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「いやだなぁ」と思ってもどうしてもやらなければならないようだ。
赤塚はもういっそのこと任務を理由に辞退しようかと思ったのだが、任務前だからこそ実践訓練には参加するようにとお達しが出てしまったのだ。
目の前では入念に銃の作動を確認したり軽く運動をしたりと、忙しそうに動き回る田村がいた。
自分はというと、訓練場にも入らずに防弾ガラスがはまっている観戦席の椅子に腰掛けて煙草をふかしていた。
壁に喫煙禁止の張り紙が見えないこともないが、だからどうするというわけでもないので見なかったことにしておく。
隣の席でも金村が同じように煙草を燻らしている。
ガラス越しに田村の様子を眺めながら、赤塚は短くなった煙草を携帯灰皿に突っ込んだ。
新しいのを口で引き抜いてライターで火をつけようとして、ガス切れであることに気づく。
「ついてませんね」
使えなくなったライターを手に恨めしげに呟くと、横から白い手にライターを取り上げられた。
「何がついていないというの、赤塚」
赤塚が横を見ると、黒い服が目に入った。
驚きながら視線をあげると、予想していたとおりの人物がそこにいた。
黒い髪を腰まで伸ばし、シックな黒のワンピースを着た女性。
肌は透き通るように白く、手足はかなり細い。
その細く白い手の上で赤塚のライターは転がされていた。
「佐々木さんじゃないですか、お久しぶりです」
「久しぶりね。最後にあったのは2ヶ月ほど前だったかしら?
任務を上手くこなしているようで何よりだわ。金村も調子がよさそうね」
「どーも」
「佐々木さんがなぜここに?」
ライターを返してもらいながら、
そう尋ねる。
佐々木さんのような人がこんなところにくるなんてかなり珍しいことだ。
佐々木さんはきれいに整えられた眉をつり上げる。
「暇つぶしで立ち寄っただけよ。それにしてもここは空気が悪いわね。
金村、赤塚、その煙たいものを私の前で吸い続けるつもり?」
「すみません」
赤塚は謝って先ほど引き抜いた煙草をケースに戻した。
金村は謝りこそしなかったが、煙草はすぐに靴で消した。
「分かればいいのよ」
佐々木さんが満足そうに頷く。
「特任のトップのご命令とあっちゃ、俺だって逆らうわけにはいかねえもんなー」
にっと歯をみせて金村が笑う。
「ふふっ、立場はちゃんと分かってるじゃないの。感心ね。
ところで、あなた達はここで対戦でもあるのかしら?
にしてはくつろいでるみたいだけど」
「ちょっと対戦相手が悪くて、できるだけ開始を引き延ばそうと思いまして」
「誰とやるの?」
「僕と田村で。田村が妙に気合い入ってるんでやりにくいんですよ」
「そう田村と……まあ頑張りなさい。私はこれで失礼するわね、まだ色々とやることがあるから」
「お疲れ様です」
佐々木さんは数歩足をすすめたところで、何かを思いだしたらしい。
赤塚の横に音もなく近づくと、そっと耳打ちをしてきた。
「田村はどうやら何かをたくらんでいるようだから、少し気をつけていた方がいいわよ」
「わかりました」
「では、ごきげんよう」
そう言い残してようやく本当に去っていった。
背中に大きな刀剣を担いでいる佐々木さんの姿が見えなくなるまで、微妙に緊張した空気は消えない。
後ろ姿が完全に見えなくなったのを確認して、緊張した空気を振り払うかのように赤塚は金村とともに息を吐き出した。
「ふー何で佐々木さんが出てくんだよ、焦ったじゃねえか」
「本当にどうしようかと思いましたね」
強い脱力感に襲われ、2人して椅子へとへたりこむ。
「そろそろ時間なんじゃねえの?」
「……そうですね」
いまだに脱力感が抜けきらない状態で実戦訓練なんてやってられない。
が、監督官に早くしろだのを今言われたら監督官を瞬殺してしまうような気がしたので、赤塚はさっさと自分から訓練場に入ることにする。
