19 / 53
【淳平編】3話-6
しおりを挟む
駅に着くと、電車に乗って家の最寄り駅まで移動する。いつもと変わらない移動風景は、日野がいるだけで違うものへと変わる。
電車を降り、カバの公園を通り過ぎ、保育園に着いた。いつも通りの迎えの時間帯だ。日野は園内へは入らず、正門から少し離れた道端で待っていると言った。先ほど、不審者扱いされたことを気にしているのかもしれない。
「篠原君、こんにちは」
里美先生が、事務室で葵と共に迎えてくれた。
「葵、先生と一緒にいたのか?」
普段ならクラスの子供達と遊んでいるはずが、何故か今日は事務室にいる。大人用の高い椅子に、行儀よく座っている姿を見て不思議に思った。
「ちょっとね、元気無いんだよね」
先生が葵をあやすような口調で言い、僕に視線を向ける。
「別に何があったってわけじゃないの。お兄ちゃんがもうすぐ来るから、ここで待っていたいって。甘えたい気分なのかな」
無表情のまま座っていた葵が、椅子から飛ぶようにして降りた。高さがあったので咄嗟に里美先生が手を差し出したが、綺麗に床に着地した。鞄を手に取り、黙々と帰り支度をする姿はいつも通りのように見える。元気が無い、と言われれば、そうとも見れる。
里美先生と別れ、葵の手を繋いで事務室を出た。正門まで歩きながら、葵の様子を窺う。
「……具合でも悪いのか?」
僕の質問に、黙って首を横に振る。口を開かないところを見ると、やはり元気が無いのかもしれない。
正門を出ると、先ほどと同じ場所に日野がいた。こちらに背を向け、手足を小さく動かしている。よく見ると、それは最近流行っている子供向けの踊りだった。朝に放送しているテレビ番組で、大きな着ぐるみと大人が一緒になって踊っているのを、たまに見る。
僕の異様な視線に葵が気づき、そちらを見た。
「ひのりんだ!」
その明るい声に、一瞬耳を疑った。葵の声で振り向いた日野が、顔を綻ばせて駆け寄ってくる。
「葵さん、お久しぶりです。元気でしたか?」
目の前でしゃがみ、視線を合わせて日野が言うと、「うん」と嬉しそうに頷く。先ほどまで俯いて黙り込んでいた姿が、嘘のようだ。
「お兄ちゃん、ひのりんと遊びたい」
その言葉に、日野が瞳を輝かせた。夕飯の支度をする時間まで余裕があるし、断る理由がない。少し迷ってから頷くと、二人の嬉しそうな声が重なった。
カバの公園に入ると、真っ先にその象徴である滑り台に目がいく。大きな口から出てくる子供達はいつも笑顔で、シュールな光景は見飽きないものだ。しかし、今日はその光景が見られない。滑り台に子供がいないのだ。
周囲を見回しても、子供の姿がない。公園内を奥へと歩き、ようやく子供がいたかと思えば、すぐ近くに母親が見張りのように立っていた。
「最近は、こんな感じなんですよ」
隣を歩きながら日野が言った。
「きっと、あの事件のせいですね。もうひとり……子供が……」
「知ってるのか」
「あれから私も、ニュースを見るようにしているんです」
葵が砂場へ入っていったので、僕と日野もそれに続いた。他には誰もおらず、貸切状態だ。
普段、公園へ行くときには必ず砂遊び用の遊具を持っていっている。葵はたいてい、砂場で遊ぶからだ。
今日はバケツもシャベルも無いから、手でやるしかないね。そう言って葵が両手を砂の中に突っ込んだ。日野がわざとらしく、フフフ、と笑うので見ると、両手に砂遊び用のバケツとシャベルが握られていた。
三十分ほど遊んだ。僕は早々に離脱して、砂場の縁に座って二人の様子を眺めていた。
砂をかき集めて大きな山を作り、そこに穴を開けてトンネルを開通させたり、新しく土で作った装飾品を乗せたりしている。いつも通りの遊び方だ。いつも通りのはずなのに、葵は滅多に見せない笑顔を見せている。
日野と葵が会うのは、今日で三回目だ。なかなか人に懐かない葵が、たった三回会っただけの人間に笑顔を見せるなんてことは、今までに一度もない。
