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第2幕
第23話 宮廷の仮面
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ヴェルサイユ宮殿内、政務棟の奥—— その一室では、選ばれし数名の貴族が夜更けに集まり、静かに言葉を交わしていた。
「王妃が反革命派と通じているという“噂”、既に耳にしたか?」
「ふん、王妃殿下の香水を嗅ぎながら革命の話とは皮肉なものだな」
「いや……皮肉ではない。“そのように仕向けられている”と考えるべきだ」
男たちの視線が、一人の壮年の男に集まった。
ディオニュス侯爵、穏健派と見せかけて王政に批判的な発言を繰り返している男だった。
彼は一枚の紙片を懐から取り出し、卓上に置いた。
「見よ。これが出回り始めた“証拠”の一部。王妃が革命派と内通し、国外逃亡を企てているという——」
「捏造だな」
その低く響く声に、全員が振り返った。
扉の傍らに立つのは、漆黒の外套を羽織ったサンジェルマン伯爵。
「貴様、ここに何の用だ!」
「用は一つ。王妃の名を汚すことは、この国の未来を貶めることに等しい」
侯爵は笑う。
「未来? まだそんな幻想を抱いているのか?」
サンジェルマンはわずかに目を細めた。
「幻想を抱いているのは貴殿の方だ、“今”という時代が永久に続くとでも?」
その言葉の真意に気づいた者は、わずかに息を呑んだ。
侯爵の目が一瞬揺れる。
「……ふん、語るに足らん。貴様のような過去の亡霊にはな」
彼が紙片を燃やそうとした瞬間—— カチン 剣の鍔が鳴った。
現れたのは、三銃士の一人、シャレット。ピシグリューとド・モードも後に続いていた。
「これ以上、不敬の限りを尽くすのであれば、黙って見過ごすわけにはいかぬ」
侯爵は立ち上がったが、サンジェルマンの手が先に伸びた。
「その紙、拝借する。——調べさせてもらおう。真の出所をな」
「伯爵、貴様には何の権限がある!」
「王妃陛下からの委任状がある。疑うなら、ロベスピエールと共に革命裁判所に出向くか?」
侯爵は口を噤み、紙片を静かに手放した。
その後、部屋には重苦しい沈黙が流れた。
サンジェルマンは三銃士に目配せし、すぐに場を後にする。
王妃の私室—— サンジェルマンと三銃士が戻ると、マリーは静かに頷いた。
「ご苦労でした。やはり、何者かがこの宮廷の奥深くで陰謀を巡らせているのですね」
シャレットが進み出る。
「侯爵の周辺を探れば、背後の繋がりも明らかになるかと」
「よいでしょう。引き続き、あなたたちに任せます」
サンジェルマンは一歩近づき、マリーに静かに語りかけた。
「殿下、どんな刃も仮面の奥の顔を断つことはできません。ですが、仮面を暴く“光”は、あなたの中にあるはずです」
マリーはふとその言葉に微笑んだ。
「……光など、私にありますか?」
「ありますとも。自分が信じる“真実”を選び続けてきた者にしか宿らぬ、揺るぎなき光が」
その時、外から近衛兵の足音が迫ってきた。
「報告! 南の門で不審な火が発生、外部から何者かが侵入した可能性があります!」
マリーの表情が一変する。
「……始まったのかもしれませんね」
彼女の声に、静かな決意がにじんでいた。
仮面の奥に潜む敵。
そして、真実を照らす光。 物語は、さらなる深層へと踏み込もうとしていた——。
「王妃が反革命派と通じているという“噂”、既に耳にしたか?」
「ふん、王妃殿下の香水を嗅ぎながら革命の話とは皮肉なものだな」
「いや……皮肉ではない。“そのように仕向けられている”と考えるべきだ」
男たちの視線が、一人の壮年の男に集まった。
ディオニュス侯爵、穏健派と見せかけて王政に批判的な発言を繰り返している男だった。
彼は一枚の紙片を懐から取り出し、卓上に置いた。
「見よ。これが出回り始めた“証拠”の一部。王妃が革命派と内通し、国外逃亡を企てているという——」
「捏造だな」
その低く響く声に、全員が振り返った。
扉の傍らに立つのは、漆黒の外套を羽織ったサンジェルマン伯爵。
「貴様、ここに何の用だ!」
「用は一つ。王妃の名を汚すことは、この国の未来を貶めることに等しい」
侯爵は笑う。
「未来? まだそんな幻想を抱いているのか?」
サンジェルマンはわずかに目を細めた。
「幻想を抱いているのは貴殿の方だ、“今”という時代が永久に続くとでも?」
その言葉の真意に気づいた者は、わずかに息を呑んだ。
侯爵の目が一瞬揺れる。
「……ふん、語るに足らん。貴様のような過去の亡霊にはな」
彼が紙片を燃やそうとした瞬間—— カチン 剣の鍔が鳴った。
現れたのは、三銃士の一人、シャレット。ピシグリューとド・モードも後に続いていた。
「これ以上、不敬の限りを尽くすのであれば、黙って見過ごすわけにはいかぬ」
侯爵は立ち上がったが、サンジェルマンの手が先に伸びた。
「その紙、拝借する。——調べさせてもらおう。真の出所をな」
「伯爵、貴様には何の権限がある!」
「王妃陛下からの委任状がある。疑うなら、ロベスピエールと共に革命裁判所に出向くか?」
侯爵は口を噤み、紙片を静かに手放した。
その後、部屋には重苦しい沈黙が流れた。
サンジェルマンは三銃士に目配せし、すぐに場を後にする。
王妃の私室—— サンジェルマンと三銃士が戻ると、マリーは静かに頷いた。
「ご苦労でした。やはり、何者かがこの宮廷の奥深くで陰謀を巡らせているのですね」
シャレットが進み出る。
「侯爵の周辺を探れば、背後の繋がりも明らかになるかと」
「よいでしょう。引き続き、あなたたちに任せます」
サンジェルマンは一歩近づき、マリーに静かに語りかけた。
「殿下、どんな刃も仮面の奥の顔を断つことはできません。ですが、仮面を暴く“光”は、あなたの中にあるはずです」
マリーはふとその言葉に微笑んだ。
「……光など、私にありますか?」
「ありますとも。自分が信じる“真実”を選び続けてきた者にしか宿らぬ、揺るぎなき光が」
その時、外から近衛兵の足音が迫ってきた。
「報告! 南の門で不審な火が発生、外部から何者かが侵入した可能性があります!」
マリーの表情が一変する。
「……始まったのかもしれませんね」
彼女の声に、静かな決意がにじんでいた。
仮面の奥に潜む敵。
そして、真実を照らす光。 物語は、さらなる深層へと踏み込もうとしていた——。
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