支給された銃を受け取って弾を込め、ゴム弾の弾倉をポケットに突っ込みつつ赤塚は訓練場に足を踏み入れた。
赤塚はもういっそのこと任務を理由に辞退しようかと思ったのだが、任務前だからこそ実践訓練には参加するようにとお達しが出てしまったのだ。
目の前では入念に銃の作動を確認したり軽く運動をしたりと、忙しそうに動き回る田村がいた。
自分はというと、訓練場にも入らずに防弾ガラスがはまっている観戦席の椅子に腰掛けて煙草をふかしていた。
壁に喫煙禁止の張り紙が見えないこともないが、だからどうするというわけでもないので見なかったことにしておく。
隣の席でも金村が同じように煙草を燻らしている。
ガラス越しに田村の様子を眺めながら、赤塚は短くなった煙草を携帯灰皿に突っ込んだ。
新しいのを口で引き抜いてライターで火をつけようとして、ガス切れであることに気づく。
「ついてませんね」
使えなくなったライターを手に恨めしげに呟くと、横から白い手にライターを取り上げられた。
「何がついていないというの、赤塚」
赤塚が横を見ると、黒い服が目に入った。
驚きながら視線をあげると、予想していたとおりの人物がそこにいた。
黒い髪を腰まで伸ばし、シックな黒のワンピースを着た女性。
肌は透き通るように白く、手足はかなり細い。
その細く白い手の上で赤塚のライターは転がされていた。
「佐々木さんじゃないですか、お久しぶりです」
「久しぶりね。最後にあったのは2ヶ月ほど前だったかしら?
任務を上手くこなしているようで何よりだわ。金村も調子がよさそうね」
「どーも」
「佐々木さんがなぜここに?」
ライターを返してもらいながら、
そう尋ねる。
佐々木さんのような人がこんなところにくるなんてかなり珍しいことだ。
佐々木さんはきれいに整えられた眉をつり上げる。
「暇つぶしで立ち寄っただけよ。それにしてもここは空気が悪いわね。
金村、赤塚、その煙たいものを私の前で吸い続けるつもり?」
「すみません」
赤塚は謝って先ほど引き抜いた煙草をケースに戻した。
金村は謝りこそしなかったが、煙草はすぐに靴で消した。
「分かればいいのよ」
佐々木さんが満足そうに頷く。
「特任のトップのご命令とあっちゃ、俺だって逆らうわけにはいかねえもんなー」
にっと歯をみせて金村が笑う。
「ふふっ、立場はちゃんと分かってるじゃないの。感心ね。
ところで、あなた達はここで対戦でもあるのかしら?
にしてはくつろいでるみたいだけど」
「ちょっと対戦相手が悪くて、できるだけ開始を引き延ばそうと思いまして」
「誰とやるの?」
「僕と田村で。田村が妙に気合い入ってるんでやりにくいんですよ」
「そう田村と……まあ頑張りなさい。私はこれで失礼するわね、まだ色々とやることがあるから」
「お疲れ様です」
佐々木さんは数歩足をすすめたところで、何かを思いだしたらしい。
赤塚の横に音もなく近づくと、そっと耳打ちをしてきた。
「田村はどうやら何かをたくらんでいるようだから、少し気をつけていた方がいいわよ」
「わかりました」
「では、ごきげんよう」
そう言い残してようやく本当に去っていった。
背中に大きな刀剣を担いでいる佐々木さんの姿が見えなくなるまで、微妙に緊張した空気は消えない。
後ろ姿が完全に見えなくなったのを確認して、緊張した空気を振り払うかのように赤塚は金村とともに息を吐き出した。
「ふー何で佐々木さんが出てくんだよ、焦ったじゃねえか」
「本当にどうしようかと思いましたね」
強い脱力感に襲われ、2人して椅子へとへたりこむ。
「そろそろ時間なんじゃねえの?」
「……そうですね」
いまだに脱力感が抜けきらない状態で実戦訓練なんてやってられない。
が、監督官に早くしろだのを今言われたら監督官を瞬殺してしまうような気がしたので、赤塚はさっさと自分から訓練場に入ることにする。
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