「葵、そろそろ片付けて帰ろう」
日野が葵を連れて、水道場へ向かった。自分の手を見ると、二人ほどではないが土で汚れている。
二人を追いかけようと立ち上がり、ふと砂場に目を向ける。そこにはなかなかの芸術作が出来上がっていて、このまま無くなってしまうのは惜しいと思い、携帯で写真を撮っておいた。
「手が冷たくなっちゃいました」
水道の前で、日野が濡れた両手を振っている。葵はすでに洗い終わったようで、ハンカチで自分の手を拭いている。キャラクターの絵が印刷されているそのハンカチに、見覚えがない。
「ああ、ごめん。ハンカチは僕が持ってるんだ」
「いいんですよ」
日野は葵の手からハンカチを受け取ると、続けて濡れた手を拭く。僕は水道の蛇口を捻り、汚れた手を水で流した。この時期になると、水道水はとても冷たい。適当に手をこすって、早めに水から離れた。横から先ほどのハンカチが差し出される。
「三番目ですが」
受け取ったハンカチはたしかに二人分の水分を含んでいて、三人目の水分を吸わせるには少々申し訳ないような気がした。
「あのさ」
公園の出口に向かって歩いている時、何気なく口から出た。口から出て初めて、自分が言おうとしていることを自覚する。隣を歩いていた日野は顔を上げたが、前を歩いている葵は反応しない。聞こえなかったようだ。
「あの……」
「どうしたんですか?」
葵に聞こえないようにと、歩く速度を落とした。もともと子供の歩幅に合わせていたので、ほとんど立ち止まっているようなものだ。日野は不思議そうな顔をしたが、僕の視線に気づいて合わせてくれた。
「あいつ、普段あんまり笑わないんだ」
「え?」
日野が小さな後姿を見る。
「今日なんて、保育園でもずっと元気なかったみたいで」
「そうなんですか? そうは見えませんでしたけど……」
「たぶん、あんたに会えて嬉しかったんだよ」
日野には子供に懐かれる素質があるのだろう。まだ数えるほどしか会ったことがないが、その中でも彼女の裏表の無い性格はよく伝わってくる。子供からしても、警戒させない立ち振る舞いが心の緊張を解かせているのだ。
「私、葵さんに好かれてるんですかね」
期待を込めた目でそう言うので肯定するのが悔しかったが、嫌々ながら頷いた。
「だからさ、遊んでやってほしいんだ。これからも」
「もちろんですよ」
「葵は保育園があるし、僕も学校と家事であんまり時間がとれないから、土日がいいんだけど」
なんだかデートにでも誘っているようだが、そんなつもりはない。そもそも日野のことは、名前とサンタクロース見習いという怪しいステータス以外、何も知らないのだ。
満面の笑みが、僕に向けられる。
「はい、いつでも大丈夫です!」
きっと、葵に他の願いを聞きだせるチャンスだと思っているのだろう。残りの一人を葵に絞っているようだし、日野にとっては願ってもいない申し出なはずだ。
電車を降り、カバの公園を通り過ぎ、保育園に着いた。いつも通りの迎えの時間帯だ。日野は園内へは入らず、正門から少し離れた道端で待っていると言った。先ほど、不審者扱いされたことを気にしているのかもしれない。
「篠原君、こんにちは」
里美先生が、事務室で葵と共に迎えてくれた。
「葵、先生と一緒にいたのか?」
普段ならクラスの子供達と遊んでいるはずが、何故か今日は事務室にいる。大人用の高い椅子に、行儀よく座っている姿を見て不思議に思った。
「ちょっとね、元気無いんだよね」
先生が葵をあやすような口調で言い、僕に視線を向ける。
「別に何があったってわけじゃないの。お兄ちゃんがもうすぐ来るから、ここで待っていたいって。甘えたい気分なのかな」
無表情のまま座っていた葵が、椅子から飛ぶようにして降りた。高さがあったので咄嗟に里美先生が手を差し出したが、綺麗に床に着地した。鞄を手に取り、黙々と帰り支度をする姿はいつも通りのように見える。元気が無い、と言われれば、そうとも見れる。
