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24話・便利な窓
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公爵は驚いた顔をして私を見ていたが、私は今もまだ笑ったまま口を開いた。
「そうですか、私も妹の性格には困っております。どうぞ、ここからお逃げください。後は私が何とかしますから。ですが、私が出来るのは嘘をつくこと。いずれはバレてしまいます。なのでこのお屋敷には二度と立ち寄らない方がいいでしょう」
私は、なんだか公爵を逃してやりたくなり、部屋の窓を開けて公爵を促した。
いつもの私ならこんな事をしようとも思わなかっただろう。
このおかしな公爵と、私に笑いかけてくる王太子のせいかも知れない。
いや、そうに違いない。
この二人のせいで私はきっと、少しばかりおかしくなってしまったのだ。
公爵は、少し躊躇った後窓に近づく。
「ソフィー、大丈夫?なんかあったら俺を呼んで。友達として助けに来るからさ」
公爵は窓に手が触れた瞬間、そう口走る。
おかしな人だ。
まともに会話なんてした事がないのに、友達なんて。
でもお願いだから、もう来ないで欲しい。
妹が必要以上に騒ぎ出す事になりかねないから。
「何かある、なんて事にはなりませんよ。私は大丈夫です。それより、お幸せに」
私は少し笑って、ゆっくりお辞儀をした。
公爵は一つ頷いた後、窓を身軽に超えて走り去っていった。
どうでもいいけど、この窓は便利だ。
自分が出ていくことも出来るし、他人を逃すことも出来る。
私は公爵の背が見えなくなった事を確認して窓を閉めた。
終始意味の分からない事を言っていたが、好きな人と幸せになって欲しいと切実に思った。
さて、私はもう一仕事しなくてはいけない。
どうやって妹を黙らせようか。
義母と妹が納得する嘘をつかなくてはいけない。
嘘をつくのは得意だけど、いざ嘘をつこうと思うとあまり良い嘘が思い浮かばない。
私は幾つか候補を挙げていき、その中から一番時間を稼げて妹が諦められそうな嘘を選んだ。
私がつく嘘は時間の問題でいずれバレるだろうが、後で何とか誤魔化せば行けるかもしれない。
とにかく、今は考える時間もないし、これで行こう。
いざ嘘をつくとなると結構緊張する。
私は深呼吸をして歩き出した。
部屋を出て、今もドスドス歩き公爵を探している妹に近づく。
「キセラ、先程公爵様が伝言を残して帰られましたよ」
妹はハッとしたように私の顔を見ると、怒りに満ちた表情で私を押し倒す。
近くにいたメーリスが慌てて近寄ってきたが、私は首を振りメーリスを制す。
苛つくと力でしか物事の解決が出来ない、申し訳ないけど頭が弱い証拠であると思う。
私はチラッと妹を見た後、無言で立ち上がる。
義母は騒ぎを聞きつけたようで小走りで妹のそばによった。
普段は義母がいると迷惑だが、今回は嘘をつくにあたって良いタイミングでやってきたなと思う。
私は心の中で笑った。
「そうですか、私も妹の性格には困っております。どうぞ、ここからお逃げください。後は私が何とかしますから。ですが、私が出来るのは嘘をつくこと。いずれはバレてしまいます。なのでこのお屋敷には二度と立ち寄らない方がいいでしょう」
私は、なんだか公爵を逃してやりたくなり、部屋の窓を開けて公爵を促した。
いつもの私ならこんな事をしようとも思わなかっただろう。
このおかしな公爵と、私に笑いかけてくる王太子のせいかも知れない。
いや、そうに違いない。
この二人のせいで私はきっと、少しばかりおかしくなってしまったのだ。
公爵は、少し躊躇った後窓に近づく。
「ソフィー、大丈夫?なんかあったら俺を呼んで。友達として助けに来るからさ」
公爵は窓に手が触れた瞬間、そう口走る。
おかしな人だ。
まともに会話なんてした事がないのに、友達なんて。
でもお願いだから、もう来ないで欲しい。
妹が必要以上に騒ぎ出す事になりかねないから。
「何かある、なんて事にはなりませんよ。私は大丈夫です。それより、お幸せに」
私は少し笑って、ゆっくりお辞儀をした。
公爵は一つ頷いた後、窓を身軽に超えて走り去っていった。
どうでもいいけど、この窓は便利だ。
自分が出ていくことも出来るし、他人を逃すことも出来る。
私は公爵の背が見えなくなった事を確認して窓を閉めた。
終始意味の分からない事を言っていたが、好きな人と幸せになって欲しいと切実に思った。
さて、私はもう一仕事しなくてはいけない。
どうやって妹を黙らせようか。
義母と妹が納得する嘘をつかなくてはいけない。
嘘をつくのは得意だけど、いざ嘘をつこうと思うとあまり良い嘘が思い浮かばない。
私は幾つか候補を挙げていき、その中から一番時間を稼げて妹が諦められそうな嘘を選んだ。
私がつく嘘は時間の問題でいずれバレるだろうが、後で何とか誤魔化せば行けるかもしれない。
とにかく、今は考える時間もないし、これで行こう。
いざ嘘をつくとなると結構緊張する。
私は深呼吸をして歩き出した。
部屋を出て、今もドスドス歩き公爵を探している妹に近づく。
「キセラ、先程公爵様が伝言を残して帰られましたよ」
妹はハッとしたように私の顔を見ると、怒りに満ちた表情で私を押し倒す。
近くにいたメーリスが慌てて近寄ってきたが、私は首を振りメーリスを制す。
苛つくと力でしか物事の解決が出来ない、申し訳ないけど頭が弱い証拠であると思う。
私はチラッと妹を見た後、無言で立ち上がる。
義母は騒ぎを聞きつけたようで小走りで妹のそばによった。
普段は義母がいると迷惑だが、今回は嘘をつくにあたって良いタイミングでやってきたなと思う。
私は心の中で笑った。
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