びかかる必要があったので、安全面を考えると、コレは正しい選択だったと言わざるを得ない。
「なあ、水魔法で何かいいのはないのか?」
「そうすると、逆に川を抉って怒られますね」
「川が干上がることですら問題だと思うんだけど……」
もうここは、開き直るしかないのか?
いや、それでは冒険者としての見られ方に影響する。
どうするべきか……。
「……ん?あれは何でらか?」
ラードンが指さす方向を見ると、青い髪と瞳の少女がこちらに向かって歩いてくる。
ただ、その少女を見て俺の感……いや、本能がこう悟った。
あれはドラゴンだ、と。
「リルフィ!?アナタが何でここに!?」
俺の直感の通り、その少女はドラゴン――リルフィだったらしい。
いや-、フラグの力ってスゲェわ。
こんな簡単に運命を繋いでしまうんだから。
「お前がこの川を干上がらせたのか、シノア?」
「まあ……、はい」
「……シノア、久しぶりだな」
「リルフィこそ、少し大きくなりましたね」
この二人、300年越しでも覚えているのか……。
まあ、人間とドラゴンじゃそういう時間の感じ方もちがうだろうし。
「とりあえず、この川を元に戻せばいいのだな?」
「はい。頼みますよ」
ライバル……なんだよな。
こうやって見てるとそうには思えないのだが。
「『水の精霊よ。我が契約せし精霊王の権限の名の元に於いて、汝の力の一部を捧げたまえ』!」
リルフィがそう唱えると、魔法陣が展開されて、そこから水が注がれ……。
たった1分で干上がった川を元に戻してみせたのである。
「ス、スゲェ……」
「こ、これが精霊と契約した者の力でらか……」
リルフィは、その後すぐにシノアと向き合った。
二人の間に火花が散ったのは気のせいではないらしい。
「【死焔爆散】!」
「【天雨葬冥】!」
二人は同時に魔法を放ち、次々と生態系を破壊しかねない速度で攻撃し合った。
それは、数時間に及ぶ大乱闘となったのだった……。
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「やっぱり、やりますね……」
「シノアこそ、火力が上がっているのだ……」
破壊した生態系を元に戻したリルフィは、二人で寝転がりながらそう語らい合っている。
ホント、ああいうライバルが欲しいものだ。
それにしても、リルフィさ、最初に出てきて川を元に戻す時に『契約せし精霊王』って言ってたし、かなりヤバいんだろうなあ。
「お疲れ。ヤバかったな」
「ん?人間か?なぜここに?」
「気づいてなかったんですか?あの人たちは最初からいましたよ!」
「ほう?その言いようから察するに、シノアの仲間なのか」
「いえ!仲間ではなく……」
恐らく、『恋人です!』とか言おうとしていたのだろう。
しかし、それはトンデモナイ音によって搔き消された。
そう、それは……
「うう……。お腹がすいたのだ……」
リルフィの腹の虫が鳴いたからだ。
「……しょうがないし、一回俺たちの街に来る?」
少女は、赤面ながら笑った。
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