里美先生と別れ、葵の手を繋いで事務室を出た。正門まで歩きながら、葵の様子を窺う。
「……具合でも悪いのか?」
僕の質問に、黙って首を横に振る。口を開かないところを見ると、やはり元気が無いのかもしれない。
正門を出ると、先ほどと同じ場所に日野がいた。こちらに背を向け、手足を小さく動かしている。よく見ると、それは最近流行っている子供向けの踊りだった。朝に放送しているテレビ番組で、大きな着ぐるみと大人が一緒になって踊っているのを、たまに見る。
僕の異様な視線に葵が気づき、そちらを見た。
「ひのりんだ!」
その明るい声に、一瞬耳を疑った。葵の声で振り向いた日野が、顔を綻ばせて駆け寄ってくる。
「葵さん、お久しぶりです。元気でしたか?」
目の前でしゃがみ、視線を合わせて日野が言うと、「うん」と嬉しそうに頷く。先ほどまで俯いて黙り込んでいた姿が、嘘のようだ。
「お兄ちゃん、ひのりんと遊びたい」
その言葉に、日野が瞳を輝かせた。夕飯の支度をする時間まで余裕があるし、断る理由がない。少し迷ってから頷くと、二人の嬉しそうな声が重なった。
カバの公園に入ると、真っ先にその象徴である滑り台に目がいく。大きな口から出てくる子供達はいつも笑顔で、シュールな光景は見飽きないものだ。しかし、今日はその光景が見られない。滑り台に子供がいないのだ。
周囲を見回しても、子供の姿がない。公園内を奥へと歩き、ようやく子供がいたかと思えば、すぐ近くに母親が見張りのように立っていた。
「最近は、こんな感じなんですよ」
隣を歩きながら日野が言った。
「きっと、あの事件のせいですね。もうひとり……子供が……」
「知ってるのか」
「あれから私も、ニュースを見るようにしているんです」
葵が砂場へ入っていったので、僕と日野もそれに続いた。他には誰もおらず、貸切状態だ。
普段、公園へ行くときには必ず砂遊び用の遊具を持っていっている。葵はたいてい、砂場で遊ぶからだ。
今日はバケツもシャベルも無いから、手でやるしかないね。そう言って葵が両手を砂の中に突っ込んだ。日野がわざとらしく、フフフ、と笑うので見ると、両手に砂遊び用のバケツとシャベルが握られていた。
三十分ほど遊んだ。僕は早々に離脱して、砂場の縁に座って二人の様子を眺めていた。
砂をかき集めて大きな山を作り、そこに穴を開けてトンネルを開通させたり、新しく土で作った装飾品を乗せたりしている。いつも通りの遊び方だ。いつも通りのはずなのに、葵は滅多に見せない笑顔を見せている。
日野と葵が会うのは、今日で三回目だ。なかなか人に懐かない葵が、たった三回会っただけの人間に笑顔を見せるなんてことは、今までに一度もない。
「葵、そろそろ片付けて帰ろう」
日野が葵を連れて、水道場へ向かった。自分の手を見ると、二人ほどではないが土で汚れている。
二人を追いかけようと立ち上がり、ふと砂場に目を向ける。そこにはなかなかの芸術作が出来上がっていて、このまま無くなってしまうのは惜しいと思い、携帯で写真を撮っておいた。
「手が冷たくなっちゃいました」
水道の前で、日野が濡れた両手を振っている。葵はすでに洗い終わったようで、ハンカチで自分の手を拭いている。キャラクターの絵が印刷されているそのハンカチに、見覚えがない。
「ああ、ごめん。ハンカチは僕が持ってるんだ」
「いいんですよ」
日野は葵の手からハンカチを受け取ると、続けて濡れた手を拭く。僕は水道の蛇口を捻り、汚れた手を水で流した。この時期になると、水道水はとても冷たい。適当に手をこすって、早めに水から離れた。横から先ほどのハンカチが差し出される。
「三番目ですが」
受け取ったハンカチはたしかに二人分の水分を含んでいて、三人目の水分を吸わせるには少々申し訳ないような気がした。
「あのさ」
公園の出口に向かって歩いている時、何気なく口から出た。口から出て初めて、自分が言おうとしていることを自覚する。隣を歩いていた日野は顔を上げたが、前を歩いている葵は反応しない。聞こえなかったようだ。
「あの……」
「どうしたんですか?」
葵に聞こえないようにと、歩く速度を落とした。もともと子供の歩幅に合わせていたので、ほとんど立ち止まっているようなものだ。日野は不思議そうな顔をしたが、僕の視線に気づいて合わせてくれた。
「あいつ、普段あんまり笑わないんだ」
「え?」
日野が小さな後姿を見る。
「今日なんて、保育園でもずっと元気なかったみたいで」
「そうなんですか? そうは見えませんでしたけど……」
「たぶん、あんたに会えて嬉しかったんだよ」
日野には子供に懐かれる素質があるのだろう。まだ数えるほどしか会ったことがないが、その中でも彼女の裏表の無い性格はよく伝わってくる。子供からしても、警戒させない立ち振る舞いが心の緊張を解かせているのだ。
「私、葵さんに好かれてるんですかね」
期待を込めた目でそう言うので肯定するのが悔しかったが、嫌々ながら頷いた。
「だからさ、遊んでやってほしいんだ。これからも」
「もちろんですよ」
「葵は保育園があるし、僕も学校と家事であんまり時間がとれないから、土日がいいんだけど」
なんだかデートにでも誘っているようだが、そんなつもりはない。そもそも日野のことは、名前とサンタクロース見習いという怪しいステータス以外、何も知らないのだ。
満面の笑みが、僕に向けられる。
「はい、いつでも大丈夫です!」
きっと、葵に他の願いを聞きだせるチャンスだと思っているのだろう。残りの一人を葵に絞っているようだし、日野にとっては願ってもいない申し出なはずだ。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
ハチミツ色の絵の具に溺れたい
桃本もも
青春
大学生になったばかりの梅若佐保には、ひとつだけ悔やんでも悔やみきれないことがあった。
高校で唯一仲良くしていた美術部の後輩、茜谷まほろが事故に遭うきっかけを作ってしまったことだ。
まほろは一命を取りとめたものの、意識不明がつづいている。
まほろがいない、無味乾燥な日々。
そんな佐保のもとに、入院しているはずのまほろが現れる。
「あたし、やりたいことがあって、先輩のところに来たんです」
意識だけの存在になったまほろとの、不思議なふたり暮らしがはじまる――
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。
その事実だけを抱え、離縁を突きつけ、家を出た。
そこで待っていたのは、最悪の出来事――
けれど同時に、人生の扉がひらく瞬間でもあった。
夫は愛人と共に好きに生きればいい。
今さら「本当に愛していたのは君だ」と言われても、裏切ったあなたを許すことはできない。
でも、子供たちの心だけは、必ず取り戻す。
妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。
過去を悔いながらも、愛を手に入れることを決めた彼女が辿り着いた先には――
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
僕《わたし》は誰でしょう
紫音みけ🐾新刊2月中旬発売!
青春
※第7回ライト文芸大賞にて奨励賞を受賞しました。応援してくださった皆様、ありがとうございました。
【あらすじ】
交通事故の後遺症で記憶喪失になってしまった女子高生・比良坂すずは、自分が女であることに違和感を抱く。
「自分はもともと男ではなかったか?」
事故後から男性寄りの思考になり、周囲とのギャップに悩む彼女は、次第に身に覚えのないはずの記憶を思い出し始める。まるで別人のものとしか思えないその記憶は、一体どこから来たのだろうか。
見知らぬ思い出をめぐる青春SF。
※表紙イラスト=ミカスケ様
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる